拡張現実(AR)技術の進化により、芸術を体感する新しい方法が生まれています。

AR×アートとは、現実世界にデジタルコンテンツを重ね合わせることで、新たな芸術作品を生み出す手法です。

この記事では、ARとアートが融合した10の魅力的な事例を紹介し、そのメリットに迫ります。

芸術の新たな可能性を広げるであろう革新的な技術が、いかにして私たちに驚きと魅力的な世界を提供するのでしょうか。

未来のアートの形に期待し、その可能性について一緒に掘り下げていきましょう。

|ARとは

ARは拡張現実と訳され、実世界とデジタル世界を融合させる革新的な視覚技術のことを指します。

スマートフォンやタブレットのカメラを通じて、現実の景色にデジタル情報を重ねることで、独自の体験を提供します。

この技術は、現実の風景や物体にバーチャルな要素を追加することで環境を拡張し、ユーザーはまるでその場に存在しているかのように、新しい視覚情報を享受できます。

ARの応用は広範で、エンターテイメント分野で特に注目されています。

「ポケモンGO」はその一例であり、スマートフォンをかざすことで仮想のポケモンが現実世界に現れ、捕獲するというゲームでした。

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|【AR×アート】を活用するメリット

芸術と最先端テクノロジーを組み合わせることで、どのようなメリットが生じるのでしょうか。

以下で、大きく3つに分けて解説しています。

場所や時間を問わず楽しめる

スマートフォンやARグラスを通じて、自宅でもどこでも芸術作品を鑑賞することが可能です。

例えば、ベルリン在住の芸術家、オラファー・エリアソンの「WUNDERKAMMER」プロジェクトでは、この技術を活用して自宅で楽しむことができます。

さらに、VR/ARアプリを使えば、美術館のコレクションを仮想空間で探索し、名画や彫刻などを家庭の快適な環境で鑑賞できます。

芸術に馴染みのない人々にとって、美術館へ足を運ぶことは敷居が高いかもしれませんが、自宅で作品を鑑賞できることで身近に感じられ、その魅力に触発されて美術館訪問につながる可能性があります。

場所や時間の制約を取り払い、日常の中で自然に芸術に触れ合うことができるのです。

アート作品を体験することができる

​ARとアートの融合は、作品を生活のあらゆるシーンで直接体験できる素晴らしい機会を提供します。

例えば、渋谷パルコのリニューアルでは、店内や空間デザインに斬新なARインスタレーションを導入し、訪れる人々に驚きと感動を与えました。

これは、商業施設やショッピングモールなど実店舗でのARアートの活用がますます増加している一例です。

鑑賞にとどまらず、既存の作品に新たな情報や視覚要素を重ね合わせることも可能であるため、インタラクティブなコンテンツとしても期待されています。

作品の意味や魅力を拡張し、新たな視覚体験を提供できるのです。

しかし、著作権や法的問題に関する課題も浮上しており、法的枠組みの確立が急務な課題となっています。

新しいファン層を獲得できる

Instagramの「ARフィルター」のような機能は、誰もが簡単にARエフェクトを作成し、共有できる環境を提供しています。

以前はARアートを作成できるのは限られたクリエイターに限られていましたが、今では誰もがアーティストとしての一歩を踏み出すことができます。

この自由な環境により、新たな才能や視で制作され、独自の作品を世界中に発信できるようになりました。

これにより、芸術の領域が多様化し、新たなファン層の獲得が期待されます。

若い世代にとっては特に魅力的で、この芸術世界に新しいエネルギーと創造性をもたらすでしょう。

未来では、誰もが気軽にAR作品を制作して公開し、あらゆる場所で新しい視覚体験と創造力を共有できる環境が広がることでしょう。

|【AR×アート】を活用した事例10選

最新テクノロジーを活用した芸術作品にはどのようなものがあるのでしょうか。

こちらでは実際に公開された、おすすめアート事例10選をご紹介します。

[AR]Tウォーク

出典:https://www.apple.com/jp/newsroom/2019/07/apple-offers-new-augmented-reality-art-sessions/

アップルが主催する「[AR]Tウォーク」は、ARとアートを結びつけた体験型イベントで、世界中の都市で展開されました。

このイベントでは、現代アーティストによるAR作品を街中で鑑賞でき、例えばピピロッティ・リスト氏の作品は触れると反応し、カールステン・ヘラー氏の作品は遠近感のない世界に誘います。

アーティストとテクノロジーの交差点として、都市の景観にアートを融合させ、視覚的なストーリーテリングを提供します。

KAWS EXPANDED HOLIDAY

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000055052.html

「KAWS EXPANDED HOLIDAY」は、バーチャルアートの未来を切り拓くAcute ArtとKAWSのコラボレーションプロジェクトです。

スマートフォンを通じてKAWSの作品を自宅で楽しめ、世界12ヶ所のランドマークに仮想のパブリックアートとして展示されています。

ユーザーはアプリをダウンロードし、ARでKAWSの代表作「コンパニオン」を実世界の風景に重ねて鑑賞できます。

Google Arts & Culture

出典:https://www.more.net/arts-and-culture-for-history/

Google Arts & Cultureは、Googleが提供する美術館や博物館のコレクションをデジタルで鑑賞できるサービスです。

AR機能では、カメラで現実世界をスキャンすると、そこにデジタルコンテンツが重ね合わされ、あたかもその場にいるような体験ができます。

例えば、モナ・リザやゴッホの星月夜などの名画や、世界の美術館の内部を360度見渡すことができます。

また、自分の部屋に好きな絵画を飾ったり、自分の顔を有名な絵画の人物に変身させたりすることも可能です。

PixCell_AR

出典:https://artsticker.app/augart/arart_kn/pixcell_ar/

「PixCell_AR」は、彫刻家名和晃平氏とau Design projectのコラボレーションによって開発された最新アプリです。

このアプリはiPhone 12 Pro以降に搭載されているLiDARスキャナを活用し、現実の物体を名和氏の代表作であるPixCellシリーズのアート作品に変身させることができます。

ユーザーは画面上で変換したい物体を選び、PixCellボタンを押すことで瞬時に変身させることができます。

MoAR

出典:https://whatever.co/moar/ja/

MoAR(Museum of AR)は、建築物を巨大なデジタルアートギャラリーとして活用しています。

六本木のWHEREVERビルの壁面に描かれたQRコードを読み込むだけで、アプリをダウンロードせずにさまざまなアーティストの作品を鑑賞できます。

建築物や公共空間をアートのキャンバスとし、街全体をデジタルアートの魅力的な場所に変えています。

「街×アート×AR」の新しい可能性を提示し、アートを身近に楽しむ機会を提供しています。

Museum From Home

出典:https://cuseum.com/ar-museum-from-home

Cuseum社の「Museum From Home」は、AR技術を活用した美術館の新しいソリューションです。

iPhoneアプリ「[AR]T Museum」を通じて、ユーザーは選んだ絵画を選び、部屋の壁にスキャンすることで、作品が実際に浮かび上がります。

ムンクの「叫び」やゴッホの「星月夜」など有名な絵画58点が提供され、パブリック・ドメインの画像を使用しています。

これにより、美術館の収蔵作品を自宅でARで楽しむことが可能となりました。

kazaru×AR

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000024677.html

アールビバン株式会社が提供する「kazaru×AR」は、ARを用いてアートを気軽に試すサービスです。

作品は、スマートフォンを上下に動かすだけで自宅の壁に映し出され、実際のサイズと配置をシミュレーションできます。

アートに憧れるけれど理解しづらいと感じる人々に向け、自宅の異なる場所で試し貼りを楽しむ機会を提供しています。

アート作品の魅力を自宅で簡単に探求し、アートのある暮らしを楽しめます。

TOKYO STATION AR ART PROJECT

出典:https://www.jreast.co.jp/tokyomovinground/contents/interaction/090.html

これは、新型コロナウイルス感染症への願いを込めて、東京駅から東北地方を結ぶARアートプロジェクトです。

無料アプリ「XR CHANNEL」を使用し、東京駅の丸の内駅舎周辺で、七夕飾りや赤べこなどのポップで楽しい東北の縁起物がARで現れます。

建物や街の形状を認識してモチーフを立体的に現れさせるため、モチーフは実際の環境に統合され、迫力のある視覚的体験を提供します。

SK-II ワンダーランド

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000075.000018267.html

これは、ARと肌ケアの未来体験を提供するスキンケアブランドの初のポップアップストアです。

SK-IIの肌分析にARを取り入れ、お客様の肌データを収集し、肌年齢を分析します。

また、ARアプリを使用したデジタルアートや宝探しゲームなど、26のインタラクティブな体験を提供します。

また、AR技術を応用した店内の「ピテラ テーブル」では、製品特長を紹介し、限定デザインボトルの異なる世界を五感で感じることができます。

いしかわ百万石文化祭

出典:https://ar-ishikawa.com/

「いしかわ百万石文化祭」では、石川県内の観光名所や名所でARアートを展示し、訪れる人々がスマートフォンを使ってアートを楽しむ企画が用意されています。

テーマは『幻想旅行』で、浮世絵師・アマヤギ堂や国際的なARアーティスト・kenxxxooo、ドイツのOmega、Mitsuko OnoなどがARアートを制作し、地元の学生たちも参加します。

県内の名所を巡りながら、最新のデジタルアートを体験することができます。

|【AR×アート】の今後

ARとアートの結びつきは、アートを「観る」だけでなく「体験する」方向へ進化しています。

これは特に若者層に芸術への興味を喚起し、芸術作品離れを食い止める狙いが含まれています。

このような作品制作はアーティストにとっても新たな表現手段であり、作品のメッセージが観客との相互作用によって強化されます。

これは、作品の価値を高め、美術館への訪問者数減少の対策としても機能しています。

さらに、AR×アートは、エンターテイメントや教育、医療などの他の分野でも急速に発展しています。

ARの芸術界での進出は、アートをより身近でインタラクティブなものにし、新たな楽しみ方を提供しています。

これからも芸術を一歩進化させ、この業界を活性化させるツールとなるでしょう。

|まとめ

AR(拡張現実)とアートが融合することで、芸術の新たな次元が開かれています。

観賞するだけでなく、作品との対話を可能にすることで、従来の芸術作品では体験できなかったような、現実世界に没入した新しいアートの楽しみ方を提案しています。

また、新しいものばかりではなく、過去から現在、そして未来へつなげ、歴史や文化的背景を探求するツールとしても活用されています。

芸術の世界に革命をもたらし、未知の表現と楽しみ方を提供するものとして、これからますますその可能性は広がるでしょう。