自分の手を自由に動かして、バーチャル空間上に思いのまま創出する。
魔法のような技術を可能にする、理想的かつ直感的デバイスである「Leap Motion」に、新しいバージョンが登場しました。
従来モデルから大幅に性能が向上し、より自然で正確な手の動きを認識できるようになった「Leap Motion Controller2」。
本記事では、その最先端テクノロジーの特徴、機能、そして活用シーンについて詳しく解説します。
目次
|Leap Motion Controller2とは
株式会社アスク(東京)は、Ultraleap社の最新ハンドトラッキングセンサー「Leap Motion Controller 2」の販売を発表しました。
初代「Leap Motion Controller」は2012年に登場し、高性能のハンドトラッキング技術を提供。
Ultraleap社は、ソフトウェアアップデートと組み込み製品の展開を続けてきましたが、今回の新製品発表は11年ぶりとなります。
この製品は、手の動きを高精度で検出し、自然な操作とデジタルコンテンツとのインタラクションを可能にします。
トレーニング、デザイン、教育、医療など、多くの分野で活用され、小型で高精度なデバイスは新しい入力方法を提供します。
|Leap Motion Controller2の特徴や機能
本製品は、革新的技術を駆使して手の動きを驚異的な精度で捉え、デジタル領域での操作や対話を一段と自然で直感的なものに昇華させます。
ここでは、その印象的な特徴と革新的な機能について深堀りしていきます。
サイズ
本製品は、コンパクトで軽量なデザインに進化しました。
サイズは比較的大きかった旧モデルの11.3 x 80 x 30(mm)から、12 x 84 x 20(mm)のコンパクトなサイズへ30%の小型化を実現し、重量も32gからわずか29gに軽量化されました。
この小型・軽量のフォームファクターにより、デバイスの配置がさらに容易になり、操作の自由度が向上しました。
省電力モデル
新モデルでは、高解像度のカメラと進化したIRイルミネーション技術により、電力の効率が25%向上しました。
これにより、消費電力が25%削減され、同じ電力でより多くのトラッキング作業が可能となりました。
新しいカメラとIR照明の組み合わせは、より効率的で、少ない労力で多くの追跡作業を行うことができます。
この進化により、従来モデルよりパワフルで、エネルギー効率の高いデバイスとして注目されています。
視野角
新モデルでは視野を拡大することにより、より大きなインタラクションスペースを提供します。
旧モデルの3Dインタラクティブゾーンを60cm(24インチ)以上に拡張。
典型的な視野角(FOV)は140° x 120°ですが、新モデルでは最大110cm(43インチ)まで拡大し、FOVは160° x 160°に広がりました。
この広い視野角により、ユーザーの手の動きをより広範囲で正確に捉え、インタラクションの幅を拡大します。
ハンドトラッキング
新モデルは、以前からの卓越したハンドトラッキング技術をそのまま受け継ぎつつ、新たな特長としてGeminiハンドトラッキングソフトウェアを組み合わせています。
これにより、27の要素に及ぶ骨や関節をより高精度で追随する能力が向上。
手の動きやジェスチャーをより精緻に捉え、ユーザーの手の動作をさらにリアルかつ自然なものとします。
これは、ユーザーエクスペリエンスを飛躍的に向上させる鍵となっています。
ジェスチャーの認識
検出技術を活用することで、ユーザーは自分の手の動きやジェスチャーをリアルタイムでVR空間に投影できます。
これにより、他のユーザーとの対話により相互性がもたらされ、新たなコミュニケーションの可能性が広がります。
Leap Motionを統合したソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」では、参加者同士が手のジェスチャーや表情を共有でき、より自然で没入感のあるコミュニケーションを楽しむことができます。
マウスの代わりとしても使用可能
本製品は、一般的なマウスの代わりに手の動きとジェスチャーを使用して、クリック、ドラッグ、スクロールなどの操作を可能にします。
たとえば、指を画面に向けて押し出すことで「クリック」、指を固定して手を左右に動かすことで「ドラッグ」など、直感的なジェスチャーでこれらの操作が行えます。
さらに、ドキュメント作成やグラフィックデザインソフトウェアでの精密な操作も、マウスと同等またはそれ以上の操作性を提供します。
|Leap Motion Controller2の活用シーン
このような最先端テクノロジーの登場は、私たちの生活に更なる潤いをもたらせてくれるはずです。
そこで、本製品が具体的にどのようなシーンで活用されるのか、各分野ごとに分けて紹介していきます。
エンタメ分野
本製品は、特にVtuber活動に革命をもたらすツールとして注目されています。
手や腕に高精度なハンドトラッキングを提供し、3Dアバターを操作するためのソフトウェア(「Unity」、「Luppet」、「3tene」など)と組み合わせて使われます。
各ソフトウェアには異なる特長と制約があり、その選択は目的や技術的なスキルによって変化します。
いずれにしても、よりリアルでダイナミックなキャラクター表現を体験することができます。
開発分野
コーンズテクノロジー株式会社は、本製品を導入し、群馬県立歴史博物館のデジタル埴輪展示室にて「埴輪スコープ」を共同開発しました。
この非接触ハンドトラッキング技術は感染対策にも貢献し、博物館の来場者数が23%増加しました。
開発したのは大型デジタルサイネージと本製品を組み合わせたもので、来場者が手の動きに応じて3DCG埴輪を自在に操ることができます。
よって博物館はDX化を進め、新たな観光体験を提供しています。
医療分野
医療分野でもさまざまな応用があります。
手術室では、無菌環境を保ちながら、パソコン操作やX線画像の閲覧が可能で、医師の作業効率向上に寄与します。
また、手術シミュレーションや医師の研修にも貢献。
さらに、聴覚障害者向けの手話をテキストや音声に変換する技術があり、コミュニケーションの向上にも役立ちます。
診断・研究支援、リハビリテーション、遠隔手術など多岐にわたる可能性を秘めており、今後の発展が期待されます。
建築分野
建築分野では、設計から実施までのプロセスが劇的に改善されています。
マウスやキーボードに代わって手の動きだけで設計作業を行えるため、設計者の創造性と効率を向上させています。
また、建築設計ソフトウェアとの連携により、設計図のリアルタイム編集やVR内でのプレゼンテーションが容易に可能。
クライアントとのコミュニケーションを改善し、手で修正や調整を即座に行えるため、設計プロセスがスムーズに進行します。
|Leap Motion Controller2の価格
ECサイトによりますと、価格は現在$139となっています。(商用ライセンス使用料を除く)
個人向け通販もAmazonなどで24,200円の販売価格で提供される予定でしたが、現時点では正規代理店からの販売は確認できませんでした。
とはいえ、新機能が多数搭載され、他の同価格帯のデバイスと比較しても高いパフォーマンスと汎用性が確保された今回の新モデル。
多くの開発者や企業にとって、投資価値が高いと評価されています。
|まとめ
従来モデルから大幅に性能が向上し、より自然で正確な手の動きを認識できるようになった次世代のハンドトラッキングデバイス。
VRやARの普及に伴い、今後さらに注目を集めることが予想されます。
VR/ARゲームの操作、ライブパフォーマンスなどのエンタメ業界をはじめ、今回ご紹介した各分野以外でも、さまざまな用途に活用されることが期待されています。
近い将来、どのように活用されていくのか楽しみですね。