近年、VR技術を用いて防犯意識を高める試みが全国で行われています。

VRを使えば、イベント参加者に臨場感のあるリアルな体験を提供できるので、わかりやすく、記憶にのこりやすい防犯教育を実現できます。

そこでこの記事では、VRを用いた防犯教育のメリットやデメリット、実際に行われた活動の事例を紹介していきます。

防犯教育の新たな試みを知って、住みやすい街作りを一歩前進させましょう。

|VR技術を利用した防犯教育がおこなわれている

近年、VR技術の進歩にともない、防犯に役立つVRコンテンツの開発がすすめられています。

とくに警察や地方自治体による防犯教育に用いられるケースが出てきており、犯罪を未然に防ぐための活動にVRが活躍しています。

防犯教育にVRを用いれば、費用や教育効果の面でもメリットがあるため、今後も防犯教育の現場でVRを活用する場面が増えていくでしょう。

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|VRを用いて防犯教育を行うメリット

防犯教育にVRを用いるメリットを4つご紹介します。

安価で行える

防犯教育にVRを使えば、防犯イベントにかかる費用を抑えられる場合があります。

理由は、人件費や教育訓練会場のコストを抑えられるためです。

VRであれば、VRコンテンツ内で教育プログラムを完結させることも可能なので、指導員の数を減らせる可能性があります。

また、訓練を伴う防犯教育の場合、広い会場が必要になることがありますが、VRであれば、最小限の広さで教育訓練を行えるので会場費が抑えられる可能性があります。

犯罪の可能性のあるさまざまな状況を作り出せる

犯罪が起こる状況は一通りではなく、多様なケースが考えられます。

そのため、仮想空間の中で、さまざまな状況を作り出せるVRは防犯教育に向いています。

現実の防犯訓練では再現が難しい危険な状況や、犯罪が起こりやすい環境を仮想空間に出現させれば、イベント参加者の理解度が高まることは間違いありません。

教育や訓練の目的に合わせてVRをカスタマイズすることで、最適な気付きをイベント参加者に提供できます。

リアルな体験ができてわかりやすい

VRを使えば、リアルな体験を通して記憶に残りやすく、わかりやすい教育を提供できます。

VRは、仮想空間の中に、犯罪に遭遇する場面を作り出せるので、映像やテキストだけの場合よりも、圧倒的にわかりやすく教育内容を伝えることが可能です。

さらに、VRを使えば、これまでの教育や訓練では作り出すことが難しかった臨場感を演出できます。

これにより、イベント参加者は教育や訓練の内容を自分ごととして捉えやすくなるため、参加者の能動的な姿勢を引き出しやすくなるメリットがあります。

時間と場所に制限されない

VRであれば、いつでもどこでも、教育や訓練を行えます。

VR機器があれば教育や訓練を行えるので、参加者さえ集まれば、時間を問わずイベントを開始できます。

また、VR空間の中でコンテンツが進行していくので、体の動きは最小限でよく、場所を選びません。

|VRを用いた防犯教育のデメリット

VRを用いて防犯教育を行う場合に知っておきたい注意点を2点紹介します。

VR酔い

VR酔いとは、VRデバイスを使った際、乗り物酔いのような症状になることです。

もともと乗り物酔いになりやすい方やVRに不慣れな方がVRを利用する際にはとくに注意が必要です。

適度な休憩時間を設けたり、気分が悪くなった時にすぐに申し出られるようにしておく工夫が大切です。

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初期費用がかかる

VRで教育訓練を行う場合は、VR環境をつくるための初期費用が必要です。

受講者にVRを体験してもらうためには、VRを体験するための装置と、VR装置に映し出されるコンテンツが必要になります。

VRコンテンツは、制作するのに数十万円から百万円以上かかることも、、。

デバイスは機種によって値段が異なり、1台数万円のものから、数十万円するものまでさまざまです。

このようにVRを活用するには、最初にそれなりの金額が必要になります。

しかし、一度環境をそろえてしまえば、次回の教育訓練からは、同じものを使いまわせます。

そのため、教育や訓練の度に必要になる人件費や会場にかかる費用を考えると、VRを導入した方がコスト削減になる可能性があります。

|VRを使った防犯教育4つの事例

ここからは、実際にVRを用いて防犯教育を行った例を4つ紹介していきます。

神奈川県藤沢市:犯罪機会論の啓発

藤沢市では、犯罪機会論の啓発を目的としたVRコンテンツの試写会が行われました。

犯罪機会論とは、犯罪の機会を与えないことで犯罪を未然に防ぐ考え方を言います。

犯罪を起こす人を見分けるのは難しい。そこで「犯罪が起きやすい場所」に着目して防犯を行います。

啓発の内容は、藤沢市に実際に存在する道路や公園、海岸の景色の中に潜む、犯罪が起きやすい場所をVRを使って360度の映像で詳しく説明するというものです。

また、クイズを交えて考えさせることで記憶の定着も促しています。

今後、市民センターや公民館の講座などでVRコンテンツの活用が予定されており、さらに、公共施設に体験コーナーを設置して、一般の方も利用できるようにする予定とのことです。

大阪府警察:女性の自主防犯意識の向上

大阪府警察と追手門学院大学は、犯罪被害を疑似体験できるVRコンテンツを共同開発しました。

VRコンテンツの内容としては、スマートフォンで音楽を聞きながら公園を散歩中、背後から不審な人物が近づいてくるという設定になっていて、いかに危険な状況に気付くのが難しいかを体験できる内容になっています。

このコンテンツは、追手門学院中学校・高等学校との合同学園祭にて開かれた防犯教室で実際に使用されました。

また、イベント参加者はVR体験の後、警察官から危険なポイントの解説を受けて、さらに防犯の知識を高めていました。

山口県下関市:防犯や交通安全を呼びかける教室

山口県下関市では、子供たちが犯罪や交通事故に遭わないように、VRを使用した教育活動が行われました。

VRコンテンツの内容は、SNSで知り合った女性に自分の住所や写真を送ったところ待ち合わせ場所に現れた男に車で連れ去られるといった内容です。

イベントには下関中等教育学校の全校生徒や警察の関係者など約600人が参加。

生徒の代表が、専用のVRゴーグルでコンテンツを体験し、その内容がスクリーンに映し出されるという形で防犯教育が行われました。

愛知県大口町:不審者から身を守る

愛知県大口町では、不審者から身を守る方法を学ぶための防犯教室が開かれ、児童とその保護者約100人が参加しました。

教室では、参加した児童の中から10人が選ばれ、1人ずつVRコンテンツを体験し、その様子がスクリーンに映し出されました。

VRコンテンツは、冬の薄暗い夕方の公園で不審者に声をかけられ、近くにいる大人に助けを求めるといったもので、犯罪の恐ろしさを体験できる内容になっていました。

|まとめ:防犯教育にVRが活用できる

この記事では、防犯教育にVRを用いるメリットやデメリット、さらに、実際の防犯教育現場でのVRの活用事例をお伝えしてきました。

VR技術を使えば、仮想空間の中に現実に近い状況を作り出せるため、臨場感のあるリアルな体験を参加者に与えることができます。

そして、リアルな体験であるほど、記憶にのこりやすく、防犯意識の向上に高い効果が期待できます。

そのため、VRは、防犯教育や訓練を充実させる有用な手段の一つと言えるでしょう。