スマートグラスとは様々な機能を備えたメガネ型デバイスの総称です。

現在では通話機能や音楽再生、AR機能、ディスプレイ機能など、使用用途によって特化したスマートグラスが主流です。

その中で、スマートフォンのように多機能を備えたスマートグラスが実はGoogle glassなのです。

そこで今回はスマートグラスの先駆者Google glassについてと、スマートグラスの今後の展望など幅広く紹介していきます。

|Google Glassの歴史 

「Google Glass」(グーグル グラス)は、2013年に一般公開されています。

当時で1500ドル(約17万円)で販売開始。

一般リリース前の2012年には製品テストが開始され、プロモーションとしてGoogleの共同創業者であるセルゲイ・ブリンがGoogle Glassを装着して、さまざまなイベントでプレゼンを行っています。

高額なデバイスでしたが、当時シリコンバレーの開発者たちの多くがGoogle Glassを利用したアプリケーションや使用用途の開発などの研究も活発に行っていました。

Google Glassは「Project Glass」という研究開発プロジェクトから始まり、コンセプトとしてはノートパソコンやスマートフォンが普及するように、生活のいたるところでコンピューターが使用できる状態、ユビキタスコンピューティングという概念でウェアラブルデバイスであるGoogle glassが誕生したのです。

開発当時からメガネ型のデバイスやヘッドマウントディスプレイ自体、新しいアイデアではありませんが、従来のデバイスに比べて日常生活に活用できそうな大きさであり、

そこに当時のスマートフォンのような機能が再現できるコンピューターが搭載されることにより、注目を集めました。

|Google Glassが与えた影響

実際にGoogle Glassが世の中に与えた影響はどんなものだったのか。

Google Glassの登場によりテクノロジーの進化、産業の発展などメリットも多くありましたが、デメリットも生まれます。

それぞれを解説していきます。

ウェアラブルテクノロジへの貢献

Google Glassは「スマートフォンを見ながら下を向いて歩いているのが、人間のあるべき姿なのか」という疑問から生まれたそうです。

テクノロジーの進化は日常生活にどのように溶け込むかによって、発展するものもあれば開発半ばで終わってしまうものも様々です。

Google Glassはウェアラブルデバイスの進化の過程で、可能性と問題点を世界に提示したデバイスと言ってもよいでしょう。

可能性に関してはコンピューターと人間のシームレスな関係性です。

感覚で操作できるようになればなるほど、日常生活や産業などでの活用が増え私たちの生活を効率化させより便利に快適な世界が広がります。

問題点は個人プライバシーの保護です。

Google Glassの特徴として、デバイスに搭載されているカメラやマイクから様々な情報を得ることでその機能を発揮します。

しかし、そのカメラや音声録音機能がメガネ型のデバイスでは悪用されかねないという懸念を巻き起こし、一般発売をされることなくB2B分野のみでの展開になりました。

この問題は、他のウェアラブルデバイスも抱えています。

例えばウォッチ型のデバイスでは心拍数や心電図などが計測でき、アクティビティを個人で管理するには便利ですが、企業や学校などの団体がこの機能を使い社員や学生のパフォーマンスを管理する施策はプライバシーの侵害として話題にもなっています。

産業への影響

Google Glassは一般向けには展開が難しいデバイスですが、B2Bの産業業界ではそのポテンシャルを大きく発揮しています。

例えば製造業では、複雑な機器の保守点検では分厚いマニュアルを確認しながら行うことは、工具を置いたりマニュアルの見れる場所にわざわざ移動したりなどとても非効率です。

そこにGoogle Glassを導入すれば、視界に必要な画像やテキスト情報を呼び出し、

目の前に投影させ、ハンズフリーで作業することが可能です。

また、Google Glassから撮影された映像を遠隔地で他の作業者も確認できるため、

若手の作業員も熟練工のアドバイスを受けながら作業でき、教育や人員不足解消へのツールとしても活用されています。

このような、機能はサービス業のリモート接客や運送業の荷物のピッキング作業にも応用でき、様々な業界で導入が進んでいるのも事実です。

デバイスの大きさも改良され、最新のGlass Enterprise Edition 2 に関しては、

デバイスの重量は約46g、搭載されているバッテリーのみで約8時間稼働します。

この使い勝手の良さも、導入が増えているポイントです。

|Google Glassに期待された機能と可能性

実際にB2B分野での展開で、数多くの導入事例があるGoogle Glassですが、

開発時のプロモーションからこのデバイスが秘めている魅力や可能性、今後の展開を紐解いてみたいと思います。

AR(拡張現実)デバイスとしての可能性

Google Glassは厳密に言うと、ARの機能は持ち合わせておりません。

ARの特徴としては、目の前にある物体や風景をデバイスがスキャンし、それに付随する情報を投影する事で現実を拡張させるイメージです。

Google Glassでは、デバイスを通して情報を投影することは変わりませんが、対象物をスキャンしてその対象物に合わせて情報を投影することを前提として設計はされていません。

しかし、カメラや音声認識のセンサーが搭載されており、Googleで提供している、GoogleレンズやGoogleマップと連携して使うことができれば、ARの要素を取り入れて、産業分野だけではなく、私たちの生活にも幅広く活用できるデバイスになるのは間違いありません。

新しい体験の創造と拡散の可能性

Google GlassはARの可能性だけではなく、インターネットとカメラ機能を利用した、ライブ映像を配信することも可能です。

デモンストレーションの映像でも、エクストリーム系のスポーツからダンスまで、GoProのカメラのような競技者目線で撮影、配信が可能です。

また、視界には視聴しているユーザーの画面を映し出せたりすることで、撮影者と視聴者のコミュニケーションも可能で、スマートフォンをハンズフリーでコントロールできる状態を想像していただくとイメージしやすいかもしれません。

決して目新しい使い方ではありませんが、ハンズフリーでデバイスも小型化されていることでスマートフォンより感覚的に操作でき、よりリアルで臨場感のあるコミュニケーションが取れることはデモ映像を見るだけでも想像ができます。

デバイスの進化はアイデアの進化でもあるのでGoogle Glassのようなデバイスが一般に展開されることが開発者のミッションでもあるでしょう。

|Google Glassの今後の展開

Google Glassは一般ユーザーに向けた展開はまだございませんが、研究開発が終わったわけではありません。

2014年にプロジェクトの移管が行われIoT技術が有名なNest社になった事により、IoT分野での活用も期待できますし、電気自動車メーカーのテスラも現場でGoogle Glassを導入した製造ラインがあり、ミス発生率を30%抑えながら、全体的な生産性を25%向上できたという情報もあります。

現在展開されている産業分野でGoogle Glassの評価が上がり、プライバシーの問題もデバイスの進化や法規制が整えば一般に普及する可能性を完全に否定することはできないでしょう。

Google GlassだけではなくAIやブロックチェーン技術など、新しいテクノロジーが大衆に届くまでには時間がかかりますが、期待して待つ価値はあるかもしれません。

|Google Glass以外のスマートグラス3選

ここでは実際に購入できるGoogle Glass以外のスマートグラスをご紹介いたします。

Google Glassのコンセプトとはまた違いますが、最新テクノロジーを体感できますので是非チェックしてみてください。

映像特化型MOVERIO|BT−300

エプソンが開発したスマートグラスです。

特徴としては映像に特化したデバイス。

注目の機能としてはドローンと同期して、ドローンを目視しながらドローンのカメラで撮影された映像を同時に確認しながら操作できる事です。

しかし、透過型の構造なので周りが明るすぎると投影されている映像が薄くなってしまうこともあるようです。

ディスプレイには有機ELを採用しており、簡易的なディスプレイとして使用することも可能です。

プログラムによってはAR機機能も使えるため、幅広く使えるスマートグラスともいえるでしょう。

Google Glassに近いデバイスVuzix|M300XLスマートグラスシリーズ

Vuzixはヘッドマウントディスプレイ・スマートグラスの専門メーカーです。

メガネやサングラスの上からつけられるタイプや、スタイリッシュなサングラスタイプなど様々なデザインがあります。

主に遠隔地とのコミュニケーションに長けた性能で、工事現場や建築現場などの導入事例があるようです。

また、サングラスのようなカジュアルな製品はマイクを通して音声をテキスト化するアプリもあるようで、聴覚のサポートもできそうです。

次世代のスマートグラスApple visionPro

Apple visionProはVR・ARの機能を兼ね備え、さらにスマートフォンの機能も幅広くカバーした2023年現在で一番最先端のスマートグラスと言っても過言ではないでしょう。

Appleの機能を詰め込んだだけあって、デバイス自体の大きさはありますが、より感覚的で、さらに解像度の高い情報が投影されるだけではなく、空間上でノートパソコンを操作するような使い方もできるため、

Apple visionProは我々の生活スタイルを変えるウェアラブルデバイスの起点になることは間違いありません。

|まとめ

今回はGoogle Glassの歴史、現在の魅力ウェアラブルデバイスに与えた影響、Google Glassに近いスマートグラスの紹介をいたしました。

Google Glassは間違いなく、我々の生活を変えるテクノロジーであり、現在では一般流通はしていませんが、B2Bのみの展開で産業分野などで今でも活躍しており、日本でもNTTドコモなど取り扱う企業が増えています。

様々な分野でDX化が進む中で、間違いなくGoogle Glassをはじめ、スマートグラスの分野はDXの発展に寄与するテクノロジーです。

一般に展開される未来を想像しつつ、スマートグラスの今後に注目しておくとよいかもしれません。