スマホが我々の日常の一部になり、気がつけば10年以上の年月が経過しました。

そうした中で、近年「5G」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。

「5Gってよく聞くけど、実際はどういう意味かよく分かっていない…」

急激に広がった言葉であるため、上記のような悩みをお持ちの方は少なくないはずです。

本記事では、今さら他人に聞けない5Gについて、その基本から利用するメリットについて解説します。

また、5Gに至るまでの通信技術の歴史も簡単に振り返りますので、より一層現在の状況を理解できるはず。

ぜひ最後までご覧ください。

|5Gとは一体何なのか?

5Gとは一体どのような技術であり、どういったことが可能になるのか。

まず、5Gとは「第5世代移動通信システム」と呼ばれる、新しい通信技術です。

その主な特長について、以下の項目に沿ってそれぞれ解説していきます。

  • 高速大容量通信
  • 多数同時接続
  • 超低遅延

高速大容量通信

5Gの最も大きな特長の一つである「高速大容量通信」。

その名称の通り、高速かつ大量のデータ通信が5Gでは実現します。

これまでの通信規格である4Gの場合、100Mbps〜約1Gbpsという速度が一般的でした。

しかし、スマホの普及などに伴い取り扱われるデータ容量が増加。

動画コンテンツなどの視聴が一般的になったことで、通信料が多くなる都市部などではピークタイムの遅延が発生するようになったのです。

5Gでは高周波帯を使用することによって、こういった問題を解決するだけでなく、これまでの100倍近くの通信が実現しました。

その通信速度の速さは、2時間程度の動画であっても数秒でダウンロードできるほど。

今後もさらに広がることが想定される大容量データに対しても、待ち時間を気にすること無く快適な通信が実現するでしょう。

多数同時接続

5Gでは高速通信だけではなく、同時接続できる端末数も大幅に増加しました。

1平方キロメートルあたりの接続数は、なんと100万台。

この数は4Gのおよそ10倍もの数量に値します。

そのため、これまでネット環境に繋ぐことができなかった端末の多くも、ネットへと接続できるようになったのです。

例えば、洗濯機やエアコンといった家電製品をネットに接続することで、自宅にいなくともそれぞれの操作が可能になります。

また、遠隔にいるロボットを操作するといった技術も実現されるため、様々な分野で作業効率化などの改善が進んでいます。

こういった状況を「IoT(Internet of Things)」と呼び、あらゆるものがネットと繋がることでより利便性の高い社会が実現しようとしているのです。

超低遅延

これまで、インターネットを通じた配信を視聴している際、ライブ映像とモニターに映る映像にズレが生じている経験をお持ちの方は多いでしょう。

これらは通信速度の遅延によって起きる現象ですが、5Gではこの遅延を1ミリ秒(1/1,000秒)程度に抑えることに成功しました。

つまり、人間の感覚ではほとんど誤差がないレベルでの遅延になるため、スポーツ中継などのライブ配信が現地と同じ感覚で味わえるのです。

この超低遅延は遠隔に存在するロボットの操作などにも応用されることが期待されており、例えば救急医療現場などでの活用などが検討されています。

遠くにいながらでもリアルタイムでロボットをはじめとした機器操作が実現できる環境は、これまでの通信技術では実現できませんでした。

オンラインゲームの快適なプレイ、または世界中の人たちと楽器演奏をリアルタイムで行うなど、その可能性は無限大に広がります。

|5G社会に与える影響

これまでに無いネット環境を実現する5Gの影響は大きく、これから社会に様々な影響を与えることが考えられます。

こちらでは以下の項目に沿って、それぞれ解説していきます。

  • 快適なネット環境の実現
  • VR分野への応用
  • IoT技術の普及

快適なネット環境の実現

2023年現在、我々の生活にインターネットは必要不可欠な存在となっています。

5Gの普及によって、映画といった大容量データのダウンロードが瞬時に可能となるため、これまでにない快適なネット環境が実現するでしょう。

動画や画像を活用したSNSにおいても、撮影したデータを瞬時にアップできます。

世界中で行われているスポーツを現地と同じタイミングで視聴できる上に、音楽コンサートなどもまるで目の前で行われているかのような臨場感で楽しめます。

娯楽面だけではなくビジネスにおいても、Web会議などの発言がスムーズに進むことから、対面と遜色ない会話が実現するでしょう。

移動時間や費用を削減できることで、生産性向上などポジティブな影響を与えることが考えられます。

VR分野への活用

仮想空間を意味する「VR(Virtual Reality)」は現在急速に普及しており、メタバースを始めとした各サービスは注目を集めています。

5Gの特長である高速大容量通信と同時接続、そして低遅延が実現したことで、仮想空間においても現実世界のような自然なコミュニケーションが実現するでしょう。

メタバース上で構築できる容量も増えれば、それだけ再現できるビジュアルなども細かく美しく表現できます。

また、VRヘッドセットを通じて確認できる情報をリアルタイムに提供できるため、世界中の映像をまるで目の前で起きているかのように視聴可能。

そのため、VRを通じたライブ体験やスポーツ鑑賞などの実施も期待されています。

IoT技術の普及

前述したIoT技術についても、5G普及によって急速に広がることが期待されています。

買い物中に冷蔵庫の中を確認する、帰宅前にエアコンを操作する、照明をつけるなど、あらゆる生活家電と連動させることによって、生活がより一層便利になるでしょう。

自動車への接続も進められており、今後は自動運転も一般化するかもしれません。

さらに、遅延のない操作により遠くにいる患者に対して遠隔での手術といった医療行為も実現すると考えられています。

これまでのIoTは家庭内などのWi-Fiを通じることが通常でしたが、5Gが日本中に広がることであらゆる場所に存在する物との接続が実現するのです。

|なぜ5Gと呼ばれるのか?

5Gという言葉は現在普及しており、日常的に利用している方も多いでしょう。

しかし、なぜ5Gと呼ばれるのかご存知でしょうか。

こちらでは5Gに至るまでの通信の歴史について解説します。

2001年以降は3G時代

携帯電話が世間的に普及しはじめた2001年。

当時の通信システムは3Gと呼ばれていました。

それまでの2Gでは国や地域をまたいだ場合、異なる通信システムになっていましたが、3Gでは「世界中どこでも同じ端末が利用できる」ことが目標とされていました。

3Gの最大通信速度は64kbps〜384kbpsと低く、主にテキストベースのホームページ閲覧が可能なレベルだったのです。

その後携帯電話によってネット接続する人口が増加し、さらなるデータ通信の高速化が進みました。

そして3.5世代や3.9世代といった通信が登場しながら、今後の4Gに繋がっていくのです。

なお、3G回線はNTTドコモが2026年、ソフトバンクが2024年に終了を予定しており、auは2022年に既に終了しております。

2010年以降は4G時代

スマホの普及が急速に進んだ2010年以降、LTEと呼ばれた3.9世代を挟んで2015年に4Gは本格的にスタートしました。

通信速度は110Mbps〜約1Gbpsと、3Gと比較しても格段に向上することになりました。

これまでの通信システムは、基本的に音声通話やテキストに限られていましたが、4Gからは本格的に写真のやり取りが一般化しました。

4Gの普及によって通信速度の高速化が実現し、スマホの契約者増加にも繋がったのです。

しかし、様々なサービスが登場するに伴い、動画を始めとした大容量データのやり取りも頻繁に行われるようになりました。

そうした状況に対応するべく、5Gという次世代の通信システムが求められるようになったのです。

約97%の普及率

2023年8月、総務省が2022年度の5G整備状況を取りまとめて発表しました。

この調査によって、全国の5G人口カバー率は約97%にものぼり、当初の整備計画目標を前倒しで達成していることが明らかになりました。

5Gは2020年3月より、都市部を中心とした一部エリアに限定してサービス開始。

およそ3年でここまでのカバー率に至ったことは、いかに5Gがスマホユーザーに求められていたのかが伺えるのではないでしょうか。

本調査では、2021年と比較して都市部は高止まりしている状況ではありますが、政令指定都市以外の人口カバー率が大幅に上昇しました。

中でも岩手県、島根県、高知県は10%程度と大きく上昇しています。

今後も引き続き、5Gが全国どこでも快適に利用できる環境が整っていくでしょう。

|まとめ

新たな移動通信システムである5Gについて、その基本から利用するメリットについて解説しました。

これまでの振り返りの中で、3Gや4Gといった言葉を聞いて懐かしさを覚えた方もいらっしゃるかもしれません。

5Gはこれまでにない快適な通信環境を実現させ、さらなる新技術を生み出すベースになろうとしています。

しかし、今後は5Gを超える6G通信などの登場も想定されています。

本記事の内容を参考に、より一層便利に素早く通信できる環境が整う様子を、これからもリアルタイムで見守っていきましょう。