近年、ゲームやエンターテイメントだけでなく、ビジネスや教育、医療などの分野でもメタバースの活用が進んでいます。
その市場は今後大きく拡大すると予想されていますが、そのなかでも、積極的にメタバースに取り組んでいる企業が、日本IBMです。
この記事では、日本IBMのメタバースへの取組みについて、これまでの流れから今後の展望までを丸ごと解説します。
メタバースに興味のある方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
|メタバースとは
メタバースとは、ギリシャ語で「超越した」という意味を持つ「メタ(meta)」と「世界」を意味する「バース(verse)」を組み合わせた造語です。
インターネット上の仮想空間に作られた世界であり、ユーザーはその世界のなかで自分の分身であるアバターを自由に操作し、さまざまな活動をおこなうことができます。
メタバースは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などのXR(クロスリアリティ)技術を用いて、現実世界と仮想空間を連動させることで、より高い臨場感や没入感を提供してくれます。
現実世界ではできないことや体験できないことを可能にするだけでなく、現実世界の情報や知識を豊富に取り込むこともできます。
ゲームやエンターテイメントの分野だけでなく、ビジネスや教育、医療、社会貢献などの分野でも活用されていますよ。
市場規模に関しても、2022年に655.1億ドルだったものが、2030年には9,365.7億ドルにまで拡大すると予想されています。
今後もさまざまな技術やサービスの進化によって、より魅力的で多様な分野になっていくでしょう。
メタバースについてさらに詳しく知りたい方は下記リンク記事も併せてご覧ください。
|日本IBMとは
日本IBMとは、アメリカのIBM社の日本法人で、情報システムに関わる製品やサービスを提供する企業です。
一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか。
IBMは、米国に本社を置く世界最大のIT企業で、コンピュータやソフトウェア、サービスなどの開発や販売を行っています。
日本IBMは、IBMの技術やサービスを日本の市場に合わせて展開しており、多くの企業や団体と協業しています。
日本IBMは、日本の社会や産業の発展に貢献するとともに、グローバルな視点からもイノベーションを創出しています。
メタバースにも積極的に取り組んでおり、技術開発や事業展開だけでなく、社会的な課題や普及にも注目しています。
|日本IBM×メタバースの取組み
日本IBMは、メタバースに積極的に取り組んでいる企業ということはおわかりいただけたでしょう。
つぎに、日本IBMが行っているメタバースに関する主な取り組みを4つ紹介していきます。
ぜひ参考にしてくださいね。
企業向けメタバース「IBM Spatial Platform」
IBM Spatial Platformとは、IBMが開発した企業向けのメタバースプラットフォームです。
企業が自社のビジネスプロセスや事業モデルをメタバース空間に再現し、シミュレーションや分析、最適化などを行うことができるサービスとなっています。
IBM Spatial Platformは、以下のような用途で活用されています。
・製造業:工場や製品のデジタルツインを作成し、生産性や品質、安全性などを向上させる
・小売業:店舗や商品のデジタルツインを作成し、顧客のニーズや嗜好に応える
・不動産業:建物や土地のデジタルツインを作成し、価値や利便性を高める
・金融業:金融市場や資産のデジタルツインを作成し、リスクや機会を把握する
・教育業:教室や学校のデジタルツインを作成し、教育の質や効果を向上させる
IBM Spatial Platformは、企業がメタバースをビジネスに活かすための強力なツールといえるでしょう。
順天堂大との共同開発「Medical Meetup」
Medical Meetupとは、日本IBMと順天堂大学が共同開発した医療分野のメタバースサービスで、医師や看護師、患者などがメタバース空間での診療や相談、教育などを行うことができるサービスです。
入院患者とのオンライン面会サービスとしても注目されています。
外出が制限されている入院患者にとっても、非日常を味わえるサービスとして活用がすすめられています。
Medical Meetupは、以下のような用途に活用されています。
遠隔診療:メタバース空間で医師と患者が対面し、診察や処方などを行う
遠隔相談:メタバース空間で医師や看護師が患者や家族と相談し、病気や治療に関する情報やサポートを提供する
遠隔教育:メタバース空間で医師や看護師が学生や研修医と教育や研修を行う
遠隔研究:メタバース空間で医師や研究者が共同研究や発表を行う
Medical Meetupは、医療分野のメタバースの先駆者といえるでしょう。
こちらの記事でさらに詳しく紹介していますので、合わせてお読みください。
自社の入社式をメタバースで開催
日本IBMは、自社の入社式をメタバースで開催しています。
これは、日本の大手企業としては珍しい試みといえるでしょう。
まず、新入社員は、自宅やオフィスからVRヘッドセットやPCなどを用いて、メタバース空間にアクセスします。
メタバース空間には、日本IBMの本社ビルのロビーが再現されており、新入社員は自身のアバターとなり出席します。
社長や役員、先輩社員などもアバターとして出席し、新入社員を歓迎します。
新入社員同士や先輩社員との交流やグループワークなども行われ、新入社員にとっても忘れられない体験となったことでしょう。
日本IBMは、今後もメタバースを活用して、社員のコミュニケーションやエンゲージメントを高めていきたいと考えており、今後どのような取り組みがされるのか期待してしまいますね。
こちらの記事でさらに詳しく紹介していますので、合わせてお読みください。
|メタバースの国内普及に向けた提言を発表
日本IBMは、2023年2月にメタバースの国内普及に向けた提言を発表しました。
この提言は、メタバースの社会的価値や課題、方策などをまとめたものです。
メタバースは、人々の生活や働き方、学び方、遊び方などを変革する新しいプラットフォームであり、社会の持続可能性やレジリエンスを高める可能性があるとされています。
また、メタバースの普及には、技術的な課題だけでなく、法的・倫理的・社会的な課題も存在するため、多様なステークホルダーの協働や対話が必要であるとまとめられています。
提言のなかで、メタバースの普及に向けて、以下のような方策が提案されています。
・標準化や相互運用性の確保
・セキュリティーやプライバシーの保護
・アクセシビリティーやインクルージョンの促進
・教育や啓発の推進
・イノベーションやコラボレーションの支援
日本IBMのメタバース提言は、メタバースの社会的意義や責任について、ビジョンや姿勢を示したものです。
メタバースの関係者や利用者にとって、参考になるものであるとともに、メタバースの発展に向けた議論や行動を促すものであると期待されています。
|日本IBMとメタバースの今後
ここまで、日本IBMのメタバースへの取り組みについて紹介してきました。
では今後はどうなっていくのでしょうか。
2つの観点から紹介していきます。
メタバース市場の今後
メタバース市場は、今後も急速に拡大すると予想されています。
その規模は、2022年に655.1億ドルだったものが、2030年には9,365.7億ドルにまで拡大すると予想されているほどです。
メタバース市場の成長の要因としては、以下のようなものが挙げられます。
・XR技術の進化と普及
・5Gやクラウドなどのインフラの整備と普及
・リモートワークやオンライン教育などの需要の高まり
・ゲームやエンターテイメントの分野の先行事例の影響
・企業や教育機関などのメタバースへの投資や採用の増加
さまざまな業界や分野において、メタバースの活用が進むことで、多様な価値やサービスが生まれると予想されています。
競争も激化すると予想されており、メタバースの技術やサービスの差別化や革新が求められるでしょう。
日本IBMとメタバースの今後
日本IBMは、メタバース市場の成長に伴って、メタバースに関する技術やサービスの開発や提供を強化していくと発表しています。
技術やサービスに関する売上や利用者、パートナー企業を拡大していき、メタバースのさらなる普及を目指しています。
また、AIやIoTなどの先端技術を統合し、ユーザーのニーズやフィードバックを反映していくこととしています。
加えて、セキュリティーやプライバシー、倫理などの観点を重視し、社会的価値や責任を意識するとされています。
さらに、課題や方策などについても、積極的に発信や提言を行っていくとしており、今まで以上にメタバースの発展に貢献していく企業となるでしょう。
|まとめ
この記事では、日本IBMのメタバースへの取組みについて、これまでの流れから今後の展望までを丸ごと解説しました。
メタバースに興味のある方は、ぜひ日本IBMのメタバースに関する取り組みをチェックしてみてください。
メタバースは、あなたの可能性や魅力を広げる新しい世界です。
メタバースで、あなたの未来を創りましょう。