近年、拡張現実(AR)技術が、スポーツの世界で驚くべき進化を遂げていることをご存知でしょうか?
この最新テクノロジーを活用することで、スポーツ愛好者にとっての楽しみ方は大きく視野が広がります。
スポーツを観戦する側も、スポーツをする側も、またそれをビジネスとして導入する企業にとっても、さまざまな活用が進んでいるのです。
今回の記事では、ARがスポーツでどのように活用されているのか、その可能性や事例についてご紹介しますので、スポーツに興味のある方はぜひご一読ください!
|ARとは
ARは、現実世界にデジタル情報を重ね合わせることで、新たな視覚体験を生み出す技術です。
スマートフォン、タブレット、カメラなどを使用し、現実にないものをまるで存在しているかのように体験することができます。
例えば、「ポケモンGO」などのARゲームでは、現実世界にポケモンやモンスターが出現し、捕獲するという新しいゲーム体験を提供しました。
この技術はエンターテインメントに留まらず、教育、医療、産業、観光などさまざまな分野で活用の幅を広げています。
これにより、現実世界とデジタル空間の境界がますます曖昧になり、私たちの日常生活に新たな可能性をもたらす革命的な技術と言えます。
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|【AR×スポーツ】でできること
では、スポーツにARを導入することで、どのようなことができるようになるのでしょうか。
以下で、3つのポイントについて説明します。
ファンの満足度向上
この技術は、スポーツ観戦をするファンの満足度を大きく向上させる可能性を秘めています。
例えば、入場や得点シーンにおいて、没入感あるエンターテインメントが提供できます。
試合の臨場感や興奮を高めるために、ARを使用した演出や情報提供が行われることで、ファンはスポーツ観戦をより楽しむことができます。
また、ARを用いたVR(仮想現実)は、試合会場の臨場感を自宅に居ながらにして提供することも可能です。
リアルな会場の再現や臨場感ある視聴体験は、実際に試合会場にいるかのような興奮を感じさせてくれます。
このように、どこにいてもスポーツイベントを存分に楽しむことができ、ファンの満足度は飛躍的に向上するでしょう。
新たなファンの獲得
新たなファンの獲得においても、この技術を活用することによって画期的な役割を果たしています。
例えば、スポーツ観戦中にスマートフォンやデバイスを通じて、タッチ操作で試合や選手のデータを素早く入手することができるため、煩わしい情報検索の必要がありません。
試合や選手のデータをリアルタイムで簡単にアクセスできることは、新たなファンの獲得に大いに寄与しています。
また、スポーツイベントに欠かせないのが、視聴者とスポンサーとのコミュニケーションです。
特に若い世代は従来の広告に比べて、新鮮で参加型のAR広告は好まれる傾向にあります。
このような広告は効率的に顧客情報を収集し、その情報を基に彼らに受け入れられやすい広告提供が可能になります。
パフォーマンスの向上
アスリートのパフォーマンス向上にも効果があります。
例えば、3D映像でお手本のフォームを記録し、拡張現実でそのフォームを再現します。
これにより、フォームの改善やトレーニングの最適化が効率的に行え、各選手のパフォーマンスが向上する可能性が高まります。
また、チームの戦術を確認する際にも活用できます。
戦術の改善や調整が迅速に行われ、試合のクオリティが向上するでしょう。
さらに、スポーツ用品の購入において、デジタル上で商品を試着することができます。
商品のサイズ感やフィット感を実際に体験することで、購入前に商品の適合性を確認できるうえ、返品や交換のコストを削減することができます。
商品試着が円滑化は、パフォーマンス向上にも繋がります。
|【AR×スポーツ】導入事例
実際にスポーツ業界に導入しているAR技術について、いくつかの事例をご紹介します。
ARを活用したスポーツ「HADO」
「HADO」とは、魔法のような新感覚のスポーツ体験を提供するエンターテインメントです。
参加者は専用のウェアラブルデバイスを身に着け、漫画のようなファンタジーの世界で対戦します。
ゴーグル型デバイスを通して見えるのは、現実の対戦相手とデジタルの「ファイヤーボール」と呼ばれる3D画像。
身体のモーションを使ってエナジーボールを操作し、相手にぶつけて得点を競います。
詳しくは、こちらの過去記事も参考にしてくださいね。
ARで試合観戦をより面白く!
スポーツファンにとっては、この最新テクノロジーを用いることで、試合観戦をよりリアルに体感できるようになります。
どのようなエンターテイメントを提供できるのか、スポーツ別に以下でご紹介しましょう。
サッカー
KDDIは、サッカーのキリンチャレンジカップ2019でAR観戦を導入しました。
これは、座席に配置されたタブレットを通じて、試合の状況や選手情報を詳細に把握できる仕組みとなっています。
ARピッチ画面では、異なるカメラアングルから試合を視聴でき、リアルタイムでスタッツ情報を確認できます。
また、ハーフタイムや試合前には、タブレット上で楽しめるスタッツゲームやARゲームが提供され、観客の暇つぶしに活用されました。
野球
福岡ソフトバンクホークスは、スマートフォンを使用して、試合中に選手の成績などのデータを表示するサービスを期間限定で提供しました。
この取り組みは、ソフトバンクが提供する「5G LAB」の一環として実施されたものです。
これにより、試合観戦がより深化し、バーチャルとリアルが融合した新しい観戦スタイルを体感することができました。
球団は今後、スタジアム全体をメタバースに展開するビジョンを描いています。
バスケットボール
ソフトバンクは、全国高等学校バスケットボール選手権大会「SoftBank ウインターカップ2019」で5Gのプレサービスを提供しました。
このサービスでは、ARグラスとスマートフォンを組み合わせて、自由な視点で試合を観戦できるものです。
観客は応援ボタンを押し、ARグラスに表示される応援ケージを増やすことで競争を楽しむことができます。
高品質な映像も、より試合を楽しませてくれる手段となっています。
バレーボール
NTTドコモは、2018年の世界バレー女子大会で、ARライブ映像システムを活用したスマートグラスのモニター体験を実施しました。
このプロジェクトにはTBSテレビと近畿日本ツーリスト首都圏も参加し、横浜アリーナの試合会場で行われました。
この検証では、スマートグラスを着用して、表示されたライブ映像のコンテンツを手で操作することで試合の臨場感を高め、詳細な情報を得ることができました。
選手のトレーニングにARを活用
この技術は、スポーツファンに向けたエンターテイメントのみならず、選手にとっても有意義なトレーニングツールとしても活用の幅を見せています。
以下で、その事例の詳細についてご紹介します。
オールジャンル:DIDIM
DIDIMは、AR技術を駆使して、ユーザーが室内で楽しみながらトレーニングを行う画期的なプラットフォームです。
ユーザーは床を使って身体だけで運動を楽しめ、ジムやトレーニングマシンを触る必要がありません。
非対面型トレーニングやゲームを通じて、身体、精神、社会性を育てる成長・健康プログラムが提供されています。
プロのトレーナーによって設計されたサーキット/テーマトレーニングシステムなど多彩なコンテンツが用意され、目的に合わせてカスタマイズできます。
陸上競技:Ghost Pacer
Ghost Pacerはランナー向けのARグラスで、バーチャルランナーと共に走ることができます。
バーチャルランナーのペースは自由に設定可能で、仲間とのランニングが難しい状況でも、バーチャルランナーと共に練習することができます。
このデバイスは軽量で重量はたったの90グラムで、防水性と防塵性も兼ね備えています。また、友人のランニングデータを利用してバーチャルレースを行うことも可能で、トレーニング効率の向上を実現します。
水泳:FORM
カナダの企業「FORM」が開発した水泳用ARゴーグルは、水中で計測データをリアルタイム表示できるデバイスです。
このゴーグルは、レンズに内蔵されたオンボードコンピュータを活用し、連続16時間の運用が可能で、泳ぎながら計測タイム、距離、ストローク数、レートなどの情報を視界に投影します。
専用アプリと連動することで、記録データの確認や共有が容易で、トレーニング内容や進捗状況を共有し合うことができます。
ARを用いたマーケティングでファンを獲得
スポーツをより多くの人に知ってもらうために、マーケティングにおいてもこの最新技術を応用しています。
これにより、スポーツファンを獲得することで、スポーツ業界は一層盛り上がりを見せることができるでしょう。
具体的なマーケティングシーンについて、以下で解説します。
ARフィルター
ARフィルターは、スマートフォンやタブレットのAR機能を駆使し、写真や動画にエフェクトを重ねて楽しむ技術です。
これはSNSや広告などで広く活用され、個人の遊びだけでなく、企業による宣伝や広告にも応用されています。
たとえば、NBAのウォリアーズやMLBのボストン・レッドソックスが、選手のイラストをARフィルターとして提供している事例があります。
これは、ブランド認知を強化するのに効果的な方法の一つです。
AR体験
スポーツ界での成功は競技だけでなく、収益面も重要です。
この最新テクノロジーは、ファンの満足度向上やグッズ販売などの収益拡大に役立ちます。
例えば、マツダのレーシングチームは、ファンにピットクルーの仮想体験を提供しており、リアルなピット作業をスクリーンで楽しむことができます。
PUMAも、北米のフラッグシップストア宣伝に組み込み、モバイルアプリを通じてマスコットがユーザーを案内し、バスケット用品売り場で商品のAR紹介を提供しました。
AR広告
NBAの「ダラス・マーベリックス」は、Meta(旧Facebook)上でAR広告を導入しました。
市街地に存在するチームのポスターをスキャンすることで、特別な映像を楽しむことができます。
さらに、特定のシュートを撮影した動画をSNSに投稿すると、スター選手のサイン入りジャージがプレゼントされる企画も行われました。
このような広告の導入はファンを魅了し、ブランドへの関心と知名度向上に貢献します。
|まとめ
AR技術は、臨場感あるスポーツ観戦やトレーニングの最適化、さらにはマーケティングの向上など、さまざまな可能性を秘めています。
例えば、観客はARを通じて試合をより身近に楽しむことができ、選手はトレーニングやパフォーマンス向上に活用しています。
一方、マーケティングにおいては、ファンの熱狂を後押しし、ブランドの宣伝強化も兼ねられます。
今回ご紹介した実例から、スポーツ界におけるARのポテンシャルは無限大であると感じていただけたでしょう。
今後も新たなアプリケーションが登場し、スポーツファンの満足度を高めていくことに期待しましょう!