ChatGPTなどの生成AIが様々な業界でブレイクスルーを起こしつつありますが、自撮りも生成AIによって大きく進化するかもしれません。

従来は画像に様々なエフェクトを貼り付けるだけだった自撮りアプリに生成AIを用いて、髪型や体型まで自由に変えることが可能になります。

「アルテスAI」はそんな生成AIを用いた自撮りアプリで、2023年8月7日からスマートフォン向けアプリとしてリリースされます。

当記事では、アルテスAIの特徴について解説するとともに、生成AIの特徴や従来のAIとの違いについても説明します。

|生成AIとは

生成AIという概念に明確な定義はありませんが、英語のGenerative AIのGeneravieに「生み出す」という意味があることからも分かるように、生成AIとは「コンテンツを生み出すAI」と意味づけできます。

従来のAIとの違いとして、生成AIは構造化されてないデータセットから学習してコンテンツを生成する点が挙げられます。

従来のAIも同様にデータを分類、整理して学習して、その結果から得られた特徴量を元に出力を行いますが、それらは基本的にデータを元にした予測や分析など、対象の識別がメインでした。

この点、生成AIはニューラルネットワークの学習を元に、多くの場合は言葉によるプロンプトの操作によって全く新しい形を生み出すことができます。

ChatGPTやDALL-E 2などは生成AIに分類され、深層学習に次ぐAIブームの次なる旗手として、上記のAIサービスを元にした派生AIサービスが大量に生まれています。

従来のAIとの違い

上記で従来のAIについて触れましたが、生成AIの特徴をより浮き彫りにするためにも従来のAIについて少し深掘りしましょう。

従来のAIは、データセットから深層学習などで特徴量を抽出した学習済みのAIが、新たに入力されたデータに対して正誤を判定したり、学習済みデータを元にして予測を行う等の識別のみが可能でした。

このため、従来のAIは主に画像認識や需要予測、ビッグデータ解析などに用いられてきたため、AIというと高度なパターン認識が可能なコンピューター技術、という見方が一般的でした。

これに対して生成AIは、学習した結果に基づいてテキストや画像、音楽や動画などの様々な媒体のコンテンツを生み出すことが可能で、これによってAIが活用される領域が一気に広がりました。

生成AIはデザインやアニメーション、執筆や動画クリエイターなど創造性を要する多くの分野で爆発的に活用が進んでおり、AI普及の一つのマイルストーンになっているとも言えます。

生成AIの種類

生成AIが生み出せるコンテンツの種類は様々で、画像、テキスト、動画、音声、コーディングまで可能で、生成AIがカバーできる領域は今後増えていくでしょう。

既に数多くの生成AI系サービスが登場しており、多くのビジネスパーソンやクリエイターが生成AIを導入して生産性が上がったという声をSNSで見かけます。

現在利用できる生成AIサービスの多くが画像系やテキスト系ですが、既に動画作成や音声生成などのAIサービスも出始めており、クリエイティブな分野のほぼ全ての領域をカバーしています。

動画編集、テキスト生成、音声生成のAIサービスを併せて使った場合、CM一本をAIが一本丸ごと作ることが可能で、人間はアイデアを考えてAIに指示するだけ、ということも既に可能な時代になっています。

|『アルテスAI』の概要

出典:https://www.artisse.ai/

画像系の生成AIは数多くありますが、自分の姿をAIを使って自分の思うままに変えられるのがアルテスAIの大きな特徴です。

自撮りの写真を加工するアプリは以前からありますが、既存の画像の上にスタンプを貼る形で加工するため加工した画像には不自然さがつきものでした。

この点、アルテスAIではユーザーの自撮り画像からその人の顔の特徴をAIが学習するので、アプリで加工した自撮り写真がより自然なものになります。

これらはディープフェイクでも使われる技術ですが、アルテスAIでは自分の求める姿になりたいというユーザーの願望をAIでより高度に実現します。

|『アルテスAI』の特徴

生成AIで作った架空の人物をSNSでよく見かけますが、アルテスAIなどの生成AIを用いて自分の姿を変えることもそのうち普通になるのかもしれません。

以下では、アルテスAIの具体的な特徴や使い方について解説していきます。

リアルな写真生成

まず、自分の写真を15〜30枚ほどアップロードすると、それらをAIが学習して画像加工の機能が利用できます。

自分の求めるヘアスタイルや体型をAIで加工できる他、背景を変更することも可能とのことです。

画像の加工にかかる時間は2〜3分とのことで、InstagramなどのSNSに載せるための画像加工などに使えそうです。

写真に写っている自分が着太りしているのであれば加工して着痩せしたり、髪型が地味であれば髪に自然な感じで髪の量を増やしたり、などが出来そうです。

髪型や体型も調整可能

髪の色を変えるだけなら以前にも似たようなアプリがありましたが、アルテスAIは髪型や体型までも変えられる点が特徴です。

従来の技術ではユーザーの体型や髪型を自然な形で変えるのは不可能でしたが、AIの高い認識・生成能力を使えば従来は不可能だった高度な画像加工が数秒で行えます。

現在はInstagramやTikTokなどで活躍するインフルエンサーが多くいますが、こうしたAIサービスは彼らのコンテンツ上での容姿をより良くするのに役立つかもしれません。

セキュリティ面にも配慮

また、AIサービスでよく問題になるのがセキュリティ性の問題で、場合によってはAIが学習した個人的なデータが外部に流出するリスクもあります。

この点、アルテスAIは自分の顔のデータが外部に流出したり、AIの学習に利用されたりすることはないので、プライバシーが気になる方でも問題なく使えます。

ChatGPTなどの生成AIは入力したデータが外部に流出するリスクがあるため利用を規制する企業もありますが、AIサービスの利用にはこうしたプライバシー性を気にする必要があります。

|『アルテスAI』のローンチ日は?

アルテスAIは2023年8月7日にサービスを開始し、公式サイトからアプリのダウンロードサイトへアクセスできます。

アプリはiOSとAndroidに対応しており、価格に関しては公式サイトに未記載ですが、おそらくアプリ自体は無料でアプリ内課金になると思われます。

開発元のMumu Labs(Hong Kong)Limitedによると、今後は同サービスを通してインフルエンサーとのコラボ企画や事務所との業務や事業提携を予定しているとのことです。

|まとめ

生成AIの登場はAIの普及を新たなフェーズに上げ、特に画像生成系のAIサービスは様々なものが登場しています。

今回新たにローンチするアルテスAIも従来の自撮りアプリをAIによって大きく進化させ、インフルエンサーの活動などに大きな影響を与えるかもしれません。

AIを使って自分の容姿や声姿を変えることは今後さらに容易になっていくと予測されますが、それは私たちの文化や生活を大きく変えていきそうです。