メタバースは、我々のデジタル未来を塗り替える新たな可能性を秘めています。
山形県もこの未来に向け、積極的な一歩を踏み出しています。
この記事では、山形県がメタバースと共に目指す今後の姿を探り、具体的な取組み内容を紹介します。
目次
|メタバースとは
「メタバース」とは、インターネット上の仮想空間で、現実世界を超える体験とコミュニケーションを通して経済活動が生み出される場所です。
メタバースは、英語の「超越(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語で、オンライン上に構築された3次元のコンピュータグラフィックスの仮想空間に世界中から思い思いのアバターと呼ばれる自分の分身で参加し、相互に意思疎通しながら買い物や商品の制作・販売といった経済活動を行なったり、そこをもう1つの「現実」として新たな生活を送ったりすることが想定されています。
企業はブランドプレゼンスの構築や製品の展示、バーチャルイベントの開催など、メタバースを通じて顧客との接点を拡大し、新たな収益源を開拓できる可能性が示されています。
企業はブランドプレゼンスの構築や製品の展示、バーチャルイベントの開催など、メタバースを通じて顧客との接点を拡大し、新たな収益源を開拓できる可能性が示されています。
メタバースはゲーム、映画、音楽などのエンターテインメント体験を革新し、ファンとクリエイターとの間に新たなインタラクティブなコミュニケーションを提供しています。
メタバースは現実世界とデジタルの融合により、ビジネスやエンターテインメント、教育などの様々な分野で新たな可能性を広げています。
企業やクリエイターがメタバースを採用することで、未来のデジタル体験を創造し、顧客やファンとの緊密な関係を築くことができるでしょう。
|山形県のメタバース事情
山形県は、メタバースという未知の領域での挑戦を通じて、新たな成長と発展を追求しています。
ここでは山形県のメタバース事情について解説します。
日本で最もメタバースを利用している
ジオテクノロジーズ株式会社が2023年1月に実施した大規模な調査によれば、日本全国のメタバースに関する知識や利用状況には地域差があることが明らかになりました。
調査の主なポイントは以下の通りです。
– メタバースの認知率は全国平均で56.0%で、関東地方が60.0%で最も高かった。
– メタバースの利用経験者は全国平均で7.7%で、山形県が13.7%で最も高かった。
– メタバースの課金経験者でも山形県が75.0%で最も高かった。
特に東北地方の山形県、福島県、秋田県ではメタバースを知識や体験、課金のいずれかで高い割合で利用しており、若い世代がメタバースを楽しむ傾向が強調されています。
これらの地域においてメタバースが盛んに利用されている理由は、若年層が積極的に課金して楽しむことが挙げられます。
「ヤマガタリアルメタバース研究所」を設立
山形県で「ヤマガタリアルメタバース研究所」が発表され、若者がビジネスプランを開発し、リアルメタバースで実証実験する取り組みが2023年8月29日に県庁で開催されました。
この研究所は、県のソーシャルイノベーション創出モデル事業の一環で、環境アーティストのサイヒロコさんが協賛企業と共に運営します。
山形県内の学生が参加し、リアルメタバースやデジタル技術に触れる機会を提供する予定で、実現可能性の高いビジネスプランを支援します。
この取り組みは、山形県の若者が地域に根付きながら新たな産業を育て、地域発展に貢献することを目指しています。
|山形県のメタバース活用事例
本項では山形県のメタバース活用事例についてご紹介します。
婚活イベント
山形県ではメタバースを活用した「婚活イベント」が実施されました。
この取り組みは、山形県と庄内町の協力によって実現しました。
このメタバース婚活イベントは、仮想空間上での出会いを提供し、地域の婚活支援を目的としています。
参加者はリアルな出会いの場を模倣した仮想空間内で交流し、パートナー探しを行います。
このイベントは、メタバースの利点を活かし、地域コミュニティを支える一環として行われました。
オンライン婚活のスキルアップ動画を無料提供し、事前に相手選びのコツを学び、マッチング率向上させています。
イベント後には、マッチングした相手との進め方やお悩み相談を1対1でサポートしています。
このイベントは、忙しい日常に追われる方や、外見に左右されない相手探しを望む方、従来のマッチングアプリに飽きた方、またメタバース空間で楽しむことに興味がある方におすすめされています。
街なかメタベース
山形県は「街なかメタベース」という取り組みを行っています。
このプロジェクトは、地域とメタバースを結びつけ、新たな体験やコミュニケーションの場を提供することを目的としています。
このプロジェクトでは、山形県内の様々な地域でメタバース空間を活用し、地元の魅力を発信する取り組みが行われています。
メタバースを通じて地域への新たな観光客を呼び込み、地域振興に貢献することを目指しています。
「街なかメタベース」は、デジタル情報発信の拠点で、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進や県民運動の支援を目的としています。
施設内には動画撮影スタジオとVR無料体験コーナーが設置され、YouTubeチャンネル「Press Yamashin」のAI音声付き動画も紹介されています。
この拠点は、デジタル技術を活用して地域情報の発信やDX普及を促進する役割を果たしています。
メタバース塾
山形県立鶴岡工業高等学校とNTT東日本山形支店は、生徒が制作したオリジナルメタバース空間を紹介するお披露目会を開催しました。
NTTのXR空間プラットフォーム「DOOR」を使用し、「メタバース塾」と呼ばれる取り組みを通じて、生徒たちは実際の校舎をメタバース内に再現し、学校紹介や学科、部活動、進路情報などを提供するメタバース空間を構築しました。
これは新しいコミュニケーションの場としてメタバースを活用し、高度な学習と地域貢献の機会を提供し、新たな地域産業の担い手を育成することを目指しています。
NTT東日本山形支店は、この取り組みを通じて、技術を社会に活かす新たな可能性を広げることを期待しています。
取り組みはVR空間プラットフォーム「DOOR」を使用し、1年生と2年生の生徒を対象に、技術講習会を開催しています。
メタバース模擬国連
山形県は「メタバース模擬国連」に積極的に取り組んでいます。
このプロジェクトは、国際的な問題に取り組むための仮想国際会議をメタバース内で実現し、新たなコミュニケーションの場を提供することを目的としています。
山形東高等学校とNTTコミュニケーションズは、メタバースプラットフォーム「NTT XR Space WEB(DOOR)」上で模擬国連を開催することを発表しました。
この取り組みは、生徒がオンライン上において議論・交渉・決議採択の双方向のコミュニケーションを、リアルと同様に行える環境の創出を目的にしています。
また、場所や人数の制約をなくし、より多くの生徒が参加できる機会を増やすことで、ディスカッションの流れに応じて話す相手や人数を自由に変えながら、状況に応じた柔軟なディスカッションができるといいます。
|山形県がメタバースと共に目指す今後の姿とは
山形県では人口の一極集中が進み、地方の人口減少が懸念されています。
若者を地域に定着させ、活躍の場を提供するため、「やまがた若者チャレンジ応援事業」や「輝けやまがた若者大賞」などの支援プログラムを展開しています。
ここでは山形県がメタバースと共に目指す今後の姿について説明していきます。
若者の県外流出を防ぐ
山形県はメタバースを活用し、若者の県外流出を防ぐ取り組みを進めています。
メタバースを活用した地域おこしに取り組んでおり、メタバースの中で山形県の魅力を発信することで、若者の県外流出を防ぐことを目指しています。
具体的には、県内の大学生や若者に向けて、メタバース上での就職説明会や交流会などを開催することで、若者が地元に残る意欲を高めることを目指しています。
また、県内の企業や自治体もメタバースに参加し、地域おこしに取り組んでいます。
若者が新しい事業やサービスをを創生する県へ
山形県では、県内の大学生、高校生がスタートアップステーション・ジョージ山形に集い、「XR に触れ・学び・新技術を使って新しい事業やサービスを生み出す拠点」をつくる取り組みを進めています。
メタバースを活用した産業クラスターの形成や、地域と連携したイノベーションプロジェクトの推進も行っています。
これにより、地方での新たなビジネスチャンスを発見し、若者に起業や事業創造の機会を提供しています。
メタバースを通じて若者の地域への貢献と成長を促進し、新しいビジネスやサービスの創出をサポートする積極的な取り組みを実施しています。
地域経済の活性化と若者のキャリア形成を同時に推進し、地域全体の発展に貢献しています。
|まとめ
いかがでしたでしょうか。
山形県は、メタバースを活用し、若者の地域定着と新たなビジネス創出に取り組んでいます。
地方の人口減少に対抗し、観光振興や地域経済の活性化を図るため、バーチャル観光スポットやオンラインイベントを展開しています。
また、教育やビジネス分野でもメタバースを活用し、若者の活躍の場を提供しています。
若者の地方回帰を促進するために、住宅整備や仕事紹介、食の支援などの移住支援も実施し、若者が新しい事業やサービスを創出できる環境を整え、地域のイノベーションを促進しています。
ぜひ今後にも注目してみてはいかがでしょうか。