これまで建築現場で行われてきた配筋検査は、紙や図面を使ったり、写真を撮ったり、手作業での記録などの手間が必要でしたが、これには時間がかかり、ヒューマンエラーや情報ロスなどのリスクが伴います。
iPad Proで使用できるARシステムの「BAIAS」は、配筋検査における煩雑なプロセスを効率的かつ省力化するためにARを導入しています。
この記事では、BAIASの具体的な機能に焦点を当て、ARとデジタル技術によって配筋検査がどのように変革されるかを解説します。
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目次
|配筋検査とは
配筋検査は、建築や土木工学の分野で行われる品質管理プロセスの一環です。
この検査は、コンクリート構造物内部に配置される鉄筋や補強材が設計仕様に準拠しているか確認するために行われます。
具体的には、鉄筋の配置、寸法、数量、品質が建設プロジェクトの設計仕様に一致しているかを確認します。
鉄筋が正しく配置されていない場合、建物や構造物の安全性が損なわれる可能性があります。
通常、配筋検査は建設プロジェクトの異なる段階で実施され、建設中や完成後に行われることがあります。
建設中の検査では、鉄筋が正確な位置にあるかどうかを確認し、設計に従って配置されていることを確認します。
|BAIASとは
「BAIAS(バイアス)」は、エコモット株式会社が手がけたシステムで、iPad ProのLiDARスキャナーを利用して鉄筋の3Dデータを抽出し、ARを駆使して配筋の間隔を測定する画期的なシステムです。
このツールを用いれば、複数人を用いなくても鉄筋コンクリートのオブジェクトのチェック作業が驚くほど簡単になり、作業時間も通常の50〜70%短縮できます。
それにより、作業の生産性や効率が飛躍的に向上するばかりか、iPad ProのLiDARセンサーを駆使した機能も備わり、従来の作業プロセスを大幅にスリム化できます。
|BAIASの機能
配筋計測のデータマネジメント、管理、検索は、かつては複雑で手間がかかる作業で、紙ベースの手法では、このプロセスは複雑で混乱しやすいという難点があります。
以下では、BAIASの各機能と、ARとデジタル化がもたらす利点について詳しく説明します。
鉄筋間隔計測機能
iPad ProのLiDARセンサーを活用して、鉄筋の本数と間隔を計測する機能を提供しています。
それに加え、鉄筋の直径も個々の鉄筋ごとに個別に計測可能であり、国土交通省のガイドラインに準拠するあらゆる計測項目に対応しています。
最新のアップデートでは、鉄筋かごの計測機能も追加され、鉄筋の数量、直径、間隔を自動的に瞬時に計測し、検査にかかる時間や手間を軽減します。
鉄筋間隔の計測精度の向上により、建設や構造物の品質管理に多くのメリットがもたらされます。
全体的に、建設プロジェクトの品質、安全性、耐久性、そして設計仕様への適合性を向上させ、構造物の長寿命と信頼性を確保する助けとなります。
ダブル配筋チェック機能
BAIASは、現場で得た知識をソフトウェア開発に応用して、さまざまな実用的な機能を提供しています。
その中でも、特筆すべき機能の一つが「ダブル配筋チェック機能」です。
この機能を使うと、これまで困難とされていたバック側の鉄筋の計測も簡単に行えるようになります。
ダブル配筋チェック機能は、ユーザーに計測前に鉄筋本数の設計値を指定でき、設計本数分のマーカーが設置されたら計測が自動的に終了できる機能をもたらします。
同様に、従来のピッチ計測機能と同じく、計測を任意のタイミングで停止・再開することも可能です。
この機能により、背面の鉄筋も計測が容易になり、作業効率が向上します。
結果として、任意の鉄筋について1本ずつ計測が行え、配筋検査において高い精度が期待できます。
2点間計測機能
BAIASの2点間計測機能は、主に定着長さや配筋の重ね継ぎ手の測定を行うための機能です。
この機能を利用すると、空間に仮想の平面を設定し、その平面上で2点間の距離を簡単に計測できます。
重ね継手や定着の長さを正確に計測することには、安全性、耐久性、品質管理、法令遵守、コスト削減、故障予防、メンテナンスの簡略化など、多くの利点があります。
この機能を活用することで、さまざまな産業やプロジェクトで品質管理を効果的に行い、安全性を確保することが可能となります。
かぶり厚計測機能
BAIASのかぶり厚計測機能では、その名の通り「かぶり厚」をチェックすることが可能です。
かぶり厚とは、鉄筋の表面からそれを覆うコンクリート表面までを表しています。
画面に表示されるARマーカーを鉄筋に重ね合わせることで、簡単にかぶり厚を計測することができます。また、計測結果は写真で残すことも可能です。
これは従来、人の目によって行われてきた計測でしたので、BAIASの中でも大変重宝されている機能といえます。
スペーサー個数計測機能
スペーサー個数計測機能は、BAIASの提供する機能の一つで、かぶり厚さを確かめることを目的にしてスペーサーが幾つあるか、もしくはそれらの場所を確認し、それらを写真と一緒に出力することができます。
この機能を使えば、スペーサーの個数や配置を正確に計測でき、検査プロセスを効率的にするだけでなく、作業効率も大幅に向上します。
かぶり厚さの確保は、コンクリート構造物の品質と耐久性を確保する上で非常に重要です。
正確なかぶり厚さの計測は、コンクリート構造物の品質、耐久性、安全性を向上させ、設計仕様に適合するのに欠かせないものです。
これにより、構造物が長寿命で信頼性のあるものとなり、所有者や一般の安全性が確保されます。
鉄筋かご計測機能
BAIASでは鉄筋かごを測定することも可能で、場所打ちのコンクリート杭に用いる鉄筋のスペースを測定することができます。
BAIASでは、鉄筋かごの周囲にサークル状の計測用の領域を表します。
iPad ProのLiDARセンサーを使って、鉄筋がいくつあるか、またスペースがどれだけあるかを測定し、必要に応じて各鉄筋を個別に計測できます。
コンクリート杭に鉄パイプを配置する場合、そのスペースを正確に計測することは、建築や土木工学プロジェクトにおいて重要な役割を果たし、鉄筋の配置の正確さは、建設プロジェクトの成功と安全性の確保に不可欠です。
電子小黒板機能
BAIASは電子小黒板機能を備えており、この機能により、計測結果を自動的に電子小黒板に埋め込むことができます。
また、項目名やサイズ、レイアウトを自由に変更することも可能です。
これにより、工事検査写真の電子納品にも対応し、検査プロセスを効率的に進めることができます。
電子納品による省力化は、時間とリソースの節約、データアクセスの向上、環境への負荷低減、効率的なプロジェクト管理など、多くのメリットをもたらします。
|BAIASの操作手順
BAIASはiPad Proを使用して配筋検査プロセスを効率化するシステムです。
アプリをインストールし、iPad Proのカメラを使用して検査箇所を撮影すると、ARでバーチャルな配筋が表示されます。
位置や本数を確認し、問題があればマーキングして修正が必要な旨を報告します。
デジタル化することで写真やメモ、スケッチを簡単に整理、保存、共有でき、効率が大幅に向上します。
|まとめ
BAIASはiPad ProのLiDARセンサーを使用して、鉄筋の数と間隔を測定できます。
1人で配筋検査が可能で、鉄筋径の計測も1本ずつ行えます。
国交省のガイドラインに準拠し、多彩な機能を提供しています。
このARシステムの導入により、配筋検査のプロセスが効率的に進み、生産性や作業効率が大幅に向上することが期待されます。
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