本記事では、今注目されているweb3.0で最も耳にする「DAO」について解説します。

DAOとは、自律分散型組織(Decentralized Autonomous Organization)の略ですが、日本語にしてもわかりにくいですよね。

今回は、DAOについてはもちろん、DAOが世間に普及することで、自分たちの働き方がどのように変化していくのか?など、少しでも身近に感じてもらえるよう分かりやすく解説しますので、最後までご覧ください。

|分散型自律組織(DAO)とは?DAOの普及によってWeb3.0の世界で何ができるのか?

Web3.0は、インターネットに関する新しい概念で、読み取り・書き込み・所有が可能になります。

ブロックチェーン技術と暗号資産を基盤とし、より高度な分散化と透明性、および所有権の共有を特徴としています。

そんなWeb3.0の中で最も世の中をにぎわせている言葉のひとつが、「DAO」です。

だれでも株式会社のような組織を簡易につくることができ、従来の仕事のあり方を大きく変えると言われています。

具体的にどのような技術が使われて、私たちの生活にどのような影響があるのか?ここからさらに詳しく解説していきます。

分散型自律組織(DAO)とは?

DAOとは「分散型自律組織(Decentralized Autonomous Organization)」の略で、直訳すると日本語で「分散型自律組織」を意味します。

分散型自律組織という言葉の通りで、意思決定に際して中央で指令を下す管理者や企業を持たない人々の集団のことを指します。

スマートコントラクトにより、ブロックチェーン上に構築され、多くの場合、各DAO独自のトークンを購入することでグループに参加でき、プールされた資金の使途や管理方法に関わる意思決定に投票することが可能となります。

詳しくは、流行中のDAOとは?DAO関連のおすすめ仮想通貨銘柄一覧!を一読ください。

Web3.0とは?そもそも何なのか?

Web3.0とは、インターネットのあり方を表す新しい概念のことを指します。

2021年後半頃から注目を集めており、現在Webが抱えている問題を解決できるのではないかと言われています。

Web3.0は、プラットフォーム(FacebookやAmazon)のようにデータが1か所に集まるのではなく、ネットワークに参加している多数のコンピューターにデータを分散する仕組みが大きな特徴です。

ブロックチェーン技術を用いてデータを分散し、中央集権型から分散型への移行を実現します。

また、P2P(ピアツーピア)というネットワーク方式で、サーバーを経由せずネットワークに参加しているユーザー同士のコンピューターでデータを管理することが可能です。

サーバーを経由しない仕組みなので、高セキュリティというのも特徴のひとつです。

分散型自律組織(DAO)で何ができるのか?

冒頭で説明したように、DAOの大きな特徴として、中央集権的な権力を持つリーダーがおらず、参加者全員が平等な立場で組織が運営されることが挙げられます。

株式会社のように階層的な管理がなく、意思決定はブロックチェーン上に書き込まれたスマートコントラクトにより自動的に行われます。

つまり、自律的に組織が運営されていくということになります。

また、世界中のどこからでも自由にDAOの活動に参加することができる点も魅力です。

多くは、パーミッションレスな(参加に許可を必要としない)性質をもっているので、国籍、性別にかかわらず、だれでもプロジェクトに参加することができます。

|分散型自律組織(DAO)の事例

ここからは、DAOの事例について紹介します。

DAOの「A」は「Autonomous(自律的)」という意味ではありますが、実際、現存するDAOは未だ自律的ではない(設立者や意思決定者が存在している)ケースが多いといわれています。

アメリカの暗号資産取引所Coinbaseの元最高技術責任者であるBalaji Srinivasan氏もその点について述べ、権限分散の仕方という視点から、DAOを以下の3つに分類しています。

 ・自律的なDAO

 ・官僚主義的なDAO

 ・最高責任者が存在するDAO

▼Balaji Srinivasan氏のツイート

出典:https://is.gd/Rhdhbx

・The DAO-世界初のDAO

出典:https://www.decentral.ee/2018/08/15/decentralized-autonomous-future/

世界で初めて実用されたDAOについて紹介いたします。

昨今耳にする「DAO」が初めて誕生したのは、2016年4月にイーサリアムのブロックチェーン上に構築された「The DAO」です。

ドイツのIoTベンチャー企業であるStock.it社により設立されました。

The DAOは、VCファンドのような機能を期待して設立され、世界中の投資家がトークンを購入し、約1億5000万ドルの資金を集めることに成功しました。

しかし、The DAOは失敗に終わります。

その要因は主に「技術的要因」と「法的要因」の二つです。

まず「技術的要因」としては、スマートコントラクトの脆弱性を見抜かれ資金の3分の1ほどが盗まれてしまうという事件が起きました。

そして「法的要因」は、資金提供の見返りに得るトークンが「証券」に該当する可能性があるとし、DAOの運営にまつわる課題が多く浮上しました。

・MakerDAO-DeFi(分散型金融)運動を行うDAO

出典:https://thedefiant.io/makerdao-is-piling-on-fees-as-dai-demand-booms/

MakerDAOは、2015年に設立されたDAOで、イーサリアムブロックチェーンでの借入、貯蓄、および安定した暗号通貨を実現するための技術を開発しています。

MakerDAOは、ひとつの「DeFi(分散型金融)」運動と捉えるとわかりやすいかもしれません。

つまり、中央の金融機関が不在で、仲介を必要としない暗号通貨の貸し借りを可能にしたサービスです。

従来は、暗号資産を借りることはとても大変というイメージがありました。

というのも、暗号資産の多くが不安定で、その価値が乱降下することもあったため、借入額と返済額が短期間のうちに変わってしまう可能性が大いにあったのです。

そこで、返済額を見通せるようにしようという考えのもと、MakerDAOが生まれたとされています。

・PleasrDAO-NFT共同購入のためのDAO

出典:https://cryptosaurus.tech/pleasrdao-partners-with-amber-group-defi-leaders-early-nft-collectors-and-digital-artists/

PleasrDAOは、NFTの共同購入を目的として設立されたDAOです。

高価値のNFTに共同で投資し、スマートコントラクトを通じてそれらの所有権を共有しています。

元々は、デジタルアーティストpplpleasrがUniswapV3の設立を記念して作成したNFTを購入するためにTwitterを通じて設立されました。

このオークションでの収益は、アジア系アメリカ人と太平洋諸島に住むマイノリティのコミュニティを支援するために使われたそうです。

現在もその活動は続いており、Edward SnowdenのNFTや、ヒップホップ史上において最大級のインパクトを残したクルーWu-Tangの、世界に1枚しか存在しないアルバム「Once Upon a Time in Shaolin」などを共同購入しています。

| DAOの今後の課題

ここまで紹介した通り DAO には透明性や公平性を保てるなどのさまざまなメリットがあります。

しかし、同時に DAO ならではの課題も抱えています。

ここからは、DAO の欠点やリスクについて紹介していきます。

・ハッキングリスク

1つ目は、ハッキングの可能性があることです。

ブロックチェーン上で取引が行われる DAO では、どうしてもハッキングのリスクが残ります。

実際に、上述のように「The DAO 」がハッキングを受け、約 360 万 ETH(当時の価格で約52億円)を盗まれる事件が発生しています。

同事件では、参加者の合意により、ブロックチェーンを盗難前の状態に戻すことで資産を取り戻しています。

しかし、DAO では法的な整備が追い付いていない部分も大きいため、たとえ被害を受けても補償されるとは限りません。

このようなリスクを理解した上で参加する必要があるでしょう。

・業界のスピードに法的土台が整っていない

2つ目は、意思決定に時間がかかりやすいことです。

先述の通り、DAO の大きな特徴は中央に管理者を置かずに民主的に運営することです。

これはメリットでもありますが、一方で意思決定が遅くなってしまうというデメリットにも繋がります。

原則として、意思決定の際にはガバナンストークンによる投票が必要になるので、万が一サービスがハッキングにあった場合や、欠陥が見つかった場合などの不測の事態に対して、スピーディに対応できないリスクがあります。

中央集権的な従来の企業組織などのように、問題に迅速に対応できないことは一つのデメリットと言えるでしょう。

| DAOを運営してみたい方へのアドバイス

先述の通り、DAO への参加は組織が発行しているトークンを購入すれば可能となります。

それでは、自分で DAO を運営したい場合にはどうすれば良いのでしょうか。

DAO が成立するためには、「投票メカニズム」「ガバナンストークン」「コミュニティ」「資金管理・投票・提案のシステム」が必要となります。

従って、DAO を運営するにあたっては、このような技術を提供してくれるサービスを利用する必要があります。

特に代表的な DAO を作成・運営するアプリケーションとしては「 Aragon 」が挙げられます。

DAO を作成しガバナンストークンを発行したり、それを使って意思決定したりできるサービスで、いくつもの有名プロジェクトが Aragon を利用しています。

| Web3.0/DAOの将来性とまとめ

最後に、DAOは仮想通貨の歴史に新たな1ページを刻んでいます。

DAOがどの程度まで人間が造った組織を壊していくのかは分かりませんが、DAOのガバナンスモデルは、特に仮想通貨関連のコミュニティにおいて成功しています。

まだまだ課題があるもののWeb3.0の実現において必要不可欠な要素であり、これからどんどん発展していくことになるでしょう。

現在は、仮想通貨界隈でのDAOが多いですが、今後は他分野でも活躍することが予想されます。

いつか、何万ものDAOが存在する日がやって来るでしょう。