本記事では、オープンメタバースに興味関心のある人に向けに
・オープンメタバースとは
・クローズドメタバースとは
・オープンメタバースの魅力、企業例
・クローズドメタバースの魅力、企業例
などの「オープンメタバース」に対する疑問を解決させていただきます。
本記事を読めば、オープンメタバースとクローズドメタバースの違いを知り、今後のメタバース業界の動向が分かった状態になりますので、是非最後までご覧ください!
目次
|そもそもメタバースとは
メタバースとは、インターネット上に作られた仮想空間のことを指します。
大きな特徴として、多人数が同じ仮想空間内に入り、その中ではアバターと呼ばれるもう一人の自分を操作しながら、空間内を自由に行動することが可能です。
メタバースの世界では、従来のゲームとは異なり、アバター行動の制約が無く、基本的には現実世界同様、自由に動くことができます。
アバターの行動に制約が無いことから、ゲームやファンイベントなどの娯楽はもちろん、展示会やオフィスなどのビジネス利用などが考えられ、様々な可能性が広がっています。
また、VR(仮想現実)やAR(各超現実)などの技術を活用することで、メタバース上にあたかも自分がいるような感覚を共有することも可能です。
メタバースについて詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
メタバースのはじめかたは簡単!登録の手順やおすすめのアプリを紹介
|オープンメタバースとは
オープンメタバースは1社がつくるのではなく、複数のプラットフォームやサービスが相互運用されている状態を指します。
この場合、Aで使っていたアバターをBでも使用したり、自由な行き来もできるようになります。
今私たちが利用しているインターネット上のウェブサービスは、複数の企業が独立して運用していますが、ユーザーはブラウザを通すことで、インターネットをひとつのものとして体験することができます。
これが可能なのは、ウェブサービスが同じ規格で統一されているからです。
そう考えると、オープンメタバースも規格が統一されていくことで、相互乗り入れが可能な利便性を獲得していくことになるはずです。
インターネットは中央集権ではない仕組みの上に成り立っているので、オープンメタバースも、それ自体に特定の管理者のいないインターネットの延長のような世界観になるでしょう。
今のインターネットが二次元情報をやりとりする仕組みだとするならば、メタバースは三次元の体験をやりとりする土台となるはずです。
さらに、特定の企業ではなくサービスの運用自体をDAO「Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)」と呼ばれる組織が行う試みも進んできています。
これは、中央集権的ではない分散型かつ公正なインターネットの構築を目指すWeb3の概念とも合致。こういった動きは今後ますます加速していくため、オープンメタバースこそがメタバースの理想形と言えるかもしれません。
|クローズドメタバースとは
クローズドメタバースとは、ひとつの企業がメタバースのサービスを運用している状態です。
現在のメタバースサービスのほとんどがこの形態をとっており、各社がメタバースのスタンダードになるべくしのぎを削っています。
サービスは競争することによって洗練されていくので、ユーザーにとっては恩恵が大きいでしょう。
この場合、各社のサービスの互換性はなく、サービスAで使っているアバターをサービスBでも使うといったことはできません。
このようなクローズドメタバースが普及すると限られた企業が力を持つことになり、影響力が増すことを危険視する声もあります。
映画『レディ・プレイヤー1』ではメタバース内での問題が世界的な影響を与えてしまう様子が描かれており、オアシスはクローズドメタバースのイメージとしてわかりやすいでしょう。
|オープンメタバースの魅力
オープンメタバースの魅力について、少し上述しましたがここでも詳しく解説していきます。
運営会社の独裁政権にならない
SNSゲームのようなゲームの中では運営会社の決定は絶対です。
「今まで50円で販売していたアイテムの値段を明日から100円に値上げします。」と運営会社が発表すれば、明日からそのアイテムの値段は100円になります。
また「来月からこのゲームの提供を終了します。」と運営会社が発表すれば、来月からそのゲームで遊ぶことできずに今まで課金したアイテムすら無くなってしまいます
オープンメタバースの世界ではこのようなことがなくなります。
全てのゲームを同じアバターで行き来できる
オープンメタバースの特徴として、Aのサービスで獲得したお金をBのサービスで利用することができます。
例として同じアバターやデジタルアセットを使って「Roblox」も「フォートナイト」も遊べるような仕組みになります。これにより自分のアバターが他の世界を自由に渡航できる新たなシステムを目指します。
|クローズドメタバースの魅力
ではクローズドメタバースの魅力は何でしょうか。こちらについても詳細にまとめていきます。
実現までが速い
クローズドメタバースの魅力は、そのメタバースの構築の速さにあります。メタバースを実現させるという事は、新たな世界をもう一つ作るという事になります。新たな世界をもう一つ作るにあたってたくさんのルールが必要になりますが、先ほど説明したオープンメタバースの世界ではそのルールを多くの企業でわざわざ統一していかなければいけません。
これらのルールを一つ一つ決めていくには果てしない時間がかかってしまいます。そこでメタバースを提供する一社が独断で決めてしまえば、そこまで時間はかかりません。
運営会社としての責任の有無
メタバースでの生活では売買や交換などを行えるため、そこを狙ってハッキングや情報の流出なども起こりえます。
SNSゲームや実世界ではこういった事が起こった際には、その運営会社が責任をとって補填を行ったり、ハッキングが行われないようにセキュリティを非常に強固にしています。
クローズドメタバースでも運営会社が責任をとって補填を行ったり、ハッキングが行われないようにセキュリティを非常に強固にしています。
|オープンメタバースを目指す企業例
ここからはオープンメタバースを目指す企業について代表的な企業を一つピックアップしてお話します。
Epic Games
出典:https://www.epicgames.com/site/ja/home
現在、オープンメタバースの考えを示すのはフォートナイトを手掛けるEpic Games社です。
Epic Games社のCEOであるティム・スウィーニーは、メタバースの世界を自社開発のみで完結させない姿勢を見せています。
彼の考えとして、例えばフォートナイトのゲームアイテムやアバターをマインクラフトなどの別のゲームにも応用できるようにすることを目指しています。
また、フォートナイトを含むゲームの開発を行った自社製エンジンである『Unreal engine』を一般の開発者向けに展開し、そこで作られたゲームを自社のゲームストア(Epic Games Store)以外へ出品することも認めています。
このような開放的な姿勢から、将来的にはオープンメタバース事業の中心核を作り上げていると言われています。
|クローズドメタバースの企業例
次に、クローズドメタバースとしてすでに運営が成功している企業について紹介していきます。
Roblox
出典:https://www.roblox.com/?locale=ja_jp
現在、クローズドメタバースの考えに近い姿勢を見せるのはRoblox社です。
このゲームは、ユーザーがゲーム内にオリジナルゲームを開発・公開できるという点が特徴的です。そのほとんどのゲームが未成年の子供によって開発されていますが、そこで発生した収益はわずか25%ほどしか開発者に支払われていないという問題があります。
さらに、ロブロックスには『Robux』というゲーム内通貨があり、ゲームの開発収益はRobuxを通して払われるという仕組みになっています。しかしRobuxは、最低でも10万Robux(約11万円)を稼がなければ現金化できず、また、引き出しには月額5ドルのサブスクリプションに入ることが必須となります。
Roblox社は、Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOのようなオープンなメタバースの創生を目指す姿勢を見せず、あくまで自社製のメタバースでたくさんのユーザーを囲い込むクローズドな考え方が見受けられます。
|今後の展望
2022年6月21日、メタバース関連技術やサービスの開発を進める企業が結集し,メタバースを構築するために必要な,規格の定義や策定を行う標準化団体「Metaverse Standards Forum」を発足しました。将来的には相互運用性が実現しないことでおこる不利益を改善・解消するため,かつては「WWW」や「MP3/MP4」の規格化によって異なる企業や個人が気軽に享受できるようになったのと同等の取り決めが,「Metaverse Standards Forum」によって推進していくことになります。
こちらにはMeta,Sony Interactive Entertainment,Microsoft,Epic Games,Unityといったゲーム会社やなど多くの企業が参加しています。
今後は民間企業や団体、大学など、さらにグローバルな規模でのメタバースイノベーションを促進し、オープンメタバースの実現が加速していくことになるでしょう。
|まとめ
本記事では、オープンメタバースとクローズドメタバースの違いについて紹介していきました。本記事が、今後のメタバース業界の動向の理解の助けとなればうれしいです。
メタバースの市場規模は今後さらに拡大していくと見られており、企業にとっては大きなビジネスチャンスとなりえます。特にコロナ禍が続く現状において、外出を控えている消費者にアプローチできる点は大きなメリットです。
一方で、まだどのサービスが将来的にメタバースの中心的存在になるのかはわかりません。近い将来メタバースがSNSの後継として機能するようになるとすれば、一つのプラットフォームが市場を独占すると、独裁的なメタバースを生んでしまう危険性があるため、ある程度複数のプラットフォームによる管理で権力の分散をするオープンメタバースのような仕組みが必要になってくるでしょう。