日本の創作物は現在、国内だけではなく世界中へと発信されています。

その作品は大手出版社や映像制作会社を通じて提供される大々的なものから、少人数もしくは1人で制作する小規模なものまで多種多様。

イラストから漫画、フィギュアからゲームまであらゆる創作物があらゆる場所で日常的に創られています。

現代のようにインターネット環境が整うまでは、そういった制作物は個人間のみで楽しむしかありませんでした。

しかし、現在ではSNSといったネットを通じて、文字通り全世界へとその創作物が発信されています。

そして、現在は個人の作品が気軽に販売できる環境が存在するのです。

本記事では、創作物の総合マーケットである「BOOTH」について、その概要から始め方までを紹介します。

「自身の作品を発信、販売したい」と考える方と、「色々な作品を知り、購入したい」という方を結びつける画期的なサービス。

ぜひ最後までご覧ください。

|創作総合マーケットBOOTH

出典:https://booth.pm/ja

「BOOTH」は様々な創作物を販売することを目的として、インターネット上にクリエイターのオリジナルショップを作れるサービスです。

ビジネスの流れとしては、個人間取引である「CtoC(Consumer to Consumer)」をイメージしていただければ分かりやすいかもしれません。

こういった個人間での作品のやり取りは、メルカリといったサービスでも可能ですが、「BOOTH」の場合はその用途をより狭めています。

「創作活動している人」を想定しており、メルカリなどのような不用品やリサイクル品を販売するといったことは考えていないのです。

つまり、「BOOTH」へ出品している人はすべてクリエイターやアーティスト、同人サークルといった幅広い創作者ということ。

その分ジャンルも細分化されていますので、初めて「BOOTH」を訪れた人はあまりの複雑さに少し戸惑ってしまうかもしれません。

それだけ様々な需要を満たす作品が多く販売されているということであり、この複雑性は「BOOTH」が持つ魅力の1つといえます。

「BOOTH」には様々な特徴が存在していますが、中でも特にお伝えしたいクリエイターにとっての魅力を以下の内容に沿って解説します。

  • 手数料を押さえて作品の頒布が可能
  • 無料ファイルアップローダーとして利用
  • 無在庫での販売が実現

手数料を抑えて作品の頒布が可能

「BOOTH」の利用でクリエイターが受けられる恩恵として、非常に大きい点は手数料を抑えられるという点でしょう。

類似した他サービスを利用する場合、一例としてですが一般的に以下のような手数料が発生します。

  • 同人系サービス:20%〜40%
  • ハンドメイド系サービス:10%〜20%

10,000円の商品が売れたとしても、クリエイターの手元に残る金額は6,000円〜8,000円程度。

このように、差額は全てサービス運営側に取られてしまうのですが、「BOOTH」を通して販売すれば5.6%+22円という価格に抑えられます。

さらに、ショップ開設にかかる初期費用や月額料金といった費用も必要ないのです。

従来、クリエイターと消費者の間では、物理的なイベントなどを通じて気軽な作品売買が行われていました。

「BOOTH」はそういった環境をネット上でも再現することを想定しており、販売側であるクリエイターと購入者を繋げ、取引の成立まで進めることを承認しているのです。

クリエイターは単に自身の作品を公表し、購入者が反応、直接の作品交換といったアクションが発生したとしても、「BOOTH」は一切関与しないというルールになっています。

以前から存在していた創作関連のイベント文化を踏襲し、ネット上に上手く再現した形だといえるでしょう。

無料ファイルアップローダーとして利用

「BOOTH」で販売できる作品は多種多様です。

そのため、データ容量が重くなる動画や音声といった作品も多数存在しています。

このような作品をオンラインでやり取りする場合、大容量に対応したファイル送信サービスを利用しなければいけません。

しかし、「BOOTH」にはこういったファイルのダウンロード機能も搭載されています。

動画や音声、ゲームといったダウンロード商品の価格を「0円」に設定する場合、「BOOTH」は事実上無料ファイルアップローダーとして活用できるのです。

「BOOTH」内ではこの機能を活用し、様々な合わせ技が行われています。

一例として、ゲームを頒布する場合において、体験版を「0円」に設定し、製品版には正規の価格を設定します。

結果として、体験版と製品版2種類の販売を同一ショップで提供できるのです。

無料ファイルアップローダー機能は、紙媒体の書籍といった物理的な商品に対するおまけとして追加することもできます。

そのため、書籍が手元に届く前にPDFで配布し、いち早く読んでもらうといった対応も可能。

購入者に対する配慮や、飽きさせないきっかけ作りとしても活用できるのです。

無在庫での販売が実現

クリエイターが抱える悩みの中で、「在庫リスク」は避けられません。

書籍といった紙媒体の作品の場合、印刷料を支払った後に売れ残ってしまうと大きな赤字になってしまいます。

「BOOTH」ではこういった状況を避けるために、「pixivFactory」と呼ばれるサービスを並行活用しています。

「pixivFactory」を利用することで、クリエイター側は作品の受注生産といった対応が手軽に可能になるのです。

また、「BOOTH」の倉庫機能には「倉庫に後から入荷」という設定が存在します。

こちらを利用することで、購入希望者が一定数に達した時点で印刷業務に取り掛かるといった対応が実現できます。

売り切り分のみの経費で済みますので、赤字リスクを抱えて印刷するといった対応を避け、無在庫での販売が可能となるのです。

|BOOTHで販売されている作品一例

様々な創作活動の受け皿である「BOOTH」には、多種多様な作品が存在しています。

単なる売り買いを超越した、遊び心のあるマーケットプレイスとして以下のような作品が売買されています。

  • 漫画
  • イラスト
  • ファッション
  • 音声作品(ASMR)
  • ゲーム
  • 3Dモデル
  • 写真
  • 映像作品
  • ぬいぐるみ
  • ドール
  • コスプレ

上記は「BOOTH」で取り扱われている作品のごく一部です。

他にも「エコバッグ特集」や「いぬねこ特集」、「アナログゲーム特集」といったコアなファンを対象とした作品も集まっています。

そのため、「こんな作品読みたいな」や、「こんな作品あったらいいのに」といった需要にも対応する可能性は非常に高いといえるでしょう。

もちろん、販売側としても普段出会えないニッチなファンと繋がれるかもしれません。

ぜひ一度「BOOTH」を覗いてみて、どんな作品が扱われているのか確認してみてください。

|BOOTHの始め方

販売側として「BOOTH」を始める方法について、以下の項目に沿って解説していきます。

  • ユーザー登録
  • 登録情報の入力
  • 商品を登録
  • BOOTH Appsでショップを強化
  • 取引の流れ

ユーザー登録

ユーザー登録として、以下の情報を入力しましょう。

  • メールアドレス
  • パスワード
  • サブドメイン

サブドメインとは、「BOOTH」上に表示されるアドレス名を指します。

「https://『サブドメイン設定箇所』.booth.pm」

上記のような表記となりますので、ショップイメージに応じた単語を入力することをおすすめします。

また、pixivIDを所有している場合はそちらの情報からログインすることも可能です。

登録情報の入力

まずは、自身のショップ名と詳しい紹介文を記入します。

購入検討者が見た時、どのようなお店であり、どんな商品を取り扱っているのかが分かりやすく伝わることを心がけましょう。

そして、ショップオーナーとなる自身の連絡先、金銭の振込先などの情報入力に進みます。

ショップオーナーに関する情報は購入者も始め、外部に公開されることはありませんので安心してください。

最後にショップデザインを設定します。

デザインについては事前に用意されたテンプレートから選択するだけで、整ったレイアウトが誰でも簡単に手に入ります。

取り扱う商品やイメージに適したデザインを選択しましょう。

商品を登録

ショップのメインとなる商品の登録ですが、主に以下の項目に分けられます。

  • 自宅から発送する物販商品
  • 倉庫から発送する物販商品
  • ダウンロード商品
  • オンデマンド販売(製造代行商品)

これらは自身が取り扱う商品によって、使い分ける必要がありますので注意しましょう。

基本的には商品名を入力し、写真をアップロード、価格を設定する点は共通しています。

しかし、オンデマンド販売のみ「pixivFactory」を通じたデータ作成が必要となりますので、こちらを利用する場合はよく確認する必要があります。

BOOTH Appsでショップを強化

「BOOTH」上で開設したショップはそのままで十分に利用できますが、「BOOTH Apps」と呼ばれる機能拡張サービスを利用することで、より利便性の高いショップが実現します。

「BOOTH Apps」で提供されている各機能に月額料金が発生しますが、よりショップの売上向上を検討する場合は利用すべきサービスとなっています。

ダウンロードできるファイル容量の増加、商品リストの作成からリスト化、検索機能の強化などが存在していますので、取り扱い商品に応じて検討することをおすすめします。

取引の流れ

ショップに掲載した商品は、消費者を通して注文が入ります。

商品発送は消費者の支払いが完了した時点で始まりますので、金銭トラブルを未然に防ぐことができます。

代金は一時的に「BOOTH」が預かり、取引完了次第ショップへ支払われる形です。

ダウンロード商品の場合は消費者が直ぐに受け取り完了しますので、実際の流れは商品に応じて異なりますので注意しましょう。

売上の総額が翌月1日にメールで通知され、末日にまとめて振込が完了します。

|AI生成作品への対応

2023年5月、「BOOTH」はAI生成作品に対する対応方針を発表しました。

内容としては、人間もしくはAIが作ったかを問わず、他作品と類似した作品は検索結果から除外するというものです。

近年「BOOTH」内では、AIを利用して大量生成した作品の出品が目立ってきたといいます。

低い生産コストで出品された作品によって、利用規約やガイドラインに違反する例が目立つことから、健全なサービス運営が阻害されているのです。

結果として、「制作の過程を問わず、同様の行為があれば、AI生成に限らない問題として解決していく所存」という対応を取らざるを得なくなりました。

生成AIに対する方針がどう変化するか不明ですが、現状としては人間が作った場合でも類似する作品は除外されてしまいます。

そのため、よりオリジナリティの高い作品が求められるようになるでしょう。

|まとめ

国内の様々なクリエイターを対象に、作品売買の場を提供している「BOOTH」について紹介しました。

日本にはプロ、アマ問わず数多くのクリエイターが存在しています。

そしてそういった方々の作品を受け入れ、楽しむという土壌も成熟しているといえるでしょう。

これまで日本からは世界的に有名になる作品が数多く生まれてきました。

「BOOTH」を通じて今後ムーブメントを起こす作品が発信されることは十分に考えられるでしょう。

ぜひ一度「BOOTH」を利用し作品の発信、もしくは好みのクリエイターを見つけてみてください。