コロナ禍でオンライン会議やリモートワークが当たり前になった今、遠方からでも来場しやすいバーチャル(オンライン)展示会を企画している企業、担当者も多いでしょう。
とはいえ、そもそもどうやってバーチャル展示会を開催したら良いか分からない。またはバーチャル展示会を開催しても来場者は集まるのか、という心配もあるかもしれません。
確かに、バーチャル展示会はリアルの展示会と大きく異なる点も多いため、むやみに開催しても期待するような成果は得られません。
そこで今回は、バーチャル展示会の実際の事例を参考にしながら、失敗しない方法やオンライン展示会のおすすめのプラットフォームなどをご紹介します。
目次
|バーチャル展示会とは?
バーチャル展示会は、オンライン上で実施する展示会のことです。
厳密に言うとバーチャル展示会はメタバースの仮想空間上で行う展示会を指すこともありますが、基本的にはオンライン展示会もバーチャル展示会も同じものと考えてください。
バーチャル展示会でもリアルの展示会と同じように商品やサービスの展示、来場者とのコミュニケーション、講演会やセミナーを開催することが可能です。
またバーチャル展示会には、次の2つの開催パターンが存在します。
- 自社開催型:単独で開催するバーチャル展示会。自由度が高く、自社に興味のある来場者だけを集客できる
- 合同開催型:複数の企業が一緒に開催する。開催の敷居が低く、高い集客力も見込める
では実際の事例を通して、バーチャル展示会を成功させるためのポイントを探っていきましょう。
|バーチャル展示会事例5選
以下5つの事例を参考に、バーチャル展示会について考えていきます。
- ジャパン建材フェア
- IT&MARKETING EXPO
- 農フェス!2021年夏秋
- Smart Sensing ONLINE
- 東京ゲームショウ2021
ジャパン建材 オンライン展示会
出典:https://www.jkenzai.co.jp/event/jkfair/2021/
ジャパン建材は毎年春と夏の2回、建築資材や住宅関連機器メーカーが一堂に介する「ジャパン建材フェア」を開催しています。
それを2021年に始めてオンラインで開催。従来の「住まい方・暮らし方」の提案というテーマはそのままに、バーチャル展示会ならではの企画を実施しました。
<主な企画内容>
- 販売ブース:新商品の展示・紹介・販売
- オンライン住宅展示場:全国から自慢のモデルホームを展示。3Dで実際に訪れたような体感を提供
- オンラインセミナー:講師を交えた学びの場の提供
- 変わる3つのnew style:消費者データの分析を元にした提案
- オンラインとリアルの融合:全国の営業所でも展示即売会を開催し、相乗効果を生み出す
ジャパン建材フェアは毎回2万人規模の来場者を数える日本最大の建材フェア。それを合同開催型のバーチャル展示会に見事に落とし込んだジャパン建材の取り組みは、大いに参考になるでしょう。
IT&MARKETING EXPO
出典:https://weblp.cloud-webexpo.com/exhibitor/marketing_expo2021
「IT&MARKETING EXPO」は最新のITサービス・ソリューションを紹介する、合同開催型のバーチャル展示会。300社以上が参加しました。
出展企業はオンラインブースから自社のサービスやツールを紹介し、顧客にはZoomやチャットでコンタクトを取ることができます。
<IT&MARKETING EXPOの特徴>
- 先端企業による50以上の講演企画
- 企業のオンラインブース
- チャット・Zoomで担当者とすぐに商談が可能
- 参加・出展費無料
IT&MARKETING EXPOは出展費が無料のため、自社だけではバーチャル展示会を開催できない企業でも気軽に参加できます。
来場者申込数は6,000人以上、商談数も2,760件と、確かにその効果を目にすることができました。
農フェス!2021年夏秋
出典:https://www.michinoku-kubota.co.jp/2021/06/-2021-2.html
「農フェス!2021年夏秋」は農機具メーカのクボタが開催する、自社開催型のバーチャル展示会。オンラインで農業機械の展示や販売を行っています。
<主な企画内容>
- 試乗体験コーナー:様々な種類の農業機械にバーチャルで試乗可能
- Webセミナー:来場者の関心の高い、農業用ドローン教室を開催
- 新商品紹介:特設ステージ上で新商品を発表
- オンラインショップ:オリジナルグッズの販売
農フェス!2021夏秋は第一回で評判の良かった試乗体験の拡充や、農業従事者の関心の高い農業用ドローン教室を開催するなど、参加者のニーズや要望を強く意識したバーチャル展示会となりました。
Smart Sensing ONLINE
出典:https://www.smartsensingexpo.com/online/
JTBコミュニケーションデザインとアペルザは、センサ・センシング技術をアピールしたい企業や研究機関に出展を募り、合同開催型のバーチャル展示会、「Smart Sensing ONLINE」を開催しました。
<Smart Sensing ONLINEの特徴>
- 最新テクノロジーがオンラインで集結
- チャット機能で気軽に交流が可能
- セッションごとにテーマの異なるセミナーを開催
- 動画のアーカイブ配信
ほとんどのセミナーは上限者数いっぱいで、中には出席者が1,000人を超えたセッションも。
オンラインで最新テクノロジーに手軽に触れられ、チャットで専門家とも交流できる同展示会は大好評のうちに閉幕しました。
3日間で3,000人以上が来場し、90%以上が参加してよかったと回答しています。
東京ゲームショウ2021
出典:https://tgs2021.bandainamcoent.co.jp/
最新ゲームが一同に介する「東京ゲームショウ」には、毎年大勢の来場者が訪れます。しかし、コロナ禍に見舞われた2020年と2021年は、「東京ゲームショウ2021 オンライン」として開催されました。
<主な企画内容>
- 体験版の試遊
- 番組配信
- オンライン・ショップ
- ビジネスマッチング
東京ゲームショウ2021には351の企業・団体が出展。公式番組の総視聴回数は3,947万回、来場者数は延べ21万人を記録しました。
リアルでの開催を熱望する声を受け、2021年は来場者を限定したオフライン会場も用意。並ばずに試遊できるというオンラインのメリットと、感動や喜びを同じ空間で共有できるオフライン(リアル)との融合が、今後の期待となるでしょう。
|バーチャル展示会のメリット・デメリット
実際の事例から、バーチャル展示会のポテンシャルや効果の高さが実感できたでしょう。
ここからはさらに、バーチャル展示会のメリット・デメリットを深掘りして、成功させるための秘訣を探っていきます。
メリット
バーチャル展示会のメリットとして、以下の3つの点が挙げられます。
- 地理的制約がない
- コストの削減
- データの収集・分析がしやすい
では、それぞれ順番に見ていきましょう。
場所に縛りがないため集客の幅が広がる
バーチャル会議の最大のメリットは、地理的な制約がないこと。参加するための移動時間や交通費・出張費を気にする必要はありません。
オンラインでどこからでも気軽に参加できるため、より幅広い層の集客が見込めます。国内はもちろん、海外の顧客にもアピールする絶好の機会となるでしょう。
またリアルな展示会ではロケーションや当日の天候によって参加者の数が大きく変動する可能性がありますが、バーチャル展示会ではそうした心配もいりません。
コストを削減できる
会場の使用料金や設営費が不要なバーチャル展示会は、リアルの展示会と比べてコストを大幅に削減することができます。
<リアル展示会に必要なコスト>
- 会場使用料
- 設営費
- 装飾費
- カタログなどの配布物
- 接客費・飲食提供費など
このように、リアルな展示会を開催するには莫大なコストが必要。しかしバーチャル展示会では、これらの費用が発生することはありません。
ローコストということは、開催頻度を増やせることにも直結します。新規顧客の開拓や既存顧客の関係性強化にもつながるでしょう。
データの収集・分析がしやすい
リアル展示会では参加者の感想・意見を集めるのに、アンケートを用いるのが一般的です。しかしそれでは回答率が低い上、精度もイマイチ。
一方Webで開催されるバーチャル展示会では参加人数やアクセス経路、滞在時間、重点的に見られたページ、離脱率などのデータを簡単に収集できます。
収集・分析したデータは、今後の営業やマーケティング戦略など、企業活動を推進するのに非常に役立つでしょう。
デメリット
バーチャル会議にはデメリットも存在します。以下のデメリットを見極めた上で、しっかりとした対策を練ることが重要です。
- リアルな体験を提供できない
- サイト構築に手間がかかる
- 受け身の営業になる
では、これらのデメリットについても一つずつ見ていきましょう。
リアルな体験を提供できない
オンラインで開催されるバーチャル展示会では、当然ながらリアルな体感を提供することができません。
つまり、試食や試着などができないということ。これは物産展などの食品関連の展示会、アパレル業界にとっては深刻な問題です。
こうした問題を解決するには、次のような対策が必要になります。
- VR・AR技術を用いた臨場感の高い体験の提供
- サンプルを事前に提供する
- 動画コンテンツなどで補完する
リアルな体感を提供できない分、様々なコンテンツを用意することによってアピールする必要があるでしょう。
サイト構築に手間がかかる
合同開催型はそれほどでもありませんが、自社開催型のバーチャル展示会を開催する場合は、サイト構築やシステム整備にかなりの手間がかかります。
そのため自社のバーチャル展示会にどんなコンテンツや機能が必要かを、予め十分に検討しなければなりません。
あまり手間やコストをかけられない場合は合同参加型の展示会に加わったり、自社開催型のバーチャル展示会を構築してくれる業者に頼るのがおすすめです。
受け身の営業になる
バーチャル展示会では呼び込みやチラシ配りができないため、どうしても受け身(PULL型)の営業になってしまいます。
また顧客とのコミュニケーションや営業トークもチャットや画面越しの会話となるため、難しさを感じる営業マンもいるかもしれません。
プル型の営業でも参加者に興味を持ってもらえるようなコンテンツを用意する、コミュニケーションの手段を工夫するなどの対策が必要となるでしょう。
|バーチャル展示会で失敗しないやり方は?
バーチャル展示会のメリット・デメリットを十分に理解した上で、バーチャル展示会で成功するにはどうしたらよいか?失敗しないための方法を探っていきます。
特にどのようにバーチャル展示会を準備したら良いのか、集客のためにはどんなことが必要か?という点にポイントを絞って考えていきましょう。
ユーザーファーストなプラットフォームを選ぶ
リアルな展示会では、訪れた人がすぐに帰ってしまうということはあまりありません。しかしバーチャル展示会の場合は簡単に来場できる反面、すぐにサイトから離脱されてしまうという心配がつきまといます。そのためせっかく訪れてきた人が長くとどまってくれるよう、なるべくユーザーファーストで使いやすいプラットフォームを選ぶ必要があるのです。
ユーザーファーストなプラットフォームを選ぶために、以下の要素を確認してください。
- どんな機能を実装できるか
- 外部連絡機能はどうなっているか
- 利用可能なデバイスは?
- 過去にどんなバーチャル展示会を実施しているか
参加者が必要な情報やサービスにすぐにアクセスできるか、直感的に操作できて動作もスムーズかなど、なるべくストレスを感じないようなプラットフォームを選びましょう。
対象のユーザーやコンセプトを明確にする
バーチャル展示会の参加者は興味のあるコンテンツにピンポイントでアクセスするため、集客のためにはターゲットとなるユーザー層や出展の目的・コンセプトを明確にすることが大事になります。
- コンセプトを明確にする:どんなサービスやコンテンツを発信しているのか?一目で分かるようにする
- 対象ユーザーを明確にする:そもそも自社が対象としているユーザーはバーチャル展示会と親和性が高いか?そうでなければ、どのような集客方法が必要か?
- 訪問者に興味を抱かせる動画やコンテンツを用意する:単なる説明・紹介ではなく、見てみたいと思わせるようなコンテンツを制作する
失敗しないためには、自社の展示会のコンセプトと対象ユーザーのマッチングが適しているかをしっかりと確認する必要があるのです。
告知方法を工夫して集客力をつける
せっかくユーザーファーストでコンセプトも明確なバーチャル展示会を用意しても、来場者が訪れてくれなければ全く意味がありません。
バーチャル展示会の参加者は普段からネットやデジタルコンテンツに親しんでいるため、自社サイトやメルマガ、SNS、ブログなどを利用して広く告知することが集客のためにはマストとなります。
自社のサイトやSNSがない場合は、バーチャル展示会の情報を集めているポータルサイトなどを利用してください。
その場合には、なるべく複数のポータルサイトを活用することがおすすめです。
また無料のセミナーはやはり集客力を高める効果が期待できるため、なるべく魅力的で実践的なセミナーを用意してしっかり告知するようにしましょう。
|バーチャル展示会のプラットフォーム6選
バーチャル展示会を開催するためのプラットフォームは様々あり、質という点でも玉石混交なのが実情です。
そこでここからは、おすすめのプラットフォームを6つご紹介します。
- XR CLOUD
- meet×meet
- DMMオンライン展示会
- zone. BASIC
- SERENDEC
- EASYバーチャル・フェア
では、それぞれの特徴やおすすめの理由を順番に見ていきましょう。
XR CLOUD
「XR CLOUD」はmonoAI technology株式会社が提供する、バーチャルイベント用のプラットフォーム。PCやVRゴーグルはもちろん、スマホやタブレットからも気軽にバーチャル空間にアクセスできます。
<XR CLOUDの特徴>
- 1,000人~最大10万人規模の大規模仮想空間の構築が可能
- 申込みから最短1週間でバーチャルイベントの実施が可能
- 企画、制作、開発、運営まで一括でサポート
- 企業のニーズに合わせたオリジナルのバーチャル空間を提供
- iOS, Android, Windows・Mac OS向けにアプリを提供するマルチプラットフォーム。
100名規模のバーチャル展示会であれば、55万円から対応可能。
費用について詳しくは、公式HPからお問い合わせください。
meet×meet(ミーツ)
出典:https://service.meetxmeet.com/
「meet×meet(ミーツ)」は企業を専門とした、バーチャル展示会向けのプラットフォーム。目的や規模に合わせて自社開催型、合同開催型いずれのバーチャル展示会も提供することができます。
<meet×meetの特徴>
- 最大100社参加可能な合同展示会に対応
- 担当者の顔をアイコンで表示し、『顔が見える』出展ブースの制作が可能
- オンライン商談でその場で商談が可能
- 来場者の行動データを主催企業・出展企業それぞれのダッシュボードで閲覧可能
- 感覚的で分かりやすいUI
規模によって費用は変わりますが、1,000人以下の自社開催型なら基本料金50万円からとなっています。
DMMオンライン展示会
出典:https://online-event.dmm.com/
「DMMオンライン展示会」はオンラインイベント事業用のプラットフォームで、業界やテーマごとに様々あバーチャル展示会を開催。企業はそこに自社ブースを出展させることができます。
<DMMオンライン展示会の特徴>
- 画面の案内に従って入力するだけで、最短1時間で企業ブースが完成
- 多種多様なバーチャル展示会が開催されているため、自社のコンセプトに合った展示会に出展が可能
- 2020年のサービス開始以来、出展企業は12,000社以上の実績を誇る
- 出展費用は無料。獲得リード数の上限もなし
とにかく低コストでバーチャル展示会に出展できるのが、DMMオンライン展示会の最大の特徴。
zone. BASIC(ゾーンベーシック)
出典:https://zone-event.jp/zone/
バーチャルと現実の展示を組み合わせたハイブリッド型の展示会を行いたいなら、「zone. BASIC(ゾーンベーシック)」がおすすめです。
<zone. BASICの特徴>
- ビジネスイベントに特化
- シンプルで使いやすいデザイン
- ニーズに合わせた自由なカスタマイズが可能
- データを活用した効果的な運用を提供
zone. BASICなら例えば、リアルの展示場で商品を展示しながら、オンラインでセミナーを開催するというような、ハイブリッド型の展示会が開催可能。
SERENDEC(セレンデック)
出典:https://www.serendec.co.jp/web-exhibition/
「SERENDEC(セレンデック)」は低コストでありながら、バーチャル展示会のメリットを最大限に活かした展示会の開催を実現させています。
<SERENDECの特徴>
- 企業の目的達成に必要な機能だけを実装することによって、低コストを実現
- システムの流用によって開発期間も短縮
- Web制作で培ったノウハウを元に、顧客リードの獲得や潜在顧客層へのリーチをサポート
SERENDECはなるべくシンプルで、効果的なバーチャル展示会を開催したい!という企業におすすめのプラットフォーム。
EASYバーチャル・フェア™
出典:https://www.energize.co.jp/service/easyvirtualfair.php
「EASYバーチャル・フェア™」は株式会社エナジャイズの提供する、フルカスタマイズ可能なバーチャル展示会用のプラットフォーム。企業だけではなく、大学などの教育機関、政府公共機関などにも各種展示会の開催をサポートしています。
<EASYバーチャル・フェア™の特徴>
- モバイルフレンドリー、ダウンロードゼロ、超高速ローディング時間などの優れたUI/UXを実装
- 24時間365日のワールドワイドサポート、ヘルプデスク、オンボーディングなど柔軟な個別クライアントへの対応
- Instagram広告やソーシャルメディアキャンペーンなど、マーケティングもサポート
EASYバーチャル・フェア™なら一般的な展示会だけではなく、生徒募集のためのOPENキャンパスやビジネスコンベンションなどもバーチャルで開催可能。
|バーチャル展示会の費用はどれくらい?
リアルな展示会より費用が抑えられるとはいっても、バーチャル展示会を開催するには一体どのくらいのコストがかかるのでしょうか?
上で紹介したXR CLOUDやmeet×meetのように基本料金を設定しているところもありますが、ほとんどはプラットフォームによって費用はまちまちです。
それは展示会の規模や開催日数、実装する機能などによってコストも変動するからです。また自社開催型か、合同開催型かによっても費用は大きく異なります。
そのためまずはどのくらいの規模で日数はどのくらいか、どんな内容にしたいか想定した上で、複数のプラットフォームに問い合わせる形になるでしょう。
もちろん、バーチャル展示会の開催が初めてで勝手が全く分からない、という場合は、上で紹介したプラットフォームにイチから相談するのもおすすめです。
|事例を参考にバーチャル展示会を成功させよう!
一口に展示会と言っても、リアルとバーチャルでは様子も内容も大きく異なります。バーチャル展示会のメリット・デメリットを見極めた上で、自社のコンセプトや目的に合ったバーチャル展示会を企画するのが、失敗を避けるためには不可欠です。
今はリアル展示会の代替という見方が多数ですが、バーチャルならではの特徴を活かした展示会がこれからどんどん開催されることでしょう。
今回の記事を参考に、自社に最適なプラットフォームを選択して、ぜひバーチャル展示会を成功させてください。