AI(人工知能)を使って生み出されたバーチャルなインフルエンサーが最近注目されているのはご存じですか?

AIインフルエンサーと呼ばれ、すでに多くのキャラクターが登場しており、目にしたことがある方も多いでしょう。

実在する人間と比べて自由度の高さ、コストの低さ、リスクの少なさというメリットがあります。

AI技術の進化によって、ますますリアルで魅力的なキャラクターが作られるようになっており、一目見ただけでは実在する人間と区別がつかないレベルです。

この記事では、AIインフルエンサーの作り方と、実際に活躍しているAIインフルエンサーの事例を紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

|AIインフルエンサーとは

AIインフルエンサーとは、CG(コンピュータグラフィックス)やAI(人工知能)などの技術を使って作られた架空の人物で、SNSや動画サイトなどで活動するインフルエンサーです。

架空の存在ではありますが、趣味や好み、日常生活などを発信することで、ファンとのコミュニケーションを深め人気を集めています。

商品やサービスの紹介やレビューなども行い、マーケティング効果を狙ううえでも注目されている存在です。

インフルエンサーマーケティングは、SNSや動画サイトなどで多くのファンを持つ人気者に商品やサービスを紹介してもらうことで、消費者の購買意欲を高める方法です。

人がインフルエンサーになるには、高い魅力や個性が必要で、誰でも簡単になれるものではありません。

その点、AIインフルエンサーであれば、自由度が高く、ブランドイメージに合わせたカスタマイズができ、企業のイメージに沿った広報活動につなげられるでしょう。

実在する人と比べて、多様な表現や設定が可能なことも魅力のひとつと言えますね。

また、契約や報酬などのコストが低く抑えられることや、不祥事やトラブルなどのリスクが少ないこともメリットになるでしょう。

|AIインフルエンサーの作り方

AIインフルエンサーを作るには、主に以下の3つのステップが必要です。

・顔を作成

・声を作成

・顔と声を合成

それでは、ひとつずつ解説していきます。

顔を作成

まずは、顔を作成していきましょう。

文字通りブランドイメージの「顔」となるので、納得いくものを作成したいですね。

作成には、画像生成AIを利用するのがおすすめです。

Stable DiffusionやMidjourneyが代表的といえるでしょう。

画像生成AIを使えば、まるで本当に実在しているような人物の画像を作成することができます。

作成時の命令文を工夫すれば、細かな調整も可能です。

年齢や性別、顔のパーツを調整し、オリジナルのAIインフルエンサーの顔を作成していきましょう。

自分でうまく作成できないときは、画像生成AIで作成された画像と、作成時の命令文が公開されているサイトもあるので、そちらを利用してみるのもよいですね。

声を作成

次に、声を作成していきましょう。

人の印象に残るためには、どんな声をしているかも重要になります。

AIインフルエンサーの声は、音声合成技術や音声変換技術などを使って作成します。

代表的なツールとしては、CoeFontやMYCOEIROINKなどがあります。

音声合成技術とは、テキストや画像などから音声を生成する技術で、自然で滑らかな音声や、個性的な音声や歌声などを生成することができます。

音声変換技術とは、音声の特徴量を変換することで、音声の質やトーンやアクセントなどを変化させる技術です。

音声変換技術を使えば、実在する人物の声や自分の声を別の人物の声に変えたり、年齢や性別や感情などを変えたりすることができます。

これらの技術やツールを使って、オリジナルのAIインフルエンサーの声を作成していきましょう。

印象に残る声を作成できれば、商品やサービスの宣伝に一役買ってくれるに違いありません。

顔と声を合成

最後に作成した顔と声を合成していきましょう。

人物静止画の口を、話してほしい文章に合わせて動かす技術を利用します。

代表的なものとして、Creative Reality Studio やSadTalkerというツールが有名です。

静止画と話してほしい文章があれば動画を作成してくれるため、とても便利なツールといえますね。

静止画であっても話し方に合わせて口の中が見えたり、顔の向きを変えたりと自然な動きの動画を生成してくれます。

オープンソースとして公開されているものは無料で試してみることができますよ。

遊び感覚で利用してみるのも楽しいかもしれませんね。

|AIインフルエンサー作りのツール

AIインフルエンサーを作るためには、さまざまな技術が必要ですが、すべて自分で開発する必要はありません。

現在では、Web上に多くのツールが公開されており、誰でも簡単に利用することができますよ。

作成に係るツールとしては以下のものが必要になります。

・画像生成

・動画生成

・文章生成

・音声合成

この4つについてのツールをいくつか紹介しますので、参考にしてくださいね。

画像生成

まずは画像生成のツールについて紹介します。

以下が代表的なツールとして有名です。

・Stable Diffusion

・Midjourney

・DreamStudio

・DALL•E2

画像生成とは、入力したテキストなどから新しい画像を生成する技術です。

無料で利用できるものも多いので、まだ触れたことがないという方はぜひ一度体験してみてください。

動画生成

つぎに動画生成のツールについて紹介します。

以下が代表的なツールになります。

・Creative Reality Studio

・SadTalker

・GEN2

動画生成技術とは、画像や音声などから動画を生成する技術です。

静止画像の人物の口を、音声に合わせて動かすようにできますよ。

文章生成

つづいて文章生成のツールについて紹介します。

OpenAIがリリースしているChatGPTシリーズが有名ですね。

メディアでも取り上げられることが多いので、ご存知の方も多いでしょう。

・ChatGPT-3.5

・ChatGPT-4

文章生成技術は、テキストで指示を出すことで、指示内容に沿った文章を生成する技術です。

文章生成は、コンテンツ制作において重要な役割を果たしてくれます。

ディープラーニングという学習方法によって、ひとつの人格を作り上げることもできるでしょう。

音声合成

最後に音声合成のツールについて紹介します。

以下が代表的なツールです。

・CoeFont

・MYCOEIROINK

・Text-to-Speech

好みの音声に、テキストを入力することで読み上げてくれるようになります。

技術が発達にともなって、より自然な発音を再現できるようになってきています。

音声合成技術は、AIインフルエンサーの表現力や魅力を高めるために必要な技術といえるでしょう。

無料で利用できる音声もあるので、まずはそちらから試してみるのもいいかもしれませんね。

|AIインフルエンサーの実例

すでに世界中で多くの実例があり、活躍しているAIインフルエンサー。

ここからは、代表的なAIインフルエンサーについて紹介していきますね。

ぜひ一度チェックしてみてください。

imma

出典:https://www.facebook.com/imma.official/

immaは、日本発の「バーチャルヒューマン」として活動している人気のインフルエンサーです。

2018年からSNSを中心に活動を始めており、すでに多くの企業のCMやブランドモデルとしても起用されています。

SNSの総フォロワー数は100万人を超え、2020年東京パラリンピックの閉会式にも登場するなど活躍の場を広げています。

有名ブランドやファッション誌などからも注目されており、マーケティングやプロモーション活動においても高い影響力が感じられますね。

バーチャルのためデジタルとの親和性が高く、メタバースでのデジタルファッションショーなどでの活躍も期待されています。

immaは、顔はCGですが体は実在する人物がベースとなっているそうで、「体のベースは誰なのか」というのもファンを惹きつける要素になっているかもしれませんね。

Lil Miquela

出典:https://www.facebook.com/lilmiquela/

つづいて紹介するのが、「Lil Miquela」です。

AIインフルエンサーの先駆けと言われており、世界中から愛されているインフルエンサーです。

2016年に「Brud」というシリコンバレーの企業から発表され、2023年9月現在のinstagramフォロワー数は約275万人という人気ぶりとなっています。

誰もが知るような高級ブランドともコラボしており、影響力の高さはAIインフルエンサーのなかでも随一といえるでしょう。

彼女の投稿はとてもカラフルで、見るだけで明るい気持ちにさせてくれますよ。

SARI

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000035388.html

ChatGPTとStableDiffusionを組み合わせて生成されたのが、「SARI」です。

「AI女子大生」として活動しており、LINEで友達登録すれば、日常会話だけでなく恋愛相談や人生相談、占いまでしてくれますよ。

ChatGPTを活用したチャットによって、より自然な会話を楽しむことができるでしょう。

有料プランであればチャットだけでなく、画像をリクエストすることも可能です。

StableDiffusionによって生成されたハイクオリティな画像からは、実在しているような印象を受けるでしょう。

LINEで友達登録すれば、人には打ち明けにくい悩みなども、AI女子大生がすぐに返事をくれるでしょう。

気になった方は一度試してみてはいかがでしょうか。

Caryn Marjorie

出典:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2305/15/news112.html

Caryn Marjorie自身は実在する人物で、ソーシャルメディアインフルエンサーです。

彼女が自分自身の分身として作成した「CarynAI」というキャラクターが、AIインフルエンサーとして人気を集めています。

Caryn Marjorieは、「Forever Voises」という著名人の音声合成サービスと「GPT-4」を使って自分のAIバージョンを作成しました。

自身が動画配信サイトに投稿していた2000時間以上もの動画から学習させ、性格や話し方が本物そっくりのキャラクターが生み出されており、肉声と区別がつかないと言われるほどのクオリティです。

ファンとの対話や音声チャットを行っており、1分1ドルで話せる有料サービスでは、なんと1週間で約1000万円もの収益を上げたというので驚きですね。

AIとはいえ、あまり失礼な態度を取っていると彼女に振られてしまうこともあるそうですよ。

AIひろゆき

出典:https://hiroyuki.coefont.cloud/ai_hiroyuki

匿名掲示板サイトである2Chの創始者として有名なひろゆきさんをベースにしているのが、「AIひろゆき」です。

国内ではじめてとなる実在する人物のAIアバターとなっています。

ひろゆきさんが話しそうな内容をChatGPTに学ばせ、CoeFontで声を再現することで、本人が話しているような動画が作成されているようです。

声・画像・動画まですべてAIによって生成されているのが特徴といえるでしょう。

株式会社CoeFontからは「おしゃべりひろゆきメーカー」というサービスも提供されていますので、一度試してみてはいかがでしょうか。

|まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の記事では、AIインフルエンサーの作り方と、実際に活躍しているAIインフルエンサーの事例について紹介しました。

AIインフルエンサーに興味が湧きましたか?

メディアへの露出も増え、マーケティングの分野でも今後の活躍が期待されています。

普段の生活のなかでも、目にする機会もさらに多くなっていくことでしょう。

この機会に、AIインフルエンサーのSNSをフォローして、デジタルのこれからの可能性について想像するのも面白いかもしれませんね。