近年のデジタル技術の発達スピードは著しく、便利なツールやサービスが現れるとあっという間にそれ以上の技術が現れます。
様々な企業から数多くのサービス、技術が日々現れているため、日頃から目にするにもかかわらず、詳しいことはあまり知らないということも珍しくありません。
「Matterport(マーターポート)」もそういった技術の中の1つであるという方は決して少なくないでしょう。
また、「Matterport」に加えて「SDK」や「API」といった言葉も散見され、どれがどういった意味なのか調べることも難しいと感じていませんか。
本記事では、2023年現在需要が高まり、今後も活躍の機会を増やすことが想定される「Matterport SDK」の概要から「API」との違いなどについて解説します。
一読いただければ今後「Matterport」技術を見かけた際の理解が深まり、利用方法や可能性に関して考察できるはず。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
|Matterport SDKとは?
まず、「SDK」とは「Software Development Kit」の略称です。
日本語では「ソフトウェア開発キット」と翻訳することが一般的。
つまり、「Matterport SDK」とは、「Matterportのソフトウェア開発キット」を指す名称となります。
「Matterport」の開発に必要となるプログラムからコードをセットにすることで、開発者がより利便性の高い環境の元でプログラミングを行えるのです。
「Matterport」の可能性を最大限に引き出せる状態でアプリ開発などを行えることは、多くの開発者にとって多大なメリットを与えます。
既存機能のカスタマイズはもちろん、問題を改善させるツールなども利用できるため、様々なアプリ制御が実現できるでしょう。
Matterportについて
そもそも「Matterport」とはどういった技術なのでしょうか。
「Matterport」とはデジタルツインと呼ばれる、空間を3D再現したデータの構築が可能となる技術を指します。
デジタル空間に現実の建物などを再現するなど、様々な分野において活用されているのです。
米国企業であるMatterport社によって提供されており、同社は2011年に設立された後、2021年には株式上場を達成しています。
Matterport社が提供する3Dカメラを用いて空間を撮影することで、実際の建造物などを正確なデジタルツインに変換させることが可能となるのです。
すでに全世界で制作された3Dモデルの数は500万件を超えており、今後もその数を増やしていくことが想定されています。
モデリングされた建造物も住宅や教育施設、美術館、飛行機などあらゆるジャンルに及んでおり、今後の利用者増も期待されているのです。
「Matterport」技術については以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はぜひ合わせてご覧ください。
SDKについて
では、「ソフトウェア開発キット」である「SDK」とは具体的にどういったものを指すのでしょうか。
開発者キットという名称の通り、一般的にはアプリなどを構築するプログラマーに認知されている言葉となるでしょう。
しかし、現在では「Matterport」を始めとした技術が一般化してきたこともあり、様々なポジションの方も理解を深めておく必要があります。
「SDK」ツールは「Matterport」だけではなく、様々なサービスに対しても利用されます。
代表的なものでは、「Android SDK」や「Microsoft Windows SDK」などがあげられるでしょう。
こういったプログラミング上において、様々な開発をサポートする役割を「SDK」は担うのです。
「SDK」がなければ開発者はゼロベースから開発を進めなければいけません。
その場合、膨大な時間や労力が必要になってしまいますが、「SDK」があることで多くの開発タスクを簡略化できるのです。
APIとの違いは?
「SDK」と同じく、「API」という名称も同じ場面で利用されることが多いため、両者の違いが分からず混乱するという方は少なくないでしょう。
「API」とは「Application Programing Interface」の略称であり、「異なるアプリやソフト同士を共有させるための仕組み」を指します。
つまり、「SDK」とは根本的に目的となるゴールが異なるのです。
開発者がアプリやシステムを構築したいと考える場合には、作業をサポートするために「SDK」を使用します。
そして、既存アプリやソフト同士を共有させ、より利便性を高めた新しいサービスを提供したいと考える場合には、「API」を使用することになるのです。
|Matterport SDKでできること
それでは、実際に「Matterport SDK」で出来ることについて解説します。
こちらでは代表的な例となる、以下の項目をそれぞれ紹介します。
- タグのデザイン変更や表示枠を調整
- 操作説明やマップをわかりやすくする
- 広告活用にも利用可能
タグのデザイン変更や表示枠を調節
「Matterport」には「タグ機能」と呼ばれる編集機能が存在しています。
こちらは3D空間上に配置できる丸いボタンがデフォルトの形状ですが、「Matterport SDK」を使用することで任意のデザインに変更できます。
ユーザーが見落としてしまいそうな場所のタグデザインを変更することで、より視認性を高めることが可能。
さらに、タグのコンテンツは選択するまで何が設置されているか分かりませんが、動画や写真といったマークを配置することで、事前に情報を提供できるのです。
デザイン変更だけではなく、表示枠の大きさも調整できるため、訴求したい商品やサービスに対するタグは大きく設置するなど、的確にアピールすることをおすすめします。
操作説明やマップをわかりやすくする
「Matterport」で作成した3D空間上に始めて入ったユーザーは、自身が今どこにいるのかを把握することが困難です。
「Matterport」では既存機能としてフロアマップの表示は可能ですが、現在地の表示ができません。
そういった状況を回避するために、「Matterport SDK」を利用することで現在地を含めた全体像を表示できるマップが作成できるのです。
また、「Matterport」は日本国内において発展途上ともいえる段階であり、多くのユーザーが操作方法を把握していないことが想定されます。
特に、高齢者向けのサービスなどになれば、事前の操作説明やチュートリアルの表示は必至となるでしょう。
「Matterport SDK」によってスタート画面をアレンジすることで、事前の操作説明やPR動画といったコンテンツも簡単に配置できるのです。
広告活用にも利用可能
「Matterport」によって作成された3D空間内では、目を引くオブジェクトが沢山配置されています。
そういった中において、訴求したい内容をユーザーへ確実に伝えるために、「バーチャルモニター」の設置も可能です。
通常であれば、タグをクリックするまで動画や画像といった情報はユーザーに提供されません。
しかし、バーチャルモニターを設置すれば、その場所を通ったユーザー全員に対して内容を伝えられるのです。
さらに、「Google Analytics」と連携させることで、タグのクリック数やユーザーの移動情報といった細かいデータ収集も可能。
今後の施策に役立てることができるため、「Matterport」を効果的に活用することにも繋がるのです。
|まとめ
「Matterport SDK」に関する概要から、利用するメリットについて解説しました。
「SDK」とは「ソフトウェア開発キット」を指す名称であり、「Matterport」だけではなく様々なソフト開発にも活用されています。
「SDK」が存在することで開発者は作業が簡略化され、より迅速な作業が実現します。
「Matterport」は3D空間を再現する技術であることから、今後もその活用の幅を広げることが考えられるでしょう。
様々な要望、場面に対応するためにも「Matterport SDK」を活用した開発、サポートを検討してみてはいかがでしょうか。