近年、VRを使用したゲームや動画の人気が高まっています。
しかし、この普及に伴い、吐き気やめまい、頭痛などの症状が出る「VR酔い」に悩まされる人も多くなっているのではないでしょうか。
そこで注目されているのは、市販薬です。
身近なドラッグストアで簡単に手に入るものですが、症状の緩和に効果を示すと期待されているのです。
そこで今回は、VR酔いに効果が期待される市販薬について、主な症状やその他の対策方法とともに解説します。
目次
|VR酔いとは
これは、仮想現実(VR)体験中にめまいや吐き気などの症状が現れる状態を指します。
視覚からの情報と、身体の動きや位置を感知する他の器官からの情報が一致しないことが原因で現れる症状です。
通常、視覚、耳(内耳)、筋肉・関節からの情報が脳に送られ、身体の動きや位置を把握しています。
しかし、仮想現実体験では視覚情報はあるものの、耳や身体の感覚からの情報が欠如するため、脳が混乱し、不快な症状が生じます。
乗り物酔いと同様で、前庭小脳の発達や刺激への感受性に影響を受ける可能性があります。
詳しくはこちらの記事も参考にしてくださいね!
|VR酔いの症状
症状には個人差がありますが、一般的には吐き気、めまい、嘔吐、頭痛、消化器の不快感、発汗、疲労感、目の疲れ、眠気、方向感覚の混乱、見当識障害などが挙げられます。
体験中に感じる精神的な不安、身体の不安定さも特徴的です。
これは、実際の身体運動がなくても視覚的な動きを感じることで生じるため、乗り物酔いとは異なる特性があります。
また、姿勢不安定や不快感も一般的な症状の一部です。
仮想空間内での視覚情報と実際の身体感覚の齟齬が脳を混乱させ、これらの症状を引き起こすと考えられています。
そのため、異なる個人の感受性や体験によって症状の程度や出現頻度は異なることがあります。
|VR酔いに効果があるとされる市販薬【大人向け】
薬を過剰に摂取しながらも仮想現実に没入することは、大概おすすめしませんが、適材適所に市販薬を使用して、快適なVR体験を楽しみましょう。
こちらでは、大人向けの薬についてご紹介します。
いくつか紹介しますので、自身の身体に合うものを見つけていきましょう。
エスエス製薬:アネロン「ニスキャップ」
1日1回の服用で効果が持続することが特徴的で、吐き気や頭痛、めまいなどの症状を軽減します。
5種類の有効成分による効果的な配合により、アミノ安息香酸エチルは胃に直接作用し、吐き気にも優れた効果を示します。
マレイン酸フェニラミン、スコポラミン臭化水素酸塩水和物などが、乗り物酔いによる症状を緩和します。
15歳以上は1回1カプセルを服用し、プレイ開始30分前に摂取します。
眠気を催さず、味や香りもないため、安心して利用できます。
大正製薬:センパアQT
ゲーム酔いや3D酔いの予防に有効で、抗コリン成分のスコポラミン臭化水素酸塩水和物を含みます。
これにより、めまいや吐き気の症状を和らげます。
抗ヒスタミン成分であるd-クロルフェニラミンマレイン酸塩の配合により、眠気を感じることがあるため、プレイ後のリラックスを望む方に最適です。
水を必要とせず、口に入れて素早く溶けるので、場所を選ばず手軽に利用できます。
15歳から使用可能で、VR酔いの症状を感じた際に迅速に対処することができます。
エーザイ:トラベルミンR
1日1回、水を使わずに口内で溶かして服用することで、めまいや吐き気、頭痛などの症状を予防・軽減します。
塩酸メクリジンなど2種類の有効成分が配合されており、乗り物酔いによる症状を効果的に和らげます。
15歳以上の方が1回1錠を使い、プレイ開始30分前に摂取します。
また、錠剤は口内で溶ける速崩タイプで、水を使わずに手軽に服用できます。
甘みがあり、眠気を引き起こす成分が含まれていますが、胃の粘膜保護成分は含まれていません。
|VR酔いに効果があるとされる市販薬【子供向け】
以上、大人向けの薬についてご紹介しました。
しかし、これらを子供に服用させると、危険な副作用な起こる可能性がありますので、必ず服用年齢を確認することが大切です。
こちらでは、子供でも内服できる薬について、ご紹介します。
浅田飴:トラベロップQQ S
5歳以上の子供から大人まで利用可能で、ゲーム酔いや3D酔いの予防に有効です。
このドロップタイプの薬は、水を使わずに口で溶かすことができ、サイダー味で子供にも飲みやすくなっています。
主要な成分には、抗コリン成分のスコポラミン臭化水素酸塩水和物が含まれており、ゲームや3D映像の症状を軽減します。
さらに、抗ヒスタミン成分のd-クロルフェニラミンマレイン酸塩も配合されているため、眠気を引き起こす可能性があります。
大正製薬:センパア プチベリー
3歳以上の子供向けの対策薬です。
水を使わずにかむことができるチュアブル錠で、いちご風味で苦味がなく、子供たちに喜ばれます。
主な有効成分には、クロルフェニラミンマレイン酸塩などが含まれており、乗物酔いによるめまいや吐き気、頭痛を予防・緩和します。
11歳以上は1回2錠まで、3歳〜10歳は1回1錠まで、1日2回まで服用が可能です。
プレイ開始30分前に摂取し、4時間以上の間隔を開けて追加服用が可能です。
エスエス製薬:アネロン「キャップ」
7歳以上の子供向けの対策薬です。
一日一回服用することで長時間効果が持続し、プレイによる吐き気やめまい、頭痛などの症状を和らげます。
アミノ安息香酸エチルが胃に直接作用し、吐き気にも優れた効果を発揮します。
プレイ開始30分前に摂取し、7歳から14歳までは1カプセルを水又はぬるま湯で服用します。
口にすることで服用できるカプセルタイプで、子供たちの酔い止めに効果的です。
|他にも試したい、VR酔いの予防策
「薬の内服には抵抗がある」、「急に酔ってしまって手元に薬を用意していない」という方には、以下のような予防策があります。
ぜひ試してみてくださいね。
長時間プレイしない
VR酔いを避けるための予防策の一つは、長時間のプレイを控えることです。
初めての体験や症状の進行度に関わらず、最初は短時間のプレイから始めることが重要です。
数分間のプレイで様子を見たり、静止画から動画へ段階的に移行することがおすすめです。
特に、視点が激しく動くコンテンツよりも、静止画や視点の移動が少ないコンテンツから始めると良いでしょう。
初期症状として、熱っぽさや倦怠感、発汗、軽い腹痛などが感じられるかもしれません。
これらのサインが現れた場合は、それが症状の初期段階かもしれないことを意識してください。
初めての方や体調変化が分からない場合は、体が不調を感じたらプレイを中断し、ゴーグルを外して休憩することが大切です。
徐々に慣れる
VR体験では、視界が動くと酔いやすいことがわかっています。
そのため、ゲーム内のスムーズな移動や回転は酔いの原因となります。
テレポートや特定角度での回転など、動きを抑える操作方法が効果的です。
始めは動きの少ないゲームや、スムーズな操作方法を選択して慣れていきましょう。
段階的に体験を積むことで、酔いに対する抵抗力を身につけられます。
日々の練習では、毎日少しずつ楽しむことが鍵です。
無理のない範囲で10分程度ずつプレイ体験を積み重ねていくことで、長時間使用やより複雑なゲームにも対応できるようになるでしょう。
徐々に慣れることで、より多彩なコンテンツを楽しむことが可能になります。
適切なIPD(瞳孔間距離)に調節する
自身の瞳孔間距離(IPD)を正確に設定することも予防策となります。
IPDとは、両目の黒目同士の距離を指します。
VRヘッドセットのレンズを自分のIPDに合わせることで、視覚体験が改善され、VR酔いのリスクを減らすことができます。
これが合っていないと、疲労感が増したりピントが合わなくなったりし、酔いが起こりやすくなります。
アプリを使って瞳孔間距離を測定することができるので、プレイ前にIPDを調べてみることをお勧めします。
正しいIPDに調整することで、快適な仮想現実体験を楽しみながら、VR酔いを軽減することができます。
|まとめ
今回ご紹介したように、吐き気やめまいなどの症状を軽減する薬は、いくつも販売されています。
しかし、これらは一般的な効果であり、個々の体質により使用感は異なります。
また、デジタル社会においては、誰でも起こり得る可能性がある深刻な問題であるため、内服薬に頼らず、上記の予防策も試してみることもおすすめします。
自分に合った対策方法を見つけ、仮想現実体験をより快適なものにしましょう。