WebARという技術をご存知でしょうか。

WebARは拡張現実と呼ばれる機能であり、ブラウザ上で誰でも簡単に現実世界には存在しない光景を投影できるのです。

一見すると高度な専門知識を必要としそうな技術ですが、「8th Wall」と呼ばれるサービスを活用すれば誰でも簡単にWebARコンテンツの作成が可能になります。

本記事では、そんな8th Wallに関する概要から、実際の利用方法について解説していきます。

ぜひ最後までご覧ください。

|8th wallとは?

出典:https://www.8thwall.com/

8th Wallは米国企業である8th Wall社が開発した、WebARの開発プラットフォームです。

WebARとは、ブラウザARとも呼ばれる拡張現実であり、「Augmented Reality」の略称であるARと呼ばれているのです。

簡単に共有できることからSNSといった媒体との相性が良いだけではなく、開発のハードルが低いことから様々な施策に活用されています。

8th Wallの利用は、公式サイトへアカウント登録するだけで可能であり、WebARだけではなくARコンテンツを初めて触るといったユーザーにもおすすめできるツールです。

WebARの入門としておすすめできる8th Wallですが、その内容は本格的であり、実用に耐えられるARコンテンツが気軽に作成できる点が大きな魅力となっています。

そのため、これからAR開発に取り組もうと考える場合、まずは8th Wallから入ることをおすすめします。

長らくWebAR業界において、8th Wallはトップシェアを獲得していましたが、2022年3月にNiantic社に買収されています。

Niantic社はポケモンGOを始めとした、位置情報を利用するゲームで有名な企業です。

そのため、現在の8th WallはNianticグループに属しているのです。

8th wallを利用するメリット

8th Wallで作成したARコンテンツを利用するために、専用アプリなどのインストールは必要ありません。

ユーザーは通常のWebサイトを閲覧する感覚でARコンテンツへアクセスできるのです。

アクセス方法もQRコードやURLといった、誰でも簡単に読込みできる媒体となるため、ユーザビリティは非常に高いといえるでしょう。

また、アプリを使用せずARコンテンツが確認できるということは、スマホOSを問わない利用が可能ということです。

従来であればiPhone、Androidに対応したアプリを作成し、提供する必要がありましたが、8th Wallで作成したARコンテンツであれば1つのサービスで完結します。

そのため、多くのユーザーに対してARコンテンツを訴求できるのです。

すでに日本国内ではトヨタ自動車、SONYといった企業において活用されており、海外でも複数の事例が存在しています。

Webサイトで利用できる機能と連動させた施策も可能となりますので、位置情報やSNSリンクと並行した展開など幅広い活用が実現するのです。

一部デメリットも存在する

スマホアプリを必要としないWebARですが、一部デメリットも存在しています。

まず、オンライン通信が必須となることから、画質や反応速度はユーザーごとの通信環境に依存してしまいます。

そのため、場合によっては本来訴求したい内容がスムーズに伝わらないことが考えられるのです。

また、プッシュ機能といった訴求については大きく制限される場合があります。

この点について理解した上で、8th Wallを利用したWebARコンテンツを作成する必要があるでしょう。

|8th wallの活用事例

すでに様々な企業において、8th Wallを活用した訴求事例が存在しています。

こちらでは、一例として以下の企業における事例を紹介します。

  • ドミノ・ピザ・ジャパン
  • Kinder – Jump Into Africa Portal
  • マクドナルド・スウェーデン

ドミノ・ピザ・ジャパン

出典:https://www.dominos.jp

ドミノ・ピザ・ジャパンは、AR開発に特化した企業であるOnePlanet社と協力し、WebARを活用した販促活動を展開しました。

その際、WebAR構築に活用されたプラットフォームが8th Wallなのです。

ユーザーがQRコードを読み取ると、3Dモデルによって再現された地球儀がスマホ上に現れ、ピザに使用されている世界中のチーズについて学べるのです。

また、3Dアイテムをタップすればそれぞれの詳細情報についても確認できるといった工夫が施されています。

ARコンテンツからピザ購入のためにサイトへ誘導するといった施策が実現しており、通常のサイト以上の効果が期待できるのです。

Kinder – Jump Into Africa Portal

出典:https://www.8thwall.com/aircards/kinder-ar-portal

Kinderはお菓子ブランドであり、スーパーマーケット内に存在する印刷チラシからアクセスできるARコンテンツを提供しています。

アフリカのサファリがスマホ上で体験できるゲームが展開されており、サファリの探索が8th WallによってWebARコンテンツ化されているのです。

ユーザーは多くの動物の造形を観察し、それぞれに関する情報を理解できるなど、様々な楽しみ方が可能になっています。

マクドナルド・スウェーデン

出典:https://www.8thwall.com/blog/post/55741636616/mcdonalds-sweden-replaces-real-balloons-with-ar-to-reduce-waste

スウェーデンのマクドナルドでは、店内の飾りをWebARで構築する取り組みに挑戦しました。

環境配慮といった意味も含め、飾りである風船をWebARで再現したのです。

来店した顧客がスマホで店内を映し出せば、カラフルな風船が浮かんでいる風景が楽しめます。

風船をポップしながら食事と会話が楽しめるということで、一風変わった空間を提供できるのです。

|8th wallの利用方法

8th Wallの利用方法について、以下の項目に沿って解説します。

  • アカウント作成
  • アカウント作成後に利用できる機能

アカウント作成

まず、公式サイト右上に表示されている「Start Trial」を選択します。

無料トライアルの申し込み画面が表示されますので、メールアドレスを登録した後、再度「Start Trial」を選択しましょう。

その後、登録したメールアドレスへ「verification Code」が届きますので、記載されているコードを入力します。

ユーザー情報として氏名とメールアドレス、パスワードといった情報を入力するだけで利用可能となります。

また、無料トライアルの期間は14日であり、期間中であれば料金発生することなくキャンセル可能です。

有料プランの利用を考えていない場合は、期間中に忘れずキャンセルするよう注意しましょう。

有料プランは月額99ドル(約12,000円)からとなっており、商用利用する場合は月額1,250ドル(約16万円)が発生します。

アカウント作成後に利用できる機能

アカウント作成後は、8th Wallが提供する様々な機能が利用できるようになります。

代表的なものでは、「World Tracking (SLAM)」と呼ばれるものがあります。

こちらは「Simultaneous Localization and Mapping」の頭文字をとり「SLAM」と呼称されている、モバイルブラウザに最適化されたマッピングエンジンです。

SLAMは自動運転やドローンといった技術にも利用されており、「機械の目」としての役割を果たします。

WebARにおいても重要な機能ですが、8th Wallを活用すれば誰でも気軽に利用できます。

他にも、人物の顔を特定する「Face Effects」や、看板やポスターをトラッキングする「Image Target」といった機能など複数機能が存在しています。

それぞれの機能を活用しながら、想定するARコンテンツを作成しましょう。

|まとめ

WebARが気軽に作成できるサービスである、「8th Wall」についてその概要から利用方法までを解説しました。

拡張現実と称されるAR技術ですが、スマホの普及と技術向上に伴って利用されるシーンは広がってきました。

今後も様々な企業が販促活動に使用することが想定されるでしょう。

8th Wallは14日間の無料トライアルが利用できます。

少しでも気になったという方は、本記事を参考に一度8th Wallを利用してみることをおすすめします。