レノボが2023年5月17日に発表した、法人向けVRデバイス「ThinkReality VRX」。
同社初の法人向けとなる本製品は、製造業や医療、教育など、幅広い分野での活用が期待されています。
ThinkReality VRXは、優れた機能性と柔軟性を兼ね備え、企業のニーズに合わせたカスタマイズが可能です。
本記事では、この最先端機器の概要や、その特徴について詳しくご説明します。
自社で導入を検討している方、VRデバイスの最新動向に興味のある方は、ぜひご一読ください。
目次
|ThinkReality VRXとは
Lenovoの最新VRデバイス「ThinkReality VRX」は、業界をリードする没入型体験を提供しています。
このオールインワンヘッドセットは2023年5月30日に販売が開始され、法人・企業向けの機器として従業員のトレーニングや3D設計のニーズに特に焦点を当てています。
また、同製品には充実したエンドツーエンドのサポートサービスが付属しており、企業の成果を最大化する狙いがあります。
価格は税込みで209,000円からとなっており、高い性能と柔軟性を備えたVRソリューションとして、企業の業務効率化や革新的なアプリケーション開発を支援することが期待されています。
|ThinkReality VRXの製品情報
Qualcomm Snapdragon XR2+ チップセットを搭載し、Android 12を採用しています。
このヘッドセットは、コンパクトなパンケーキ型レンズと高解像度(片眼2,280 × 2,280ピクセル)の光学系を備え、70Hzまたは90Hzのリフレッシュレートを持ちます。
また、6DoFトラッキングをサポートし、4つの内蔵カメラによるインサイドアウトトラッキングを実現しています。
要するに、特殊な通気システムによるディスプレイからの熱の遠ざけ方や、高解像度のフルカラーパススルー機能が特徴的で、レンズ構造を最適化することで軽量化を実現し、最先端のテクノロジーと利便性を組み合わせた革新的な製品と言えます。
|ThinkReality VRXで出来ること
本製品の具体的な役割として、次の2点が挙げられます。
- バーチャルオフィスワーク
- トレーニング・シミュレーション
それぞれについて、以下で深掘りしましょう。
バーチャルオフィスワーク
本製品は、メタバース空間における対話的なミーティングを実現する革新的なツールです。
この先端テクノロジーを利用したバーチャルオフィスワークは、在宅勤務者にとって最適な環境づくりをもたらします。
従業員は自宅から、オフィス空間を再現した仮想環境へアクセスし、臨場感のある会議や協力作業を行うことが可能です。
バーチャルオフィスでは、遠隔地にいるチームメンバーとのリアルタイムでのコラボレーションが実現します。
参加者は個々の仮想空間から会議室へアバターとして参加し、データ共有やプレゼンテーション、アイデアの共有など、リアルなコミュニケーションを楽しむことができます。
この新たな働き方は、地理的な制約を超え、柔軟性と効率性をもたらす画期的な手段となっています。
トレーニング・シミュレーション
本製品は、製造業における技術トレーニングや作業現場向けの革新的なメタバース空間を提供します。
場所や時間に制約を受けることなく、安全かつ効果的なトレーニング環境を実現します。
特に、デジタルツインモデルを活用したシミュレーションや現場空間に製品のバーチャルモデルを表示して配置シミュレーションを行うなど、実際の作業現場に最適化されたMR(Mixed Reality)体験を提供します。
さらに、それらのシミュレーションを通じて、従来のトレーニング手法にない没入感と効果をもたらします。
これにより、新たな技術の習得や業務プロセスの理解が促進され、作業現場における安全性と効率性を向上させます。
|ThinkReality VRXの特徴
本製品をより深く理解するために、特徴的なポイントとなる機能について、以下でご紹介しましょう。
多機能性
本製品は、幅広い機能を兼ね備えた革新的なデバイスであり、上述の通り高解像度のパススルー機能をはじめ、多彩な機能を搭載しています。
そのため、VRやMRなどの複合現実に限らず、最新のメタバースなど多岐にわたるアプリケーションにも対応しています。
本製品は、オールインワンのスタンドアローン型として使うこともできますが、パソコンやワークステーションとの有線または無線接続により、PC VRとしても利用可能です。
この柔軟性によって、ユーザーはさまざまな環境で最適な利用方法を選択できます。
さらに、UnityやUnreal Engineに対応してることにより、ARグラス向けの3Dアプリケーション開発やAndroidアプリへのAR機能追加が可能であり、多機能性と柔軟性を兼ね備えた先進的な製品であると言えます。
デザイン性
本製品は、画期的なデザイン改善の取り組みにより、長時間の快適な装着感覚を実現するよう設計されました。
特筆すべきは、パンケーキ式レンズの採用です。
このレンズデザインにより、装着時のデバイスをスリム化し、コンパクトなサイズを実現しています。
また、大容量バッテリーの配置においても、デバイスの重量を均等に分散する配慮がなされていたり、ディスプレイから発する熱が利用者の顔に向かないような通気システムが採用されています。
これにより、装着時の負担を軽減し、快適な装着感を提供しています。
デバイス全体のバランスと快適性を考慮したデザインは、ユーザーにとって長時間の利用もストレスなく行えるよう配慮されており、これらの改善により、VR体験がより充実したものとなります。
法人向け
Lenovoは本製品を「エンタープライズ向けメタバースのゲートウェイ」と位置付けており、法人向けの業務に最適化された特性を持っています。
法人の要求にマッチするよう設計されており、衛生的な素材を用い、高い耐久性と信頼性を実現しています。
なお、製造工程や製品の安全性は法人クラスのセキュリティ要件に準拠しています。
多岐にわたる法人向け複合現実アプリで活用され、小売業や販売業、建築・機械設計などの分野では、没入型アプリケーションや技術トレーニング、相互作用的な体験を提供。
その他あらゆる業種においても、在宅勤務に適したバーチャルオフィスでの会議や安全研修など、様々な業務に活用され、法人ニーズに応える革新的なソリューションとして高い評価を得ています。
管理用クラウドサービス
Lenovoが提供するXR向けクラウドサービス「ThinkReality Platform」は、デバイス、ユーザー、アプリの管理を一括して行うことが可能です。
IT管理者はダッシュボード画面から、デバイスの利用状況やユーザー、インストールされたアプリなどをリアルタイムに把握できます。
特に重要なのは、本製品にインストールされるアプリの厳密な管理が可能であることです。
さらに注目すべきは、企業が保有する3Dデータ資産と仮想世界を組み合わせたデジタルツインの実現です。
本製品は、単体でも高性能なVRヘッドセットですが、NVIDIAが提供するOmniverseと組み合わせることで、製造業や教育、医療など幅広い業界に展開可能となります。
|まとめ
ThinkReality VRXは、レノボが初めて法人向けに提供するVRデバイスであり、エンタープライズニーズに合わせた設計がなされています。
スリムなデザインや高性能な機能、管理用クラウドサービスの提供など、ビジネス環境での効率性やセキュリティを重視した特徴が際立ちます。
また、複合現実アプリの展開において、幅広い業種での利用が見込まれています。
さまざまなシーンでの活用が期待され、法人におけるVRの導入がさらに加速していくでしょう。