士業とは税理士や弁護士、行政書士といった末尾に「士」がつく職業を指します。

士業を営む人物はそれぞれの分野における資格を有しており、専門的な知識を持っています。

資格についても国家試験であることが多く、独占業務を認められていることも少なくありません。

公共の安全にも影響を与えることもあるため、社会的責任の高い職業として人気を集めています。

そんな士業ですが、実は最新技術であるメタバースと親和性が高いことをご存知でしょうか。

「士業って現実世界の問題を解決するのでは?」

こう思われる方は多いかもしれません。

しかし、AIをはじめとした新しい技術が発達する現在において、士業はかつてのように資格を取得し、職業に就ければ安泰という時代ではなくなってきているのです。

本記事では士業の営業先としてメタバースが活用できる理由と、今後の可能性について解説します。

ぜひ最後までご覧ください。

|士業の営業先として注目されるメタバース

士業を営む場合、経営者がいる事務所に雇われとして働くか、個人事務所を開設して事業主として活動するかの2つに大きく分けられます。

いずれにせよ、顧客がいて初めて成り立つ事業であるため、顧客確保のための営業は欠かせません。

士業は専門性の高い分野のプロフェッショナルではありますが、実際には全国各地に多くの競合が存在しています。

そうした他事務所との競争に打ち勝ち、顧客をつけなければ存続できない厳しい世界でもあるのです。

しかし、士業の営業と一言でいっても簡単に顧客を捕まえられるわけではありません。

物理的な距離も問題になることから、インターネットを通じた営業も可能ですが、人柄が分かりにくい場合、どうしても依頼する側の顧客に抵抗が生まれてしまいます。

そこで、メタバースを活用した営業が現在注目されているのです。

メタバースにおける営業は現実世界で出会えない顧客層にリーチし、自らが提供するサービスを的確に知ってもらえます。

中でも、新しい技術に精通した若年層、新しい体験を求める層に対してはメタバースの利用は効果的な手段となるでしょう。

メタバースと自身の専門性を組み合わせることで、これまでにない営業活動が実現します。

より多くの顧客を物理的な距離、時間に縛られることなく確保できる可能性が高いのです。

集客先として活用される可能性が高い

士業の資格を取り、独立開業したいが集客に不安を感じているという方は少なくありません。

また、既に事務所を開いており、無料の問い合わせを受け付けているが仕事に繋がらないという悩みを抱えている人もいらっしゃるかもしれません。

士業という職業はその専門性の高さから、どうしてもニーズがピンポイントに絞られてしまいます。

逆に言えば、ニーズさえあれば絶え間なく依頼があり、顧客確保に困らないともいえるのです。

メタバースは近年出来上がった技術ということもあり、各国での法整備が追いついていない状態にあります。

そのため、新規参入や投資を躊躇している企業や個人はたくさんいます。

そういった状況に対し士業がサポートすることで、企業のメタバース参入に繋げられるのです。

また、発展途上の技術であることから経営者の多くはメタバースに対して的確な知識を有していません。

メタバースに造詣の深い士業という付加価値を付けるだけで、これまで依頼が来なかった業界からの仕事を受けられる可能性も十分考えられるのです。

日本政府は今後メタバースに対する補助金を進め、投資しやすい環境を進めることが想定されています。

こういった状況を背景に、メタバースに特化した士業は需要が高くなるといえるのです。

株式会社Robot Consultingが資金調達

2023年5月、AIやロボットサービスを取り扱う「株式会社Robot Consulting」は、メタバース上での士業サービスを展開するための資金調達を実施しました。

Robot Consultingでは労務に関するサポートサービス「労務ロボ」や、メタバース上の法律相談を請け負う「ロボット弁護士」などを開発しています。

中でも「労務ロボ」は従業員の勤怠管理から補助金の申請などを補助しており、今後はメタバースとのシステム連携を想定しています。

そこで資格を持つ専門家と、対話しながら相談できる環境を構築しようとしているのです。

今回調達した資金は、今後メタバース空間での対話を始めとしたシステム開発に充当するとされています。

このように、メタバースを通じた業務は今後も増えていくことが想定されるのです。

|メタバース士業交流会

すでに日本国内において、メタバースを活用した士業間でのコミュニティ作りに挑戦している企業が存在します。

REBFLEET税理士事務所の笹圭吾氏が立ち上げた「SAMURAIバース」と呼ばれるプロジェクトの一環として「メタバース士業交流会」が開催されているのです。

士業の多くは個人レベルで活動していることが多く、営業面だけではなく実務的な部分でも相談相手がいないと困っているケースも少なくありません。

そういった状況を解決するべく、メタバース空間において士業同士での交流の場を設けたのです。

2022年11月に開催されたイベントでは、全国から100名を超える士業や経営者、インフルエンサーが参加し、各専門家によるセミナーが開催されました。

士業だけではなく様々な環境に身を置く人たちが参加するため、今後の事業に発展する可能性も十分に考えられるでしょう。

多くのメリットが存在する

士業がメタバース空間へと進出するメリットは数多く存在します。

まず、メタバースは発展途上の技術であることから、まだまだ新規顧客を獲得するための営業手法、立ち回り方が確立されていません。

そういった状況からメタバースに携わることで、「メタバースに詳しい士業」という専門性が付与されます。

新技術が浸透する以前から利用していたという実績は今後真似できないため、圧倒的な先行者優位が働いていくのです。

また、メタバース空間に訪れる人達は情報感度が高いため、現実世界での交流以上に様々な知識を取り入れられるでしょう。

|メタバースでマーケットは全世界に拡大する

インターネットで世界中の情報へ瞬時にアクセスできることと同様に、メタバースにも国境はありません。

そのため、日本では需要のない案件であったとしても、世界中の何処かには必ず士業が持つスキルや知識を求めている人が存在します。

営業先を全世界にすることで、これまで以上に活動の幅は広がるでしょう。

言語の壁などを不安視されるかもしれませんが、すでに自動翻訳機などの技術も進みつつあります。

国境を無視し、世界中の顧客を相手に自身の専門性を生かした事業を展開できれば、これまでのように営業活動に困る可能性は低いといえます。

このように今後、現実世界と並行してメタバース空間に進出していく士業は増加していくことが考えられるでしょう。

|まとめ

士業の営業先としてメタバースを活用する方法、そのメリットから今後の可能性について解説しました。

2023年11月現在はAI技術の台頭が著しく、これまで高い専門性を誇っていた士業の多くが必要なくなるかもしれないといった問題も指摘されています。

しかし、人間にしか解決できない分野、共感できない課題などは今後も間違いなく存在し続けるでしょう。

そうした時、物理的な距離や時間に縛られながら、近隣の顧客を対象に事業を進めるのではなく、メタバースを活用して全世界にリーチし続けたほうが生き残る可能性は高いといえます。

まだまだ発展途上だからこそ、意義がある士業のメタバース活用。

現在の状況に閉塞感を覚えている、今後に課題を感じているという方は本記事を参考に、メタバース参入を検討してみてはいかがでしょうか。