「AI Vtuberって何?」、「AI Vtuberっどうやって始めたらいいの?」
AIやVtuberに興味はあるものの、どのようにビジネスに繋げたらいいかわからないという声が多数あります。
この記事では、「AI Vtuber」とは?という初歩的な内容から、「AI Vtuber」による配信方法まで、初心者の方でも理解しやすいように網羅的に解説します。
この記事を読むことで、「AI Vtuber」についての理解や、実際に「AI Vtuber」の作成・配信を始めることができます。
AIやVtuberに興味がある方、ビジネスに転用したい方は、是非読んでください。
目次
|AI Vtuberとは
「AI VTuber」とは、人工知能(AI)の技術を利用して受け答えができる、VTuberのことです。
元来のVTuberは、自分の声や動きをサンプルとし、それに基づいてモーションキャプチャやレンダリング技術を用います。
そして2Dや3Dのアバターを通じて、人間が表現しています。
一方「AI VTuber」は、ChatGPTのようなAI技術により、プログラムされたスクリプトやAIアルゴリズムに基づいて自動的にデザインされ、自動的に受け答えができます。
また昨今では、OpenAIによるAI生成技術の公開により、より自然でリアルなAI生成コンテンツが登場している点も、精度を高めている一端です。
「AI VTuber」と「VTuber」を比較した上でのメリットは
・人間による動作や声が不要なため、24時間ライブ配信が可能
・人間にはできないプレイをゲーム内で実施可能
・人間にはできない、豊富な知識を活用したコンテンツ展開
以上が挙げられます。
今はまだ、ガイドライン遵守や、商用利用における著作権の問題など課題はあるものの、今後高度なコンテンツ配信が期待できます。
|AI Vtuberの仕組み
「AI Vtuber」に配信させる仕組みについて解説します。
大きく分けて5つの工程を踏みます。
・配信用の画面に2D、3Dモデル配置
・ChatGPTとYouTube API(チャットデータ取得)を連携
・OBS(画面配信用)を用いて画面をミラーリングしながら配信
・ユーザーからのチャットをYouTube APIで取得、ChatGPTで処理
・合成音声ソフトウェアでチャットに返答
以上の工程が必要となります。
一方で2023年8月現在、これらの工程には技術的な壁が複数あり、誰でも簡単に利用できるフェーズには至っていない状況です。
今後のさらなる技術革新による、作業工程の簡略化が期待されています。
|AI Vtuberの活動範囲
「AI Vtuber」の活動範囲は、拡大の一途を辿っています。
今回は、主要な3つの活動範囲を紹介します。
一方で、今後さらに活動場所が増えることが予想されます。
今のうちに、主要な活動範囲は、しっかりおさえておきましょう。
動画共有プラットフォーム
「AI Vtuber」の活動範囲として、最もポピュラーな活躍場所がYouTubeなどの動画プラットフォームです。
「AI Vtuber」としてチャンネル開設したり、コンテンツのナレーションができます。
さらに、イラストや写真をアップロードすることで、AIアバター動画を作成できる、「Creative Reality Studio」というツールに代表されるように、さまざまな場面でポテンシャルを発揮しています。
LIVE配信プラットフォーム
「AI Vtuber」の活動範囲として、LIVE配信が挙げられますが、現在最も注目されているジャンルです。
LIVE配信では、YouTubeはもちろんのこと、Twitchなどの各種ライブストリーミングプラットフォームを通じて、視聴者とのリアルタイムな交流が可能です。
視聴者としては
・チャットでのリアルタイムなコメントや質問の送信
・「AI Vtuber」のゲームプレイ視聴
以上を楽しむことができます。
海外では、「Neuro-sama(ネウロサマ)」が「AI Vtuber」としてゲームプレイをしており、人気です。
<h3>SNS</h3>
「AI Vtuber」の活動範囲として、Twitterなどのソーシャルメディアプラットフォームを活用しているケースもあります。
単に自身の告知に留まることなく、フォロワーからのリプライを行ったり、まるで人間が考え自主的なツイートを行うこともできます。
2020年から活動している、「AI Vtuber」の先駆け的な存在の「紡ネン」は、個性的なツイートが評判を呼び、多くのリプライを含むコメントが寄せられています。
|AI Vtuberの作り方・始め方
「AI Vtuber」の作り方や始め方について解説します。
具体的には
・キャラクターを作る
・AIの音声データを作成する
・配信プラットフォームのコメントを取得する
・AIの応答内容を取得する
・AIの応答内容を取得する
以上5つのカテゴリに分けて説明します。
キャラクターを作る
「AI Vtuber」のキャラクター作成に関して説明します。
具体的には、キャラクター作成をするためのアプリケーションを利用し、2Dや3Dアバターを作成していきます。
アプリケーションは、例えば「VRoid Studio」、「mebo」、「Blender」など複数あるため、ご自身に合ったものを任意で選択してください。
なお、「mebo(ミーボ)」を利用した場合、「Chara AI Generator」という機能により、10個の質問への回答だけで、AIキャラクターを生成できます。
誰でも簡単に会話AIを生成できるため、気になる方は試してみてください。
AIの音声データを作成する
AIの音声データ作成に関して説明します。
今回は、無料で使えるソフトウェアとして著名な「VOICEVOX」を用いて作成します。
〈作成工程〉
●「VOICEVOX」をインストール
●インストールと同時にローカル環境にAPIが起動
●APIで音声合成用のクエリ作成
●APIで音声合成をする
●再生
●クエリ編集
・単語の分離時に接続修正
・アクセントの変更可
・イントネーションの変更
・音読み修正
●音声データ完成
以上のような形式で音声データを作成します。
配信プラットフォームのコメントを取得する
「AI Vtuber」が配信プラットフォームのコメントを取得するためには、各プラットフォームのAPIを入手する必要があります。
具体的には次のような流れとなります。
1 アカウントの作成と認証
2 APIキーの取得
3 APIの使用
今回は、YouTubeライブ配信を想定し説明します。
〈手順〉
●「Google Cloud Platform」へアクセス
●プロジェクトの新規作成
●YouTube Data API v3を有効
●APIキーの発行
●YouTube Data APIからvideoIDをもとにliveChatIDを取得する処理を作成
●YouTube Data APIからliveChatIDをもとにチャットデータを取得する処理を作成
以上の手順を踏みます。
AIの応答内容を取得する
「AI Vtuber」が、リスナーからのチャットコメントに対して応答するための仕組み作りをします。
今回は、OpenAIの「gpt-3.5-ターボ」を活用した想定で説明をします。
「gpt-3.5-ターボ」からの応答内容を取得するには、OpenAIのAPIを取得する必要があります。
具体的には次のような手順となります。
〈手順〉
●OpenAIアカウントの作成
●OpenAIのAPIキーの取得
●「AI Vtuber」の設定プロンプトの作成
・主な入力は「messages」パラメータ
・「messages」パラメータ内の「system」に「AI Vtuber」の設定プロンプト入力
●OpenAI APIからAI応答内容を取得するための設定
・主な入力は「messages」パラメータ
・「messages」パラメータ内の「user」にリスナーのコメントを入力
・「messages」パラメータ内の「assistant」に「gpt-3.5-ターボ」からの応答として返信
・「assistant」に、過去の「user」と「assistant」のやり取りの履歴を追加挿入することで、それまでの会話履歴を踏まえた返答を得ることも可能
以上の手順を踏みます。
配信側の設定を行う
ここまでは
●「キャラクター作成」
●「音声(合成)データ作成」
●「配信プラットフォームのコメント取得」
●「応答内容を取得」
以上の下地環境構築をしてきました。
この下地環境を駆使して、ライブ配信するために配信側の設定を行います。
今回は、「OBS Studio」という著名なライブ配信ソフトを使用した想定で、説明します。
「OBS Studio」の主な特徴は
・配信にのせるための画像・テキスト・ウィンドウ等の調整が直感的に可能
・画像・テキスト・ウィンドウ等をキャプチャしYouTubeに配信可能
以上が挙げられます。
具体的に、YouTube配信をする上での必須設定について解説します。
●OBSとGoogle アカウント(YouTubeのアカウント)の連携
●画質の設定(自身の配信環境に合わせて設定)
・ビットレート(数字が大きければより高画質になる)
・解像度
●BGMの設定
●OBSに画面を映す(配信画面を設定)
・画像、テキスト、ウィンドウ等をキャプチャ
●YouTubeの設定
・各種設定
これで配信側の設定が完了です。
|話題のAI Vtuber「Neuro-sama」
実際に配信活動をしている「AI Vtuber」を紹介します。
それは、世界的に話題の「Neuro-sama」(ネウロ様)です。
「Neuro-sama」の特徴について説明します。
・2019年に英国の Vedal氏が開発した、「AI Vtuber」
・ゲームをプレイ配信や、チャット(コメント)を読み取って音声で返答
・当初は、音ゲーである「osu!」配信のために作成
・「osu!」ではそれまでのトッププレイヤーを超えるスコア
・その他「マインクラフト」「ポケモン」などの実況プレイで人気
・Twitchで配信
・AIならではの、人間の倫理観から逸脱するような発言もある
・発言内容を鑑み、一時的にTwitchでBANされた過去もある
以上が挙げられます。
「Neuro-sama」の登場で、利点と課題の両面が浮き彫りとなり、今後のより良いAI活用に役立つと思われます。
「Neuro-sama」は、引き続き注目していきたい「AI Vtuber」です。
|まとめ
「AI Vtuber」について、仕組みから実際にAIを使った配信方法まで、解説しました。
昨今「ChatGPT」の登場もあり、「AI Vtuber」を介した新たなビジネスニーズが増加することが予想されます。
どんなサービスも先行者利益という面では、早く始めた方が良いと言われます。
また、ご自身で試すことで、オリジナルな発想や新たなニーズの発見に繋がる可能性があります。
そのためにも、「AI Vtuber」をご自身で作成して試してみましょう。