メタバースとは、インターネット上に構築された現実に近い特徴を持つ仮想空間のことです。

近年、メタバースはゲームや展示会、イベントなど幅広い業界・分野で活用されていたり、アメリカのFacebook社が社名を「メタ・プラットフォームズ」に変更したことでも世界的に注目を集めている技術の1つですよね。

では、なぜメタバースは大きく注目されているのでしょうか。

今回は、「メタバースの空間や今後の展望」について詳しく解説します。

メタバースに興味・関心がある方や今後ビジネスでどう活用されていくのか知りたい方は、ぜひご一読ください。

|今話題のメタバースとは?

メタバースとは、「meta = 超越した」と「universe = 宇宙・世界」をあわせた造語であり、インターネット上の仮想空間や、その空間で提供されているサービスのことです。

メタバースでは、アバターを活用して、あらゆる場所の方が参加し、他者と交流できるという特徴があります。また、ユーザーが自分自身でオリジナルの空間を作成することが可能です。

詳細は、話題のメタバースに注目!! 技術詳細、注目の背景、仕組み等ビジネスで活用される理由を解説! をご覧ください。

|VRとメタバースは何が違う?

 メタバースVR
仮想空間仮想現実
概要インターネット上に構築された現実に近い特徴を持つ仮想空間CGで作り上げられた架空の世界を、現実のように見せる技術や手法

VRとは、「Virtual Reality」の略で、日本語では「仮想現実」と訳します。

一般的には、CGで作り上げられた架空の世界を、現実のように見せる技術や手法です。

例えば、VRを活用すれば、まるで自分がゲームの世界にいるかのように360度の3D空間を体験することができます。

基本的に、VRを体験するにはゴーグルやHMD(ヘッドマウントディスプレイ)のようなヘッドセットが必要です。視界の全てを覆うように装着することで没入感が高まります。

つまり、メタバースは仮想空間そのもの、VRは仮想空間作り出す手段だと認識しておきましょう。

|メタバースが新しいビジネスモデルとして注目される理由

ここでは、メタバースが新しいビジネスモデルとして注目される理由について3つの観点から解説します。

①技術の進化

1つ目の理由は、メタバースを充実させる技術の進化です。

技術の進化には、PCやスマホ、タブレットなどのデバイスのハイスペック化やネットワークの高速・大容量化はもちろん含まれますが、特にVR技術の進化が注目されています。

VR技術の進化のおかげで、3DCGを平面のスクリーン上に表示させるだけでなく、専用ゴーグルを通じて仮想空間の中にいるような立体的な視覚体験が可能になりました。

また身振りや手ぶり、顔の表情など、現実世界の自分の動きをアバターを通じて表現できるようにもなりました。

②NFTによる経済活動の活発化

2つ目の理由は、NFTによる経済活動の活発化です。

2021年4月、「Everydays – The First 5000 Days」と名付けられたデジタルアートが、約6935万ドル(約75億円)で落札されました。

落札金額はもちろんですが、それ以上に注目を集めたのはNFTの技術が売買されたということです。

NFTとは、「Non-Fungible Token (非代替性トークン)」の略で、デジタルアートやゲーム内のアイテムなどの物体を持たない資産に所有者情報を記載し、ブロックチェーンで具現化された信憑性を証明できるデジタル資産です。つまり、偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータとも言えます。

近年、このNFTが仮想通貨やゲーム内のアイテム、SNSのアイコン、アート、音楽などさまざまな業界で活用され始めています。

また大企業がメタバース内の土地を数千万円で購入するなど、将来的な可能性に期待し、投資していたりもします。

今後、デジタルデータに唯一無二の資産性を持たせることができるNFTとメタバースを掛け合わせたビジネスが普及すれば、経済活動の活発化に繋がることは間違いないでしょう。

③生活様式の変化

3つ目の理由は、メタバースの発展に伴った生活様式の変化です。

新型コロナウイルスの影響で、現実で人々が集まるイベントは、中止や厳しい制限が課せられた上での開催に追い込まれました。

そんな中、現実に近いイベントを開催できる空間として、メタバースが期待され始めたのです。

例えば、複数人が集まるオンラインゲーム「あつまれどうぶつの森」でも、さまざまな企業や公的機関とのコラボレーション活動が実現しています。

またメタバースとNFTを組み合わせることで、メタバース内での商品・サービスの売買が安全になれば、多様な用途でメタバースが活用でき、新しいビジネスチャンスや生活様式になることは間違いないでしょう。

|メタバース空間でできること

ここでは、メタバース空間でできることについて4つ解説します。

ゲーム

VRやARの技術が進歩してきたことで、メタバース内でアバターを使った現実に近い感覚のゲームが楽しめるようになりました。

例えば、VRゲームには、「ソードアート・オンラインVR」や「初音ミクVR(プレイステーション5)」などが、ARゲームには「ポケモンGO」や「ドラゴンクエストウォーク」があります。

プレイ画面を見れば、VRやARがどのようなものかイメージしやすいでしょう。

【VRゲーム:ソードアート・オンラインVR】

【ARゲーム:ポケモンGO】

音楽ライブなどのエンタメイベント

メタバースの技術を活用すれば、アバターを用いた音楽ライブなどのエンタメイベントを仮想空間上で開催することができます。

例えば、人気音楽バンド「RADWIMPS」は、2020年12月と2021年7月の2度、映像を通じたバーチャルライブを実施し、どちらも成功を収めています。

また2019年に行われた「フジロックフェスティバル」では、メタバース内に制作されたライブ会場を通じて、ライブ体験の共有が図られました。

リモート会議や共有作業

メタバース技術は、ビジネスにも活用されています。

例えば、企業のリモート会議や共有作業です。

メタバース上では、自分の表情や動作を自由に表現できるだけでなく、空間再現技術で対面に限りなく近い感覚でコミュニケーションを図れます。

また、VRヘッドセットを活用すれば、目の前にパソコンを置き、ボードに図を描くなどの意思疎通が可能、内容をホワイトボードに書き込むような共有作業も行えます。

さらに、また時間や場所を問わず、会議に参加できるため、会社に直接出社する必要はありません。インターネット回線さえ接続できれば、地方や海外にいてもリモート会議が行えます。

展示会やショッピング

メタバース上に、Eコマースやサービスを提供する場所を作れば、仮想空間でショッピングすることもできます。

例えば、2021年12月に実施された「バーチャルマーケット2021」では、来場者が会場に展示された3Dアバターや3Dモデルなどを自由に試着、鑑賞、購入できました。

運営者とユーザーは、ヘッドフォンやマイクを通して肉声で会話したり、コントローラーでアバターを操作したりとリアルに近い接客がされました。

また仮想都市のコミュニケーションプラットフォーム・スマホアプリ「REV WORLDS」を利用すれば、仮想空間の街(例えば新宿)を散策することができ、出会った友人とチャットで繋がれたり、ショッピングもできます。

|日本でも人気のメタバースプラットフォーム

ここでは、日本でも人気のメタバースプラットフォームについて5点解説します。

XR CLOUD

XR CLOUDとは、monoAI technology株式会社がリリースしたバーチャル空間プラットフォームです。

【XR CLOUDの魅力】

・10万人以上の超大規模同時接続エンジンを搭載している

・音声コミュニケーションができるため、バーチャル空間上で人との交流や情報交換が可能

・インターネットさえ繋がればデバイスを問わず、どこからでも利用可能 ・約40種類のアバターが用意されているため、個性を表現しやすい

【XR CLOUD:公式サイト

cluster

出典:https://cluster.mu/

「cluster」とは、クラスター株式会社が開発・運営するメタバースプラットフォームです。

【clusterの魅力】

・インターネットさえ繋がればデバイスを問わず、どこからでも利用可能

・メタバース内では、自分のお店(例えば雑談BARや商品販売店舗など)を持つことができる

・イベントやVR音楽ライブに参加したり、自ら主催することもできる ・好きなアバターを用いて、ユーザー同士でコミュニケーションを図れる

Horizon Workrooms

出典:https://www.oculus.com/workrooms/?locale=ja_JP

Horizon Workroomsは、メタ・プラットフォームズ(旧称: Facebook)が開発したビジネス会議用のVR空間です。

【Horizon Workroomsの魅力】

・現実世界で行うように、コントローラーをペンのように持ち、自室内の物理的なデスクや共有のホワイトボードに直接ペンで描ける

・テーブルを囲むメンバーの声はVR内の場所に合わせて自動音量調整されるため、没入感が高いコミュニケーションが図れる ・VR内外間でのリアルタイムのチャット、メモ取り、アクションアイテムの割り当てが可能

VRChat

出典:https://hello.vrchat.com/

「VRChat」は、Graham GaylorとJesse Joudreyによって開発され、アメリカ合衆国の企業であるVRChat Inc.によって運営が行われているソーシャルVRアプリです。

【VRChatの魅力】

・メインコンテンツはチャットルーム

・複数のユーザー同士で会話したり、オブジェクトを制作したり、モノの売買できたりと社会的な交流ができるため、SNS要素が強いアプリと言える

・オリジナルのアバターを作成できる ・VR技術を用いて、コミュニケーション時の表情まで実装可能

The Sandbox

出典:https://www.sandbox.game/jp/

The Sandboxとは、イーサリアムのブロックチェーン技術を基盤としたユーザー主導のゲームプラットフォームです。

【The Sandboxの魅力】

・無料ツール「VoxEdit」を活用し、アイテムやキャラクター、建物などを自分で制作できる

・LAND(ゲーム空間内の土地)を所有していると、独自の施設やミニゲームを構築できる ・NFTのボクセルアートを制作し、TheSandBoxのマーケットで売買できる

|メタバース空間で期待されること

ここでは、メタバース空間で期待されることについて3つの観点から解説します。

①企業だけでなく個人にもビジネスチャンスが増える

メタバースは企業だけでなく個人にもビジネスチャンスが増える可能性を秘めています。

例えば、メタバース空間での商品販売による売上向上や販路の拡大、それに伴う新たな商品開発などです。

メタバースを活用すれば、実店舗とは別にまたは代わりに、メタバース内に店舗を設置して商品を販売できますし、D2Cで直接購入者に商品を届けることも可能です。

②コスト削減につながる

コスト削減に繋がる点も、メタバースを活用するメリットです。

現実世界で、ビジネスを始める場合、オフィスや店舗の維持費用が発生しがちですが、メタバース内では実店舗を持つ必要はありません。そのため、現実世界での維持費を丸ごとカットすることができます。

事実、オフィスや店舗をメタバース内に移行させる企業も増えていることから、今後もコストカットの恩恵を受ける企業は増えるでしょう。

③多種多様な業界の参入

現実世界で外国に旅行に行こうと思うと、日程調整や旅客機や宿泊先の手配、パスポートの準備などさまざまな準備が必要です。

しかし、メタバースの空間を通じて世界中を飛び回れば、空間内で世界中のユーザーとつながることが可能です。

環境や政治、経済などの制約を受けることもないため、自由に世界中の人とつながれるメリットがあります。

|まとめ

今回は、メタバースに興味・関心がある方や今後ビジネスでどう活用されていくのか詳しく知りたい方に向けて、メタバースの魅力や今後の展望について解説しました。

メタバースの技術は、ゲームや音楽だけでなく、ビジネスや実生活にも活用され始めました。

今はまだ発展途上のメタバース技術ですが、今後さらなる普及が予想でき、これまでの生活を一変させる可能性は多いにあります。

またさまざまな恩恵を受けるために、メタバースの導入を検討する企業も増え始めました。

競合他社に遅れを取らないためにも、ぜひこの機会にメタバースの導入を検討してみてはいかがでしょうか。