2023年はAI技術に対する注目が集まり、日常生活の幅広い場面において活用され始めた年であるといえます。
中でも昨年末にリリースされ、日本においても大きな注目を集めたChatGPTは、人間が記述したかのような自然な言語を生み出すことから多くの人を驚かせました。
人工知能と呼ばれるAI開発の現場は、これから先の世界を支え、一変させる力があります。
そして、そのようなAI開発には様々なプログラミング言語が活用されているのです。
中でも、ChatGPTの作成にも利用されている「Python(パイソン)」は近年人気の高い言語であり、学習者の数も増加傾向にあります。
PythonはAIに対する機械学習分野において有利となる、ライブラリやフレームワークが充実しています。
また、コードが比較的シンプルであるため、理解しやすく修正対応も容易。
さらに、様々な現場において利用されており、その信頼性の高さにも定評があるのです。
このように、昨今のAI開発を影で支えるPythonですが、いくらコードがシンプルといっても記述には一定の手間がかかってしまいます。
そういった時、非常に便利なツールである「PyTorch Lightning(パイトーチライトニング)」を利用してみましょう。
本記事ではPythonによる機械学習を簡略化するPyTorch Lightningについて、その概要から利用のメリットとデメリットを解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
|PyTorch Lightningとは?
「PyTorch(パイトーチ)」は深層学習を実行する際に利用されるフレームワークであり、自由度が高い記述方式が可能。
しかしながら、個人個人の癖が出やすいことから、可視性が低くなるというデメリットを有しています。
そのため、AI開発者には高いコーディング知識が求められるのです。
しかし、PyTorch LightningはPyTorchの軽量ラッパーとして登場したことで、多くのAI開発者からの注目を集めました。
2019年5月に登場したPyTorch Lightningは、AI開発へのアイデアやサイエンス部分に集中し、コーディングに対する時間を大きく削減することに成功。
これまで短期間での業務や、学生による研究で利用することが困難だった作業も、簡単に実装できるようになったのです。
モジュール化された設計が採用されている
PyTorch Lightninはいくつかの部品に分かれ、モジュール化された設計がされています。
そして、その中身は主に以下の3つに分けられます。
- Trainer
- LightningModule
- LightningDataModule
1つ目のTrainerでは学習モデルに対する訓練から検証、テストといった流れを制御します。
この際、訓練に伴うループを記述する必要がなくなるため、簡単にモデルに対する学習が実装できるのです。
同様に、LightningModuleの場合は損失関数や最適化といった手法に対して管理、
LightningDataModuleはデータの読み込み、前処理といったテスト分野を担当します。
このように、想定作業に応じてモジュール化されている点が、本ツールの大きな特徴といえるでしょう。
|PyTorchでの機械学習記述を簡略化
前述したように、PyTorchは深層学習を実行させる際に利用されるフレームワークです。
Pythonのオープンソースライブラリであり、2016年1月に開発された後人気を集め、現在でもPythonの機械学習ライブラリとして高い人気を誇ります。
PyTorchはPythonの機械学習ライブラリである「Numpy」と操作方法が類似しています。
そのため、これまでPythonを利用してたエンジニアであれば、PyTorchの操作にも慣れやすいという特徴があります。
直感的な記述が可能であり、参照リソースが豊富といったメリットがあるため、数多くのAI開発現場においても重宝されています。
PyTorchによって記述された論文が公開されることも少なくありませんので、最新の情報が手に入りやすいことも特徴。
ただし、コーディングに関する知識も求められるため、コード記述が簡単になりつつもある程度の作業時間を要する必要があります。
|PyTorch Lightningの学習方法
PyTorchのメリットをより広げたともいえるPyTorch Lightningの学習には、ベースとなるPyTorchに対する基本的な理解が必要です。
さらに、詳細な情報については日本語で出回っていることが少ないため、英語での文献を活用することも知っておかなければいけません。
また、training_stepやconfigure_optimizersといった特有のコードを取り扱うことがあります。
本ツールを利用してコーディングを簡略化するためには、初期投資として一定の学習期間を要してしまうことは事前に知っておかなければいけません。
公式チュートリアルを参考にする
習得難易度は初心者にとって困難になるかもしれません。
しかし、公式ドキュメントが用意されており、その中には正確なプログラムコードの記述方法が記載されています。
それでも、一定の知識を有した人物であれば理解ができる内容となっており、最低限の情報しか記載されていません。
そのため、本ツールの学習には自身でWebサイトや文献を調べ、気になる箇所を公式ドキュメントで補填するといった進め方がメインになるでしょう。
参考サイトの多くは英語になることが想定されますが、翻訳ツールを駆使しながら進めれば言語面は問題ないはず。
学習は決して用意ではありませんが、PyTorch Lightningを身につけることで今後AI開発面における大きな優位性を手に入れられるはずです。
|PyTorch Lightningのメリットとデメリット
利用には多数のメリットがありますが、多少デメリットとも言える面も存在しております。
こちらではそれぞれについて解説していきます。
メリット
利用するメリットについては、主に以下の内容があげられます。
- 自身でループを記述する必要がない
- 定型文を記述する必要がない
- 一定の制約があるため記述しやすい
- 他者との共有が容易
やはりコード記述の簡略化が大きなメリットといえます。
また、PyTorchでは自由な記述が魅力である反面、自由すぎるがゆえに難しいという特徴を持っています。
そういった面でもPyTorch Lightningではある程度の制約があるため、書きやすいという特性があります。
また、お互いのPLを知っていれば他者との作業共有もできるため、スムーズに作業を進行させられるでしょう。
デメリット
デメリットとしてはやはり学習環境の困難さがあげられます。
日本語での情報が乏しい上に、初心者にはPyTorchに関する基礎知識が求められます。
また、移植当初はかかった手間に対して、コード量が劇的に減少することもありません。
長期的にみたメリットは多いですが、学習当初や実装直後にはデメリットといえる面が多くありますので注意しましょう。
|まとめ
AI開発現場で人気の高いプログラミング言語Pythonの記述を簡略化する、PyTorch Lightningについてその概要からメリットとデメリットを解説しました。
AI技術は今後も発展を続け、より我々の生活に無くてはならない存在に成長するでしょう。
開発作業を簡略化させ、AIに対するアイデアやより創造的な作業に注力するために、コーディング時間を短縮するPyTorch Lightningを利用してみてはいかがでしょうか。
少しでも気になったという方は、本記事を参考にPyTorch Lightningに関する学習を初めてみることをおすすめします。