「キティちゃん」「マイメロディ」など、世界中で愛されるキャラクターを多数生み出しているサンリオが、メタバースへの参入に乗り出しました。
これには、サンリオのキャラクターたちがもつ可愛らしさを、デジタル空間でも愛される存在にするという狙いがあります。
そして、メタバースを活用することで、ファンとの密接な関係を築き、新たなエンターテイメント体験の提供を目指しています。
この記事では、サンリオがメタバースでどのように活用されているか、また、その戦略について詳しく紹介していきます。
目次
|サンリオとは
サンリオは、1960年に創業された東京都品川区に本社を置く日本の企業です。
日本を代表するキャラクターブランドであり、グリーティングカードやグッズなどの販売や、テーマパークの運営を事業としています。
世界中で愛されるキャラクターを次々生み出し、映画やゲームなど幅広いメディアコンテンツを展開しているため、国内外で支持されています。
また、「誰からも愛される」というコンセプトのもと、キャラクター同士が協力し合ったり、友情を育んだりするストーリーを展開することで、子どもから大人まで幅広い世代に人気を獲得しています。
サンリオは常に新しいキャラクターやコンテンツを生み出し、時代のニーズやトレンドに敏感に対応しながら、キャラクターたちの魅力を世界中に広めています。
|サンリオがメタバース参入した背景
サンリオのメタバース参入は、デジタルエンターテイメントの拡大と革新に対する迅速な対応の結果と言えます。
2015年に導入されたアバター作成ツール「ちゃんりおメーカー」は、当時急増していたSNSやインスタグラムの利用者数増加にマッチし、大きな注目を浴びました。
利用者数が急増した影響で、サーバーダウンが起きるなどのトラブルにより、収益としてはマイナスになってしまいましたが、この挑戦を通じてサンリオの従業員はデジタル技術への手ごたえを感じ、関心を高めました。
同時に、この施策はサンリオの知名度向上にも貢献し、新たなブランディングの機会となりました。
2021年のメタバースイベント「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」でも分かるように、伝統的なエンターテインメントの枠を超え、顧客に新たな体験を提供することを目指しています。
|サンリオのメタバース活用事例
サンリオのキャラクターは、単なる商品にとどまらず、多くの人々に夢や希望を与え、生活に彩りを添える存在となっています。
そんな中、新たな次元で顧客満足度を向上し、集客アップを狙う同社が実際に取り組んでいるメタバース事業には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
以下で、5つの事例をご紹介します。
SANRIO Virtual Festival
サンリオは、2021年12月「バーチャルサンリオピューロランド」の地下5階に巨大なフェス会場を構築し、「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」を開催しました。
このイベントは、米国のVRChatと提携して催され、メタバースの音楽フェスとしては世界最大級の規模を誇ります。
フェスでは、KizunaAI、初音ミク+ピノキオピー、AKB48(Team8)、そして多くのバーチャルアーティストが出演。
参加者はスマートフォンやPCを使用して、好みのアバターでバーチャル空間に参加し、サンリオキャラクターになりきることができます。
特にVRChat版の有料フロアでは、アーティストとのバーチャルライブを疑似的に楽しむことが可能で、ハイタッチをするとハローキティのリボンが現れたり、バーチャル空間内で独自の演出を楽しめました。
さらに、限定グッズのショップやサウナまで展開され、参加者は様々なサンリオの世界を満喫しました。
SANRIO Virtual Festival 2023
2023年1月に開催された「SANRIO Virtual Festival 2023」は、総勢56組のアーティストが参加し、バーチャルピューロビレッジの公開や音楽フェスなど、様々な魅力的なコンテンツが展開されました。
初日にはサンリオバーチャルパレードが初公演され、バーチャル空間が次々と変化する演出にサンリオファンやVRファンが熱狂しました。
音楽フェスでは、360度のバーチャル空間を利用した演出やアーティストの魅力に参加者が大興奮。
さらに有料のB2とB3ステージでは、スチャダラパーやヤバイTシャツ屋さん、SKY-HIなどのアーティストがパフォーマンスを繰り広げ、特別なコラボや空間に浮かぶ歌詞など、バーチャルならではの新しい演出が目を引きました。
イベント後も、VRChat上での再上演やアーカイブにより、ライブの視聴が可能であり、イベントへの参加を逃した人々も後から楽しむことができました。
メタバース六本木
2023年6月18日(日)放送の『新世界 メタバースTV!!』では、テレビ朝日が推進する「光と星のメタバース六本木」を活用し、サンリオの特別なコラボイベントが生放送で展開されました。
この特別編は、サンリオのキャラクターと「メタバース六本木」を舞台にし、子役の浅田芭路とサンリオ大ファンのティモンディが生登場。
「メタバース六本木」内では、期間限定の「サンリオキャラクターズ&ゴ~ちゃん。★ワクワクガーデン」が登場し、森の中にキャラクターが隠れている特別な仕掛けも用意されました。
また、シナモロールなど合計10キャラクターとの写真撮影が楽しめたり、番組MCやゲストも本人アバターとしてアクセスし、視聴者との交流体験をすることができました。
そらのうえショッピングモール
ベネリックデジタルエンターテインメント株式会社が運営する「そらのうえショッピングモール」は、2022年4月1日にオープンしたメタバースの商業施設です。
ここに、サンリオが展開する「Sanrio Gift Gate アドホック新宿店」も出店し、360度撮影されたバーチャル店内を実店舗にいるように体験できます。
ショップにはスタッフアバターが出迎え、店内のサンリオキャラクターの人気商品や、シナモロールの20周年記念アイテムをタッチすると、詳細情報が閲覧できます。
このモールは、バーチャル空間プラットフォーム「XR CLOUD」上に展開され、様々なキャラクターショップが集結し、100店舗以上も出店されています。
ちゃんりおメーカー(現在終了)
2015年7月に展開された、自分だけのアバターを作成できるWebサービスです。
ちゃんりおメーカーでは、髪型や顔、目、鼻、口、服装、アクセサリーなど、さまざまなパーツを組み合わせて、自分だけのオリジナルアバターを作成することができます。
また、顔写真をアップロードして、本人そっくりのアバターを作成することも可能です。
作成したものは、SNSのプロフィール画像や、LINEのスタンプ、ステッカーなどのアイテムにプリントして注文するなど、さまざまな用途に利用することができます。
自分のキャラクターを手軽に作成し、その魅力を実際のアイテムとして楽しむことができる、ファンにとって楽しいエンターテインメントサービスとして大変好評でした。
|サンリオのデジタルコンテンツの将来
サンリオはデジタル分野での活動を拡大し、「Sanrio Virtual Festival in Sanrio Puroland」などのメタバース空間でのイベントを通じて、次世代のエンターテインメントを追求しています。
Web3の領域での戦略を展開し、VR空間を活用したゲーム、ライブ配信、教育コンテンツなど、24時間365日楽しめる体験を提供。
さらに、生成AIによるデザインやUGC(ユーザー生成コンテンツ)をサポートし、メタバースを共有の創造的な場として構築しています。
目指すビジョン「One World, Connecting Smiles.」に沿って、時価総額1兆円、営業利益500億円を目指し、過去60年の歴史を踏まえつつ、時代の変化に対応し続ける決意を示しています。
|まとめ
本記事では、サンリオがメタバースに参入した背景と活用事例を紹介しました。
メタバース参入は、同社のキャラクターやコンテンツの新たな可能性を広げたものと言えるでしょう。
今後も、サンリオの豊富なキャラクターIPを活かした、新たなエンターテインメントやコミュニケーションの形が実現することに、期待が高まります。
これからも様々な形のKAWAIIに注目していきましょう!