Unityは、Asset StoreにてAIマーケットプレイスをオープンし、新たなAIプラットフォーム「Unity Sentis」と「Unity Muse」のβ版を6月27日に発表しました。

今回は、Unityの生成AInoβ版についてどのような機能があるのか解説していきます。

|生成AIとは

生成AIは、人工知能の一種であり、ディープラーニングを用いて学習し、クリエイティブな成果物を生み出す特徴があります。

これには楽曲、画像、動画、プログラムのコード、文章などが含まれます。

従来のAIと異なり、生成AIは人間のような創造的な能力を持ち、例えば「Stable Diffusion」や「ChatGPT」といった画像生成AIやテキスト生成AIがその一例です。

生成AIは、人間の業務や作業を助けるためのツールとして利用され、テキスト生成AIでレポートの簡略化や音楽生成AIでは動画作成用のBGMの生成などが実現できます。

生成AIは、学習した情報の特性や規則を把握し、新しいデータやアイデアを創出する能力を持ちます。

先生のように過去のデータから学び、それを元に問題解消や創造的な発想を提供します。

生成AIは決められた行為の自動化ではなく、生成AIは、学習データのパターンや関係を理解し、それを基に新たなコンテンツを生成することを目指しています。

|Unityの生成AI

Unityは生成AI機能「Unity Muse」、「Unity Sentis」のβ版の提供を始めました。

では、それぞれについて詳しく解説していきます。

Unity Muse

「Unity Muse」は、AIプラットフォームであり、デジタルツインのようなリアルタイムの3Dアプリケーションや制作を加速させます。

2023年6月27日からは、その重要な機能である「Muse Chat」のクローズドベータが開始されました。

Muse Chatを活用することで、Unityのドキュメント、トレーニングリソース、サポートコンテンツをAIベースの検索で探索し、正確な最新情報を得ることが可能です。

テキストプロンプトやスケッチなどの自然な入力を使用して、Unityエディタでほとんど何でも作成できることを目指し、例えば、ソースコード例の自動出力や3Dモデルの動作化、2Dビジュアルの配色・形状の1クリック生成が可能です。

今後は、テクスチャやスプライトの作成、キャラクターの完全なアニメーション化などの機能が追加される予定であり、Unity Museはエディタやウェブ上のサポートのために常に改善されていくことが期待されます。

簡易なテキストプロンプトで手軽に3Dコンテンツ開発が行える「Unity Muse」は、クリエイターにとって非常に便利なツールと言えるでしょう。

Unity Sentis

「Unity Sentis」は、AIモデルをUnity Runtimeに組み込むことで、ゲームやアプリの開発に革新をもたらすゲームチェンジャーとして注目されています。

現在は「Muse」と同様にクローズドベータ中であり、Unityの動作するあらゆるデバイスでAIモデルを動かすことが可能です。

この革新的なクロスプラットフォーム・ソリューションにより、モバイルからPC、ウェブ、さらにはNintendo Switch™やSony PlayStation®のようなゲーム機まで、一度ビルドしてモデルを埋め込むことができます。

これにより、クラウドでのモデル・ホスティングに伴う複雑さや待ち時間、コストを心配することなく、ユーザーのデバイス上でプログラムを実行することが可能となります。

紹介動画には、フェイシャルキャプチャーや対話応答アルゴリズム、合成音声のリアルタイム生成といった魅力的な機能が示され、「オーブ(Orb)」との対話が描かれています。

これにより、開発者はUnityで作成したゲーム・アプリにニューラルネットワークによる処理を組み込み、RT3Dコンテンツの制作・運用を簡易化できると期待されています。

|『AI Hub』の開設

「AI Hub」はUnity Asset Store内に開設された専用AIマーケットプレイスで、Unityの最新AIプラットフォーム「Unity Sentis」と「Unity Muse」と同時にローンチされました。

ここでは、開発者向けに多様なAIツールにアクセスできます。

これらのツールには、Unity公認のプロ仕様ソリューションや、コミュニティによって構築されたもの、そして最新のAIテクノロジーが含まれています。

AIマーケットプレイスによって、多数のAIアセットが一つにまとめられ、関連AIソリューションを簡単かつ迅速に見つけることができます。

「AI Hub」では、生成AI、AI/MLの統合、およびビヘイビアAIなどのツールを提供しています。

このツールセットには、9種類のUnity公認ソリューションが含まれています。

これらのソリューションは高品質で、長期的なサポートが提供されています。

これにより、クリエーターは必要なAIツールを容易に見つけてプロジェクトをサポートできるでしょう。

では、9の公認ソリューションについて詳しく解説していきます。

Convai

Convai を使用すると、ゲームや仮想世界の AI キャラクターが人間のような会話機能などを持つことができます。

Convai を使用すると、開発者はキャラクター アセットにバックストーリー、知識ベース、音声、全体的なインテリジェンスを追加して、プレイヤーと自然に会話してアクションを実行できるようになります。

Convai には、音声認識、言語理解と生成、テキスト読み上げを含む完全な会話パイプラインが組み込まれています。

modl.ai

modl:test は、2D または 3D 環境でプレイヤーごとに個別のキャラクターを使用するゲーム プロジェクトに適しています。

AI ボットはプレーヤーのコントロールを引き継ぎ、テストが実行されている限り現在のシーンを探索します。

modl:test は現在、GUI 主導のゲームプレイには推奨されていませんが、スクリプトを使用してメニュー オプションやダイアログ ツリーを探索するなどに拡張できます。

Inworld AI

人間の表情を模倣できる AI キャラクターを使用して、NPC を単純な対話ツリーを超えて高めます。

NPC に台本なしの対話、EQ、状況認識を与えて、より没入型のゲーム体験を実現します。

プレイヤーは NPC からのより多くのインタラクティブ性を切望しており、81% が AI 主導の NPC をフィーチャーしたゲームにもっとお金を払っても構わないと考えています 。

最先端の AI キャラクター エンジンである Inworld を使用して、プレイ時間、維持率、ARPU を向上させます。

Layer AI

Layer は、ゲームアートをレベルアップするための強力なツールです。

AI を使用して、自分のスタイルと完全に一致したピクセル完璧なゲーム アセットを作成できます。

ピクセルパーフェクトなゲームアセットを数秒で作成します。自分のスタイルと完全に一致します。

Leonardo ai

Leonardo.Ai の力で Unity 3D プロジェクトを強化します。

Leonardo.Ai は、視覚的に素晴らしい 3D モデルや 2D アートの作成方法に革命をもたらす、最先端のテクスチャリングおよび 2D 画像生成ソリューションです。

Unity 用の Leonardo.Ai パッケージを使用すると、Leonardo.Ai の高度な機能を Unity エディターのワークフローに直接シームレスに統合できます。

退屈な手動のテクスチャリング プロセスに別れを告げ、合理化された効率的なソリューションで創造性を解き放ちます。

Unity 用の Leonardo.Ai プラグインには、2D および 3D 画像とテクスチャリング生成機能が完全に装備されています。

LMNT

LMNT の感情豊かな AI スピーチでゲームに命を吹き込みます。

従来のアセットとして事前レンダリングすることも、動的な対話のためにオンザフライで生成することもできます。

Polyhive

Polyhive を使用すると、メッシュと UV 構造を維持する 360 度の一貫性を備えたメッシュ対応テクスチャリング プロセスを通じて、高品質のゲーム アセットを数分で作成できます。

Polyhive はあらゆるゲーム アート スタイルでテクスチャを生成できるため、アセットのバリエーションを数分で生成できます。

Replica Studios

レプリカ アプリ内でダイアログを作成し、ナレーションを生成し、クリックするだけでアセットを Unity に転送します。それはとても簡単です!

Replica の Unity プラグインは Replica Studios デスクトップ アプリとシームレスに統合し、ボイスオーバーを生成してアクティブな Unity プロジェクトに直接転送できるようにします。

Unity の AI 音声検証済みソリューションとして、Replica Studios は、ビデオ ゲームのキャラクターに最適な、非常にリアルで感情的な AI 音声のライブラリを提供します。

幅広いジャンルに対応し、あなたが求める声と、求める感情豊かな演奏が見つかります。

Zibra AI

Zibra Effects を使用すると、液体、煙、火のリアルタイム インタラクティブ 3D シミュレーションを作成できます。このシミュレーションは小規模から中規模で使用でき、モバイルからハイエンド PC まで、あらゆる種類のデバイスで実行できるように最適化されています。

|まとめ

今回はUnityの生成AIのβ版について解説しました。

生成AIを活用すれば、手軽にゲームの機能やアセットを生成できます。

ゲームを作成する上で、クリエイターにとって非常に便利なツールと言えるでしょう。

無料で使用可能なので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。