ChatGPTやStableDiffusionといった生成AIが登場したことで、プロンプトエンジニアとよばれる職業に注目が集まっています。

新しく注目されている職業であり、興味はあるが詳しくわからないという方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、プロンプトエンジニアが実施する仕事内容や必要なスキルについて紹介していきます。

ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてくださいね。

|プロンプトエンジニアとは

プロンプトエンジニアとは、生成AIに対して指令を出すエンジニアを指します。

生成AIが出す答えのクオリティをあげることを主な目的としています。

生成AIはテキストや画像などを自動で生成してくれる便利なツールですが、完成品の内容は入力の仕方によって変わります。

例えば、StableDiffusionという画像生成AIで犬の画像を生成するとしましょう。

「犬」だけを指令するのと、「小さい茶色の犬」という指令では違う画像が生成されるのがイメージできるのではないでしょうか。

欲しい答えに対して、適切な指令(プロンプト)を考え、生成AIから最適な答えを引き出せるようにするのがプロンプトエンジニアといえるでしょう。

職業としてなるためには、このような生成AIを使いこなすために必要なスキルや知識を持っておく必要があります。

自然言語処理や機械学習などのテクノロジーのスキルや、文章力や言語能力などが求められるでしょう。

近年、AIの発展に伴ってプロンプトエンジニアの需要も高まっており、今後も注目される職種です。

|プロンプトとは

プロンプトとは、生成AIに入力するテキストや画像などのデータのことです。

どのような出力を生成するかを決める重要な要素です。

例えば、「猫」と入力して指令すれば、猫に関する文章や画像を出力してくれるでしょう。

つまり、プロンプトは生成AIに対する指令や質問として機能するものになります。

生成AIとコミュニケーションをとるための手段といえるかもしれませんね。

|プロンプトエンジニアの仕事内容

プロンプトエンジニアが行う仕事の内容は主に以下の3つです。

・プロンプト設計

・プロンプト最適化

・AIモデル分析

ひとつずつ解説していきますので、参考にしてくださいね。

プロンプト設計

まずはプロンプト設計について解説していきます。

プロンプト設計とは、生成AIに指令する入力データ(プロンプト)の形式や内容を決めることをいいます。

例えば、「動物がたくさん出てくる可愛い絵を描いて」というような文章から画像を生成する場合、どんな動物が出てくるか、どんな色使いをするかなどを考えます。

また、検索システムに指令する検索条件のように、単語やフレーズを組み合わせた条件式を入力する場合もあるでしょう。

プロンプト設計では、生成AIの特性や性能を把握し、利用者のニーズや目的に応じて最適なものを作成することが求められます。

プロンプト設計のコツは、AIに対して明確で具体的な指令を与えることです。

あいまいな指令内容では、生成AIが意図しない結果を出力する可能性が高くなるでしょう。

プロンプト最適化

プロンプト最適化とは、生成AIに指令する入力データ(プロンプト)の品質や効果を評価し、改善することです。

先ほどの例でもあったように、「動物がたくさん出てくる可愛い絵を描いて」という指令内容で生成された画像があったとします。

動物が少なかったり、可愛くなかったりする場合、指令する内容を修正してより良い画像を生成できるようする必要がありますね。

また、生成AIの出力結果に対してフィードバックして、学習を促す場合もあるでしょう。

プロンプト最適化では、生成AIの出力結果を客観的に分析し、評価の指標や基準を設定することも必要です。

また、生成AIの内部構造やアルゴリズムを把握し、どのような指令内容が効果的であるかを判断することも重要となるでしょう。

AIモデル分析

AIモデル分析とは、生成AIの性能や特徴を調査し、解釈することです。

先ほどからの例でいうと、「動物がたくさん出てくる可愛い絵を描いて」という指令内容で生成された画像があるとします。

そこにどのような動物がどのような割合で含まれているか、どのような色彩や構図が採用されているかなどをテストしたり分析したりします。

また、どのようなデータから学習したのか、どのような処理を行っているかなども調査します。

また、なぜこのような答えを出したのかを説明できるようにすることも重要です。

それによりユーザーからクレームがあった場合も、適切に対応できるようになるでしょう。

|プロンプトエンジニアに必要なスキル

プロンプトエンジニアになるために必要なスキルは主に以下の4つです。

・AIの知識

・自然言語処理知識

・プログラミングスキル

・文章・言語能力

それではひとつずつ解説していきますね。

AIの知識

AIの知識とは、人工知能の基本的な概念や原理、種類や応用分野などを理解することです。

特に生成AIに関する知識は必須といえるでしょう。

生成AIには様々なモデルや手法があり、それぞれに特徴や長所・短所があります。

例えば、ChatGPTのような大規模な言語モデルは文章の生成に優れています。

しかし、画像や音声など他の形式のデータに対応する場合は別の生成AIが必要となるでしょう。

また、生成AIは学習データやパラメーターの設定によって出力結果が大きく変わります。

そのため、生成AIの仕組みや性能を把握し、目的に応じて適切なモデルを選択・利用できるようにしておくことが、プロンプトエンジニアへの第一歩といえるかもしれませんね。

自然言語処理知識

自然言語処理知識とは、人間が日常的に使っている言語をコンピューターに理解させたり、生成させたりする技術に関する知識になります。

自然言語処理は、生成AIの入力データ(プロンプト)や出力データ(文章や画像など)の形式や内容を決めるうえで重要な役割を担っています。

文章から画像を生成する場合、文章の意味や文法を正しく解析し、画像に反映させることが必要になりますね。

反対に、画像から文章を生成する場合であれば、画像の特徴や構成を把握し、適切な言葉や文体を選択させることが必要になります。

また、自然言語処理に関する様々な手法やツール、ライブラリなどを使いこなすことも重要となってくるでしょう。

プログラミングスキル

プログラミングスキルとは、コンピューターに対して指令や命令を与えるための言語や方法を使える技術のことをいいます。

プログラミングスキルは、生成AIの入力データ(プロンプト)や出力データ(文章や画像など)の作成や加工、評価や分析などに必要となるでしょう。

例えば、プロンプトを記述する場合、自然言語だけでなく、条件式や変数、関数なども用いることがあります。

また、生成AIの出力結果を改善していく場合、フィードバックやパラメーターの調整なども行うことがあります。

プログラミングスキルでは、PythonやJavaScriptといった一般的なプログラミング言語だけでなく、LaTeXやMarkdownといったマークアップ言語も使える技術が求められます。

また、生成AIに関連するライブラリやフレームワークなども習得することが必要です。

文章・言語能力

文章・言語能力とは、自然言語で正確でわかりやすい文章を書くことができる能力のことです。

文章・言語能力は、生成AIの入力データ(プロンプト)や出力データ(文章や画像など)の品質に直接影響します。

プロンプトを記述する場合、AIに対してわかりやすく具体的な指令を与えることが必要になります。

また、生成AIの出力結果を評価する場合、客観的で論理的な文章で分析することも求められるでしょう。

文章・言語能力では、文法や語彙、文体や表現などを正しく使えることが求められます。

加えて、生成AIの対象となる言語や分野に関する知識や理解も必要です。

例えば、日本語と英語では文法が違いますし、文学と科学では用語や文体が異なります。

そのため、生成AIの目的やユーザーに応じて適切な言語や文章を選択・作成できることが重要になるでしょう。

|プロンプトエンジニアのなり方

プロンプトエンジニアになるためには、上記解説したようなスキルを身に付ける必要があります。

しかし、まだ新しい職業ということもあり、専門的な知識を得られる場が少なく、独学や実践を通してスキルを磨いていくことが多くなるでしょう。

ここでは、プロンプトエンジニアになるための具体的な方法をいくつか紹介します。

簡単なプロンプトを作成してみる

プロンプトエンジニアになるための最初の一歩として、簡単な指令を作成して生成AIに投げかけてみましょう。

生成AIはインターネット上に無料で利用できるものも多くあるので活用してくださいね。

ChatGPTやStableDiffusionなどは、指令内容を入力するだけで、すぐに文章や画像を出力してくれます。

自分でプロンプトを入力して生成AIの出力結果を見ることができるため、自分へのフィードバックにもなりますね。

実際にプロンプトを作成することは、生成AIの特性や性能を把握することにつながります。

また、プロンプト設計や最適化のコツを掴むことへの近道となってくれるでしょう。

自然言語処理/プログラミングスキルを身に付ける

簡単なプロンプトを作成してみた後は、自然言語処理及びプログラミングのスキルを身に付けていきましょう。

オンラインで学べる教材やコースが豊富にありますので、ぜひ活用してくださいね。

様々なレベルや分野のコースが提供されているため、自身のレベルに合ったものを選んでいきましょう。

基礎的な知識から応用的な技術まで学ぶことが可能で、実際にコードを書いて実行したり、課題やテストに挑戦したりすることで、確実にスキルを身に付けることができるでしょう。

資格を取得する

つぎに資格を取得することも有効ですね。

資格は、自分のスキルや知識を客観的に証明するだけでなく、自身やモチベーション向上にもつながるので、取得しておくことは自身に有利に働いてくれるでしょう。

AI関連の資格としては、深層学習や機械学習に関する知識や技術を認定するものがあります。

また、英語のコミュニケーション能力を測るTOEICやTOEFLといった資格も効果的です。

資格を取得することは簡単なことではありません。

しかし取得しておけば有利になることは間違いありません。

自分の目標やレベルに合った資格を選択し、計画的に準備していきましょう。

ポートフォリオを作成する

ポートフォリオを作成しておくこともおすすめです。

ポートフォリオとは、自分の作品や実績をまとめたものになります。

自分のスキルや経験を具体的に示すことができ、自分の個性や特徴を表現することもできます。

作成したプロンプトや生成AIの出力結果などをポートフォリオにまとめておくことで、自身のプロンプト設計や最適化、AIモデル分析などのスキルを示すことができるでしょう。

ウェブサイトやブログなどを利用すれば簡単にオンラインで実力を公開することができます。

ポートフォリオは定期的に更新し、最新の作品や実績を反映させておくことが重要です。

プロンプトエンジニアの求人に応募する

ポートフォリオなどの準備が整ったら、求人を探して応募していきましょう。

まだまだ新しい職業であり求人数はそこまで多くありません。

しかし、AI技術の発展にともなって需要は高まっていくでしょう。

OpenAIやHugging Faceといった生成AI関連の企業や組織では、プロンプトエンジニアの採用を行っていますし、生成AIを利用したサービスやアプリケーションを開発・提供している企業や組織でも、採用を行っている場合があります。

求人に応募するためには、自分のスキルや経験をアピールすることがなにより必要となってくるでしょう。

履歴書や職務経歴書だけでなく、ポートフォリオや資格なども活用していきましょう。

また、面接や試験では、自分のプロンプト設計や最適化、AIモデル分析などのスキルを実際に示すことが求められるかもしれません。

事前準備をしっかりして臨むようにしてくださいね。

|プロンプトエンジニアの将来性

プロンプトエンジニアは、生成AIの可能性を最大限に引き出すために重要な職業です。

生成AIは、今後も進化し、様々な分野で活用されることが予想されます。

教育や医療、芸術や娯楽などの分野で、生成AIが新しい価値やサービスを生み出すことができれば、新しい発見や発想につながっていくでしょう。

プロンプトエンジニアは、生成AIの入力データ(プロンプト)の設計や作成を行うことで、生成AIの出力結果の内容や質を向上させることが求められます。

また、生成AIの出力結果の評価や分析を行うことで、生成AIの性能や特徴を解釈することができます。

プロンプトエンジニアは、人と生成AIをつなぐインターフェースとして機能し、生成AIの利用価値や社会的影響を高めることができるでしょう。

|まとめ

いかがでしたでしょうか。

プロンプトエンジニアの重要性についておわかりいただけたのではないでしょうか。

今後AIの技術はますます発展していくことが予想され、ビジネスだけでなく日常生活においても重要な役割を担うようになるかもしれません。

そうなればプロンプトエンジニアの重要性も増していくでしょう。

興味のある方はぜひチャレンジしてみてくださいね。