Live2Dとは、イラストに動きをつけることができるソフトウェアです。

この技術を使えば、自分の思い通りに動くキャラクターが作れたり、ポーズや視線を簡単に操作できるため、アニメ、ゲーム、動画制作、仮想YouTuber(Vtuber)など、多岐にわたる分野で活用されています。

本記事では、Live2Dの特徴や活用シーン、利用するための方法と学び方についてご紹介しますので、ぜひご覧くださいね。

|Live2Dとは

出典:https://www.live2d.jp/

Live2Dとは、株式会社Live2Dが開発した、2Dのイラストを立体的に動かすためのソフトウェアです。

イラストをパーツ分けして、各パーツを変形させることで、滑らかな動きを実現しています。

そのため、3Dモデルのような表現力がありながら、低コストで制作できるのが特徴です。

この技術は、ゲームやアニメ、Webサイトなど、さまざまなシーンで活用されており、具体的には、以下のような活用例があります。

  • ゲーム内のキャラクターの表情やアクション
  • アニメのキャラクターの表情や動き
  • Webサイトのアイキャッチや広告

イラストの魅力を最大限に活かした表現を可能にする、新しい映像表現技術と言えるでしょう。

|Live2Dの特徴

独自の2Dキャラクターアニメーションを実現できることで、魅力的なキャラクターアニメーションを制作し、視聴者に新たなエンターテイメント体験を提供することが可能なLive2D。

その特徴を以下で深掘りします。

原画そのままを「動かす」技術

通常、3Dモデルを制作するには、3Dモデリングソフトや3Dスキャナーなどを用い、原画を3Dデータに変換する必要があります。

しかし、Live2Dはイラストをそのまま素材として使えるため、3Dデータ変換の手間やコストを削減できます。

これは、プロジェクトの進行スピードを向上させることにも繋がります。

また、原画をそのまま活用しながら、キャラクターのパーツ(目、口、髪、身体など)を独立して操作できるため、キャラクターは2Dのままでありながら、驚くほど自然なアニメーションを実現できます。

原画の美しさやデザインがそのまま保たれ、キャラクターの魅力が損なわれない優れたツールとして、クリエイターに大きな利益をもたらすでしょう。

SDKを利用すれば様々な場所で使える

Live2Dのモデルは、SDKを介して多くのアプリケーションやプラットフォームで利用することができます。

SDKとは、ソフトウェア開発キットであり、独自のアプリケーションやコンテンツでLive2D技術を導入し、活用できるツールです。

まず、Cubism Editorという専用の制作ツールでモデルを制作します。

Cubism Editorで制作したモデルは、Live2DのSDKを介して、UnityやCocos Creatorなどのゲームエンジンや、Webブラウザ、スマートフォンアプリなど、さまざまなシーンで活用することができます。

各SDKは特定のニーズに対応し、開発者やクリエイターに幅広い選択肢を提供します。

|Live2Dの活用シーン

この技術が主に活躍するのは、具体的にどのようなシーンでしょうか?

以下でシーン別に説明しています。

Vtuberモデル制作

この技術は、Vtuber(バーチャルユーチューバー)のモデル制作に活用されています。

Vtuberとは、バーチャルYouTuberの略称で、CGキャラクターがYouTuberとして活動するものです。

Vtuberコミュニティにおいて、個性豊かで滑らかな動きができるアバターを実現し、リアルタイムのコミュニケーションを可能にします。

Vtuberの制作に欠かせないツールとして、多くのVtuberの活躍を支えています。

アニメやゲーム、アプリ制作

また、本技術は、アニメやゲーム、アプリの制作にも活用されています。

アニメでは、キャラクターの表情やアクションに活用することで、より自然で魅力的な表現を実現することができます。

ゲームでは、キャラクターの立ち絵やイベントシーンなどに活用することで、より臨場感のある体験をプレイヤーに提供することができます。

アプリでは、アイキャッチや広告などに活用することで、より目を引くデザインを実現することができます。

バーチャルアシスタント制作

バーチャルアシスタントとは、CGキャラクターが会話や操作をサポートするサービスです。

この技術により、バーチャルアシスタントは自然な動きでリアルな2Dキャラクターとして実現できるため、ユーザーとのコミュニケーションをより効果的にします。

キャラクターの顔や表情、動きをリアルタイムで操作でき、ユーザーに親しみやすい印象を与えます。

ブランドのイメージ向上やユーザーエンゲージメントの向上をサポートします。

デジタルサイネージや広告活用

デジタルサイネージは、店舗内や公共の場所で情報を表示する効果的な手段であり、視線を惹きつけるような表現が重要となります。

本技術を導入することで、静止画やテキストに比べて注目度の高いコンテンツを提供し、広告の訴求力を向上させることができます。

ブランドの知名度向上や商品のプロモーションが効果的に行え、イラストの魅力を最大限に活かした表現を可能にする、新しい映像表現技術として注目されています。

|Live2Dを始めるには

では、「実際に始めてみよう!」という初心者クリエイターの方に、具体的な手順をご説明します。

キャラクターアニメーションを手軽に実現し、新たな表現の世界を体験してみてください。

PCの推奨スペックを確認

動作環境は、メモリ8GBを搭載したグラフィックス制作向けのPCで充分です。

iPadなどのタブレット端末では対応していないため、デスクトップまたはノートPCを選択しましょう。

WindowsMac
OSWindows10, 11(64bit)macOS v10.15以上
CPUIntel Core i5-8600以上
メモリ8GB以上
ハードディスク1GB以上
GPUOpenGL3.3以上
ディスプレイ1,920×1080px 32bitカラー以上
入力対応フォーマットPSD、PNG、WAV
出力対応フォーマットPNG、JPEG、GIF、MP4、MOV
インターネット接続環境ライセンス認証のためネット必須

PRO版とFREE版どちらがおすすめ?

「FREE版」は無料提供されていますが、利用可能なサイズやパーツ数には制限があります。

PROFREE
商用・営利目的での利用一般ユーザーおよび小規模事業者のみOK
テクスチャ枚数無制限100まで
パラメータ数無制限30まで
デフォーマ数無制限50まで
パーツ数無制限30まで
アートパス無制限3本まで
描画順(レイヤーの前後)の設定無制限2まで
メッシュの自動生成のプリセット機能無制限プリセットの追加不可
スナップショットを下絵保存
デフォルトのフォームをロック
リピート機能無制限2まで
メッシュのコピペ
コマ打ち無制限3コマ打ちのみ
アニメーションの動画書き出し無制限(9.4MPまで)最大1280x720px+ロゴ表示

ソフトをダウンロードする

公式サイトからLive2Dソフトのダウンロードができます。

2つの主要なソフトウェアが提供され、「Live2D Cubism Editor」は主にモデリング作業に利用し、「Live2D Cubism Viewer」は主に動作確認や高度な作業に利用されます。

初めての方は42日間PRO版を試せる「トライアル版」が利用できます。

PRO版は年額購入がお得で、年々使用料が割引されるため、長期利用者におすすめです。

学生向けには学割(3年版のみ)も適用されます。

|初心者向け:Live2Dの使い方概要

PCやソフトのダウンロードが完了すれば、あとは実際に使用を開始してみましょう。

主な使用方法の概要は以下を参照してください。

パーツごとに分けた絵をインポートする

Live2Dモデルの制作には、パーツ分けされたイラスト(PSDデータ)が必要です。

パーツは、頭、顔、髪、体、服、手足など、動かしたい部分ごとに分けるのが一般的です。

「CLIP STUDIO PAINT」などのペイントソフトでパーツ分けができたり、クリエイターからLive2D用のイラストやモデルを購入することもできます。

パーツを分けたイラストは、Cubism Editorでインポートします。

各パーツをモデリングする

パーツごとに形状や動きを調整する作業を「モデリング」といいます。

モデリングを行うには、各パーツの「デフォーマ」を設定します。

デフォーマとは、パーツの形状や動きを調整するための機能です。

たとえば、頭の形状を調整するには「頭部デフォーマ」、腕の動きを調整するには「腕デフォーマ」などを使用します。

このようなモデリングを行うことで、頭を大きくしたり、腕を長くしたり、表情を豊かにしたりすることができます。

トラッキングソフトでモデルを動かす

モデルを動かすには、トラッキングソフトを使用します。

トラッキングソフトとは、カメラで撮影した画像や動画から、人の動きを検出するソフトウェアです。

これにより、カメラで撮影した画像や動画に合わせて、モデルを動かすことができます。

このソフトにはさまざまな種類があり、それぞれに異なる特徴があります。

初心者向けには、「VTuber Studio」などの無料のトラッキングソフトがおすすめです。

|Live2Dを学ぶためには?

「Live2Dに興味があるけど、なんだか難しそう…」という初心者の方には、書籍、Webコンテンツ、オンラインスクールなどで学ぶことをおすすめします。

具体的な方法は以下で説明しています。

書籍

「Live2Dの教科書 静止画イラストからつくる本格アニメーション」

著者:株式会社サイドランチ、Crico株式会社 癸のずみ

出版社:エムディエヌコーポレーション

Live2D社の監修のもと、Cubism 4の新機能も詳しく解説されています。

初心者でも、ステップバイステップでモデリングとアニメーション制作の基本を学びながらLive2D Cubism Editorの仕組みを理解できます。

Webコンテンツ

公式サイト(https://www.live2d.com/)には、インストール手順やエディタの使い方、モデリングの詳細なマニュアルが提供され、初心者でもスムーズに操作できます。

また、公式のYouTubeチャンネルでは、チュートリアル動画が公開され、仕組みや作業手順をビジュアルで学ぶことができます。

ユーザーコミュニティも活発で、ユーザー同士が情報交換や質問応答を行い、公式スタッフへの提案や要望も共有できます。

オンラインスクール

「イラストを動かすLive2D入門講座」

https://www.palmie.jp/courses/145/lp?aff_id=zukan_145

オンラインの動画配信形式で提供されています。

場所や時間に縛られずに受講でき、初心者でも理解しやすい内容で、イラストの準備から顔の表情作成、アニメーション制作、VTuberのような動き方まで詳しく解説されています。

他には、Udemyなどのオンライン学習プラットフォームでも有料講座が提供されています。

|まとめ

ここまで、Live2Dの特徴や活用シーン、利用するための方法と学び方をご紹介してきました。

本ツールは、イラストをそのまま素材として使えるため、3Dモデルのような滑らかで表現力のあるキャラクターを、低コストで制作することができます。

これを活用することで、イラストの魅力を最大限に活かした表現が可能になります。

興味のある方は、ぜひLive2Dの勉強を始めてみてはいかがでしょうか。