現在はインターネットの発達によってコミュニケーションの幅が広がり、顔の知らない相手とも会話できるようになりました。
これは非常に便利な反面、これまでの人間関係とは全く異なる交流が求められているともいえます。
「SNS疲れ」という単語も出てきているように、ネット上の交流にストレスを抱えている人は少なくありません。
また、実際の友達とも24時間連絡を取れる状況に心が休まらないという方も多いでしょう。
こういったメンタル面のケアは従来、カウンセラーという専門の職業が対応していました。
しかし、現在は「emol(エモル)」と呼ばれるAIによるカウンセリングサービスが存在します。
本記事では、AIカウンセリングemolについて、その概要から利用するメリットについて解説していきます。
目次
|メンタルヘルスを解決する「emol」
メンタルヘルスケアを得意とするemolの概要と特長について、以下の項目に沿って解説していきます。
- サポートAIとの会話が可能
- 「ロク」との会話の感情を整理し記録
- 「emol town」で心のケア方法を提供
- 利用料金について
サポートAIとの会話が可能
emolは個人のメンタルヘルスに関する問題を、専門知識を持ったカウンセラーといった「人間」ではなく、「AI」に相談し解決するサービスです。
emolに対する意思疎通の方法としては、チャット上での会話をベースに進められます。
「機械相手に相談するなんて、違和感を感じる」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、emolはACT(アクシセプタンス&コミットメントセラピー)と呼ばれる認知行動学に基づいた返答が可能になっています。
また、9つの感情の中から最も当てはまる物を選択すれば、emolが質問や話題を提供してくれます。
それらに沿った会話を続けることで、ユーザーのメンタル面をケアしていくのです。
「ロク」との会話の感情を整理し記録
emolの中で会話相手になるキャラクターは「ロク」と呼ばれます。
「ユーザーの感情を記録する」という目的から、ロクと名付けられたこのキャラクターは、会話から読み取った感情記録だけではなく睡眠時間といったライフログを記録します。
開発者は「どのような形のAIデザインが、最も愛着を感じられるか」を研究し、世の中に存在しない抽象的なデザインを採用するに至りました。
ロクとの会話の中で、「悲しい」といった感情を選択した場合、「何をしていたのか」や「何を考えていたのか」といった質問を投げかけてくれます。
それらに答え、考えていく内に、ユーザーの心のなかで感情や思考が整理されていくのです。
「emol town」で心のケア方法を提供
emolでは単にユーザーとロクとの会話だけではなく、「emol town」と呼ばれるメンタルヘルスケアに関するコンテンツや商品を取り扱うスペースも開設しています。
ユーザーが感じている悩み、考えに対して適切なメンタルケア方法を提供し解決することを目指します。
2020年10月には、第一生命の商品提案DX化に向けた「PtoC」の一環として、AIがユーザーの悩みに応じた保険提供を行うサービスも開始されています。
デジタルセラピープログラムや、メディカルハーブの提供など、会話だけではなく多角的にユーザーのメンタルケアを行える環境を提供しているのです。
利用料金について
emolが想定しているメインユーザーは10代〜20代の若年層です。
気軽にメンタルケアを実践してもらうことを目的に、7日間のプログラムを490円という低価格で提供しています。
通常のデジタルセラピープログラムは月額料金携帯を採用していることが多いですが、emolではターゲット層に合わせた料金体系を採用。
手軽に試せる価格に設定することで、幅広いユーザーに活用してもらうことを考えています。
|近年注目されるデジタルセラピー
2020年のコロナ禍以降、世界中でセルフケアに関する検索が増加したというデータがあります。
多くの人々がチャットボットを相手に不安を相談し、前向きになるヒントを答えてもらっているのです。
emolでのデジタルセラピーでは、1週間〜3週間程度の間、AIからのレクチャーを元にセルフケアミッションを受けることになる。
このミッションは認知行動療法をベースにしたケア方式が採用されており、動画視聴や呼吸法、ミニゲームといった多種多様なプログラムが用意されている。
従来は医院に通い、専門家のもとで進めていた施術の多くがスマホ一台で可能になっているのです。
このような背景から、デジタルセラピーは年々その注目度を高めているのです。
人間よりもAI相手の方が感情を出しやすい?
emolがメインターゲットと考えている10代〜20代の若年層にとっては、人間のセラピストよりもAIを相手に会話をするほうが感情を出しやすいとされています。
対人でのコミュニケーションは相手の心情や反応を伺ってしまい、自分の本音を話すことに抵抗を感じてしまうのです。
日本認知科学学科による研究結果では、傾聴者としてAIは人間と同程度の発言を引き出せることが分かりました。
それだけではなく、ネガティブな内容や心の奥底にある感情面に関する会話は、人間よりもAIの方が引き出しやすい傾向にあることも判明しています。
これらの結果から、emolは対人ストレスを感じることなくメンタルケアを行える環境を重視しています。
「ログ」との会話によってユーザーの感情を的確に把握し、それらの対処法を提示することに大きく役立つでしょう。
|オフィス業務に特化した「emol work」
「emol work」というオフィス業務に特化した、リモートオフィスとも呼ばれるサービスも存在しています。
emol workについて、以下の項目に沿って解説していきます。
- AIによるカウンセリングとコーチング
- 悩みを共有、管理、コメント
AIによるカウンセリングとコーチング
コロナ禍の影響もあり、在宅勤務を強いられている企業も少なくありません。
在宅での勤務はメリットもある一方で、人との関わりが減少する、悩みを共有できないといったデメリットも含んでいます。
このようなストレスを感じている従業員に対して、AIとの対話によって解決まで導くことが可能となっているのです。
会話はチャット形式で行われ、やり取りの内容は第三者に漏れることはありません。
完全なプライベート空間の中で「仕事」や「習慣」、「将来について」や「目標」といった悩みを相談できます。
業務面だけではなく、家族や友人関係といった悩みにも対応していますので、気軽に何でも話せる相手としてカウンセリングを進められるでしょう。
悩みを共有、管理、コメント
emol workでは個人単位での悩みだけではなく、チーム全体を対象にしたカウンセリングも可能です。
スタッフが匿名で悩みを投稿し、全体と共有できる「悩みボード」という機能があります。
こちらでは壁に付箋を貼り付けるように、それぞれの悩みや考えが一目で可視化されます。
リモートワークで業務を進める場合、全体の疑問や悩みが共有されないという問題が存在します。
そのような見逃しがちな悩みや問題を浮き彫りにし対処することで、全体のモチベーション維持に繋がるのです。
利用料金について
emol workは基本的には無料で利用可能です。
しかし、チャット機能やお悩みポストやボード数の利用に一部制限が掛かってしまいます。
そのため、emol workの機能をフルに活用したいと考える場合、1ユーザーあたり月額500円のスタンダードプランへの加入をおすすめします。
まずは無料プランで機能を確認していき、活用範囲を広げたい場合はスタンダードプランに移行する形でも問題ないでしょう。
|まとめ
AIカウンセリング「emol」について、その概要から利用するメリットについて解説してきました。
テクノロジーが発展した現代においても、人間の心の部分は変わりありません。
相手がどう思っているのか、どう感じたのかといった心配事や、周囲の人達との比較はいつまでも続いていくでしょう。
特に、SNSによって世界中の誰とでも繋がりを持てる上、いつどこで誰が何をしているのかといった情報も即座に手に入ります。
ある種、現代は人間が抱く心の悩みが最も大きくなりやすい環境といえるかもしれません。
このような時代において、emolのようなAIカウンセリングサービスは大きな影響を持つことが考えられます。
「人に相談するほどの悩みじゃないし…」
「誰に言ったら良いかわからない…」
このような内容でも、emolであればいつでも気軽に相談できます。
些細なことでも相談でき、適切な対処法を提示してくれるemolは無くてはならない心の支えになるかもしれません。