交通事故は、日本においても深刻な社会問題です。
2022年の交通事故による死者数は3,679人(前年比2.2%増)で、依然として高い水準にあります。
そこで注目されているのが、交通安全専用のVRコンテンツ「Dri-VR」です。
Dri-VRは、実際の道路や交通状況を再現したVR空間で、交通事故を疑似体験できるコンテンツです。
今回は、注目のDri-VRの機能や特徴、そのメリットについて詳しく解説していきます。
目次
|Dri-VRとは
「Dri-VR」とは、愛知県名古屋市のコンテンツ企業「サンダーボルトインタラクティブ」が開発した、交通安全VRコンテンツです。
これは実際の交通事故の状況をリアルなVR体験を通じて提供し、運転時により注意深く運転するための教育を支援するVRソリューションです。
「スケアードストレート方式(危険な行為を未然に防ぐために恐怖を体験させる手法)」が採用され、交通事故の現実的な状況をVR映像でリアルに感じることができます。
360度の実際の映像と、VFX技術で補完された映像を組み合わせることで、ユーザーに事故の衝撃的な印象を強く伝えることができます。
|Dri-VRの特徴
主な特徴としては、「実写映像」「ストレスフリー」「場所を選ばない」などが挙げられます。
それぞれ順番に解説していきます。
実写映像の使用
Dri-VRの最大の特徴は、実写映像を使用していることです。
これは、交通事故のリアルな体験を可能にする上で重要な要素となっています。
実際の映像を使用することで、以下のようなメリットがあります。
- 実際の道路や交通状況を忠実に再現できる
- 交通事故の恐ろしさや危険性をより実感できる
- 運転者の危険予知能力を向上できる
交通事故の多くは、運転者の危険予知不足によって起こります。
Dri-VRを体験することで、運転者が危険を察知する力を養うことができ、事故のリスクを軽減することができます。
ストレスフリーな装着感
もうひとつの特徴は、ストレスのない着感です。
これは、VRを長時間体験する際に重要な要素となっています。
快適な装着感を実現するために、Dri-VRは以下の工夫をしています。
- 軽量でコンパクトなヘッドセット
- メガネを掛けたまま装着可能
- ヘッドセットの重さを分散するヘッドバンド
これらの工夫により、Dri-VRは長時間装着しても疲れにくく、快適に体験することができます。
場所を選ばない
さらに、場所を選ばないことも特徴の一つです。
これは、交通安全教育をより身近なものにする上で重要な要素となっています。
Dri-VRは、ヘッドセットとPCがあれば、どこでも体験することができます。
そのため、学校や企業、運転免許教習所など、様々な場所で交通安全教育に活用することができます。
場所を選ばないことは、以下のメリットがあります。
- 交通安全教育の普及を促進できる
- 運転者の意識向上を図りやすい
- 交通事故の防止に効果的
場所や時間の制約をなくすことで、交通安全教育の普及を促進し、運転者の意識向上を図ることができます。
|Dri-VRのコンテンツ
Dri-VRには、さまざまな内容が用意されています。
ここでは主なコンテンツを4つご紹介し、それぞれ解説していきます。
交通安全コンテンツ(企業・行政向け)
交通安全コンテンツは、企業や行政機関向けに提供される教育VRです。
このコンテンツは、実際の運転者目線と同じポジションの視点から、リアルな事故を「追体験」することにより、イメージの補完を行い、交通事故の抑止に繋げるものです。
事故を体験するだけでなく、「事故原因の解説」から「安全な走行実例」で1つの構成になっており、 各シーンは約3~5分程で構成されています。
一つの内容 (約3分)のわずかな時間の体験でも、その後の意識を高めることができます。
また、多発事故や技術教育の為のカスタムVR映像制作にも対応しており、異なる言語にも対応可能です。
これらの理由から、多くの企業や行政機関に採用され、従業員の安全意識向上に貢献しています。
交通安全コンテンツ(学校・警察向け)
学校、警察向けの交通安全コンテンツは、学校や警察機関向けに提供される教育VRです。
このコンテンツも、実際の運転者目線と同じポジションの視点から、リアルな事故を「追体験」することにより、イメージの補完を行い、交通事故の抑止に繋げるものです。
内容は学校や警察機関向けに特化しており、学校での交通安全教育や警察官の研修などに活用されています。
各シーンは約3~5分程で構成されており、一つの内容 (約3分)のわずかな時間の体験でも、その後の意識を高めることができます。
実写映像を使用した疑似体験で、交通事故の恐ろしさや危険性、安全運転の重要性を学ぶことができるコンテンツを、学校や警察における交通安全教育に活用することで、交通事故の防止に貢献することができます。
物流系コンテンツ(トラックフォークリフト)
物流系コンテンツ(トラックフォークリフト)も、仮想実体験型安全教育VRの一つで、トラックやフォークリフトなどの物流車両を運転する際に起こりうる事故を再現し、事故防止に繋げるものです。
各シーンは約3~5分程で構成されており、わずかな時間の体験でも、その後の意識を高めることができます。
また、実写映像を使用したトラックフォークリフトの運転で、運転スキルを向上させることも可能となっています。
さらに、物流企業や運転免許教習所、個人における安全運転教育に活用することで、物流現場における事故の防止に貢献することができます。
KYTコンテンツ
KYT(危険予知訓練)は、作業者自身が職場や作業中に潜む危険な現象や有害な現象を引き起こす危険要因に対する感受性を高め、解決していく能力を向上させるための訓練です。
現場環境や作業手順に潜む潜在的な危険や、それらが引き起こす可能性のあるリスクを事前に特定し、組織内で事前に対策を講じることを目的としています。
KYTでは、組織内でイラストシートを活用しながら、潜在的な危険箇所を共有し、作業の前に重要なチェックポイントを確認したり、作業中に指差し確認を行ったりして、実際の危険に遭遇する前にそれを防ぐことも可能です。
さらに、感受性の向上や集中力の向上、問題解決能力の向上、実践意欲の促進にも貢献することが可能です。
|Dri-VRの新コンテンツ「飲酒運転編」
「飲酒運転編」は、飲酒運転による人身事故を体験できるVRです。
このコンテンツは、視界のぼやけだけでなく、エコー、視野の狭まり、聴覚の衰えなど、飲酒によるさまざまな影響をプログラムでリアルに再現しており、人身事故のスタントシーンにはハリウッドで実績のあるスタントチーム「B-st(ビースト)」が参加しています。
各シーン構成は、「事故原因の解説」から「安全な走行実例」で構成されており、飲酒運転による人身事故を体験することで、飲酒運転をしないことの重要性を訴えることを目的としています。
また、各シーンの構成が、「事故の原因解説」→「安全走行の実例」で1つの構成になっているため、安全運転に必要な知識を学ぶこともできます。
|まとめ
以上いかがでしたでしょうか。
「Dri-VR」は、短時間の動画で、事故体験と原因説明、安全対応がわかるため、効果的な学習が可能です。
操作が簡単なため、繰り返し学べ、安全意識の持続につながるとされています。
現在、「Dri-VR」は多数の企業の研修で導入されており、株式会社デンソーやトヨタ自動車、JA共済などが導入企業として挙げられています。
また、新入社員教育にも最適で、没入感のある集中的な研修ができます。
交通事故防止のためにも、皆様にとって今記事が参考になれば幸いです。