ChatGPTが登場して以来、既存の業界の様々な領域で活用が進んでおり、AIの普及過程の一つのマイルストーン的な存在になっています。

このChatGPTとほとんど同じUIを備えており、かつ従来のChatGPTよりも機能性と安全性の高い「BetterChatGPT」はご存知でしょうか。

チャット履歴のフォルダ分けやプロンプトの保存など、ChatGPTユーザーにとっては何気に便利な機能を多く備えています。

当記事では、ChatGPTの影に隠れてあまり話題にならないBetterChatGPTについて解説します。

|BetterChatGPTとは

出典:https://bettergpt.chat/

BetterChatGPTはOpenAIがオープンソースで公開しているAIで、ChatGPT同様に誰でも登録して使うことができます。

日本語にも対応しており、チャット履歴のフォルダ分けやインポート・エクスポートなどの機能が追加され、従来のChatGPTをより使いやすくしたものです。

詳細は下記で説明しますが、ChatGPTよりも安全性が比較的高く、WebUIを構築すればオフライン環境で使えることなどの様々なメリットがあります。

BetterChatGPTはGitHubページからダウンロード可能で、Windows、Mac、Linuxにそれぞれ対応しています。

|BetterChatGPTの特徴

以下では、BetterChatGPTのそれぞれの特徴を、ChatGPTとの比較を交えつつ解説していきます。

BetterChatGPTでは、従来のChatGPTでは出来なかったプロンプトの保存、会話履歴のフォルダ分けやフィルタリング、また会話履歴のインポート・エクスポートなどが可能です。

また、従来のChatGPTは会話履歴がOpenAIのAI学習に利用されやすく、その点BetterChatGPTは利用方法次第ではセキュリティ性を保つことができます。

以下ではBetterChatGPTの強みを、それぞれ段落分けして解説していきます。

プロンプトライブラリ

ChatGPTは文章コマンドによるプロンプト(指示文)によって操作しますが、BetterChatGPTではよく使うプロンプトを保存しておくことができます。

ChatGPTがうまく回答しない場合、それはプロンプトの内容が原因であることが多く、そのためよく使うプロンプトはメモなどに保存するなどの管理が必要です。

その点でBetterChatGPTは、例えば「◯◯について、もっと具体的なキーワードを提示してください」といったよく使うプロンプトを保存しておくと、わずか2クリックでプロンプトの挿入ができます。

自然言語によるプロンプト操作では、同じプロンプトを何度もコピペして貼り付けるなどの手間が発生していたので便利な機能です。

チャットのフォルダ分け / フィルタリング

BetterChatGPTとChatGPTとの違いの一つが、チャット履歴のフォルダ分けが可能になったことで、これはChatGPTでは未搭載の機能です。

「新しいフォルダー」を押して新規フォルダを作って、そこにチャット履歴をドラッグ&ドロップして保存するだけなので簡単です。

ChatGPTではチャット履歴が一連になって表示されるのみで保存機能はなく、過去のチャット記録を探すのが大変でした。

その点、BetterChatGPTはチャット履歴に記録をつけて探すのを簡単にする他、チャット履歴に名前を付けてフィルタリングすることも可能です。

インポート・エクスポート

この他、チャット履歴のインポートやエクスポートが可能なのも特徴です。

ChatGPTにはこうした機能がないので、チャット履歴やプロンプトはそのアカウント内で生成されたものしか使えませんでした。

BetterChatGPTの場合、インポートしたい会話記録のファイルを選択して「インポート」を押すだけでOKで、エクスポートの際も要領は同じです。

|BetterChatGPTの事前準備

BetterChatGPTは便利ですが、始めるためには幾つかの準備が必要です。

ステップはいくつかありますが、手順を踏んでいけば難しいものではないので、以下で具体的な手順を解説していきます。

OpenAIのAPIキー

BetterChatGPTはOpenAIもしくはAzure OpenAIを経由して利用するので、事前にAPIキーの取得が必要になります。

APIキーはOpenAIのAPIサイトで取得可能で、Create new secret keyを押してAPIキーを新しく取得します。

その後、BetterChatGPTにアクセスして、取得したキーを貼り付ければOKです。

Node.jsとnpm

また、BetterChatGPTの起動には、オープンソースの実行環境であるNode.jsとnpmも併せてインストールする必要があります。

Node.jsはJavaScriptの内容を調整して機能改善するもので、Node.jsの公式サイトからダウンロードしてインストールします。

Node.jsのデータベースには既存バージョンのアップデート、インストール、修正を含む各種ファイルがまとめて格納されています。

また、npmはNode.jsをインストールする際に併せてインストールされますが、インストール段階でnpmにチェックが外れていないかどうか確かめましょう。

GitHubアカウント

この他、GitHubのインストールも必要になるので、こちらもGitHubの公式サイトからダウンロードします。

インストールには複数の方法があり、インストーラ経由の他に、ソースコードをダウンロードしてコンパイルする方法もあります。

もしMacをお使いの場合であれば、Xcode Command Line Tools経由で行う方法が最も簡単です。

|BetterChatGPTの使い方

BetterChatGPTは使い方次第でセキュリティ保護の度合いが大きく変わります。

一般的にはWeb経由で使いますが、それだと入力した情報をOpenAIの学習用データに使われる可能性があるので、それを回避するための方法を以下で解説します。

ウェブで始める

ChatGPTはWeb経由で利用する方が大半ですが、チャット履歴がOpenAIのAI学習のために利用される可能性があります。

このため、機密情報などを入力する場合は、OpenAIのデータ学習に情報を漏洩しないようにAPIキーを使ったり、データをAIの訓練に使われないように機能オフにすることも可能ですが、チャット履歴が使えなくなるなどのデメリットがあります。

このため、機密漏洩がリスクになる場合、API通信だけで起動するローカル環境を構築するか、もしくは簡単な方法としてアプリ経由で利用することもできます。

アプリで始める

BetterChatGPTのアプリはGitHubでオープンソースで公開されており、Windows、Mac、Linuxで動作します。

使い方はChatGPTのAPIに登録するだけなのでインストールは簡単ですが、発生する料金はチャット履歴が増えるごとに高くなります。

下記で説明しますが、OpenAIにデータを流出させないためにはWebUIとしてローカル環境を構築するという手もあります。

しかし、ローカル環境の構築には手間がかかるので、セキュリティ性だけを重視するのであればアプリを利用するのがオススメです。

ローカル版で始める

BetterChatGPTのWebUIをローカル環境で構築するメリットとして、オフライン環境でも利用できることが挙げられます。

ChatGPTは基本的にクラウド上で動作し、インターネット経由でアクセスしますが、場合によってはネット環境のない場所で使うケースもあります。

この点、ローカル環境のWebUIはネット接続を必要としない点で便利ですが、構築に手間がかかることと、オンライン環境に比べて多少の制約が発生します。

一部機能や性能が制限される可能性があるので、そのことは留意しておきましょう。

|BetterChatGPTの使い方

大半のケースではWeb経由で利用するのが一般的ですが、利用シーンに応じて様々な使い方があります。

ChatGPT関連のAIサービスは今や多くの業界で使われており、ビジネス活用になると必然的に機密情報を扱う機会が増えます。

このため、データ流出の可能性があるWeb経由での利用が気になる方は、アプリ経由やローカル環境の構築などといった他の選択肢を考慮してみましょう。

|まとめ

BetterChatGPTはChatGPTの機能拡張版といった立ち位置で、ChatGPTの上位互換とも言えます。

UIがChatGPTのそれとほぼ同じなので既存のChatGPTユーザーの親和性も高く、かつChatGPTにはない各種機能を有しています。

また、利用方法にもよりますが、BetterChatGPTのほうがプライバシー保護という観点から見て安全な場合もあります。

ビジネスにChatGPTの活用を進めている方は、BetterChatGPTの導入を検討してみてはいかがでしょうか。