仮想空間ビジネスとは、コンピュータやネットワーク上に構築された仮想空間を活用したビジネスのことです。
2022年現在、新型コロナウイルスの影響に伴い、多くの企業が仮想空間を活用した展示会やイベントを実施し始めました。
今回は、「仮想空間の魅力」について詳しく解説します。
仮想空間に興味・関心がある方や今後仮想空間ビジネスを検討している方は、ぜひご一読ください。
目次
|仮想空間の魅力とは?
仮想空間ビジネスとは、コンピュータやネットワーク上に構築された仮想空間(メタバース)を活用したビジネスのことです。
仮想空間内では、アバターと呼ばれる自分の分身を活用し、システムの範囲内で自由にアクションを行うことができます。
VRの普及やVtuberの流行、新型コロナウイルスの影響によるイベント中止・延期などにより、仮想空間をどのようにビジネスに活用するかについて、様々な企業がマーケティングを進めています。
|仮想空間ビジネスに参入する企業
近年、仮想空間はゲームや展示会、イベントなど幅広い業界・分野で活用されています。
例えば、Metaの前身であるFacebookは2021年10月28日に社名を「メタ・プラットフォームズ(通称Meta)」に変更し、メタバース事業に今後注力していくことを発表しました。
「Meta」は、すでにVRヘッドセットの「Oculus Questシリーズ」を販売しており、既存のサービスに加えてこのヘッドセットを活用した「Horizon Worlds」と呼ばれるプラットフォームに多くのユーザーを集めることを目指しています。
「Meta」以外にも例えば、以下のような大手企業が仮想空間の活用に積極的です。
世界企業 | 国内企業 |
・マイクロソフト ・エヌビディア ・ナイアンティック ・ディズニー ・ナイキ | ・ソニー ・キヤノン ・パナソニック ・リコー ・KDDI |
|仮想空間を活用したビジネス
ここでは、仮想空間を活用したビジネスについて6点解説します。
①商品やサービスの提供
仮想空間内の土地を利用し、商品・サービスの販売・提供が可能です。
例えば、ファッションブランド「WEGO」や「BEAMS」などは、バーチャルマーケット(仮想空間上でのマーケットイベント)に継続して出店し、商品の展示・販売を行っています。
また日本のファッションブランド「chloma」は、VRプラットフォーム「VRChat」の中に店舗を出店し、アバター用のバーチャルファッションの展示・販売を行っています。
今後、仮想空間やアバターの普及率が高まれば、さらに多くの有名ブランドが店舗の出店やアバターファッションの新商品を発表することが予想できるでしょう。
②メタバースオフィス
仮想空間技術を活用すれば、仮想空間内にメタバースオフィスを設置することも可能です。
オフィスを仮想空間上でバーチャル化すれば、時間や場所を問わず社員は仕事ができるようになります。
また現実世界の物理的なオフィスには、土地代やオフィス賃料、駐車場料金など多くのコストがかかりますが、メタバースオフィスではそれら全てが不要になるため、大幅なコストカットも期待できます。
③観光
仮想空間を観光に取り入れようとする動きは国内外問わず進められています。
例えば、韓国ソウル市では、教育や経済、観光などの行政サービスを提供するメタバースプラットフォームを複数の段階に分けて構築することを決定しました。
また中国では、湖南省張家界市の観光地武陵源区で「張家界メタバース研究センター」が開設されました。
さらに日本でも、ファッションビル「渋谷109」は2022年3月、大手ブロックチェーンゲームプラットフォーム「THE SANDBOX」との提携を発表しました。
「渋谷109」は、「THE SANDBOX」内に専用の「SHIBUYA109 LAND」(ゲーム内で利用できる土地と建物)を開設し、ここを拠点に今後、独自のNFTやゲーム、広告事業などを展開する予定です。
詳しくは、渋谷109がメタバース事業に参入!SHIBUYA109LANDを紹介!をご覧ください。
④展示会やライブなどのイベント
仮想空間技術を活用すれば、アバターを用いた展示会や音楽ライブなどのイベントの開催も可能です。
現実世界では物理的に不可能なことも仮想空間内であれば実現できるため、より臨場感や没入感のあるイベントが実施できます。
例えば、「バーチャルマーケット2021」への来場者は会場に展示された3Dアバターや3Dモデルなどを自由に試着、鑑賞、購入することができました。
また2019年に行われた「フジロックフェスティバル」では、仮想空間に作られたライブ会場を通じて、ライブ体験の共有が図られました。
⑤広告
仮想空間技術を活用すれば、仮想空間内で広告を出稿することも可能です。
例えば、先ほどご紹介した「バーチャルマーケット」には100万人以上の人たちが来場しました。
仮に、そこに自社の広告を出稿できたらどうでしょうか。
計り知れない費用対効果が期待できるでしょう。
高い費用対効果への可能性という観点から、数年後にはメタバース広告が広告事業を先導する時代がくると予想できます。
⑥オンラインゲーム
仮想空間技術を活用したオンラインゲームも注目を集めています。
出典:https://www.epicgames.com/fortnite/ja/home
例えば、バトルロワイヤルゲーム「フォートナイト」は、仮想空間を活用した最先端ゲームです。
ゲーム内では、プレーヤー同士でコミュニケーションを図ったり、仮想空間上のアイテムを収集したり、資材を採取して壁や階段を制作することできます。
出典:https://www.minecraft.net/ja-jp
またマイクロソフトの子会社である「Mojang Studios」が提供するゲーム「マインクラフト」は、仮想世界でさまざまな素材の立体ブロックを採取し、道具や建物を作成するゲームです。
他の参加者と協力した制作物の作成や生物とのバトルなど自由度が高い点に定評があり、将来的にはブロックチェーン技術(NFT)を活用したゲームアイテムの売買ができるように開発が進められています。
|仮想空間ビジネスのメリットとは?
ここでは仮想空間ビジネスのメリットについて4点解説します。
①物理的な制約がない
仮想空間ビジネスは、基本的に物理的な制約がありません。
例えば、遠隔地の人と直接対面でコミュニケーションしたい場合、交通機関の移動なしでは実現不可能です。
しかし、仮想空間を利用すれば、ユーザーがインターネットにアクセスできれば、時間や場所を問わずいつでもどこでもコミュニケーションを図れます。
②現実世界では味わえない体験ができる
現実世界で何らかの場所を用意すると、物理的・法的に様々な制約が付きます。
しかし、仮想空間を利用すれば、そのような制約はありません。
そのため、自分が理想とする仮想世界が実現可能です。
例えば、現実とは異なる物理法則を設定(人間が空を飛ぶ、空間ワープなど)し、非日常的な空間や根本的に現実世界とは異なる世界(火山の中に家を建築したり、宇宙で生活するなど)にすることができます。
③世界中の人と気軽に繋がれる
仮想空間を利用すれば、相手と自分の距離が物理的に離れていても、スムーズにコミュニケーションを取ることができます。
例えば、仮想空間内にメタバースオフィスを開設し、アバターで会社の会議に参加したり、休憩時間に同僚と雑談したり、隣の部署にもあいさつに行くような行動ができ、より現実にリアルな形で仕事をする事が可能です。
この技術を応用すれば、国内外にとわず、世界中の人と気軽に繋がれる事ができ、仮想空間を通じて、世界中の人とコミュニケーションを取ることができます。
④データの収集・分析がしやすい
仮想空間で実行したユーザーアクションは全てシステムで管理できます。そのため、ユーザーの行動記録をデータとして保存し、収集・分析することが可能です。
例えば、仮想空間上である商品の販売店舗を展開した際、顧客一人一人の移動経路や店舗での滞在時間、何に興味を示し、何を購入したのかなどを全て把握できます。
収集・分析したデータはマーケティング戦略に活かすことができ、自社の売上向上に貢献してくれるでしょう。
|仮想空間サービスを提供するプラットフォーム3選
ここでは、仮想空間サービスを提供するプラットフォーム3選について解説します。
①XR CLOUD
公式サイト:https://xrcloud.jp/
XR CLOUDとは、monoAI technology株式会社がリリースしたバーチャル空間プラットフォームです。
【XR CLOUDの魅力】
・10万人以上の超大規模同時接続エンジンを搭載している ・インターネットさえ繋がればデバイスを問わず、どこからでも利用可能 ・約40種類のアバターが用意されているため、個性を表現しやすい ・音声コミュニケーションができるため、バーチャル空間上で人との交流や情報交換が可能 |
②The Sand box
出典:https://www.sandbox.game/jp/
The Sandboxとは、イーサリアムのブロックチェーン技術を基盤としたユーザー主導のゲームプラットフォームです。
【The Sandboxの魅力】
・無料ツール「VoxEdit」を活用し、アイテムやキャラクター、建物などを各自で制作可能 ・NFTのボクセルアートを制作し、TheSandBoxのマーケットで売買できる ・LAND(ゲーム空間内の土地)を所有していると、独自の施設やミニゲームを構築できる |
③cluster
出典:https://cluster.mu/
「cluster」とは、クラスター株式会社が開発・運営するメタバースプラットフォームです。
【clusterの魅力】
・メタバース内では、自分の店舗(例えば商品販売店舗など)を保有できる ・各種イベントやVR音楽ライブの主催・参加が可能 ・好きなアバターを用いて、ユーザー同士でコミュニケーションできる |
|仮想空間ビジネスの今後の課題とは?
ここでは仮想空間ビジネスの今後の課題について2つの観点から解説します。
VR機器の普及
仮想空間を多くの方が満足するレベルまでにするには、没入感が得られるVR機器の利用が必須です。
しかし、現状、VR機器は一般的にあまり普及していません。
理由はその価格帯にあります。
例えば、「Meta」が販売している「Meta Quest 2」は、128GB対応で税込:37,180円、256GB対応で税込:49,280円です。
実生活に必須とは言えない商品としては、少し手が出しづらい価格ですよね。
今後、仮想空間ビジネスを普及させるためには、一般ユーザーが購入しやすい価格でVR機器を販売するか、VR機器を必要とせずとも仮想空間の没入感が体感できるような新商品の開発が課題となるでしょう。
著作権や所有権などの法整備
仮想空間を活用したビジネスは、まだ発展途上です。
そのため、著作権や所有権、プライバシー保護などに関する法整備が追いついていないという課題があります。
現在の法令では、物理的に存在するものに所有権があり、仮想空間内のような形なき物の商取引は想定されていません。
そのため、仮想空間内で商品の売買が行われる場合に、法的に対応することが難しい状況です。
|まとめ
今回は、仮想空間に興味・関心がある方や今後仮想空間ビジネスを検討している方に向けて、仮想空間の魅力について解説しました。
現在、仮想空間技術はビジネスだけでなく、ゲームや展示会、イベントなど幅広い業界・分野で活用され始めています。
今はまだ発展途上の技術ですが、今後さらなる普及が予想され、これまでの生活を一変させる大きな技術革新が起こりうるかもしれません。
まだ仮想空間技術を活用したことがない方は、競合他社に遅れを取らないためにも、ぜひ自社での導入を検討してみてください。