メンタルケアを受けてみたいけれど、どうしていいか分からないというかたは少なくありません。

自身の悩みを人に打ち明けることへの心理的ハードル、心身に不調があると思われることへの抵抗感などが重なることで、自分の中で悩みを溜め込んでしまう人もいらっしゃいます。

しかし、現在ではメタバース上の仮想空間において、お互いがアバターの姿を通じてカウンセリングを受けられるサービスが存在しています。

「MentaRest(メンタレスト)」と呼ばれるサービスですが、すでに複数の企業において採用されるなど、心身を健全にするための手段として大きく注目を集めているのです。

本記事では、メタバース上でのカウンセリングサービスである、MentaRestについて紹介します。

ぜひ最後までご覧ください。

|MentaRestでメンタル不調を予防

出典:https://www.mentarest.com/

「MentaRest」は、2021年10月にリリースされたサービスです。

株式会社MentaRestによって提供されており、企業に勤める従業員を対象にしたメンタル不調の予防を主な目的としています。

通常のカウンセリングと異なる部分としては、メタバースを利用しているという点です。

現実世界ではなく、メタバース空間においてアバターを通じたメンタルケアを行うことから、「アバターカウンセリング」と呼ばれています。

健康経営や心身の健康という観点から、従業員に対するメンタルケアは注目されており、休職や離職率の低下だけではなく、日常業務のパフォーマンス向上も期待できるとされています。

MentaRestに在籍するカウンセラーは「臨床心理士」や「公認心理士」を保有している方のみになっているため、科学的な根拠に基づいたカウンセリングが可能となっているのです。

メタバースによって心理的ハードルを下げる効果

出典:https://www.mentarest.com/

日本国内において、カウンセリングを日常的に受けるという方はまだまだ多くないことが指摘されています。

しかし、MentaRestでは現実世界ではなくメタバース空間においてカウンセリングが実施されます。

このことは、カウンセリングを受ける心理的ハードルを下げる効果があるとされているのです。

実際、東京都市大学の研究によれば、アバターを通じたカウンセリングの方が、自己開示の度合いが向上するという結果が出ています。

そのため、MentaRestの利用はカウンセリングを受けるだけではなく、その効果も高いことが期待されるのです。

株式会社MentaRestの代表である飯野航平氏は、会社員時代にメンタルダウンに陥った経験を持っています。

その時、自身でメンタルの不調を事前に察知し、改善に向けた行動を取る困難さに気がついたといいます。

そのため、日頃からカウンセリングを受けることで、不調になる前のケアが重要となるのです。

「Startup Dream Pitch 4 人的資本経営を加速する!最新HRテック」にて優勝

2023年4月に開催された、スタートアップ企業を対象とした展示会内のコンテストにて、MentaRestは優勝しています。

この展示会では、約270社が出展する展示会ブースに加え、「人的資本経営におけるスタートアップの取り組みを評価」することを目的としたピッチコンテストも行われました。

本ピッチコンテストにおいて、MentaRestはアサヒグループの研究である「Z世代のメンタル不調」について出展。

Z世代は他の世代と比較して、メンタル不調による休職、離職が問題となっており、人事労務が抱える課題として指摘されているのです。

このような内容に対し、参加者は「多様化する価値観の中で、これから必要とされるプロダクトは何か?」という観点から、MentaRestを高く評価したのです。

この結果からも分かるように、メンタルケアの重要性が今後も増していくことが想定されるでしょう。

|MentaRestシステムの特徴

MentaRestシステムの特徴について、以下の項目に沿って解説します。

  • カウンセリング利用者への機能
  • カウンセラーへの機能

カウンセリング利用者への機能

MentaRestの利用者は、まず自身のプロフィール情報を入力します。

その内容を基に、最も適すると思われるカウンセラーを一覧から選べます。

従来のカウンセリングでは、カウンセラーの選択は運営側に一任されていましたが、MentaRestであれば自身で指名できる点も魅力の1つといえるでしょう。

その後、カウンセラーのスケジュールと自身の都合を照らし合わせ、好きな日時でカウンセリングの予約が可能。

カウンセリング前日にはリマインドメールが届きます。

当日にはメタバース空間にて、アバターを通じたメンタルケアを実施できるのです。

また、これまでの利用履歴、カウンセリング利用状況をいつでも振り返れる点もMentaRestならではの特徴となっています。

カウンセラーへの機能

MentaRestに在籍するカウンセラーは、自身の稼働時間に応じて柔軟に予約受付枠を設定できます。

そのため、無理のないスケジュールで予定を組むことが可能であり、急な変更にも手軽に編集対応可能です。

従来のカウンセリングサービスでは、運営側がスケジュール等の取りまとめを行っていましたが、MentaRestではカウンセラー側で全ての作業を完結できます。

カウンセリング時の品質を向上させるために、カウンセリング利用者の事前情報として過去の履歴も確認できます。

このように、運営を通すことなくカウンセラー自身で対応できる業務が多いため、柔軟な対応とスムーズな業務環境が実現するのです。

|雇用機会の創出を目的としたパートナーシップを締結

MentaRestは「臨床心理士」、「公認心理士」といったカウンセラーに対する雇用拡大や開業支援といった取り組みも進めており、すでに株式会社CBTメンタルサポートと一般社団法人パーマネント・クリエイティブ・マインドとの間でパートナーシップを締結しています。

こちらではカウンセラー側に対するMentaRestの取り組みとして、以下の項目を紹介します。

  • キャリアアップと人材供給
  • 民間・教育機関に拡大予定

キャリアアップと人材供給

「臨床心理士」及び「公認心理士」資格を保有する人材は国内に約5万人いるとされています。

しかし、約4割が非常勤で従事している状況が業界課題として指摘されているのです。

MentaRestでは、そういった資格保有者に対し、年代を問わずカウンセリングスキル向上の支援から開業のためのビジネススキルといったサポートを提供します。

そして、MentaRestのパートナー同士のネットワークを活用し、常に優秀なカウンセラーを供給するという流れを構築するのです。

民間・教育機関に拡大予定

MentaRestは今後の展望として、健康経営や人的資本経営といった取り組みを強化するとしています。

また、オンライン化が急速に進む教育現場に対しても、カウンセリング機会の創出を目指しています。

このように、今後もカウンセラーが活躍する現場は増加していくことが想定されています。

カウンセラーの雇用機会も確保しながら、カウンセリングを通じたメンタルケアが実現するとして注目が集まっているのです。

|企業への導入事例も多数

MentaRestはすでに、以下のような企業において導入されています。

  • 貝印グループ
  • 東急不動産株式会社
  • ユナイテッド株式会社

それぞれの企業人事部からは共通して、「カジュアルなカウンセリングが実現する」という点が評価されています。

やはり、従業員自身が対面でのカウンセリングを受けるという心理的ハードルは高く、受診を促しても中々行動に移せないという現実があるのです。

しかし、メタバースという注目の技術が掛け合わせることで、気軽な受診が実現しているといいます。

また、メタバース空間での受診ということで場所を問わないカウンセリングも評価されています。

企業へは毎月運営側から報告として情報連携があるため、人材のメンタルケアに関する状況も把握できるとして好評を博しているのです。

職場カウンセラーの重要性は注目されている

現代の日本では、「職場カウンセラー」と呼ばれるポジションの重要性が高まっています。

労働環境の改善が進められている一方、まだまだ人手不足による過重労働や長時間労働といった問題は解消されているとはいえません。

さらに、コロナ禍によるオンラインワークが進められた事により、コミュニケーション不足によるストレスも問題視されています。

労働環境においてストレスが蓄積されていくと、心身ともに不調が出てきてもおかしくありません。

こういった状況を改善するために、職場カウンセラーによって定期的なメンタルケアを実施し、従業員の体調を管理する必要が指摘されているのです。

|まとめ

メタバース空間においてメンタルケアを実施する、「MentaRest」サービスについて解説しました。

日本はメンタルケアを受診する文化がまだ根付いておらず、心身ともに限界を迎えるまで自身を追い込んでしまうケースが少なくありません。

こういったケアは自分で気が付くことは難しいため、職場カウンセラーといった福利厚生の一環として提供する必要があるのです。

MentaRestであればメタバース空間上において、アバターを通じたカウンセリングが可能です。

対面と比較しても自己開示度合いの向上が期待されるだけではなく、受診の心理的ハードルも下がります。

自宅にいながら気軽に行えるという点も、カウンセリングを身近なものにするきっかけになるはずです。

MentaRestが労働者の心身の健康を守り、日本経済を支える礎になる可能性は高いといえるでしょう。