「歴史的な瞬間をこの目で見てみたい」
「歴史上の偉人と出会ってみたい」
「昔の街の様子を肌で体感してみたい」
歴史好きの方はもちろん、そうでない方でも一度はこう感じたことがあるのではないでしょうか。
我々がこの時代に至るまでには様々な出来事があり、多くの歴史的な事件からイベントが繰り返されてきました。
しかし、今の我々が当時の様子を振り返るためには文字による記録と、わずかばかりの絵画といったものに限定されてしまいます。
そのため、具体的な様子をイメージすることが難しく、歴史に対して身近に感じられないと思っている方も多いはずです。
現代の技術ではタイムマシンの実現には至っていません。
しかし、VR技術を利用することで、擬似的にタイムスリップできることをご存知でしょうか。
本記事では、歴史をより身近に体験できるVR体験について、様々な事例を紹介します。
これまで歴史に興味を持てなかった人にはもちろん、歴史学習にも有効な体験となりますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
|VRを活用した歴史体験の事例
VRとは「Virtual Reality」の略称であり、日本語では「仮想現実」と称されます。
現実世界とは異なる世界を擬似的に体験することで、もう一つの世界が存在するかのように感じられるのです。
VRゴーグルといった専用機器を使うことで、VR体験は強い没入感を伴う体験になります。
このVR技術を活用することで、実際の歴史的なイベントや当時の様子を肌で体感できるのです。
目の前に広がる風景、聞こえてくる音から感じる仮想現実は非常にリアルであり、まるでタイムマシンに乗って当時の世界に足を踏み入れたと錯覚してしまうかもしれません。
こちらでは様々ある歴史体験VRの中から、以下の内容をそれぞれ解説していきます。
- 三方ヶ原の戦い
- 大和奈良の歴史と地理
- 伊達な歴史の新体験
- 歴史体験を可能にするVRツアー
- 江戸城の天守
- StoryTrails
三方ヶ原の戦い
三方ヶ原の戦いは1573年に、現在の静岡県浜松市において起こりました。
有名な戦国武将である武田信玄を、徳川家康と織田信長の連合軍で迎え撃ち敗れたという、まさに歴史的な戦です。
このVR体験では、徳川側と武田側両方の視点から浜松市内を歩き回れます。
そして、迫りくる両軍を目の前に様々な歴史的な場面を体験できるのです。
三方ヶ原の戦いは徳川家康にとって、人生最大とも呼べる敗北を喫した戦でした。
この戦で有名なシーンは、犀ヶ崖で野営する武田軍に対して大久保忠世といったわずか100名の鉄砲隊で攻撃を仕掛けた場面です。
VRではこの様子を見事に再現しており、本当の戦に巻き込まれたかのような臨場感が味わえます。
大和奈良の歴史と地理
奈良県王寺町は聖徳太子ゆかりの地として知られています。
長い歴史を持つ地域であるため、町には様々な歴史遺産が残されています。
そんな歴史遺産や建物を、王寺町にある明神山から眺められるVRがあるのです。
明神山からは奈良盆地だけではなく、大阪湾から明石海峡といった関西の主要部が望めます。
古代から現代に至るまで、明神山から見える景色を体験することで、歴史をより身近に感じられるでしょう。
昔の風景については、王寺町地域交流課が担当しており、細かい池や道といった部分についても詳細に再現されています。
しっかりと資料に基づいて再現された映像ですので、その信頼性と満足度は高く、本当にその場所を見てきたかのような錯覚に陥るはず。
それぞれの解説も丁寧に作られていますので、じっくりと学びたい方にもおすすめできる歴史体験VRとなっています。
伊達な歴史の新体験
宮城県仙台市は伊達政宗が作り上げた街として有名です。
現在でも、市内の各地には伊達政宗に由来する様々な建物が存在しており、その影響力の大きさを伺えます。
そんな仙台市内を歩き回り、VR体験スポットに設置されたQRコードを読み込むことで、当時の仙台の街並み、歴史的建造物の再現が確認できるのです。
VR体験のQRコードは仙台城、大手門跡、仙台駅など様々であり、実際のその場所で当時の様子を振り返るという体験が可能。
現在では当時の面影を僅かにしか残さないスポットであっても、スマホ1つで詳細な様子を確認できる点は大きな魅力です。
ぜひ仙台市内を歩き回り、現代と過去を行き来する体験を味わってみてください。
歴史体験を可能にするVRツアー
「歴史体験を可能にするVRツアー」は株式会社アタリが開発した擬似的なタイムマシンです。
参加者はVRゴーグルを使用するだけではなく、多軸モーションシミュレーターシステムが搭載されたライドマシンに乗車します。
仮想現実では近未来的なデザインの「空中遊泳ポッド」に乗り、上空からの視点で江戸時代の武家屋敷といった歴史的な街の様子を見学できるのです。
ユーザーは一方的な映像視聴だけではなく、自身でコントローラーを使用して「空中遊泳ポッド」の運転を行います。
そのため、本当にタイムマシンに乗って時を遡っている感覚をリアルに感じられるでしょう。
江戸城の天守
江戸城は現在の東京に建てられていた、徳川将軍家代々の居城でした。
現在はその姿を残しておらず、本丸跡といった遺構が確認できるだけとなっています。
2017年1月、現像しない江戸城の天守閣をVRで再現するプロジェクトが凸版印刷によってスタート。
資料や歴史的な考証をベースに、実際の姿を擬似的に復元することに成功したのです。
石垣や瓦といった目立つ部分だけではなく、金具の紋様や釘といった細部に至るまで精細に再現されており、その姿は実際にあった江戸城の威厳をありありと感じられます。
過去に存在した江戸城という歴史遺産を、リアルに体感できるVRコンテンツになっているのです。
StoryTrails
歴史遺産は日本だけではなく世界各地に存在しています。
「StoryTrails」はイギリスの15都市にて開催されたARとVRを活用したイベントです。
参加者はスマホを持ち、街に設置されたコースを巡っていきます。
コース上には映像資料を利用したコンテンツが設置されており、60年間に渡る街の歴史を実際の場所で体験できるのです。
また、「タイムトラベル」コンテンツとして、当時のイギリスの雰囲気をよりリアルに体験することも可能。
VR体験は英国立センターである「StoryFuture Academy」が主催し、イギリスの芸術祭「UNBOXED:Creativity in the UK」のクリエイティブチームによって開発されました。
|VRを活用した教育は注目されている
歴史学習は教科書と資料を中心に進められることが一般的です。
校外学習として現在に残る歴史遺構を見学することもありますが、子どもたちにとってそういった情報から歴史をイメージ、体感することは困難でしょう。
そこで、VRを活用した歴史教育が注目されているのです。
VRによってリアルに歴史的なイベント、事件を体感することで「本当にあったこと」として歴史を感じられます。
歴史遺構の中には残念ながら、現在にまでその姿を残していないものも多く存在しています。
そういった過去の遺物もVRで再現することで、当時の姿を気軽に見学できるでしょう。
歴史に対する興味を持たせることはもちろん、その先の学習理解を深めるという意味でも、VRを活用した教育は注目されているのです。
|まとめ
VRを活用した歴史教育について、実際の事例を元に解説してきました。
「タイムマシンに乗って歴史を遡りたい」
こういった想像をしたことがある人は少なくないはず。
これまでは夢物語であったこういった願望も、現代はVR技術を活用することで擬似的に体験できるようになっています。
残念ながらタイムマシンの開発はまだ先になりそうですが、VRであれば今すぐに時を遡り当時の様子を肌で感じられます。
歴史好きはもちろん、歴史教育の一環としてVRを活用した体験学習はおすすめです。
少しでも興味を持ったという方は、ぜひ一度体験してみてください。