2023年現在、Web会議ツールであるZoom(ズーム)は日常的に利用されるツールであり、もはや無くてはならないインフラ的存在ともいえるでしょう。

コロナ禍による外出制限をきっかけに、世界中で在宅ワークが普及。

その結果、自宅にいながらも顔を合わせながら会話、会議ができることから、業務を円滑に進める上で必須となったのです。

国外ではロックダウンといった厳しい制限が出される中、仕事だけではなくオンライン上での交流を求めたことにより、ズームのユーザー数は急増しました。

2020年の年間売上の見通しは6月時点でなんと2倍にも引き上げられ、株価は半年で3倍にも急上昇することになったのです。

コロナ禍が落ち着きつつある現在においても、遠方の相手とスムーズにやり取りできるZoomは重宝されており、仕事やプライベート、教育現場といった幅広い分野で活用されています。

Zoomを端的に伝えるなら単純な「テレビ電話」となるかもしれませんが、実際は数々のAI技術がその機能を支えています。

本記事では、日常的に利用することが多くなったZoomに活用されているAI技術を紹介します。

一読いただければ今後Zoomを利用する際、より便利な機能に気がつくかもしれません。

ぜひ最後までご覧ください。

|Web会議ツール「Zoom」

出典:https://explore.zoom.us/ja/products/meetings/

Zoomは、アメリカカリフォルニア州に本社を構えるZoomコミュニケーションズが提供する、「いつでも、どこでも、どんな端末からでもWeb会議を実現する」というクライアントサービスです。

複数人での同時接続に対応しており、スマホやタブレット、PCなどユーザーの使用端末を問わずに利用できます。

また、マイクやカメラを搭載していない端末であっても、外部機器を利用することでZoomの利用が可能。

さらに、Windows、macOS、Android、iOSと様々なOSに対応していることから、世界中のほとんどのユーザーが共通利用できるとして人気を集めました。

日本ではコロナ禍をきっかけに注目を集め、在宅ワークや遠方との商談を円滑に行えるツールとして活用され、その流れは現在も続いています。

Zoomのように対面での会話サービスは複数リリースされていますが、ビジネスに最適化されていることから、多くの企業で導入されるに至ったのです。

また、無料での利用が可能であり、有料プランであっても比較的安価に設定されています。

このように、コロナ禍が落ち着いた現在においても、ビジネスの現場をさせる重要なツールとしてその存在感を増し続けているのです。

Zoomには多くのAIが搭載されている

2023年初頭、日本国内ではChatGPTの登場によって本格的にAIへの注目が集まりました。

言語生成AIをはじめとした高度なAI技術の躍進は著しく、今後の生活を一変させる可能性を秘めており、多くの人がその動向に期待しています。

そして、ZoomはAIを新たな産業革命の中心になると考えています。

AIを活用した新しい機能を実現することで、人と人のコミュニケーションに新しい価値を生み出し、より円滑な業務が可能になるのです。

すでにZoomには数々のAI技術が搭載されています。

例えば、Zoom会議中に背景に映る自宅の様子を隠すために、バーチャル背景やぼかしなどを設定している人は多いでしょう。

この機能はAIによる処理で実現しており、スムーズな交流を実現させているといえます。

他にもアバター機能やジェスチャー機能、バックグラウンドノイズの抑制など、自然な会話を実現させるためにAIは活躍しています。

ZoomはAIへの投資を積極的に続けており、今後も様々な製品を生み出す予定としています。

このように、我々が違和感なくZoomによる会話が実現できるのは、AI技術による支えが大きいのです。

|Zoomで活用されるAI

前述したように、Zoomには数々のAIが活用されていますが、こちらでは以下2点の機能を紹介します。

  • AI Companion
  • Zoom Docs

AI Companion

「AI Companion(旧:Zoom IQ)」は、会話形インテリジェンス機能と呼ばれ、ミーティングを通じた会話内容などを様々な業務に役立てる機能です。

Zoomの利用シーンで最も多いビデオチャットにおいて、途中参加者はAIに質問することでこれまでの話の流れ、内容を理解できるのです。

会議終了後には内容をまとめた議事録、さらにはスマートチャプター機能によって細分化された録画映像が自動作成されます。

このように、Zoomに搭載されているAIの機能によって、会議への参加がスムーズになり、その後の報告、内容の振り返りまでを瞬時に実行できるのです。

Zoomは本機能実現のために、自社独自の大規模言語モデルに加えて、MetaやOpenA、Anthropicといった複数のモデルを使用しています。

生成型AIの活用によって、Zoomを利用した会議はより円滑になるでしょう。

2024年には文章の自動補完、チャットでのやり取りから会議をスケジュールする機能など、さらなる拡充が予定されています。

Zoom Docs

「Zoom Docs」は、2023年10月に発表されたZoomの新しいAI機能です。

AIを活用した、複数人での共同文書作成スペースであり、その内容はZoomが提供する各サービスと連携されています。

「Zoom Docs」にはWordに代表される、従来の文書編集ソフトで実施できるテキスト作成からグラフ、表といったオプションを搭載。

本機能を前述した「AI Companion」と連動させることで、会議中の議事録作成、チャットなどのコンテンツを「Zoom Docs」へと集約できるのです。

普及率の比較的高いWordといった外部ソフトではなく、「Zoom Docs」はZoom製品に組み込まれた純正ソフトです。

そのため、アプリの切り替えなどを行うことなく、スムーズな使用が実現します。

現時点では提供されていない機能であり、2024年以降の一般提供が予定されています。

|今後拡張が予定されるAI Companion

Zoomが提供するAIサービスの中心となる「AI Companion」は、今後もさらなる拡張が予定されています。

現在、Zoomの有償プランを選択している方は無料利用が可能であり、その使用者数は今後も増加していくことが考えられるでしょう。

現在、「AI Companion」にて実行できるサービスは主に以下の通りとなっています。

  • ハイライトやスマートチャプターを通じた録画視聴
  • AIコンパニオンを通じた質問
  • 見逃した内容をAIに共有してもらう
  • 会議内容の共有

会議を中断することなく、参加者はもちろん、参加できなかった人に対しても迅速なフォローが可能。

会議の流れを止めること無く、スムーズな話し合いがより手軽に実現できるでしょう。

2024年以降の予定

2024年の春以降では、AIへ進行しているプロジェクト内容を確認してもらい、複数のタスクから得た知識を表面化し、常に最新の情報を参加者へ提供可能となる予定です。

また、会議中に起きた疑問、問題については自動でファイリングし、質問に対する回答の下書きを提供するといったことも可能です。

会議終了後には話し合った内容をまとめ、主要な関連者を含めた情報を整理。

使用者の許可があれば、その内容を外部アプリを通じて関係者へ共有することもできます。

このように、Zoomは会議をより円滑に、スピーディに行えるサービスとして、今後も無くてはならない存在として注目を集めるでしょう。

|まとめ

日頃からZoomを利用しているけれど、どのようなAI技術が活用されているのか知らなかったという方は多いでしょう。

本記事では、Zoomに搭載されているAI技術、さらには今後の予定などをそれぞれ解説しました。

Zoomを通じた会議は実際に対面で行う会議よりも円滑になりつつあり、今後もその存在感を増していくことが考えられます。

物理的な距離を問わず、世界中の人と瞬時に会話できるZoomのAI技術を活用し、今後もより円滑な会議を実現していきましょう。