2023年6月22日、東京23区のリアルタイム3Dデータ『REAL 3DMAP TOKYO for XR』がリリースされました。
画面上に極めて高精細かつリアルに東京の街が再現できるとあって、メタバースやゲーム、都市開発、防災、観光、学習といったさまざまな分野での活用が期待されています。
そこで今回は、『REAL 3DMAP TOKYO for XR』の基本情報や特徴、活用シーンや利用方法等について詳しく解説します。
目次
|『REAL 3DMAP TOKYO for XR』とは
株式会社キャドセンター(東京都港区)が2017年にリリースした『REAL 3DMAP TOKYO for VR』のアップデート版として発表したのが『REAL 3DMAP TOKYO for XR』です。
ゲームエンジンで圧倒的実績を誇る「Unity」向けの形式で提供されるリアルタイム3Dデータで、3Dテクノロジーの向上により都市表現のクオリティが大幅に向上しました。
従来のように単に映画やドラマ内で風景として活用するだけでなく、現実の東京の街中をリモートで移動したり目的地を訪れたりして、立地や避難経路の確認、実効性のある土地開発や災害による被害予測など行政やインフラ、その他ビジネス目的での活用が期待されています。
Unityとは
Unityとは、米Unity Technologiesが開発した世界中のエンジニアから圧倒的人気を誇るゲームエンジンです。
ゲームで多用される様々な機能のライブラリが多数搭載されているため、本来なら一からブログラミングしなければならない手間が大幅に省けます。
2Dのみならず、VR・ARといった3Dのコンテンツ開発にも対応しているため、メタバースゲーム以外でも、たとえば医療業界ではバーチャル手術による医師のトレーニングなどに活用されています。
これを利用することで、REAL 3DMAP TOKYO for XRもリアルな東京の街を仮想空間のように再現し、そこで様々なパフォーマンスができるようになっているのです。
|『REAL 3DMAP TOKYO for XR』の特徴
続いて『REAL 3DMAP TOKYO for XR』の特徴についてさらに詳しく掘り下げていきましょう。
東京の街が新技術によってどのように再現されるのか、またキャドセンター以外の開発者についても解説します。
東京が3Dモデルでリアルに再現
REAL 3DMAP TOKYO for XRの大きな特徴は東京内の建物のテクスチャ(外壁の素材)やガラスの反射までが精細に表現されており、画面を操作しても3Dデータ精度が維持でき加工性に優れている点にあります。
従来のリアルタイム式の3D都市データは「白箱」というテクスチャのないものや、加工性の低い架空の都市空間しか表現できませんでした。
画面内の東京がまるでリアル映像のように精緻な点が、非常に画期的です。
3社で共同開発されている
実はREAL 3DMAP TOKYO for XRは、キャドセンターが単独で開発したツールではありません。
他にも、ジオテクノロジーズ株式会社(東京都文京区)と株式会社パスコ(同目黒区)が共同参画して事業化しています。
位置情報技術や地図データベースなどを使ったソリューションを得意とするジオテクノロギーズが地図を担当し、空間情報事業を主体とするパスコが航空写真と建物や土地の高さに関するデータを提供しています。
オンライン・オフライン問わず利用できる
REAL 3DMAP TOKYO for XRは、オンラインでもオフラインでも利用することができます。
ネット環境が充実している室内での作業ならオンラインで構わないかもしれません。
しかし、REAL 3DMAP TOKYO for XRを利用するシチュエーションは、屋内とはかぎりません。
屋外でネット環境が不安定だったり整備されていなかったりして通信に制限がある場合は、オフラインで作業できる方が便利ですし安心でしょう。
|『REAL 3DMAP TOKYO for XR』の活用シーン
『REAL 3DMAP TOKYO for XR』の具体的な活用シーンについて解説しましょう。
新型コロナの流行をきっかけにリモート需要が急拡大したため、これから様々な業界で活用例が増えていくものと思われます。
ゲーム
その名に「XR」とついているように『REAL 3DMAP TOKYO for XR』を使うと、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)そしてMR(複合現実)の総称である「XR(クロスリアリティ)」の世界をゲーム内で体感できるようになります。
日本の首都であり世界でも有数の人気スポットである東京を舞台に極めてリアルなシチュエーションでゲームが展開できるとなると、様々なゲームコンテンツがリリースされると期待できます。
メタバース
メタバースこそ、『REAL 3DMAP TOKYO for XR』の実力が強く発揮される活用シーンといってよいでしょう。
アバターを使って、渋谷でデートをしたり、家族でハリーポッター「スタジオツアー東京」に遊びに行ったり、千鳥ヶ淵の桜を見ながら皇居の周りをウォーキングしたり・・・とさまざまな可能性が広がります。
悪天候や障がい、高齢といったハンディに関係なく東京の街を堪能できることが、夢ではなくなるでしょう。
観光
上記のようにメタバースの世界で『REAL 3DMAP TOKYO for XR』が活用できると、国内外を問わずリモートでの観光ができるようになります。
バーチャル観光を楽しんだユーザーの中には、リモートで訪れたスポットで実際に観光したいと考える人たちも少なからず現れるはずです。
そこで買い物や食事、レジャーなどを楽しめばバーチャルとリアルが融合し、今までにない様々なサービスや経済効果が生まれると期待できます。
防災
国内では最も都市化が進んでいる東京だからこそ、異常気象や大規模災害に対して脆弱であることは否めません。
そこで『REAL 3DMAP TOKYO for XR』を活用すれば、災害に強い建物の設計、避難情報の視認性の向上、臨場感と没入感に富んだ仮想の防災訓練などが実現します。
高精細でリアルな3Dデータだからこそ、人ごとと思われがちな防災に対する意識をより身近なものとして向上させることができるといえるでしょう。
都市開発
『REAL 3DMAP TOKYO for XR』によって23区内の建物やランドマークの密集具合がリアルに可視化でき、人流や交通の流れへの視認性が高まると都市開発のシミュレーションも容易になります。
その精度もかなり高度なため、余分なコストを削減することも可能になります。
加えて気候や防災情報などと連携すれば、単なる無作為な都市化ではなく、安全かつ快適でウェルネスに富んだ未来型の街づくりにも寄与するでしょう。
|『REAL 3DMAP TOKYO for XR』を利用するには
『REAL 3DMAP TOKYO for XR』は、東京23区を43のエリアに分割し、1エリア単位で販売されています。
好きなエリアを購入すれば、そのデータを自由に加工したり、印刷物・製作物・映像・ゲームなどに活用したりする権利を取得することが可能です。
購入までに3Dサンプルデータを賃借して使用感を試すこともできます。
なお、エリア間で価格に差はありませんが、使用用途によって金額が異なるため見積が必要です。
コンテンツ制作依頼も可能
Unityや3Dデータの活用に慣れている場合は問題ないかもしれませんが、そうでない場合は無理に自前で開発せずともキャドセンターにコンテンツ制作そのものを依頼することが可能です。
メタバースをはじめとするWeb3.0系サービスの開発競争は非常に熾烈で、少しの遅れが命取りになることも考えられます。
その意味では、本サービスの活用法に精通した開発者にコンテンツ制作を依頼するのは、非常に賢明といえるでしょう。
|まとめ
『REAL 3DMAP TOKYO for XR』は、Web3.0を間違いなく牽引する画期的なサービスといってよいでしょう。
メタバースやゲームといったエンタメ要素を含みつつ、都市開発や防災、観光など実社会と次世代の発展に大きく貢献するポテンシャルを秘めている点が魅力です。
ライバルの一歩先を行くサービスを提供するためにも、早速、『REAL 3DMAP TOKYO for XR』の活用を検討されてはいかがでしょうか。