CADデータとメタバース・VR/ARって、親和性があるの?
CADデータを利用するメリットが不明確で、よくわからない声が一定数あります。
この記事では、CADデータをメタバース・VR/ARコンテンツに利用するメリットや事例について、網羅的に解説します。
記事を読むことで、CADデータをメタバース・VR/ARコンテンツに利用する具体的な方法を理解し、ビジネスの次の一手を打つことができます。
CADデータを活用して、ビジネス転用をしたいと考えている方は、最後まで読んでください。
目次
|CADとは
CADとは、「Computer Aided Design 」の略で、コンピューターを使った設計や製図を行うためのツールの事です。
設計や製図目的ですが、建築、機械設計、航空宇宙、自動車産業など、さまざまな産業で利用されています。
CADは、「2DCAD」と「3DCAD」の2種類に分けられます。
2DCADは、平面図などの2Dの製図を設計するCADです。手書きと比較して、簡単に修正ができる点が特長です。
一方3DCAD は、物体を立体的に表すために3Dモデルを作成するCADです。立体にすることで、誰でも簡単に完成図などのイメージ把握がしやすく、さまざまな角度から位置関係を確認できるなどの特長があります。
これにより、設計や検討、プレゼンテーションの時間が短縮が可能です。
これらCADにより、手作業と比較して作業の効率化が図れる点と、紙と比べて図面データの管理と共有がスムーズで簡便である点で、非常に重宝されるツールとなっています。
|CADデータをメタバースで利用する
建築などで利用されているCADデータ、これをメタバースに転用できるのではないか?
メタバース=現実世界のシュミレーションという前提とした場合、建物の大きさも原寸大の方が好ましいという考えの元、 このようなユニークな発想が生まれています。
そのため、建設会社の何社かでは、自社で作成した3DCAD データをメタバース空間で転用している事例が発生しています。
CADデータをメタバース上で転用することで、「施工工数やコストの削減」に繋がるメリットが挙げられます。
従来は、3Dプリンターで現物の試作物を作成し施工しておりました。
ところが、3Dデータとメタバース上でのシミュレーションを実施することで、現物を作るコストを削減することができるのです。
また、コンピューター上で施工検討ができるため設計のやり直しも容易で、現物を作り直す手間も無く、施工工数の削減にも寄与します。
このように、バーチャル上の3Dモデルで完結できる為、現物を作る為の原材料削減にも繋がり、SDGsにも貢献するとも言われ、企業からも大変注目されております。
バーチャル完結によりSDGsへの貢献
今まで現物の試作を作っていたのがバーチャル上の3Dモデルで事足りるので、余計な現物を作成する必要がなくなります。
これは原材料を削減できるので自然にやさしく、SDGsへの貢献と言えるでしょう。
|CADデータをVR/ARで利用する
CADデータをVR/ARで利用する動きが活発化しております。
特に建設・製造業の企業で。
例えば、建設現場でARを利用して、建造物のミニチュアや設計図面を投影して、工事の進捗を共有・管理したり。
製造業においては、遠隔でデザインや設計データを共有したりしている。
CADデータをVR/ARで利用するメリットは
・遠隔地であっても複数人数でひとつの3Dデータをシェア・共有でき、合意形成の迅速化
・3D CADで作成した物体を、VRを使うことによって実際のサイズ感をイメージしやすくなったり、オブジェクトの中に入って立体的に見たり体感することができる
・PC向けの没入型ヘッドセットを用いて確認したり、Webブラウザ向けに変換し、スマートフォンなどでも確認できるため、その時の環境に合わせて柔軟に対応可能
以上が挙げられます。
このように、事前に設計レビューを立体的に行うことや、遠隔地で同期しながら確認し、生産性向上や合意形成を迅速化することが実現可能となり、多くの企業でVR、ARと3D CADの活用がなされております。
|CADデータの利用シーン
ここでは、具体的なCADデータの利用シーンを紹介します。
シーン別に紹介する上で、「メタバース」と「VR/AR」の2つのシーンに大きく分けて解説します。
それぞれのシーンの特長を生かした利用シーンは、とても参考になると思います。
是非、参考にして取り入れてみましょう。
メタバース
メタバースでのCADデータの利用シーンを紹介します。
ここでは、「デザインレビュー」と「住宅の内覧会」をピックアップします。
どちらもアバターを活用することで、強みを最大化することが可能となります。
参考にして真似して取り入れてみましょう。
デザインレビュー
メタバース上で3DCADデータを使ってデザインレビューを実施します。
遠隔地のメンバーを含む複数人が同一のメタバース空間の中でコミュニケーションを取りながらレビューすることができます。
事実上、世界各地からアバターが集まって場所の制約がなく、会議ができます。
また、アバターも本人を再現したリアルアバターにすることで、より臨場感を持って円滑なコミュニケーションを図ることにも繋がります。
さらに、その場で設計を変更し、リアルタイムにメタバース上で確認することも可能です。
このように、メタバース上でデザインレビューをすることで、普段CADを利用しない担当者や生産担当者が設計レビューをしやすくなったり、設計変更等の情報をすぐに共有できたりするため、開発コストや無駄な時間の削減に寄与しております。
住宅の内覧会
不動産業界では、物件の選択から内見、契約までの一通りのやり取りをメタバース内で行うことが可能です。
従来は、モデルルームを使っての内覧会が当然でした。
このメタバース上での住宅内覧会は
・顧客・営業スタッフがアバター同士で会話可能。
・顧客は家の内外を自由に歩き回ることができる。
・照明の点灯や蛇口から水を出す、コンロに点火するなどのシミュレーションができる。
・壁紙や床材の張り替えなども自由に可能。
以上のような画期的な体験をもって、住宅の検討が可能になりました。
このことにより、遠方への転勤や海外への移住の際にも現地に行く前に、住宅探しができる点に大きなメリットがあります。
リアリティな内覧会ができるようになった背景として、設計図などの3Sデータをメタバースに取り込み、忠実に再現することが可能となったことがあげられるでしょう。
VR/AR
VR/ARでのCADデータの利用シーンを紹介します。
ここでは、「製品レビュー」と「設計データの実寸配置」についてピックアップします。
どちらもテクノロジーを活用することで、強みを最大化することが可能となります。
参考にして真似して取り入れてみましょう。
製品レビュー
3DCADデータからVR空間を再現し、VR空間内で人の動きを検証するツールがあります。
これにより、工場や生産設備、生産ラインの新設、製品の設計開発段階における操作性のシミュレーションを実行し、製品レビューをすることが可能です。
また、CADデータ連携により設計変更が瞬時に反映可能で、レビューの繰り返しが容易になります。
さらに、簡単な設定作業だけで利用できる点も評価が高く、遠隔地を含む複数の人達で同時にコミュニケーションを取れる点で支持されています。
設計データの実寸配置
各種CADデータからポリゴン生成し、VR空間内に実寸配置するツールがあります。
本ツールは、自動車部品の設計データをVRで迅速にレビューすることを目的として、VRの臨場感を生かした確認作業ができるとして高い評価を得ています。
具体的には、設計検討中の自動車部品の各種3DCADデータ を専用のソフトウェアに取り込むことで、ポリゴン生成にてVR空間内に配置することが仕組みです。
変換後の3DCGデータはCADソフト上 の部品構成を維持した状態で配置されるため、パーツごとに取り出して確認することも可能。さらに、移動や縮尺の変更もできます。
これにより、試作品発注の前工程から、実装状態をチェックすることができる優れものです。
|まとめ
CADデータをメタバース・VR/ARコンテンツに利用するメリットや事例について紹介しました。
メタバース・VR/ARとCADデータは親和性が高く、ビジネスにおいて合意形成の迅速化や施工工数やコストの削減、SDGsにも繋がるというたくさんの可能性を秘めています。
また、それぞれの分野での導入事例もご紹介したため、イメージも具体化されたと思います。
まだ導入されていない企業と担当者の方は、早速取り入れてみましょう。