世界中でブレイクの兆しを見せているメタバース。そのメタバースの盛り上がりを影で支えているのが、5Gテクノロジーです。
多人数が同一の3D仮想空間に参加するメタバースには、5Gの高速大容量の通信インフラが欠かせません。
5Gの環境が整ってきたことと、メタバースの利用者が拡大していることは単なる偶然の一致ではなく、必然なのです。
そこで今回は、メタバースと5Gの関係性、5Gによって進化するメタバースの現状やおすすめのサービス・プラットフォームなどをご紹介します。
5Gによって大きく変わろうとしているメタバースの「今」と「これから」を、一緒に覗いてみましょう。
目次
|5Gとメタバースの関係とは?
近ごろますます注目を集めているメタバース。昨年はFacebookが社名を「Meta」に変更し、社を挙げてメタバースに注力することを明らかにしました。
そのメタバースと切っても切れない、非常に密接な関係にあるのが5G。
しかし、なぜそこまで5Gがメタバースにとって重要なのでしょうか?
その関係性を明らかにするために、改めて5Gとメタバースについておさらいしておきましょう。
|そもそも5Gとは
5Gは「5th Generation」、つまり「第5世代移動通信システム」のこと。次世代の通信規格として、日本では2020年春から商用サービスが提供され始めました。
<5Gの特徴>
- 高速大容量
- 高信頼・低遅延通信
- 多数同時接続
現状規格の「4G LTE」から5Gに切り替わることで、通信速度は20倍、同時接続台数は10倍、遅延は10分の1と飛躍的に通信性能が向上します。
4Gによってスマホの使いやすさは格段に良くなりましたが、5Gのインパクトはそれ以上。社会システムを支えるネットワーク技術が大きく変わろうとしています。
そしてこの5Gの特徴が、メタバースにとって非常に大きな意味を持つのです。
|メタバース・仮想空間とは?注目される理由
メタバースを簡単に説明すると、「多人数が同時に共有できるインターネット上の仮想空間」と言えるでしょう。これまでのインターネット・サービスを大きく凌駕する世界が、そこには広がっています。
<メタバースの特徴>
- 3Dの仮想空間
- 多人数で同時に空間を共有できる
- アバターを使用する
- ユーザーが自由に世界を拡張できる
世界中から大勢のユーザーが同一の3D仮想空間を訪れ、それぞれ独自の活動を行う。それがメタバースです。
そしてそのメタバースという世界を支えるのに、5Gの「高速大容量・低遅延・多数同時接続」という性能が必須であることは容易に想像できるでしょう。
4GによってSNSや動画視聴など、モバイル端末の使い勝手は非常によくなりました。同じように5Gによってメタバースは進化し、より手軽に利用できるようになるのです。
|5Gによって進化したメタバースでできること
では5Gで進化したメタバースにとって、具体的にどんなことができるようになるのでしょうか?
<5Gによって進化したメタバースでできること>
- 他ユーザーとの交流
- ゲーム
- イベントの主催・参加
- NFTの展示・売買
- 会議やセミナーなどのビジネス・ツール
- メタバース内の探索
これらは確かに現状のメタバースでもできることですが、5Gによってさらに進化すると期待されています。
では、それぞれ詳しく見ていきましょう!
アバターを介して世界各国の人々と交流
一般ユーザーがメタバースに第一に求めることは、他ユーザーとの交流でしょう。PCやガジェット、VRゴーグルを介して、メタバースを訪れた世界中のユーザーとのコミュニケーションを楽しめます。
しかし、それならSNSやZoomでも良いのでは?
確かにそうかも知れませんが、メタバースならでは多くのメリットがあるのです。
メタバースでは自分自身の分身となる「アバター」を利用して参加します。しかも、その場所は3Dの仮想空間。
つまり高い匿名性を保ちながら、よりリアルなコミュニケーションが楽しめる。SNSで見知らぬ人とつながるのは怖いけれど、アバターを使うメタバースなら安心というわけです。
現状のメタバースでは、回線速度の問題から同時参加できるユーザー数に制限が課されることもありました。
それが5Gになることによって、より多くのユーザーが同一のメタバースにアクセスし、よりリアルなコミュニケーションを楽しめるようになります。
将来的には、メタバースで「生活」する時間の方が現実世界よりも長い…。そんな時代がやってくるかもしれません。
WEB会議やセミナーなどのビジネスツールとしての活用
コロナ禍でリモートワークが進み、オンライン会議も当たり前になりました。
しかし、Zoomでのオンライン会議では社員同士のつながりが保てない、という声もよく聞こえます。
その解決策となるのが、メタバース。
自分そっくりのアバターを作って、3Dの仮想空間内に集まれば、まるで本当に皆がそこにいるような感覚で会議を行えます。リモートワークで感じがちなコミュニケーション・ストレスも軽減できるのです。
いわばリモートでありながら、リアルに出社しているような感覚。実際、本社をメタバースに移転させた企業も現れてきました。
さらにセミナーや研修などにメタバースを利用すると、世界中どこからでも参加でき、かつより実践的・効果的なものにできるため、企業での活用が進んでいます。
様々なイベントの開催・参加
同一空間に多数のユーザーが世界中から参加できるというメタバースの特徴を活かして、ライブや展示会など、様々なイベントが実施されています。
PCやスマホの平面の画面上で行われるオンライン・イベントと異なり、VRゴーグルを利用したメタバース内でのイベントは臨場感という点でも段違い!メタバースでしか行えない演出も色々と考えられます。
これまではイベントの参加人数が増えると演出やアバターの描画を省略化しなければならない、といった問題も存在していましたが、これも5Gに移行することによって解決されます。
ライブやスポーツ、新製品の発表会などなど、メタバースでのイベントの開催・参加はこれからますます増えていくに違いありません。
仮想通貨やNFTを利用したビジネス
メタバースで特に注目されているのが、NFTを利用したビジネスチャンスの拡大です。
<NFTとは?>
- NFTは「Non-Fungible Token (非代替性トークン)」の略。デジタル・アートやアイテムなどの所有者を明確化することができます
NFTによって、これまで簡単に複製が可能だったデジタル・アートやメタバース内の土地、アイテムなどに唯一無二の資産性を持たせることができます。
それによってNFTの売買が拡大し、2021年の取引総額は約4.7兆円にもなりました。
アバターの服をデザインしたり、自分で書いた絵を販売したりと、NFTを利用したビジネスチャンスは企業・個人を選びません。
またNFTの取引きには仮想通貨が用いられますから、NFT売買の増加とともに、仮想通貨の価値も相対的に高まっていくでしょう。
|ケータイキャリアが参入する5G・メタバース事例
日本における5Gの推進は、主にケータイキャリアが担っています。5Gの人口カバー率は90%を超え、5G対応のスマホもだいぶ増えてきました。
その5Gを最大限活かすコンテンツとして、各ケータイキャリアがメタバースに注力するのも当然と言えるでしょう。
そこでここからは、ケータイキャリアが行っているメタバースの事例をご紹介します。
au「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」
出典:https://shibuya5g.org/
au(KDDI)は渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会らとともに、現実の渋谷とバーチャルの渋谷をクロスオーバーさせる「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」を2020年から行っています。
5G時代を見据えてARやVR、3DマッピングなどのXR技術を利用した様々なイベントを、現実の渋谷で実施。5Gと先端テクノロジーによって、現実の渋谷をアップデートさせようという試みです。
3期目となる2022年はさらに、都市連動型メタバースのガイドライン整備を目的とした「バーチャルシティコンソーシアム」も発足。日本初メタバースの発展に力を注いでいます。
5Gとメタバースによって次世代の渋谷を創っていこうという同プロジェクトは、引き続き日本のメタバースを牽引してくれることでしょう。
ドコモ「XR World」
出典:https://official.xrw.docomo.ne.jp/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=brand&utm_term=xr%20world&gclid=Cj0KCQjw2_OWBhDqARIsAAUNTTEkNaLd72pgPqjjTJ7gB12V2Yk9RkAhhoOphe1CMmkC3XNSvHqR9i8aAlepEALw_wcB
NTTドコモも独自のメタバース「XR World」を発表。アバターを通してのユーザー同士のコミュニケーション、音楽やアニメ、スポーツなどのコンテンツを楽しむことができます。
XR WorldはWebブラウザから利用できるため、VRゴーグルや専用アプリも不要。手持ちのスマホやタブレット、PCから気軽にメタバースを体験することができます。
ドコモがXR Worldを提供するのは、メタバースによって5Gの通信需要を増加させたいからとされています。逆に言えば、5Gというインフラが整ったことによって、誰でも気軽にメタバースが楽しめるようになってきているのです。
ソフトバンク「バーチャルPayPayドーム」
出典:https://virtualdome.mb.softbank.jp/service/?utm_source=softbank_owned&utm_medium=hp&utm_campaign=campaign_top
ソフトバンクはAR(拡張現実)を活用した新たなサービス、「バーチャルPayPayドーム」をスタートさせました。
これはソフトバンクのコンテンツサービス「5G LAB」の一環で、スマホで手軽にアクセス可能。
3Dオブジェクトで再現したPayPayドーム内をアバターで自由に散策したり、ユーザー同士のチャット・コミュニケーション、またジェット風船を飛ばすなどのアクションを楽しむことができます。
将来的にはメタバース内でソフトバンクの試合を配信したり、ライブなどのコンテンツも提供する予定とのこと。
このように、ケータイキャリア各社は5Gというインフラを提供するだけではなく、5Gを最大限に活かせるメタバースによって、新たなエンターテイメント体験を提供しようとしています。
|5G・メタバースによって活発化するまちづくり
このように、5Gによってメタバースは私たちにより身近で、より気軽に体験できるようになってきています。
では実際にメタバースによって私たちの生活はどのように変わるのか?
上で紹介した、auの渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトを例に考えてみましょう。
当初はリアルの渋谷の街をデジタル技術で拡張しようという試みだった、同プロジェクト。
それがコロナ禍によって様々なイベントがことごとく中止に追い込まれる中、メタバースなら何かできるのではないか?と多くの企業から関心を寄せられるようになりました。
そして開催されたのが、2021年のハロウィーンイベント「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2021」です。
同イベントには世界中から55万人もの参加者が訪れ、渋谷の魅力を世界中に発信することができました。
この成功をもとに、大阪府と大阪市もKDDIとともに「バーチャル大阪」を立ち上げ。2025年の万博を見据えて大阪の魅力をメタバースで発信しようとしています。
このようなメタバースによる新たな『まちおこし』によって、私たちの暮らしもより楽しく、魅力的なものとなるに違いありません。
|メタバース空間を楽しめるサービス7選
各ケータイキャリアがそれぞれのメタバースを展開しているように、一口にメタバースと言ってもその内容は各サービス、プラットフォームによって異なります。
実際、国内外で魅力的なメタバースが続々とリリースされています。
ではここからは、その中から代表的な7つのメタバース、プラットフォームをご紹介します。
XR CLOUD
公式サイト:https://xrcloud.jp/biz/
「XR CLOUD」は、兵庫県に本社を置く「monoAI technology株式会社」が提供するメタバース。
最大10万人規模の同時接続が可能という特徴を活かして、展示会やイベント、大規模カンファレンスなどの実施をサポートしています。
VRゴーグルだけではなく、スマホやPCからでもメタバースに参加可能。メタバースのヘビーユーザーはメタバースの空間自体を楽しもうとしますが、一般層にはまだそこまで浸透していません。
そこでメタバースは始めてという人でも気軽にメタバースに接続できるよう、敷居を低くしています。いわば、メタバースをイベントや会議に参加するための「ツール」の一つとして捉えているわけですね。
メタバースの入門としても最適。それがXR CLOUDです。
cluster
出典:https://cluster.mu/
「引きこもりを加速する」というコンセプトで、メタバース上に新たなコミュニティーを作り上げようとしているのが「cluster(クラスター)」。
ユーザーはアバターを選んでメタバースに参加し、チャットや音声で他ユーザーとの交流を楽しめます。
ユーザーはメタバース内を自由に散策したり、様々なイベントにも参加可能。スマホやPCからでも楽しめますが、VRゴーグルを利用するとやはりその臨場感は段違い。
まさにメタバースという仮想空間内に、もう一つの「社会」が作られていく感覚を味わえます。
上で紹介したバーチャル渋谷も、実はこのclusterを利用しています。過去のイベントには動員数が300万人を突破したというclusterは、多くのユーザーを惹きつける魅力にあふれています。
Second Life
出典:https://secondlife.com/
現在のメタバースの原型となったのが、「Second Life(セカンドライフ)」。発表されたのは2003年で、メタバースというよりもニューコンセプトのゲームとして登場しました。
しかしSecond Lifeには3Dの仮想空間、アバター、他ユーザーとの交流、リアルマネーにも換金可能な専用通貨など、現在のメタバースの要素を全て備えていたのです。
当時としては画期的なそのシステムで一大ブームとなりましたが、わずか1年ほどで急速なユーザー離れを招きます。その理由は、PCやインフラの性能が低かったから。多数のユーザーが同時アクセスするのは難しかったのです。
それが、5Gによって状況が改善し、再ブレイクを果たしています。
あまりにも早すぎたメタバースの雄が、その真価を発揮しようとしています。
The Sand box
出典:https://www.sandbox.game/jp/
「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」はブロックチェーン技術を利用した大人気のNFTゲーム。
ユーザーはオープンワールドのメタバース空間内を自由に行動することができます。「マインクラフト」のメタバース版と考えると分かりやすいでしょう。
ユーザーは他者との交流のほか、「LAND」と呼ばれる土地を購入して、サービスやアイテムを自由に作成・売買することも可能。
ゲーム内で流通している専用通貨の「SAND」は仮想通貨の一種ですから、リアルマネーと換金することもできます。ゲームを楽しんで、お金を稼げる。そんな時代がついにやってきたのです。
2020年にはスクウェア・エニックスも出資し、日本でのサービスも本格的に展開中。The Sandboxで、ぜひ最先端のメタバース・ワールドを体験してみてください。
Horizon Workrooms
出典:https://www.oculus.com/workrooms/?locale=ja_JP
「Horizon Workrooms」は、Facebook(現Meta)が提供するビジネス会議用のメタバース・サービス。デスクやキーボードをメタバース空間に持ち込めたり、ホワイトボードに自由に書き込んだりなど、従来のオンライン会議にはない、ビジネス会議に必要な要素をふんだんに盛り込んでいます。
利用者はアバターで会議に参加。VRゴーグルを利用すると(VRゴーグル無しでも参加可能)、まさに現実の世界と同じような感覚で打ち合わせを行うことができます。
リモートワークでは生まれにくい、社員同士の一体感がHorizon Workroomsでは醸し出せる感覚。
現在はベータ版ですが、これが本格運用されると、まさに家にいながら会社に「出社」するのが当たり前になるかもしれません。
Decentraland
出典:https://decentraland.org/
現在のNFTゲーム・ブームの火付け役となったのが、「Decentraland(ディセントラランド)」です。運営しているのはカリフォルニアを拠点とする非営利団体の「Decentraland Foundation」で、世界中の投資家や企業から支援を受けています。
運営元が企業ではないため、Decentralandはユーザーが自由に世界を構築していけるのが最大の特徴。
土地(LAND)やアイテムの売買も盛んに行われており、PCからでも参加可能です。
昨年はDecentralandの土地が1億円で取り引きされたという話題が、大きなニュースとなりました。
DecentralandはNFTゲームという枠を超えて、メタバース空間が投資という「リアルな」世界の一つの側面となりつつあるのです。
REALITY
出典:https://reality.inc/
「REALITY(リアリティー)」は、スマホ一つでVTuberになれるアプリ。スマホから簡単に3Dアバターを作成し、配信することができます。
しかしREALITYは単なる配信アプリではありません。
その最大の特徴が、視聴者とのコニュニケーションがメインだということ。配信側のアクションに対して視聴者は自由に反応し、和気あいあいとした雰囲気で配信が進んでいきます。
配信者も視聴者もアバターでなければ参加できない仕組みですので、身バレの心配もありません。
REALITYで作成したアバターは、clusterにも連携可能。本格的なメタバース・デビューの前に、REALITYでその雰囲気に慣れるというのも良いかもしれません。
|【まとめ】XR CLOUDでメタバースを始めよう!
5Gによってメタバースは大きく進化しつつあります。その次代の波に取り残されないためにも、今こそメタバースを始める最大のチャンス。
とはいえ、初心者にとってメタバースはまだまだ敷居が高いのも事実。そこでまずは手始めに、最も敷居の低い「XR CLOUD」でメタバースを始めてみるのはどうでしょうか?
5Gでより身近に、より手軽に、そしてより楽しみが増したメタバースを、ぜひこの機会に体験してみてください!