近年、次世代のテクノロジーとして注目されているメタバース。
その世界の中に銀行が登場すると、未来の金融サービスは、現実世界と仮想空間の融合によって新たな次元へと進化していくかもしれません。
この新たな展開の背後には、どんな理念やテクノロジーが潜んでいるのでしょうか?
この記事ではメタバースの中に銀行ができるメリットや背景など、詳しく解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
|メタバースとは
メタバースは、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術を駆使し、デジタル空間内で人々が交流し、活動する新たな次元です。
これは、現実世界の延長線上に位置するもので、リアルタイムの仮想空間とも呼ばれています。
メタバース内では、個人や企業が仮想の場所を構築し、仮想通貨やデジタルアセットの取引、ソーシャルインタラクション、エンターテインメントなどが展開されます。
このコンセプトの基本的なアイデアは、物理的な距離や制約を超えて、世界中の人々がデジタル空間内で繋がることが可能となり、新たなビジネス機会やソーシャルエクスペリエンスを提供します。
メタバースは、ゲーム、教育、エンターテインメント、仮想コマース、デジタルアートなど、多くの分野で活用されており、将来的には経済や社会全体に影響を与えることが期待されています。
また、テクノロジーとコミュニケーションの発展によって、新たなデジタル生態系を構築する革命的なプラットフォームにもなっており、その進化は今後も加速していくと考えられています。
|銀行×メタバースの活用メリット
メタバースと銀行の結びつきは、新たなビジネスチャンスやメリットを生み出します。
以下に具体的なメリットをご紹介します。
若年層との接点創出
近年、若年層の金融リテラシーの低下が懸念されています。
その背景には、若年層が金融サービスに触れる機会が少なく、金融に対する興味関心が低いことが挙げられます。
そこで銀行がメタバースに進出することで、若い顧客層に向けて新しい接触ポイントを提供できます。
たとえば、アバターを使ったキャンペーンや仮想通貨を活用した支払いサービスなどが挙げられます。
さらに、メタバース上での銀行業務は、従来の銀行業務と比べて柔軟性が高く、効率的に実行できます。
たとえば、メタバース内でのATM設置や仮想通貨を利用した支払いサービスの提供などが考えられます。
このように仮想空間内での銀行業務には、若年層との新たな接点創出やより柔軟で効率的な業務実行といった多くの利点が存在します。
金融サービスの提供
メタバース上に銀行が登場することで、金融サービスにも多くのメリットが生まれます。
たとえば、メタバース内でのATM設置や、仮想通貨を用いた支払いサービスの提供が挙げられます。
また、メタバースでの金融サービスは、従来の銀行業務に比べて柔軟で効率的です。
さらに、金融商品取引によって、新しいビジネスモデルが生まれる可能性もあります。
このように、仮想空間内での金融サービス提供には、従来の銀行業務に比べて柔軟性と効率性の向上、新たなビジネスモデルの創造といった多くの利点があるのです。
今後もメタバースの普及が進むにつれて、銀行によるメタバース活用の動きがさらに加速していくと考えられます。
|銀行×メタバースの活用事例
ここでは具体的にメタバースを活用した銀行の事例をいくつかあげて、それぞれ解説いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
静岡銀行
静岡銀行は、「メタテラス」というメタバース内のインターネット支店を開設し、実証実験を行っています。
この支店では、ポスターをクリックすると商品紹介ページに移動できたり、お客様向けセミナーの案内を受けたりするなどのサービスを提供しています。
また、社内研修や接客トレーニングもメタバース環境を活用して行っています。
今後は、実験から得た経験を元に、段階的に顧客向けサービスを拡充し、さらなるサービス向上に努める予定です。
島根銀行
島根銀行も、メタバース内で活動する金融機関の一つです。
たとえば、「しまね縁結び商店街」といった島根県内の商店街に出店し、地域の魅力について発信するなどしています。
また、島根銀行は、メタバース内でアバター同士の商談も可能にしています。
これらの実例から、島根銀行はメタバースを通じて新しいサービスを提供し、顧客とのコミュニケーションなどのサービスの向上に努めています。
SBI新生銀行
SBI新生銀行は、リアルとバーチャルが融合した「メタパ®」というメタバースショッピングモールアプリに、次世代情報チャネル「SBI Shinsei Meta Space」を開設しました。
この仮想空間は、宇宙空間を背景にSBI新生銀行の金融商品やサービスを提供します。
ATM、口座開設、金融商品の紹介などのコーナーがあり、顧客は自由に移動しながら銀行業務を実行できます。
また、SBI新生銀行のキャラクター「SBIくん」が案内役として登場し、顧客の案内や質問に応じて快適な利用環境を提供しています。
みずほ銀行
みずほ銀行は2022年11月に、M’s Salon メタバース展示会を主催し、メタバースの普及に向けた積極的なアプローチを示しました。
また、2022年7月には、世界最大級のVRイベント「バーチャルマーケット」に参加し、銀行店舗を模したブースでは、金融のクイズとボルダリングを組み合わせたイベントを提供、社員による座談会を開催しました。
さらに、メタバースの特性を活かして顧客体験やビジネスチャンスを模索しており、みずほ銀行の事業の一環として注目されています。
三菱UFJ信託銀行
三菱UFJ信託銀行は、メタバースである「cluster」内で、三菱UFJ信託銀行の新卒採用イベントを開催しました。
このイベントは、新型コロナウイルスの影響で難しくなったリアルなイベントに代わる新しいアプローチとして位置づけられ、オフィスの雰囲気をリアルに再現し、学生と企業の理解を深めることを目指しています。
具体的には、バーチャル空間で銀行のオフィスを3DCGで再現し、学生が実際のオフィス訪問のような感覚を体験できます。
JPモルガン・チェース
JPモルガン・チェースは、メタバース「Decentraland」内に「Onyx Lounge」と名づけたラウンジを開設しました。
この事例は、銀行がメタバースに参入する初めてのケースとして知られています。
ラウンジは、同社のデジタル通貨とブロックチェーン技術部門「Onyx」が、メタバースの機会を探るためのリポートを公表した際に設けられました。
このラウンジでは、暗号資産やブロックチェーン技術に関する情報提供や相談が行われています。
|メタバース×銀行の将来性は?
今後リアル世界とバーチャル世界がどう融合していくのか、その将来性についても具体的な例を挙げながら解説していきます。
金融業界全体がメタバースに進出している
すでに、世界中の大手金融機関がメタバースへの進出を表明しており、さまざまな取り組みが進められています。
先ほどの実例にも挙げた通り、みずほ銀行、JPモルガン・チェース、など、世界中の大手金融機関が、メタバース内に口座開設や取引などの金融サービスを提供するバーチャル支店を開設しています。
また、三菱UFJ銀行、野村證券、SBI証券などの金融機関も、メタバースで金融に関するバーチャルイベントを開催しています。
バーチャルイベントは、従来のリアルイベントとは異なる、より効果的なコミュニケーションツールとして活用できます。
このように、メタバースにおける金融サービスの可能性は、非常に広大です。
今後、メタバースの普及が進むにつれて、金融業界におけるメタバース活用の動きがさらに加速していくと考えられます。
「ジャパン・メタバース経済圏」創出
2023年2月、りそなホールディングス、三菱UFJフィナンシャルグループ、損害保険ジャパンなど、合計10社が、「ジャパン・メタバース経済圏」の形成に向けた基本合意書に署名しました。
これらの企業は、TBT LabグループのJP GAMESが開発した「PEGASUS WORLD KIT」を活用し、企業向けのオープンメタバース基盤「リュウグウコク(仮)」の構築に取り組みます。
リュウグウコク(仮)は、異なるメタバース・プラットフォーム同士の連携や相互運用を可能にし、企業のDXや消費者のEXなどの新しい社会インフラとして活用される予定です。
このプロジェクトは、セキュアかつオープンなメタバース基盤を提供し、国内外での拡大を目指すものです。
|まとめ
以上、いかがでしたでしょうか。
メタバース上での銀行の活用は、まだ始まったばかりですが、今後、新顧客層の獲得やコスト削減、新たなビジネスチャンスなど、さまざまなメリットをもたらすと考えられます。
また、NFTや仮想通貨などのテクノロジーが普及するにつれ、銀行がこれからのデジタル資産の取引を支援するようになれば、さらに新たなビジネスが広がっていくでしょう。
今後も銀行によるメタバース活用の動きに注目です。