デジタルトランスフォーメーションの波は自治体運営にも革命をもたらしています。

メタバースという仮想空間は、限られた予算やリソース内で、新しい市民サービスを展開し、コミュニティの絆を深める方法を提供します。

この記事では、行政サービスを向上させ、市民とのエンゲージメントを強化するメタバースの活用例を10選紹介します。

これらの事例から、地方自治体が如何にしてメタバースを活用し、そのポテンシャルを最大限に引き出しているかが見えてきます。

|メタバースとは

メタバースは、物理的な世界を超越したデジタルプラットフォームであり、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術を取り入れることがありますが、その使用は多様な形態に及びます。

これらの技術を用いることにより、ユーザーは没入感のある環境でインタラクティブな体験が可能になります。

しかしながら、メタバースの経験はスマートフォンやパソコンのブラウザ上でシンプルに実現可能であり、幅広いアクセス方法がその普及を加速しています。

これにより、自治体は地域のイベントをデジタル化したり、バーチャルな公共サービスを提供したりするなど、メタバースのポテンシャルを最大限に活用しています。

メタバースについてより詳細を知りたい方は、下記リンク先の記事でさらなる情報を得ることができます。

いまさら聞けないメタバースとは?基礎知識や注目されている理由、ビジネスでの導入事例を解説!

メタバースってどういう意味?今さら聞けないメタバースの基本について徹底解説
メタバースってどういう意味?今さら聞けないメタバースの基本について徹底解説

|メタバースで広がる自治体の可能性!具体的な事例10選

メタバースの導入は、自治体のサービス提供や市民とのコミュニケーション方法を大きく変革しています。

本記事では、現実世界の限界を超えたメタバースを駆使し、新しい価値を創出している自治体の事例を10選紹介します。

東京都町田市:「Digi田甲子園2022夏」の開催

出典:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/koshien/index.html

東京都町田市は、メタバースを活用した「Digi田甲子園2022夏」を開催し、地方自治体の新たな可能性を探りました。

このイベントでは、メタバース空間を利用した職員採用PR動画や市民向けのインタラクティブなポータルサイトを開設し、市民との双方向コミュニケーションを実現しています。

これにより、来庁の必要がないオンライン面接や、20代前半の受験者層に向けた効果的な情報伝達が可能になりました。

町田市のこのような革新的取り組みは、デジタルツールと地方自治体の役割の拡大を示し、将来的にはより多くの市民サービスにメタバースを組み込むことで、よりアクセスしやすく、魅力的な公共サービスを提供することを目指しています。

兵庫県養父市:「バーチャルやぶ inZEP」の立ち上げ

出典:https://www.city.yabu.hyogo.jp/soshiki/kikakusomu/kikaku/metaverse/10927.html

兵庫県養父市は、メタバースの活用を通じて地方自治体の革新を目指しています。

特に注目されるのは「バーチャルやぶ inZEP」の立ち上げです。

これは、吉本興業株式会社、ソフトバンク株式会社と協力し、Web3の活用に関する連携協定に基づいて実施されているプロジェクトです。

メタバース内で養父市の観光スポットや公共施設をデジタルで再現し、市民や観光客がどこからでもアクセスできるインタラクティブな空間を提供。

これにより、令和5年8月末までに約1万5000人の訪問者が訪れるなど、地域コミュニティの活性化に成功しています。

この取り組みは、新しい形の市民サービスとして、また地域経済の刺激として、大きな可能性を示しています。

和歌山県白浜町:「バーチャル白浜」の開設

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000013931.html

和歌山県白浜町はデジタルイノベーションの波に乗り、メタバース空間「バーチャル白浜」を創設しました。

これは、地域独自の文化やアートを世界に紹介する斬新な試みであり、ストリートアートプロジェクト「POW!WOW!JAPAN」と連動しています。

バーチャル空間での展示を通じて、白浜町の美しい景観や芸術作品を仮想的に体験可能にし、物理的な距離を超えた観光体験を提供しています。

このプロジェクトは、伝統的な観光産業に新たな息吹を吹き込むとともに、地域の経済を活性化させる可能性を秘めています。

メタバースを活用することで、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた地域社会に新しい交流の場を創出し、多くの人々に白浜町の魅力を届ける橋渡し役を果たしているのです。

福井県越前市:「越前市メタバースこころの保健室」の開設

出典:https://metacli.jp/echizenshi/

福井県越前市では、メタバース技術を用いて心の健康を支援する「越前市メタバースこころの保健室」を開設し、新たな福祉サービスの形を提供しています。

このバーチャル保健室では、ひきこもりの当事者やその家族が気軽にアクセスし、専門家の相談を受けられるようになっており、身体的・心理的障壁を低減します。

特に対面での相談が難しい方々にとって、アバターを介した匿名性の高い環境は大きなメリットを提供し、精神保健におけるアクセシビリティの向上を図っています。

この取り組みは、福祉分野におけるメタバース活用の先駆的事例として注目され、デジタル化が進む社会において公共サービスの新たな可能性を探る一助となっています。

奈良県奈良市:「NFT奈良市写真美術館」の開設

出典:https://www.city.nara.lg.jp/site/press-release/148907.html

奈良市はデジタル化とNFTの可能性を追求する新しい試みとして、「NFT奈良市写真美術館」をメタバース空間に開設しました。

ここでは、日本の写真家である入江泰吉の作品をデジタルアーカイブとして公開し、世界中からアクセス可能にしています。

メタバースとNFTを駆使することで、文化芸術の新たな形として、写真作品の展示だけでなく、それらのデジタル所有権を証明する新しいアートの形を提供しています。

この動きは、伝統的な美術館の枠を超えて、グローバルなアートコミュニティに奈良市の文化遺産を紹介し、さらには教育的側面からも次世代に向けて芸術と技術の融合を推進することを目的としています。

この取り組みは、地方自治体がいかにしてデジタル時代の流れに乗り、地域の価値を世界に向けて発信していくかの好例と言えるでしょう。

佐賀県嬉野市:「デジタルモール嬉野」の開設

出典:https://www.city.ureshino.lg.jp/shisei/keikaku/_28638/_28673.html

佐賀県嬉野市は、デジタルトランスフォーメーションを活用して、地域経済と観光業を活性化させるために「デジタルモール嬉野」を開設しました。

このメタバースプラットフォームは、ユーザーがアバターを通じて嬉野市の魅力を体験できる仮想空間です。

ユーザーは実際に嬉野を訪れる前に、デジタルモールで観光スポットを訪れたり、名産品のショッピングを楽しんだりすることができます。

また、実際の嬉野温泉駅と観光交流センターを基にデザインされた仮想空間は、訪問者にリアルな観光体験を提供します。

この取り組みは、観光客の来訪意欲を高め、最終的には実世界の観光促進に繋がることを目的としています。

デジタルモール嬉野は、新しい形の観光プロモーションツールとして注目されており、コロナ禍での新しい観光の形としても期待されています。

山口県萩市:「メタバースを活用したふるさと納税キャンペーン」の展開

出典:https://www.city.hagi.lg.jp/soshiki/114/h50586.html

山口県萩市は、メタバースの世界で新しい形の地域活性化に挑む取り組みとして、「メタバースを活用したふるさと納税キャンペーン」を展開しています。

このプロジェクトは、バーチャルな空間で萩市の魅力や返礼品を紹介し、市のふるさと納税への理解を深めることを目的としています。

ユーザーは自らのアバターを操作し、メタバース内に設けられたブースを訪れることで、萩市の返礼品に直接触れることができ、興味を持った返礼品に関する詳細ページへ簡単にアクセスできるようになっています。

これにより、実際に萩市を訪れることなく、市の特産品や文化をバーチャル体験することが可能となります。

インターネット接続環境とパソコンがあれば誰でも参加できるこのキャンペーンは、デジタルトランスフォーメーションを地方創生に活かす試みとして注目されており、新たなふるさと納税の形を提案しています。

鳥取県:「メタバース課」の設立

出典:https://www.pref.tottori.lg.jp/309184.htm

鳥取県の「メタバース課」設立は、自治体としては日本初の取り組みです。

この課は、AIアバター職員を活用して、県の情報を発信し、観光案内などの業務を行っています。

この動きは、人口減少や観光産業への新たなアプローチとして期待を集めており、デジタル技術を使った新しい試みとして注目されています。

AIアバター「YAKAMIHIME」は、メタバース内で県の魅力を伝え、鳥取県に新たな関心を引くきっかけを創出しています。

この試みは、デジタルと地域資源を結びつけ、広範なコミュニケーションを生み出すことを目的としています。

鳥取県はメタバースを活用して、さまざまな情報発信や交流の機会を提供し、県の新たな魅力を全国に伝えていく計画です。

広島県:「Hiroshima Midnight Fest.」の実施

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000110582.html

広島県の新たな魅力を発信する目的で、「Hiroshima Midnight Fest.」というメタバース空間が「XR World」上に開設されました。

この仮想空間は、夜の野外音楽フェスをコンセプトに設計されており、星空や芝生といった自然の要素を取り入れることで、利用者がリラックスしながら交流できる場を提供します。

観光体験商品や特産品を紹介するブースが設置され、利用者は直接商品を購入したり、観光体験の申し込みをしたりすることが可能です。

さらに、広島の音楽情報を共有する動画上映や、謎解きゲームを通じて広島の文化を楽しむことができます。

この施策により、広島県は新たなファンを獲得し、地元の観光産業を支援すると同時に、リアルと仮想の相互誘客を目指しています。

大阪府:「バーチャル大阪」の機能を拡充

出典:https://www.virtualosaka.jp/

大阪府は、2025年大阪・関西万博に向けて、その都市の魅力を広く国内外に発信するため「バーチャル大阪」というメタバース空間の機能を拡充しました。

このメタバースは、実際の大阪市街を3Dモデル化し、バーチャル空間に再現することで、利用者が音楽ライブや他のユーザーとの交流を楽しめるコミュニティの形成を目指しています。

没入感を高めるためにビジュアルを刷新し、実世界に近い街歩き体験や、ユーザー同士のコミュニケーションを深める機能を強化しています。

「バーチャル大阪」では、吉本興業所属の人気芸人によるトークライブなど、エンターテインメント要素も豊富に取り入れられており、仮想空間内での新しい形の大阪観光PRとして機能しています。

このプラットフォームを通じて、大阪の文化や歴史、現代の魅力を体験することができ、大阪を訪れることができない人々にもその魅力を届けることが可能になっています。

アプリを通じて簡単にアクセスできるため、大阪府と大阪市は新たな観光客の獲得と大阪の魅力の再発見を促進しています。

|まとめ

メタバースは自治体にとって革新的な取り組みを可能にし、市民サービスの向上や地域の魅力発信の新たな手法を提供しています。

この記事では、各地の自治体がメタバースを活用して地方課題に取り組む具体的な事例を紹介しました。

町田市のDigi甲子園から白浜町のバーチャル白浜、越前市のこころの保健室まで、多岐にわたる施策が実施されており、デジタル技術の進展がいかに自治体運営に新しい風を吹き込んでいるかが明らかになりました。

これらの取り組みから、メタバースが市民との関わり方や地域のイメージ構築にどのように貢献できるかの理解が深まり、自治体の意思決定者や企画担当者、IT専門家にとって有益な情報が得られたことでしょう。

メタバースが今後、自治体のさらなる発展にどう役立つか、その可能性を追求することが期待されます。