「バーチャルホームステージング」という言葉をご存知でしょうか。
人間が生活する上で欠かせない要素として、「衣食住」の3つは欠かせません。
その中でも、「住」を担う住宅については不動産業者などを通じた下見を行い、自身に最適な住居を見つけるはずです。
住宅に住む手段としては賃貸、持ち家といった様々な方法がありますが、いずれにしても現地や部屋の様子を確認する作業は必須となります。
しかし、こういった悩みを感じたことはありませんでしょうか。
「ガランとした部屋を見ても、家具などとの相性がイメージできない」
「引越し先が遠くて十分な見学時間が確保できない」
「内見先の人気が高く予約が取れない」
こういった状況において、現在注目されている技術が冒頭でお伝えした「バーチャルホームステージング」なのです。
仮想現実とよばれるVR技術を活用した新しいサービスであり、今後はバーチャルホームステージングを利用した見学が主流になるかもしれません。
ぜひ本記事をご覧いただき、新しい不動産見学について理解を深めてください。
目次
|バーチャルホームステージングとは?
バーチャルホームステージングとは、「VR(Virtual Reality)」技術を応用した新しいサービスです。
仮想空間上に再現した物件内に、家具やインテリアを配置することで、より具体的な住環境をイメージできるのです。
図面や写真だけでは想像しにくい家具の相性、インテリアとの組み合わせなど、物件内の細かい部分までCGを利用することでリアルに再現します。
バーチャルホームステージングはVRという仮想空間上に存在するため、実際の物件に訪れる必要がありません。
つまり、いつでもどこでも気になる物件の隅々まで確認し、心いくまでインテリアのイメージを膨らませることが可能なのです。
引越し先が遠い場合、自宅にいながら内見することは、これまでの物件探しでは不可能でした。
バーチャルホームステージングはより気軽に沢山の物件を見学できる上、インテリアの詳細を確認できるとして人気を集めているのです。
|バーチャルホームステージングのメリット
バーチャルホームステージングの活用には顧客、不動産業者の双方に大きなメリットがあります。
こちらでは、代表的な以下の内容をそれぞれ解説します。
- コストを抑えた住宅イメージを提供
- 家具のお試し配置が簡単
- 実際の展示では伝えられない魅力を発信
- 幅広い顧客に対応できる
コストを抑えた住宅イメージを提供
まず、不動産業者側のメリットとして、顧客に対してコストを抑えながら詳細な住宅イメージの提供が可能となります。
モデルルームにおける見学の場合、本物の家具を用意した上で物件に設置、レイアウトを行う必要があるでしょう。
そのため、家具のレンタルから保管場所の手配、さらには配送費といった様々な場面において費用が発生します。
しかし、バーチャルホームステージングであれば仮想空間上で全てが完結するのです。
物件はもちろん、家具事態もデジタルデータですので保管費用から配送費も発生しません。
重たい家具の持ち運び、レイアウトも簡単にできるため、本来重労働となる家具の配置も1人で行えるのです。
さらに、家具の配置によって床や壁に傷がつくリスクもありません。
あらゆる場面でコストを抑えた住宅イメージ提供が可能となることは、バーチャルホームステージングを利用する大きなメリットだといえるでしょう。
家具のお試し配置が簡単
内見を利用する顧客は当然、見学先の物件への入居、もしくは購入を検討しています。
そのため、基本的には空き家となっている物件において行われることが一般的でしょう。
周辺環境なども含めながら詳細な確認ができる内見には大きな魅力がありますが、実際の住環境をイメージしにくいという問題も抱えています。
「内見時は良いと思ったのに、実際に住んでみたら家具との相性が悪い」
「窓やコンセントの位置が悪く、生活しにくいレイアウトになってしまう」
実際に住んでから上記のような問題が発生することも少なくないでしょう。
しかし、バーチャルホームステージングであれば、仮想空間に再現した物件に対して、実際の家具イメージを自由自在に配置できます。
本当に住んだ時の状況を事前に確認することで、発生するかもしれないトラブルを事前に防ぐことが可能となるのです。
実際の展示では伝えられない魅力を発信
週末などに住宅展示場やモデルルームで開催される展示イベントは、人気エリアになればなるほど常に多くの顧客が訪れます。
そのため、一人ひとりに詳しい内容を伝えきれず、どうしても必要最低限の情報しか話せないというケースも少なくありません。
また、対応しきれない顧客は疑問点を抱えたまま立ち去ってしまう可能性もあり、せっかくのチャンスを逃してしまうことも考えられます。
しかし、バーチャルホームステージングであれば仮想空間上のデータの中に、商品や企業に関する説明リンクを添付できます。
そのため、担当者が付きっきりで説明することなく、顧客自身で情報を集め、疑問点を解消できるのです。
実際の展示では伝え漏れてしまうかもしれない魅力を、バーチャルホームステージングであれば余すところなく伝えられるでしょう。
幅広い顧客に対応できる
物件の売買には、まだ住んでいる住宅を将来的に売却したいと考える方も存在します。
しかしながら、現在住んでいる物件の詳細なイメージを即座に提供することは困難でしょう。
バーチャルホームステージングであれば現在ある家具を全て取り払い、空っぽにした状態を瞬時に創造できます。
そのため、購入希望者が求める情報を的確に提供できるのです。
また、現在のレイアウトとは異なる、モデルルームのように洗練された家具イメージを演出することも可能。
購入希望者に対してより魅力的なイメージを持ってもらい、競合物件との差別化を提示できるでしょう。
このように、バーチャルホームステージングは物件の売り手、買い手といった幅広い顧客に対応できる利便性の高いサービスといえるのです。
|バーチャルホームステージングの作成方法
バーチャルホームステージングの作成手順としては、まず物件の土台となる映像を造るために現地を360度カメラで撮影します。
この際使用するカメラは3Dモデルに対応したものを利用しましょう。
そして、撮影したデータを基に情報を編集していきます。
まず、顧客が仮想空間上で確認する際に「入り口」となるポイントを指定します。
加えて、映像内においてプライバシーを侵害するような部分などがあれば、ぼかし処理を施します。
同時に詳細説明といったリンクなどが必要な箇所には、こちらでコンテンツを追加しましょう。
作成したバーチャルホームステージングデータはURLで発行されます。
各種メディアやSNSにて拡散することで、より多くの顧客からの内見が期待できるのです。
|バーチャルホームステージングの活用事例
バーチャルホームステージングの活用事例として、以下企業の事例をそれぞれ紹介します。
- アレップス
- 積水ハウス不動産中部
- 東京建物不動産販売
アレップス
約5万戸の物件を管理するアレップスでは、2022年よりバーチャルホームステージングを導入しています。
2ヶ月以上空室となっている物件を対象にしており、月間ではおよそ80件に対して実施しているといいます。
なんと導入物件の多くが40日以内に入居が決まるなど、高い効果を発揮。
アレップスでは内見だけではなくリフォームの施行前後イメージを提供するなど、幅広い分野においてバーチャルホームステージングを活用しています。
積水ハウス不動産中部
愛知県を中心に約14万戸の物件を管理する積水ハウス不動産中部では、2020年よりバーチャルホームステージングを活用しています。
導入の理由は入居に苦戦している物件のアピールポイント増加です。
導入前には引き合いが少なかった物件も、バーチャルホームステージングによって希望者の目に止まり、大きな反響に繋がったといいます。
自由自在なインテリアと画像技術の高さを評価しており、保有している家具データは5万個にものぼります。
実物サイズで配置することで希望者も入居後のイメージがしやすいことから、高賃料物件を中心に提供を行っているのです。
東京建物不動産販売
約1万3千戸を管理する東京建物不動産販売では、2020年頃よりバーチャルホームステージングの提供を行っています。
家具の保有コスト、運搬という手間削減の解消のために導入しており、対象物件は4ヶ月以上空室となっている物件です。
こちらでは現地内見と組み合わせるため、実際の家具を配置した取り組みと並行してバーチャルホームステージングを実施しています。
|まとめ
バーチャルホームステージングに関する概要から作成方法、そして実際の事例について解説しました。
よりリアルな物件イメージを簡単に把握できるバーチャルホームステージングは、顧客にとってもメリットが多く、活用事例の多くでは空き物件の多くが契約に繋がっているそうです。
これまでは現地でしか不可能だった内見も、今後VR技術を活用した仮想空間上での実施が主流になるかもしれません。
バーチャルホームステージングの利便性、性能の高さが気になったという方は是非一度、実際に体験されてみることをおすすめします。