日本は地震大国と言われていますが、地震はいつどこで起きるか誰にもわかりません。

そのため、日頃から防災対策をしておくことが大切です。

しかし、実際に大地震に遭遇したことがない人にとっては、その想像が難しいかもしれません。そこで最近注目されているのがバーチャル地震体験です。

VR技術を使い、大地震の揺れや音、光景を再現することで、防災意識を高めることができます。

この記事では、バーチャル地震体験のメリットやデメリット、そして実際に導入している事例をご紹介します。

|バーチャル地震体験とは

バーチャル地震体験とは、VR技術を使って、大地震の揺れや音、光景を再現することで、防災意識を高めることができるシステムです。

実際の防災訓練では危険で体験できない災害シミュレーションを、安全に行うことができます。

バーチャル地震体験には様々な種類があります。

例えば、AR(拡張現実)を使って現実の空間に災害を重ねて表示するシステムや、VRゴーグルを使って完全に仮想空間に没入するシステムなどがあります。

また、座席や床面などが動くことで、地震の揺れや建物の崩壊などの災害を視覚的にも触覚的にも感じることができるVRシアターを利用し、大型スクリーンに映し出される仮想空間に入り込むシステムなどもあります。

|バーチャルで地震体験をするメリット

バーチャルで地震を体験する主なメリットとして、「緊張感のある体験が可能」「体感することで記憶に残りやすい」「時間や場所を問わず参加できる」などがあります。

それぞれ順番に解説していきます。

緊張感のある体験が可能

VRは五感を刺激し、没入感を高めることができ、地震体験に活用することで、実際の地震の恐怖や危機感を感じることができます。

このような体験は防災教育や訓練において重要で、緊張感のある経験は記憶に残り、学習を助けます。

また、VRを使った地震体験は防災意識を高め、行動力を向上させる手段となります。

人々は緊張感のある体験を通じて、現実の災害に対する関心を高め、適切な備えをする意識を持つことができます。

体感することで記憶に残りやすい

VRを使用することで、現実では難しい地震のシナリオや状況をリアルに体験できます。

例えば、倒れる家具、発生する火災、塞がる避難経路などがシミュレートされます。

VRは視覚や聴覚だけでなく、触覚や嗅覚を刺激し、リアルな臨場感や没入感を提供します。

自分の行動や判断を確認し、得た知識やスキルを現実の災害時に活用できるため、実践的な訓練としても役立ちます。

VRでの地震体験は、災害対策を自分事として捉え、記憶に深く刻まれることが特徴です。

時間や場所を問わず参加できる

VRを使った地震体験は、デバイスとヘッドマウントディスプレイ(HMD)を利用して、仮想空間でいつでも地震に備えた研修や訓練ができる便利な方法です。

時間や場所の制約を取り払うことで、言語にとらわれない研修も実現が可能です。

例えば、音声や文字の言語設定を変更することで、異なる言語圏の人々と共に学ぶことができ、国際的なコミュニケーションや協働を促進することができます。

|バーチャルで地震体験をするデメリット

以上のようにメリットがある一方、デメリットとしては、「導入コストがかかる」「VR酔いを起こす可能性がある」の2つが挙げられます。

それぞれ解説していきます。

導入コストがかかる

VRは、仮想空間にアクセスするために、専用のデバイスやソフトウェアが必要です。

これらのデバイスやソフトウェアは、高価である場合が多く、また、メンテナンスや更新にもコストがかかります。

また、VR研修を実施するためには、専門的な知識や技術が必要な場合もあります。

例えば、VR研修のコンテンツを作成したり、運用したりするためには、VR制作会社やVRプラットフォームを利用する必要があり、これらのサービスも、費用が必要となります。

VR酔いを起こす可能性がある

VR酔いは、VRデバイスを使用する際に、目の情報と体の感覚が一致しないことから生じる不快な症状で、吐き気、めまい、頭痛、発汗などの症状を引き起こし、VR研修の効果や体調に悪影響を及ぼす可能性があります。

VR酔いを防ぐためには、VRデバイスの性能と設定を確認し、解像度や描画速度などの条件を整えたり、視点の急激な移動や回転を避けるなどのコンテンツを工夫するなどの対策が必要です。

|バーチャル地震体験の導入事例

ここからは実際にバーチャル地震体験を導入した事例を6つ、それぞれご紹介していきます。

ぜひ導入の参考にしていただければ幸いです。

アイデアクラウド

出典:https://bousai-vr.com/products#product_type_jishin

アイデアクラウドは防災VR/ARサービスを提供しており、このコンテンツではVRデバイスを使い、リアルな地震シミュレーションを通じて避難行動を学び、防災意識を高めることができます。

楽しみながら学べるゲーム要素も組み込まれており、地震体験はPC版やスタンドアロン版など多くの端末に対応、部屋のカスタマイズも可能です。

また、導入方法もレンタル、常設、受託開発など多様であり、防災イベントや教育に役立つサービスの提供を可能にしています。

AR防災

AR防災はARとVRを利用した防災訓練サービスで、特許を取得しています。

VRを用いた地震体験では、Oculus Goデバイスを使用して、過去の大地震を仮想空間で比較体験できます。

この体験は気象庁のデータに基づいた地震揺れを再現し、本の落下や棚の倒れる状況も模擬します。

地震体験は、大地震のリスクを実感し、経験のない子供や未災地の人々を対象に開発されました。

また、多人数が同時に体験できるため、集団での防災訓練にも適しており、現実の地震リスクをリアルに伝えるために有効なツールとなっています。

日本赤十字社

日本赤十字社が提供しているメタバースで地震を体験できるサービスは、三越伊勢丹オンラインストアで購入できます。

このサービスでは、VRゴーグルとスマートフォンを使用し、自宅や職場などの環境を再現して地震の避難や救急処置を学ぶことができます。

地震の揺れは実際のデータに基づいてリアルに表現され、家具や窓ガラスなどの被害も再現されます。

この地震体験は、身近な場所での災害を想定し、防災意識や行動力を高めることを目的としており、家族や友人と一緒に参加することも可能です。

東京消防庁

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002467.000008372.html

東京消防庁は、VR防災体験車を使用して、地震、火災、風水害などの仮想体験を提供しています。

この大型車両は各地のイベントや学校などで出張訓練を行い、参加者にVRゴーグルとスピーカーを装着させ、360度の立体映像と揺れ、風圧、熱などの演出によって災害のリアルな恐怖と危険を感じさせます。

この体験は、自身が災害に巻き込まれるシチュエーションを想像し、防災意識と行動力を高めることを目的としており、対象年齢は小学生以上となっています。

日建設計

出典:https://www.nikken.jp/ja/expertise/structural_engineering/syncvr.html

日建設計は、SYNCVRというシステムを開発し、VRを用いて地震時の建物の揺れをシミュレーションすることで、建物の耐震性能を直感的に理解できるようにしています。

SYNCVRでは、建物の構造モデルと地震動を入力し、VRゴーグルを通じて建物内外の揺れを視覚的に確認できます。

このシステムを通じて、建築主や利用者に対して耐震性能の違いや設計の意図を分かりやすく伝えることができるだけでなく、設計者自身もVR体験を通じて構造設計の改善点や検証方法を見直すことができます。

仙台市

出典:https://www.city.sendai.jp/gensaisuishin/documents/sendaisaigaivrtirasi.pdf

仙台市は、せんだい災害VRというシステムを開発し、VRを使用して地震や津波などの災害をリアルにシミュレートし、防災学習と防災意識向上を促進しています。

このシステムでは、VRゴーグルを装着すると、仙台市内の風景が再現され、災害が発生した際の状況を体験できます。

また、避難行動や防災グッズの必要性と効果についても学べます。

仙台市内の学校、集会所、事業所などで防災訓練や研修会を行う際には、専門スタッフが無料で提供しています。

|まとめ

バーチャル地震体験は、VR技術を利用して地震時の建物の揺れや避難行動などをリアルに疑似体験することで、防災学習や防災意識の向上に役立つシステムです。

様々な導入事例からも、そのメリットは多くありますが、デメリットも無視できません。

バーチャル地震体験を利用する際には、注意点や制限事項を十分に理解し、他の防災教育と併用することが重要です。

また、バーチャルで地震を体験することは、大地震に備える一つの手段ですが、万能ではありません。

まずは自分自身で防災知識や防災行動を身につけることから学んでいきましょう。