電車や新幹線といった交通網が発達した現代においても、小回りの利いた移動が可能となる車の存在は重要です。
都心にお住まいの方であれば必要ないというケースもありますが、旅先などにおいて「車が運転できれば便利だったのに」と感じる場合もあるでしょう。
しかし、小まめに教習所に通うことが面倒であったり、そもそも車という大きな物体を運転することに対して不安感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
今回の記事では、そういった悩みを解消するかもしれない「VR教習所」について解説します。
VRという仮想空間において、現実と限りなく近い環境で車の運転を練習できるVR教習所は、これまでにないスピードと対応力で運転技術の習得が可能となります。
ぜひ最後までご覧いただき、運転免許取得の参考にしてみてください。
目次
|VRで教習所を再現する
教習所で初めて本物の車を運転した時の緊張感を覚えている方は多いでしょう。
現在は何気なく運転している車ですが、誰でも初心者だった時代はあります。
そして、中には苦手な技能があるために何度も試験に落ちてしまった、もしくは習得に時間がかかったという経験を持つ方もいるでしょう。
VR教習所では、そういった苦手意識を持つ技術に対して、VRゲームのような感覚で何度でも気軽に練習できます。
またVRというデジタル空間だからこそ再現できる、車体の透明化機能や運転のリプレイ、さらには見本となる運転の同時再生といった機能もあります。
現実世界での練習とは格段に分かりやすく、運転技能の習得が可能となるのです。
そして、主に利用されるVRコンテンツは2種類存在していますので、それぞれの特徴について解説していきましょう。
VRモーションシート
こちらの大きな特徴は、普通車だけではなく大型車にも対応している点です。
初めて取得する運転免許は普通車であることが一般的ですが、その先の免許として用意されている点は心強いです。
ATはもちろんMTにも対応していますので、どのような方でも利用可能。
実際に存在する道路の地形や地図を元にしたデータを運転するだけではなく、高低差に合わせてシートも動きます。
天候についても雨や雪といった、実際の道路では不安感の強い場面も安心して練習できるのです。
VRドライビングスクール
こちらのコンテンツは、「S字カーブ」と「クランク」の練習に特化しています。
この2点については多くの取得者が苦労することが多い項目であり、免許取得者の中にも何度も挑戦したという経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
実際の教習であれば、一度失敗してしまうと再挑戦に一定の時間が掛かってしまいます。
さらに、失敗の理由を明確に捉えることが難しく、何度も同じ失敗を繰り返すというケースも少なくありません。
VRドライビングスクールではこういった問題に対して、自身の運転の再生や停止といったリプレイ機能を通して失敗の要因を把握します。
そして、車体の感覚を覚えにくい場合には乗車しながら車体を半透明化することで、外部の環境を視覚化させます。
ハンドルを切る感覚と車体の動きを連動して理解することで、技術習得がよりスムーズになるでしょう。
|VR教習所を利用するメリット
VR教習所を利用するメリットは数多く存在しますが、こちらでは特にお伝えしたい以下2点についてそれぞれの項目に沿って解説します。
- 教習者の技能向上
- 講師や教習車の配備といった手間削減
教習者の技能向上
前述したように、VR上での教習の場合は現実世界では不可能なサポートを元に、運転技能の習得が可能となります。
例えば、運転席に座りながら車体を半透明化し、自車のタイヤ周りなどの外部環境を視覚化することは、VR空間でしかなし得ません。
これまでは時間をかけて感覚を掴んできた作業を、即座に視認することでスムーズな習得が実現するでしょう。
また、講師が口頭で指示していた走行ラインについても、VR内であれば道路にそのまま理想のラインを表示できます。
教習車はそのラインに沿ってハンドルを切ることで、正確なテクニックを習得できるのです。
万が一失敗したとしても、VR内であれば即座にスタート位置に戻れます。
教習時間が限られる環境において、一度スタート位置に戻るという時間は勿体なく感じられるもの。
そういった時間的なロスを削減し、効率の良い技能習得環境が手に入ることは、教習者の技能向上面で大きなメリットがあるといえるでしょう。
講師や教習車の配備といった手間削減
現実世界の教習所では、基本的にマンツーマンでの教習となります。
そのため教習希望者が多い場合、キャンセル待ちといった対応をしなければいけません。
VR教習所であれば、コンテンツ内で的確な指示が出せますので、これまでのように多くの講師を必要としません。
結果的にスムーズな教習環境が実現し、より迅速な免許取得環境を提供できるでしょう。
また、教習に利用する車の配備や整備といった手間もVR教習所では必要ありません。
現実世界の車ではタイヤの空気圧、オイルといった様々な点検箇所が存在しますが、デジタル上で再現される車ではそういった手間もかかりません。
教習者をVRコンテンツに誘導するだけの作業で済みますので、これまで教習所運営に必要となっていた多くの手間を削減できるのです。
|VR教習所の導入事例
実際にVR教習所を導入している事例として、以下の教習所を紹介します。
- アスカドライビングカレッジ
- 広沢自動車学校
- 新潟関屋自動車学校
アスカドライビングカレッジ
関東近郊に3校運営するアスカドライビングカレッジでは、入校を検討している方へ向けて「VR体験教習」を提供しています。
これによって講師と一緒に車に乗り、助手席で指導の様子を見たり、教習車が実際に運転する目線を確認したりできるのです。
VRによって視認できる視野角はなんと360度。
前方だけではなく、隣に座る講師の顔や窓に映る風景、後ろの様子もリアルに確認可能となっています。
VR映像では川口校のコースを走りますが、事前にリアルな教習体験を受けられることは入校検討者にとって安心できるポイントとなるでしょう。
広沢自動車学校
徳島県内にある広沢自動車学校では、県内初となるオンライン学科教習をスタートしています。
こちらでは、VRを活用した「自転車交通安全教室」を提供。
自転車が車道を走る際に注意すべき点や、発生する事故を想定し、安全に自転車を運転するために必要なポイントを教えているのです。
対象者は自動車免許取得者ではなく中学生や高校生ですが、身近な自転車という乗り物の危険性を伝え、安全意識の高まりを持たせることを想定して活用されているのです。
新潟関屋自動車学校
新潟県に位置する新潟関屋自動車学校は、県内でも高い合格率を誇る人気の教習所です。
こちらではVRを活用した「方向転換」映像を配信しています。
多くの教習者が苦手とする方向転換を、VRを活用することで予習復習しているのです。
このことが高い合格率に繋がっているとも言われており、VRが教習所との相性が良いと言われる好例かもしれません。
また、VR内には実際の講師が登場することで、実際の雰囲気をより分かりやすく伝えることにも一役買っています。
仮想自動車学校-KASO Driving School-
ここまで紹介したVR教習所は、現実世界における自動車免許取得を前提としたものでした。
しかし、VRChat内には「仮想自動車学校」と呼ばれるサービスも存在しています。
こちらは、VR内に作られた教習コースを走れる仮想のドライブワールド。
札幌に実在する「桑園自動車学校」をベースに制作されています。
ドライブコースだけではなく3階建ての建物と屋上なども再現されており、まるで本当の教習所に通っている感覚を味わえます。
運転操作自体はVR仕様の操作となっており、実際の運転技術への応用はできません。
しかし、スピードの出し方やハンドルの切り方といった、基礎的な感覚を身につけることには役立つかもしれません。
自宅でも気軽にできる練習方法の1つとして、参考にしてみてはいかがでしょうか。
|まとめ
VR空間で運転技術が習得できる「VR教習所」について、その概要から実際の事例について解説しました。
VR技術が今後より一層普及していった先には、免許取得までをVRで完結させる時代も来るかもしれません。
現在はまだ補助的な立ち位置でしかありませんが、利用者はこれまでにないスピードで運転技術が向上するでしょう。
実際の車の運転は気が引けるという方でも、VRから練習を始めることでスムーズな取得に繋がるかもしれません。
少しでも気になった方はぜひ、VR教習所を活用してみてはいかがでしょうか。