「警視庁がメタバースを活用していると聞いてどのような取り組みか気になる。」

「メタバースでどのような犯罪が起こり得るのか知りたい。」

このように、警視庁のメタバース活用について、気になる方もいるのではないでしょうか。

サイバーセキュリティの訓練について簡単に参加できるなら参加を検討したい、メタバースや情報セキュリティについて知識をつけたいという方もいるでしょう。

そんな方に向けて本記事では、警視庁のサイバーセキュリティに関するメタバースの活用方法について紹介します。

|メタバースとは

メタバースとは、仮想空間や仮想現実のことをいいます。

メタバースを舞台にしている作品には、マトリックスやサマーウォーズ、ソードアートオンライン、竜とそばかすの姫などがあります。

このように映画やアニメの世界でもメタバースの世界観を取り入れることは珍しくありません。

とくに、2020年から流行した新型コロナウイルスの影響で対面から非対面の機会が増えました。

そして、2021年10月にFacebook社が社名を「Meta」に変えたことで、大きな反響があったことも記憶に新しいのではないでしょうか。

このような時代背景がメタバースを加速させたといっても過言ではないでしょう。

メタバースについて詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

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民間では、メタバースに参入する企業も珍しくありませんが、国としてもメタバースを使った取り組みが行われるようになりました。

では、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか?

|警視庁がメタバースを活用

出典:https://www.dnp.co.jp/news/detail/20169581_1587.html

2023年6月に大日本印刷は、警視庁のメタバースを利用したサイバーセキュリティ訓練の委託先として採用されたことを発表しました。

大日本印刷が提供している「ロールプレイング型のメタバース構築サービス」を活用して、2024年1月にサービス提供を予定しています。

警視庁としても、昨今の国外からのサイバー攻撃の増加にともない、不測の事態に備え実務で迅速かつ適切に対応できるように強化することが目的です。

具体的には、メタバース上に警視庁サイバーセキュリティセンターを構築し、警視庁職員を中心とした受講生を対象に、訓練を行います。

また、サイバーセキュリティの対応力を底上げし、より多くの方に体験してもらう目的もあります。

|警視庁のメタバース活用における背景

ここでは、警視庁のメタバース活用における背景を下記3つの観点から解説します。

・メタバース上でも犯罪は起こり得る

・一方で法整備は遅れている

・「サイバーセキュリティ人材育成」への取り組み

日々犯罪も進化しており、最新の犯罪では法整備が追い付かない場合もあります。

犯罪に巻き込まれないためにも、個々で意識することも重要です。

メタバース上でも犯罪は起こり得る

警視庁のメタバース活用における背景の1つ目は「メタバース上でも犯罪は起こり得る」です。

現在のメタバースは、インターネットに繋がっているためインターネットで起こる犯罪は、メタバースでも起こると考えましょう。

たとえば、インターネットで起こる犯罪の種類の一例としては「フィッシング詐欺」「ランサムウェア」「ハッキング」などがあります。

他にもブロックチェーン技術を使った暗号資産やNFTに関する詐欺も発生するリスクがあります。

詐欺師の手段で最も多いものが、ダイレクトメッセージを使いシードフレーズと呼ばれる秘密鍵を言葉巧みにサイトへ入力させたり、ウイルスの仕込まれたURLをクリックさせたりすることです。

メタバース内では、現実世界と同様な盗聴や盗難、不法侵入なども起こり得ると想定できます。

そのほかにも、浮き彫りになっていない犯罪もメタバースの利用者が増えると犯罪が増加する可能性は高いといえます。

一方で法整備は遅れている

警視庁のメタバース活用における背景の2つ目は「一方で法整備は遅れている」です。

現実世界でも犯罪は年々巧妙になって犯罪を取り締まる法律も都度変わっていくように、メタバースの世界でも利用者が増えることで犯罪が増えることが想像できるでしょう。

しかし、まだメタバースに特化した法律はありません。

そのため、現在ある法律の中でメタバースに当てはまる法律があるため、その法律が適用されます。

現在ある法律で適用されるものの一部ですが「著作権法」「商標法」「不正アクセス禁止法」などがあります。

法を整備するためにも、警視庁の職員がサイバーセキュリティの知識を身につけなければ対応は難しいでしょう。

そのため、サイバーセキュリティの知識を身につけるべくメタバース内で訓練をする取り組みにつながります。

「サイバーセキュリティ人材育成」への取り組み

警視庁のメタバース活用における背景の3つ目は「「サイバーセキュリティ人材育成」への取り組み」です。

警視庁は、大日本印刷を含めた2大学および民間企業3社と「サイバーセキュリティ人材の育成に関する産学官連携についての協定」を締結しました。

締結した大学は中央大学と明治大学専門職大学院(ガバナンス研究科)で、民間企業は大日本印刷を含めたZホールディングスと三菱UFJフィナンシャル・グループです。

この協定は、サイバーセキュリティ人材の育成に関する教育・研究活動の交流と連携・協力を推進することを目的としています。

具体的な協定の内容は明示されていませんが、サイバーセキュリティ人材の育成に関する教育や研究活動の交流や連携が行われることが示唆されています。

|バーチャル秋葉原にはセキュリティセンターを設置

警視庁は、バーチャル秋葉原にセキュリティセンターを設置しています。

バーチャル秋葉原とは、秋葉原の街を再現したメタバース空間です。秋葉原の魅力を世界中に発信するための取り組みとして注目されています。

セキュリティセンターでは、サイバーセキュリティ訓練を実施する予定です。

そして、警視庁がバーチャル秋葉原上でのサイバーセキュリティ訓練を実施することで、より身近な環境でサイバーセキュリティに関する学習や訓練が行われることが期待されます。

|どのように訓練が行われる?

ここでは、サイバーセキュリティ訓練について下記2つ紹介します。

・ロールプレイ型で実施

・参加者はどこからでも参加可能

サイバーセキュリティについて理解や知識を深める工夫されています。

インターネット環境があれば参加できるため、興味のある方は参加の検討材料にしてください。

ロールプレイ型で実施

サイバーセキュリティ訓練についての1つ目は「ロールプレイ型で実施」です。

ロールプレイとは疑似体験し実戦形式で学ぶ方法のことです。

サイバーセキュリティ訓練では、この疑似体験を通じで理解や知識を深める訓練を行います。

訓練は、実際の事象に近い状況を想定し、ストーリーが設定されているのが特徴です。

対応策を考えることで、より実践的な訓練を受けられます。

そして、参加者は複数名の方とチームとなりグループで問題を解決します。

さらに、それぞれ役割が割り当てられ課題を解決するため、コミュニケーションを取ることが必須です。

講義形式で知識をつけるものとは異なり、ロールプレイ型は考えながら問題解決が必要なため、参加者の自主性も養われる特徴があります。

参加者はどこからでも参加可能

サイバーセキュリティ訓練についての2つ目は「参加者はどこからでも参加可能」です。

警視庁のサイバーセキュリティ訓練は、メタバース上のバーチャル秋葉原で実施されるため、参加者はどこからでも参加できます。

強いて言うならばバーチャル秋葉原にアクセスできるインターネット環境とパソコンが必要です。

訓練のために物理的な移動が必要なく、どこからでも参加できるメリットがあります。

参加者がどこからでも参加できることによって、より多くの人が訓練に参加し、サイバーセキュリティに関する知識やスキルを身につけられます。

小学校の教育でもプログラミング学習が採用され、今後ますますインターネットでも学習や訓練が当たり前になってくるでしょう。

|まとめ

今回は、警視庁のメタバースの活用について紹介しました。

メタバース上で起こり得る犯罪について、法の整備が遅れているのが現状です。

警視庁では「サイバーセキュリティ人材育成」の取り組みを進めることで、今後メタバースで発生する犯罪にも瞬時に対応できるように訓練します。

訓練は、警視庁職員や「サイバーセキュリティ人材の育成に関する産学官連携についての協定」を締結した2大学および民間企業3社の関係者向けに2024年1月にサービス提供を予定しています。

その後、一般向けにもサービス提供されると想定されるため、興味のある方は訓練の参加を検討してみてはいかがでしょうか。