近年、自然言語処理技術の進歩により、大規模言語モデルの性能が飛躍的に向上しています。
そんな中、Stability AIが開発した「StableLM」が注目を集めています。
この言語モデルは日本語と英語に対応しており、従来のモデルと比べて、より正確で自然なテキストを生成する能力を備えています。
本記事では「StableLM」の特徴や使い方まで詳しく解説しますので、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。
目次
|StableLMとは
StableLMは、2023年8月に公開された日本語と英語に対応した大規模言語モデル(LLM)で、従来のモデルと比べて、より正確で自然なテキストを生成する能力を備えています。
開発の背景には、自然言語処理技術の進歩やオープンソースの普及などが挙げられます。
近年、自然言語処理技術は急速に発展しており、LLMの性能も大幅に向上しています。
また、開発には膨大なデータと計算リソースが必要となりますが、オープンソースの普及により、これらのリソースを容易に利用できるようになりました。
これらの要因によってStableLMのようなLLMの開発が容易になったのです。
|大規模言語モデル(LLM)とは
大規模言語モデル(LLM)は、膨大な量のテキストデータを学習に活用した自然言語処理モデルの一種です。
この技術はテキスト生成、翻訳、質問応答など多岐にわたるタスクに高い精度で対応できることが特長です。
その高い言語処理能力と汎用性から、LLMは多くの分野で活用されています。
また、データ量の増加や技術の進歩に伴い、その性能は着実に向上しています。
将来的にもLLMは進化し続け、テキスト生成、翻訳、質問応答など様々な分野での活用が期待されており、革新的な技術として注目され続けることが予想されます。
また、進化していくにつれ、情報処理やコミュニケーションの向上にも大きく貢献してくれる革新的な技術と言えます。
|他の大規模言語モデルとの違い
StableLMで注目したいのが、他のモデルと比べてパラメーター数が大幅に少ない点です。
30億個と70億個のパラメーターを持つ2つのモデルは、これまでのOpenAIのGPT-3(1,750億個)やGoogleのBard(1,370億個)と比べると、とても小さいサイズです。
学習は、EleutherAIの「The Pileデータセット」を基に構築された新しいトレーニングデータを使用します。
このデータセットは、The Pileデータセットの3倍の規模で、1.5兆トークンにも及びます。
そのため、従来よりもコンパクトながらも、高い回答精度の実現を可能にしています。
|StableLMの特徴
StableLMには様々な特徴がありますが、ここでは5つの特徴をあげ、それぞれ順番に解説していきます。
オープンソースを採用
StableLMは、誰でも自由にソースコードをダウンロードして、自分のアプリケーションやサービスに組み込むことができるオープンソースで提供されています。
このオープンソース採用により、以下のメリットを享受することができます。
透明性:モデルの内部構造や学習方法を理解しやすくなる。
拡張性:ユーザーのニーズに合わせてモデルをカスタマイズしやすくなる。
コミュニティの活性化:開発者や研究者がStableLMの改善や機能拡張に取り組みやすくなる。
以上のように、オープンソースの採用には多くのメリットがあり、モデルの信頼性や汎用性の向上、そしてコミュニティの活性化につながると期待されます。
アクセスのしやすさ
StableLMは、APIやWebサービスとして提供されており、プログラミングの知識やスキルがなくても誰でも簡単に利用することができます。アクセス方法は、以下の2つです。
- APIによるアクセス:APIキーを取得することで、テキストの生成や翻訳、要約などの機能を利用できる。
- Webサービスによるアクセス:ブラウザからアクセスすることで、テキストの生成や翻訳、要約などの機能を簡単に利用できる。
今後も、このアクセスのしやすさによって、LLMを活用したい人々の裾野が広がることや、活用の範囲がさまざまな領域に拡大することに期待されています。
ユーザーの補助的な機能開発
StableLMは、ユーザーの機能開発を支援する機能を提供しています。
これには、エラーの検出と修正、自然言語の理解、ユーザーのニーズに合わせたカスタマイズが含まれており、エラー検出と修正では、生成したテキストや翻訳結果のエラーを検知し、修正提案を行います。
自然言語の理解では、ユーザーの入力を理解し、適切な回答を生成します。
ユーザーのニーズに合わせたカスタマイズでは、生成されるテキストのスタイルなどを調整できます。
これらの補助機能により、ユーザーはより効果的に利用でき、エラーの軽減やカスタマイズによる満足度向上が実現します。
また、ユーザーの補助機能はStableLMの普及と活用拡大に寄与する重要な要素となります。
パラメーターが少ない
StableLMは、従来のLLMと比べてパラメーター数が少ない(30億または70億)というのも特徴の一つです。
パラメーター数はモデルの学習に必要なデータ量を示す指標で、少ないパラメーター数でもメリットは様々あります。
例えば、「学習時間が短縮される」、「計算コストが低減される」、「モデルのサイズが小さくなる」などです。
これらのメリットにより、StableLMは学習や利用が容易で、さまざまなデバイスで利用可能です。
また、エネルギー効率も向上します。パラメーター数の少なさは、LLMの普及と活用拡大に寄与するでしょう。
|StableLMの始め方
それでは具体的にStable LMの始め方を、「Windowsにインストール」「Hugging Faceから実行」の2つのステップに分けて解説していきます。
Windowsにインストール
StableLMは、Windowsにインストールして利用することができます。インストール方法は、以下のとおりです。
「インストール手順」
- Hugging FaceのWebサイトから、StableLMのWindows用のバイナリをダウンロードする。
- ダウンロードしたバイナリを解凍する。
- 解凍したフォルダーに移動し、以下のコマンドを実行する。
[ pip install -r requirements.txt
ython install.py ]
このコマンドを実行すると、インストールが開始されます。
必要な条件は以下です。
- Windows 10またはWindows 11
- Python 3.8以上
- pip
Hugging Faceから実行
StableLMは、Hugging FaceのWebサイトからモデルやAPIを公開しています。
モデルやAPIを実行することで、さまざまなタスクに活用することができます。
「モデルを実行する」
- Hugging FaceのWebサイトから、StableLMのモデルをダウンロードする。
- ダウンロードしたモデルを解凍する。
- 解凍したフォルダーに移動し、以下のコマンドを実行する。
[ python stablelm.py –model [モデル名] –prompt [入力テキスト] ]
このコマンドを実行すると、モデルが入力テキストに基づいて出力を生成します。
「APIを実行する」
- Hugging FaceのWebサイトから、StableLMのAPIのURLを取得する。
- プログラミング言語を使って、APIのURLにリクエストを送信する。
APIのリクエストには、入力テキストと出力形式を指定できます。
|StableLMの日本語対応
2023年9月、StableLMの日本語対応版がリリースされました。
日本語対応版は、日本語と英語のテキストを混合したデータセットで学習されており、日本語テキストの生成精度が向上しています。
日本語対応版では、以下の点が特徴的です。
- 日本語と英語のテキストを混合したデータセットで学習されており、日本語テキストの生成精度が向上している。
- 指示応答モデルも用意されており、ユーザーの指示に従ってテキストを生成することができる。
StableLMの日本語対応版は、日本語の自然言語処理やAI開発に新たな可能性をもたらすものと期待されています。
|まとめ
「StableLM」は、誰でも自由にソースコードを利用して、自分のサービスなどに組み込むことができるオープンソースです。
パタメーター数は少ないながらも、非常に可能性を追求したLLMです。
今後も、機械翻訳や自動要約などの自然言語処理、コンテンツ生成や創作活動などのクリエイティブAI分野など、さまざまなタスクに高い精度で対応できる汎用的なモデルとして期待されています。
また、日本語対応版のリリースにより、日本語の自然言語処理やAI開発にも注目が集まっています。