近年、XRを利用した観光バスが、観光業界で注目を集めていることをご存知でしょうか。

この最新テクノロジーは、旅行者に没入感と臨場感を提供する画期的な手段として、注目を集めています。

従来の観光バスツアーとはどのような点に違いがあるのでしょうか?

今回の記事では、XR技術を活用した観光バスツアーの魅力に加え、その概要や導入背景、旅行者が楽しむポイントについて詳しく探っていきます。

旅行好きな方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

|XRとは

XRは、VRやAR、MR、SRなど、多様な仮想空間技術を包括した概念です。

VRは主にHMDを装着し、仮想空間を体験するもので、ゲームなどで幅広く活用されます。

ARは現実世界にデジタル映像を映し出すもので、アパレル業界や観光誘致などで有用性を示しています。

MRは現実世界に追加したデジタル映像を360°方向から見ることができ、バーチャル会議などで利用されています。

そしてSRは過去の出来事を現在のものとして投影できる技術で、脳科学の研究にしようされています。

これらの技術の複合利用がXRの核心であり、エンターテイメントやビジネスなど広い領域で革新をもたらしています。

詳しくは、こちらの記事も参考にしてくださいね。

「XR(Cross Reality)」とは?根底を支える4つの技術と共に解説
「XR(Cross Reality)」とは?根底を支える4つの技術と共に解説
【XR事例】AR/VR/MR/SR技術を徹底解説!ビジネス導入例も紹介
【XR事例】AR/VR/MR/SR技術を徹底解説!ビジネス導入例も紹介

|XRバスはどんなバス?

このような最先端テクノロジーと言うべき革新的な技術が、どのように観光業に活用されているのでしょうか。

以下で、XR搭載のバスの概要に迫ります。

JR西日本が福井県で導入予定

JR西日本が導入を予定しているXRバスは、福井県の魅力をAR・VR映像でバス車窓に映し出す画期的な仕組みを導入しています。

このバスツアーでは、乗客はVRゴーグルやタブレットなどの特別な機器を必要とせず、バスに座ったまま車窓に映し出される四季折々の美しい風景や歴史的名所、恐竜などの福井の見どころを臨場感あふれる仮想空間で体験できます。

予定されている運行ルートはJR福井駅を起点に、福井県内の主要観光地を巡ります。

例えば、恐竜時代や戦国時代の再現、あわら温泉地域の魅力をストーリー仕立てで紹介するなど、新たな視点から福井の魅力を伝えます。

これは、一歩進んだエンターテイメントとして、観光業界において貴重な取り組みとなるでしょう。

豪華監督・俳優陣が参画

このXRバスは、豪華な監督・俳優陣が参画していることでも注目を集めています。

総合演出の堤幸彦氏は映画やドラマ、演劇など幅広い作品を手がけ、先進的な「新感覚バスツアー WOW RIDE® 東京タイムトリップ」の成功を受け、その手腕を発揮します。

脚本は俳優としても活躍する池田テツヒロ氏と、「劇団ふくふくや」を率いる竹田新氏が手掛け、バスツアーの臨場感あふれるストーリーを構築します。

さらに、七代目 一龍斎貞鏡氏やアニメ「ちはやふる」で活躍する細谷佳正氏、前回のバスツアーにも出演した温水洋一氏がキャストに名を連ねます。

このような華やかな顔ぶれが、XRバスの体験をより深みのあるものにし、乗客に福井の魅力をより感じさせるでしょう。

|XRバスの導入背景

XRを活用したバスを導入するに至った背景には、以下の理由があります。

  • 新たな観光体験の提供
  • 2024年春、北陸新幹線が延伸予定

それぞれについて深掘りしていきましょう。

新たな観光体験の提供

このXRバスは、「新感覚バスツアー WOW RIDE® 東京タイムトリップ」の発展形として生まれました。

この先進的なバスツアーは、福井の美しい風景、伝統文化、歴史を、臨場感あふれる仮想空間で体験できるようにすることを目指しています。

東京での成功を受け、バス車窓から現実と仮想が融合する革新的な観光体験を提供し、訪れる観光客に福井県の魅力を新たな形で満喫してもらうことを目的としています。

2024年春、北陸新幹線が延伸予定

このバスは「新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ!福井号」と名づけられ、2024年春の北陸新幹線福井・敦賀延伸に合わせて導入します。

北陸新幹線の延伸は、観光振興や地域活性化に大きな期待が寄せられています。

福井県の魅力を最先端技術で体感できるようにすることで、新幹線開業に伴う観光客の増加を見込み、地域の観光振興や魅力発信に貢献することを目指しています。

|XRバスで観光を楽しむポイント

夢のようなエンターテイメント空間をバス観光で楽しむためには、以下のポイントに留意して参加することをおすすめします。

窓がディスプレイになっている

概要としては、バスの側面ガラスがディスプレイと一体化しており、「車窓そのものがコンテンツ化」されています。

ここでは、驚くほどリアルな景色と合わせて仮想映像が映し出され、座っているだけで非日常の世界へと誘います。

この技術により、移動自体がエンターテインメントとなり得ます。

本来、手間に感じるはずの観光地への移動も、新たな魅力的なコンテンツとして楽しめるでしょう。

ルートによって体験内容が異なる

運行ルートごとに、さまざまな魅力的体験が提供されます。

恐竜博物館では時空を超えて恐竜が登場し、楽しく学べる恐竜アドベンチャーを提供。

一方、一乗谷朝倉氏遺跡博物館では一乗谷の栄華を再現し、空想オリジナルドラマが展開されます。

あわら湯のまち駅からは、あわら温泉地域の魅力がオリジナルストーリーで紹介されます。

さらに、あわら温泉周遊コースではXRバスならではの映像体験で陸、海、空の景色を楽しむことができます。

|その他のXRバス導入事例

今回ご紹介した福井県のほかにも、バスにデジタル映像を組み込んで革新的なエンターテイメント空間を演出している例があります。

以下で2つの事例をご紹介します。

【横浜】NAKED XR TOUR

「​​NAKED XR TOUR」は、横浜・みなとみらいエリアで実施された実証実験の一環として展開されました。

この取り組みでは、3D都市モデルを基にメタバースを構築し、オープントップバスと融合させた観光バスツアーを提供しました。

地域の観光資源とデジタル技術を融合することで、旅行者に新たな観光体験を提供し、観光消費額の増加や地域経済の活性化を目指しています。

実証実験では、バーチャルな世界を現実世界と融合させ、未来の街並みや海底都市を体感できる魅力的なコンテンツを提供しました。

乗客の評価は高く、没入感の高い体験が好評を博しました。

今後は、この実証実験の成果を基に、未来の観光事業の可能性を追求し、他の地域や乗り物でのXRを活用した観光ツアーの展開を視野に入れています。

【東京】WOW RIDE

「​​WOW RIDE」は、都市観光バスとして2022年にスタートしました。

このツアーは、バスの窓にVR・AR映像を投影し、車窓の景色と合わせて都市の魅力を体感できるもので、歴史ある東京のランドマークを訪れながらバーチャルな体験を提供しました。

参加者は空を飛び、地下を通り、水中を駆け抜ける非現実的な旅を楽しめました。

これは、世界初の試みであり、新しい観光体験を提供する革新的なプロジェクトとして注目を集めました。

大人から子供まで、幅広い年齢層が楽しめる内容であり、親子での参加も好評を博しました。

「​​WOW RIDE」は、2022年10月30日をもって運行終了しましたが、その斬新な取り組みやコンテンツは、都市観光の新たな方向性を示し、参加者に没入感溢れる体験を提供したことで高い評価を受けました。

|まとめ

XRを利用した観光バスは、従来の観光バスとは一味違う、非日常の体験を提供する新たな観光の形です。

その魅力は、歴史や文化を身近に感じることや、リアリティあふれるバーチャル空間を手軽に体験できることにあります。

このような取り組みは、観光業界の新たな可能性を切り拓く存在として、今後ますます注目を集めていくことでしょう。

興味のある方は、ぜひ福井県に足を運んでみてはいかがでしょうか。

今までにない、感動的な体験が待っているかもしれません。