移住というと、現地に行って見学したり、相談したりするのが一般的ですが、最近では、メタバースを使って移住フェアを開催する自治体や企業が増えているのをご存知でしょうか。
その理由はメタバースを使うことで、遠隔地からでも移住先の情報や雰囲気を感じることができるからです。
この記事では、そもそもメタバースとは何か、メタバースで開催される移住フェアとはどのようなものなのか、活用事例はどのようなものがあるのか等、メタバースで開催される移住フェアについて、その概要や背景、活用事例などを紹介します。
興味のある方は、ぜひお読みいただき、役立てて頂ければ幸いです。
目次
|メタバースとは
メタバースとは、コンピューターグラフィックスや仮想現実技術を駆使して構築された、デジタルな仮想空間のことです。
これは、架空の世界であり、人々は自分のアバター(仮想的なキャラクター)を通じてその中で活動します。
メタバースは、ソーシャルメディア、オンラインゲーム、仮想世界など、さまざまな形で存在しています。
この仮想空間では、日常の活動からエンターテインメント、ビジネス、教育まで、幅広い活動が展開されています。
アバターを操作して他のユーザーとコミュニケーションを取り、仮想空間内での出会いや交流が可能です。
また、個人や企業はメタバース内で商品やサービスを提供し、仮想経済が発展しています。
メタバースの魅力は、物理的な制約を超えて無限の可能性を追求できる点にあります。
現実では難しいことも、デジタルの世界では実現可能です。
移住フェアも、このメタバースを活用して新たな地域やライフスタイルを紹介し、参加者に体験を提供するイベントとして注目されています。
|移住フェアとはどのようなイベント?
移住フェアとは、異なる地域や国への移住を検討している人々に向けて、移住先の情報や魅力を提供するイベントです。
通常、現地の自治体や関連団体、企業が協力して開催され、移住先の暮らしや文化、ビジネスチャンスなどの情報を一堂に集めて展示・紹介します。
中では、さまざまなブースでプレゼンテーションが行われ、参加者は移住先の特徴や生活条件、就業機会、教育環境などを知ることができます。
近年では、テクノロジーの進化により、移住フェアもメタバース内で開催されることが増えています。
これにより、物理的な距離を超えて多くの人々が参加しやすくなり、新たな移住の選択肢を探ることができます。
|コロナ後の移住促進の背景
コロナ後、在宅勤務やリモートワークが増え、都市部から地方への移住や二地域居住に関心が高まりました。
地方では、自然や文化に触れられたり、生活費が安いなどのメリットがある一方で、移住には不安や課題もあります。
そこで、政府や自治体は、移住や二地域居住を促進するために、さまざまな支援策を打ち出しています。
例えば、移住先の情報提供や相談窓口の設置、移住者同士の交流や地域との連携の促進、移住後のフォローアップなどです。
メタバースで開催される移住フェアは、そんな支援策の一つです。
メタバース移住フェアでは、移住先の雰囲気や魅力をリアルに感じたり、移住先の自治体や企業などと直接話をすることができ、コロナ後の新しい移住促進の取り組みとなっています。
|メタバース移住フェアの活用事例
それでは、実際にメタバースでの移住フェアを実施した活用事例を5つ、ひとつひとつご紹介していきます。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
伊藤忠テクノソリューションズは、メタバースを利用し、地方自治体向けに移住相談窓口を提供しました。
この提供は約40日間行われ、アバターを通じて移住検討者が地域の生活や制度について情報交換し、地域社会の活性化を目指したものです。
参加者はWebサイトで申し込み、PCやスマートフォンを通じて参加します。
アバターを通して職員や既に移住している人と交流し、就職情報や住宅、施設、子育て支援制度などについての相談なども行われました。
また、アバターの外見や新キャラクターの追加も可能で、AIの代理応答機能を活用して効率的に対応され、今後もメタバースやデジタル技術を駆使したビジネス展示会やイベントで地域コミュニティの活性化が推進されています。
奈良県宇陀市
宇陀市でも、メタバースを使って移住相談の窓口が開設されました。
この窓口では、移住に興味を持つ人々と宇陀市在住の先輩移住者が交流する機会が提供されました。
参加者は仮想のアバターを通じて、宇陀市の風景や生活を体験し、先輩移住者に質問を投げかけることができます。
先輩移住者は、宇陀市での生活や仕事、子育てなどについてリアルな体験を共有し、さらに、人工知能「ChatGPT」を活用して、移住に関する悩みや相談も行えました。
宇陀市はメタバースを通じて、移住の促進と地域の活性化に積極的に取り組んでいます。
秋田県
秋田県では、秋田県への移住促進を目的とした「あきた移住・交流メタバース万博」というメタバースイベントが行われまた。
この空間では、秋田県を模した6つのフィールドがあり、秋田県の魅力を体感できるパビリオンや、移住担当者と交流でき場所が提供されています。
パビリオンでは、地域の仕事や子育て、生活に関する情報を音声や動画で紹介しています。
この空間に参加するには、専用のアプリをダウンロードして、アバター(分身)を作ります。 アバターは、秋田県のキャラクター「んだッチ」などから選べます。
アバターを操作して、仮想空間を自由に歩き回り、他の参加者とコミュニケーションを楽しめます。
福井県越前市
福井県越前市も、メタバースを活用して移住を促進する取り組みを行っています。
例えば、「越前市バーチャルサミット」は、越前市の魅力や暮らしを紹介するオンラインイベントで、越前市の担当者や移住者、地域の人たちと交流したり、質問したりできます。
このイベントは、clusterというメタバースプラットフォームを使って開催されており、中では、アバターを操作して仮想空間を自由に移動したり、他の参加者と音声やテキストでチャットしたりできます。
さらに、越前市のシンボルである「恐竜博物館」を再現した仮想空間が会場となっていて、恐竜の展示物やステージ、ブースなどが設置されています。
参加者は、越前市の歴史や文化、産業や教育などに関する情報を得ることができます。
新潟県
新潟県では、メタバースを使った移住フェアの一例として、「NIIGATURN」というイベントがあります。
これは、新潟県へのUターンやIターンを希望するIT人材向けのキャリアイベントです。
新潟県内の企業や自治体の担当者と直接話ができたり、移住に関する講演を聞けたりします。
イベントは、oviceというメタバースプラットフォームを使って開催されています。
oviceでは、アバターを操作して仮想空間を自由に移動したり、他の参加者とチャットしたりできます。
「NIIGATURN」では、「暮らしのコンテンツ」の講演エリアや下半分の左右に企業の担当者と直接話せる企業ブース、中央に企業登壇スペースと会議室がなどが設置されており、参加者は、自分に合った企業や情報を探すことができます。
|まとめ
以上、いかがでしたでしょうか。
メタバースで開催される移住フェアは、仮想空間での体験やコミュニケーションを通じて、移住先の情報や雰囲気を感じることができるイベントです。
メタバースを活用することで、遠隔地からでも移住に関する相談や交流ができ、移住先のシンボルや特色も表現することができます。
移住フェアをメタバースで開催する背景には、コロナ禍によるリモートワークの普及や、都市部から地方へのUターンやIターンの増加などがあり、メタバースは、これらのニーズに応えることができる素晴らしい技術です。
メタバース移住フェアは、移住先の情報収集やコミュニティ形成に役立つイベントですので、興味のある方は、ぜひ参加してみてください。