現代社会において、現実空間を再現した3Dデータの需要は、都市計画、災害管理、自動運転などの高度な技術分野の発展に伴い急速に高まっています。

これらの分野で活用できるのが、ゼンリンの「3D地図データ」です。

本記事では、この3D地図データの特徴、価格、さまざまな活用法、他の3D地図データとの比較について詳しく解説します。

最後までお読みいただければ、ゼンリンの3D地図データを活用することのメリットや、他のデータソースとの違いを理解することができます。

<この記事のポイント>

  • ゼンリンの3D地図データの基本的な特徴
  • 改定後の価格体系
  • 他の主要な3D地図データとの比較分析
  • さまざまな分野での具体的な活用事例とメリット

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|ゼンリンの3D地図データとは?

社名株式会社ゼンリン (ZENRIN CO., LTD.)
設立年1961年4月19日 (創業は1948年)
本社所在地福岡県北九州市戸畑区中原新町3番1号
本店所在地福岡県北九州市小倉北区室町一丁目1番1号 リバーウォーク北九州
代表者代表取締役社長 兼 執行役員:髙山善司代表取締役副社長 兼 副社長執行役員:網田純也
業種情報・通信業
事業内容地図制作
上場市場東証プライム (2006年3月1日上場)、福証 (1994年9月21日上場)
ウェブサイトwww.zenrin.co.jp

株式会社ゼンリンの3D地図データは、ゼンリンの詳細地図情報と専用車両で計測したデータにより、現実の街を忠実に3Dモデル化した製品です。

実際の環境を三次元で忠実に再現しており、建物や道路、自然環境などが詳細に表現されています。

ゼンリンの3D地図データは、都市計画や不動産開発、災害対策など、様々な分野での応用が可能です。

例えば、都市の再開発を計画する際に、実際の風景を3Dで事前確認することで、より効果的な計画が立てられます。

また、災害時の避難経路の計画や、新しい建物の影響をシミュレートする際にも、この高精度な3D地図は非常に有効なツールとなります。

総じて、ゼンリンの3D地図データは、現実世界をデジタル上で再現することにより、多岐にわたる分野で新たな可能性を開拓している画期的な技術製品といえるでしょう。

|ゼンリンの3D地図データの特徴

出典:https://www.zenrin.co.jp/

日本の地図領域におけるリーディングカンパニーであるゼンリンの3D地図データには、どのような特徴があるのでしょうか。

3D地図といえば、グーグルマップやアップルの3D地図などが有名ですが、ゼンリンの3D地図データも負けてはいません。

以下では、そんなゼンリンの3D地図データの3つの特徴について詳しく見てきましょう。

①高精度な3D都市モデルデータ

ゼンリンの3D地図データにおける「3D都市モデルデータ」とは、都市の建物、道路、橋、緑地などの都市要素を非常に精密に3次元でモデル化されたデータのことです。

このモデルは、以下のような特徴を持っています。

リアルタイムな都市の再現

実際の都市の風景を、建物の高さや形状、道路のカーブ、忠実に再現したテクスチャ付きの3Dデータです。

また年に一度、データの更新を行っているため、比較的新しい街の様子を、3Dで視覚化することが可能です。

高度なデータ精度

ゼンリンの持つ高精度な地図情報と、専用機材にて撮影した画像データを基に制作されているため、より現実の空間に近い3Dモデルを実現しています。

この3D都市モデルデータは、都市計画や建築設計、災害対策など多岐に渡る用途に有用です。

動的なシミュレーションの基盤

この3D都市モデルデータは、日照計算、視界分析、風流シミュレーションなど、様々な動的なシミュレーションの基盤として使用できます。

これにより、都市の開発や災害対策計画の策定において、より現実に即した分析が可能になります。

このように、ゼンリンの「3D都市モデルデータ」は、実際の都市を再現した3Dデータを提供することで、都市開発、災害対策、建築設計などの分野で幅広く活用されています。

日本全国整備した広域3次元モデルデータ

「広域3次元モデルデータ」とは、ゼンリンの詳細地図情報を基に作られた簡易3D地図データで、多様な用途に活用可能な特徴を持っています。

具体的には以下のような点が挙げられます。

広範囲のカバレッジ

都市部だけでなく、郊外や田舎の地域も含めた日本全国の範囲を3Dモデル化しています。

これにより、都市計画やインフラ整備、観光開発など、様々な地域特性に合わせた計画が立てやすくなります。

多様な用途への適応性

広域3次元モデルデータは、災害対策、環境評価、都市計画、ゲームや映画の制作など、多岐にわたる分野で利用できます。

特に、地域全体を俯瞰することが求められる大規模プロジェクトやシミュレーションにおいて価値が高いです。

統合的な地理情報

この広域3次元モデルデータは、地形表現も含めております。

これにより、環境影響評価や地域開発計画において、より包括的な情報を提供することが可能です。

このように、「広域3次元モデルデータ」は、その広範囲にわたるカバレッジと多様な用途への対応能力により、幅広い分野での応用が期待される重要な特徴です。

③CADにも対応可能なDXFデータ

CADにも対応可能な「DXFデータ」とは、ゼンリンの3D地図データがDXF(Drawing Exchange Format)形式で提供されることを意味します。

この特徴には以下のような重要なポイントがあります。

高い互換性

DXFフォーマットは、多くのCAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェアで標準的に使用されているデータ形式です。

ゼンリンの3D地図データをDXF形式で提供することにより、さまざまなCADソフトで活用できます。

建築・設計業界での活用

DXFデータは、建築や土木工学、都市計画などの設計業務において広く利用されます。

上記業界で使うための基本的なフォーマットとして、設計プロセスを円滑化します。

編集・カスタマイズの容易さ

DXF形式のデータは、建物や道路など30種類以上のレイヤーに分かれており、用途に応じて必要な情報だけ編集・カスタマイズすることが可能です。

このように、「DXFデータ」は、その汎用性と編集の容易さにより、建築、都市計画、土木工学などの分野での利用価値が高いといえます。

ゼンリンの3D地図データはこれらの特徴により、多くの分野での応用が可能であり、特に都市開発や設計業務においてその価値が高く評価されているのです。

CADについては以下の記事で詳しく解説しています。

ゼンリンの3D地図データとは?特徴・価格・活用法やグーグルマップとの違いについて解説!
ゼンリンの3D地図データとは?特徴・価格・活用法やグーグルマップとの違いについて解説!

|ゼンリンの3D地図データの改定後の価格

ゼンリンの3D地図データの価格表は以下になります。

 
形態プランプラン内容
お得なパックプランSプラン6,000,000円で使い放題
Aプラン2,880,000円で32ブロックまで利用可能 ※33ブロック目からは、1ブロックあたり84,000円になります。
Bプラン1,440,000円で14ブロックまで利用可能 ※15ブロック目からは、1ブロックあたり96,000円になります。
Cプラン720,000円で6ブロックまで利用可能 ※7ブロック目からは、1ブロックあたり114,000円になります。
従量課金制Dプラン ※1ブロックあたり3D都市モデル  …177,600円 広域3次元モデル…50mメッシュ標高版 114,000円 …10mメッシュ標高版 177,600円 DXF(2D/3D) …114,000円

※各種データのサイズ

・3D都市モデル(1ブロック約625m四方)

・広域3次元モデル(1ブロック約5km四方)

・DXF 2D/3D (1ブロック約2.5km四方)

|ゼンリンの3D地図</H2>

3D地図データは、ゼンリンが提供するもの以外でも、多くの種類が存在します。

有名どころでいえば、無料で使えるグーグルマップやアップルの地図データなどが挙げられますが、その他にも用途に合わせた3D地図データもあります。

ケースバイケースで使い分けることが重要なので、以下に紹介する3つの3D地図データについては知っておきましょう。

①国土地理院の立体地図

出典:https://www.gsi.go.jp/kikaku/tenkei_top.html

国土地理院が提供する地図データは、基本的に無料で使える地図データです。

主に、以下のような特徴を持っています。

  • Webブラウザ上で利用できる

地理院地図の3D機能を使って、標高モデルを利用して好きな場所を3次元で表示できます。

  • 表示範囲がカスタマイズ可能

2048×2048pxや1024×1024pxの範囲を選択できるほか、「カスタム」機能で特定の範囲を指定することも可能です。

  • 使いやすい操作性

マウスを使用して視点の操作が可能で、回転や移動、拡大・縮小などが行えます​​。

  • 多様なダウンロードオプション

STLファイル、VRMLファイル、WebGL用ファイルなど、様々な形式でのダウンロードが可能です。

国土地理院の立体地図は公的なデータであり、広範囲のカバレッジと公的な信頼性に重点を置いています。

一方、ゼンリンの3D地図データは、商業的用途や詳細な都市計画に特化しています。

無料で使うには非常に高性能といえますが、やはり商業用途で本格的に使うには、さまざまなオプションを選択できるゼンリンの3D地図データの方が良いでしょう。

②NTTデータのAW3D® 全世界デジタル3D地図

出典:https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/aw3d/

「NTTデータのAW3D® 全世界デジタル3D地図」とは、世界で初めて世界中の陸地の起伏を5m解像度で表現したデジタル3D地図です。

主な特徴としては以下の通りになります。

  • 5m解像度の3D地図

世界初で、全世界の陸地の起伏を5m解像度で表現。高解像度・高位置精度の標高データを提供し、現地測量なしで作成可能です。

  • 多岐にわたる使用用途

都市分野、防災分野、通信分野、資源・環境分野、交通分野など幅広いプロジェクトに利用されています。具体的には、都市開発計画、自然災害のシミュレーション、通信網計画、資源探査などに活用されています。

  • グローバル対応

世界125カ国以上で利用され、幅広い地域をカバーしています。

NTTデータのAW3Dは全世界をカバーしており、ゼンリンのデータは特に日本の都市部に焦点を当てています。

また、AW3Dは自然災害対策や資源調査など、より広範な用途に対応しているのに対し、ゼンリンのデータは都市計画や商業的な用途に特化しています。

③グーグルマップやアップルの地図データ(無料)

出典:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.google.android.apps.maps&hl=ja&gl=US

グーグルマップやアップルの地図データは、スマホなどにも標準搭載されている無料の地図データです。

利用したことがある方も非常に多いのではないでしょうか。

馴染み深い両3D地図データですが、特徴を挙げるとすれば以下になります。

<グーグルマップ>

  • 航空写真ビュー

航空写真ビューを提供し、最も高解像度の都市の写真は航空写真で、それ以外は人工衛星から撮影されたものです。

  • 3Dビュー機能

2018年以降、デスクトップバージョンのGoogle Mapsでは3D地球が表示可能になり、航空写真モードと3Dマップ表示が併用または切り替え可能です。対応地域では地形や建物、道路などを3D立体表示できます​​。

<アップルの地図データ>

  • 3D風景の探索

Apple Mapsには「Flyover」モードがあり、建物や構造物のモデルで構成された3D風景の中を探索することができます。

  • 「Look Around」機能

360度の周囲の景色の画像を見渡しながらスムーズに移動することが可能な「Look Around」機能も提供しています(一部地域のみ)。

ゼンリンのデータは日本の都市部に特化しており、更新頻度が高く詳細な都市モデルを提供しています。

一方で、グーグルマップとアップルの地図データは、全世界を対象とした広範囲な3D地図データを提供しており、航空写真や衛星画像を基にした3D表示が可能です。

そのため、ゼンリンの3D地図は特に都市計画や建築設計に適しており、Google MapsとApple Mapsの3D地図は一般的なナビゲーションや視覚的な探索に利用されます。

|ゼンリンの3D地図データの活用法

ここまで、ゼンリンの3D地図データの特徴やその他の3D地図データに関してご紹介していきました。

しかし、3D地図データとひと口に言っても、どのように活用すれば良いのかわからない人も多いかもしれません。

そこでここでは、ゼンリンの3D地図データの活用法について詳しく解説します。

①都市計画と開発

ゼンリンの3D地図データは、多様な応用性により、さまざまな分野での活用が可能です。

まず、都市計画と開発の分野では、3D地図データを活用することで、都市の再開発や新しいエリアの開発計画を立案する際に役立ちます。

建物の高さや地形、既存のインフラなどを3次元で把握することができ、効果的な都市設計や空間利用の計画が可能になります。

このように、ゼンリンの3D地図データを使用することで、都市の将来像をリアルに視覚化し、開発計画の精度と効率を高めることができるのです。

②災害リスク管理

災害リスク管理にも、ゼンリンの3D地図データが活用できるでしょう。

ゼンリンの3D地図データは、洪水、地震、土砂災害などのリスクを評価し、適切な対策を計画する際に非常に役立ちます。

例えば、洪水の危険がある地域では、3D地図データを使用して洪水の影響範囲を予測し、避難計画や防災設備の配置を効率的に行うことが可能です。

また、建物やインフラの耐震性を評価する際にも、地形や建物の詳細な3Dデータが重要な情報源となります。

これにより、より効果的な災害対策と迅速な対応が可能になり、安全性の向上に大きく貢献することができるのです。

③自動運転車自動運転車開発に役立つドライブシミュレーション

ゼンリンの3D地図データは、自動運転車の開発で利用するドライブシミュレーションにおいても重要な役割を果たします。

自動運転車は、複雑な道路環境を正確に理解し、安全に移動するために詳細な地図情報に依存しています。

ゼンリンの3D地図データは、道路の形状、交差点の配置、信号機の位置、標識の詳細など、精度の高い3次元情報を取得可能です。

これにより、自動運転車は現実世界の地形や交通状況を正確に把握し、適切なルート選択や障害物回避が可能になります。

このように、ゼンリンの3D地図データは、自動運転技術の発展と普及に欠かせない要素を満たしているといえるでしょう。

④ゲームやVR/ARアプリケーション

ゼンリンの3D地図データは、ゲームやVR/ARアプリケーション開発においても重要な役割を果たします。

ゲームやVR/ARアプリケーションの分野では、リアルな環境の再現がユーザー体験の質を大きく左右するため、ゼンリンの高精度な3Dデータは非常に価値があります。

ゲーム開発者やVR/ARアプリケーションの制作者は、ゼンリンの3D地図データを使用して、現実世界を忠実に再現した仮想環境を作成可能です。

これにより、ユーザーは、よりリアルで没入感のある体験を享受することが可能になります。

また、教育やトレーニング用のアプリケーションにおいても、実世界に基づいた精確な3Dモデルを使用することで、より効果的な学習体験を提供することも可能です。

⑤不動産業界での外観確認

不動産業界では、ゼンリンの3D地図データを活用して、物件の外観や周辺環境を事前に確認することが可能です。

特に、購入や賃貸を検討している顧客に対して、物件の位置や周囲の建物、地形、アクセスルートなどを3Dで視覚化して提供することができるのは大きなメリットといえるでしょう。

これにより、顧客は物件の実際の状況をより深く理解し、購入や賃貸の意思決定を行う際の情報源として利用できます。

また、不動産業者は、この3D地図データを使用して、物件の価値をより的確に伝え、魅力的なプレゼンテーションを実現することも可能です。

このように、ゼンリンの3D地図データの高精度と多様性は、各業界において大きな価値をもたらし、多岐にわたる活用法が考えられます。

|まとめ:ゼンリンの3D地図データは商業用途に最適!

本記事では、ゼンリンの3D地図データについて、特徴や価格、その他の製品との比較や活用法についてご紹介しました。

ゼンリンの3D地図データは、その高精度なディテールと広範囲なカバレッジにより、商業用途に非常に適しています。

都市計画や不動産開発から自動運転車車両開発におけるシミュレーション、災害リスク管理、さらにはゲームやVR/ARアプリケーションの開発に至るまで、幅広い分野での応用が可能です。

ゼンリンの3D地図データを活用することで、リアルタイムでの環境分析、効果的なプロジェクト計画、リスク管理の最適化が行えるため、多くの業界でその価値が高く評価されています。

ゼンリンの3D地図データは、これらの用途において、信頼性の高い情報源として今後もその需要は高まり続けるでしょう。

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