新型コロナウイルスの影響で社会構造が変わり、企業は集客方法を再考し始めました。
この変化の中で、メタバースを活用したライブコマースが注目を集めています。
この記事では、メタバース型ライブコマースのメリットと成功事例、さらに効果的なマーケティング戦略について解説します。
最後までお読みいただければ、ターゲット設定の重要性、没入型コンテンツの活用、データ分析のスキル習得の必要性が理解できます。
スキマ時間で読み切れる内容なので、新しいマーケティング手法に興味がある方には特におすすめです。
<この記事を読むとわかること>
- メタバース型ライブコマースの基本概念
- メタバースを利用した集客とブランド戦略の効果
- 実際の成功事例
- メタバースマーケティングにおける重要ポイント
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目次
|ライブコマースとは?
ライブコマースは、ライブ配信を利用した新しい形の販売方法です。
具体的には、メーカーや代理店などが、動画配信者やインフルエンサーに商品の紹介を依頼します。
これらの配信者はライブ配信を通じて商品を推薦し、視聴者やファンがその商品を購入する流れです。
例えば、Instagramであれば、フォロワーが多い人がストーリーズに商品購入のリンクを貼り、視聴者がそのリンクから商品を購入することができます。
ライブコマースの特徴は、配信者と視聴者が双方向にコミュニケーションできる点です。
視聴者はコメント欄に質問を投稿し、配信者はリアルタイムでそれに答えます。
また、視聴者のリクエストに応じて商品の詳細を見せるなど、従来のテレビショッピングにはない対話的な要素が人気の一因です。
メタバースを利用したライブコマースでは、よりリアルで没入感のある体験が可能で、ユーザーは仮想世界で直接商品を見たり、体験したりできます。
また、メタバースは世界中どこからでもアクセスできるため、地理的な制限がなく、より多くの人々にリーチすることでターゲットに対してより効果的な訴求が可能です。
メタバースについて詳しく知りたい方は以下の記事をご確認ください。
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ライブコマース先進国は中国
ライブコマース先進国は中国です。
中国のライブコマース市場の規模は非常に大きく、急速な成長を遂げています。
2019年時点で4,338億元(約6兆9,408億円)に達し、その後も成長が続き、2021年には2兆元規模に達すると予測されています。
2020年のコロナ禍に伴う巣ごもり消費も、ライブコマース市場の拡大に一役買いました。
また、中国のオンラインショッピング市場では、消費者の口コミが非常に重要です。
ライブコマースでは、ライバーやインフルエンサーが商品の特性や機能を詳しく解説し、オンライン上で質疑応答も行えるため、消費者はより信頼して購入することができます。
他にも、農産品を生産者が直接販売する「農村ライブコマース(原産地ライブコマース)」も人気を集め、大きな話題となりました。
中国のライブコマース市場は、「プラットフォーム型」が主流で、アリババ傘下の「淘宝網(タオバオ)」や「天猫(Tmall)」、京東商城(JD.com)などがライブコマースチャネルを展開しています。
また、エンターテイメント系のコンテンツプラットフォームもEC市場に参入しており、これらのプラットフォームは中国消費者協会によると、「淘宝ライブ」が最も多くのユーザーを抱え、その次に「抖音(TikTok)」「快手(KUAISHOU)」が続いています。
このように、中国はライブコマースの先進国としての地位を確立しています。
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|ライブコマースにメタバースを導入するメリット
新型コロナは世界を震撼させ、ビジネスにも大きな影響を与えました。
特に世界的に新型コロナの影響で”巣ごもり需要”が拡大し、そんな需要にうまく対応しているライブコマース市場は現在もなお加速し続けています。
メタバース市場も同様に市場規模は加速し続けており、矢野経済研究所の調査によると、2026年までには日本国内のマーケットは1兆円にも達する見込みです。
このように、成長の勢いが止まらないライブコマースとメタバースですが、両者を組み合わせることで更なる相乗効果を期待できます。
ここでは、ライブコマースにメタバースを導入するメリットについて詳しく説明します。
①ターゲットへの訴求力を高められる
一つ目のメリットは、ターゲットへの訴求力を高められる点です。
メタバースを通じて行われるライブコマースは、単なるオンラインショッピングよりもずっと体験的で、リアルなショッピング体験に近い感覚を提供します。
例えば、衣服をメタバース上の自分のアバターに着せてみることで、実際の着用感を想像しやすくなります。
また、ターゲット層に合わせたカスタマイズされたショッピング体験が可能になることで、ターゲット顧客の嗜好や興味に基づいて、環境やプレゼンテーションをカスタマイズすることも可能です。
例えば、若者向けのファッションブランドであれば、メタバース内でトレンド感のある仮想空間を作り、その空間で最新コレクションを紹介することができます。
こうすることで、ブランドの世界観をより鮮明に伝え、ターゲット層の関心を強く引きつける効果が期待できるのです。
②ブランド戦略に効果的
二つ目のメリットは、ブランド戦略に効果的という点です。
従来のブランド戦略では、商品やブランドイメージを消費者に伝えるための方法が限られていました。
広告、ウェブサイト、物理的な店舗などを通じて行われるブランディング活動は効果的ではありますが、消費者との直接的なインタラクションや体験の深さには限界があったのです。
メタバースとライブコマースを組み合わせることで、これらの問題点が改善される可能性が高まります。
例えば、ブランド独自の仮想店舗を設計することで、ブランドの世界観や価値観をより鮮明に、そして創造的に表現することが可能です。
また、ライブコマースをメタバース内で実施することにより、消費者とのインタラクションが強化されます。
ライブコマースでは、リアルタイムでのコミュニケーションが可能で、消費者は商品についての質問をしたり、フィードバックを直接配信者に伝えることができます。
このような双方向のコミュニケーションは、消費者との関係を深め、ブランドへの関心を高める可能性が非常に高いのです。
③データ分析による正確なアプローチ
三つ目のメリットは、データ分析による正確なアプローチが可能になるという点です。
データ分析によるアプローチが重要な理由は、それによって企業が消費者の行動パターン、好み、嗜好を理解し、よりターゲットに合わせた製品やサービスを提供できるからです。
正確なデータ分析を行うことで、企業はマーケティング戦略を最適化し、広告の効果を高め、顧客満足度を向上させることが可能になります。
また、無駄なマーケティングコストの削減や、より効果的な製品開発へと繋がるため、ビジネスの成長に直結する重要な要素です。
メタバースを利用したライブコマースでは、データ分析が容易になる理由はいくつかあります。
メタバース内の活動はデジタル上で完結しているため、ユーザーの行動や反応をリアルタイムで詳細にトラッキングすることが可能です。
例えば、どの商品がよく見られているか、どのエリアが人気か、ユーザーがどのように商品を試しているかなど、具体的なデータを収集できます。
さらに、メタバース内でのライブコマースでは、視聴者がどのようなコメントを残しているか、どの商品に対して反応が良いかなど、直接的なフィードバックを得ることもできます。
これらの情報は、顧客のニーズや嗜好をより深く理解するための貴重なデータとなります。
このように、メタバースを利用したライブコマースでは、より詳細でリアルタイムのデータ分析が容易になり、それに基づく正確なアプローチが可能になります。
|成功事例から学ぶ!メタバース型ライブコマース事例3選
中国では既にメタバース型のライブコマースが加速していますが、日本でもメタバース型のライブコマースの活用が目立ってきました。
ここでは、メタバース型ライブコマースの成功事例を3つ厳選してご紹介します。
①Tmall上でバーチャルライバーを使ってコスメ販売|meeth
Tmallは、中国の大手eコマースプラットフォームで、豊富な製品ラインナップと高品質なサービスで有名です。
特に、Tmallはライブコマースに力を入れており、消費者がリアルタイムで製品を見て、質問し、購入することができる体験を提供しています。
meethは日本のコスメブランドで、Tmall上でバーチャルライバーを活用した革新的なライブコマース戦略を展開しました。
この戦略では、消費者が「ライブ解説」ボタンをクリックすることで、バーチャルライバーによるライブ商品説明を体験できます。
このように、メタバースの要素を取り入れたバーチャルライバーの活用により、低コストで24時間体制のライブショッピングが実現されています。
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②新機能「ライブシューティング」で話題|Vma plus Station
Vma plus Stationは、メタバース空間を活用した革新的なプラットフォームです。
Vma plus株式会社によって開発され、メタバース開発、運用、ブロックチェーンやNFTの開発とサポート、Web3コンテンツの企画・運営などを行っています。
特筆すべきは、2023年12月に開催された「メタ・ワールドフェス2023冬」で導入された「ライブシューティング」機能です。
この機能は、メタバース空間内で使用できる新しいアバターアクションで、来場者が花火のエフェクトを使ってライブ配信を盛り上げることができるようになります。
来場者は画面内のメニューから花火アイコンを選択し、「ライブシューティング」を購入することで、メタバース内で花火を打ち上げることができます。
これは、ライブ配信中のライバーへの投げ銭機能の一形態としても機能し、ライバーに課金額の一部が配分される仕組みです。
これにより、Vma plus Stationは、従来の2Dライブコマースにはない、新しい3D空間でのライブ体験を実現しています。
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③現実の服とアバターの服が融合|アダストリア
アダストリアは、2023年9月5日にそのアパレルECサイト「.st」で、メタバースとリアルの境界を曖昧にする新しい形のライブコマースを展開しました。
ライブコマースで紹介されたのはアダストリアのメタバースアイテム第6弾である「Anui(アニュイ)」ブランドです。
イベントで特徴的だったのは、配信スタジオのカメラの前に立つスタッフと、メタバース上のアバターを組み合わせた配信方式でした。
このアプローチにより、アバターが実際にスタジオにいるかのような体験を提供し、視聴者からは非常にポジティブな反応が得られたとのことです。
また、イベント中は商品紹介に加えて、メタバースについての理解を深めるクイズコーナーの設置や、視聴者がスクリーンショットを撮影できるようなポーズをとるなど、様々な工夫がなされました。
このように、アダストリアのメタバース型ライブコマースの事例は、メタバースの可能性を活かし、デジタルとリアルの融合を図ることで、新しい顧客体験を創造し、ファッション業界における新たなコマースの形を提示しています。
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|日本国内で注目のライブコマースソリューション3選
ライブコマースは日本でも今後一般的な集客方法として定着する可能性が非常に高いです。
しかし、一からライブコマースを行うとなるとかなりハードルが高いかと思います。
そこでここでは、日本国内で注目のライブコマースソリューションを3つ厳選してご紹介します。
①新たな販路を切り拓く!越境ライブコマース|HandsUp
<HandsUpの特徴3つ>
- 導入から運用、最適化までの一貫したサポートを提供する伴走型ソリューションサービス
- 自社ECサイトがなくても簡易的なECショップを構築し、ライブコマースを実施可能
- サーバー費用を抑え、Web上で手軽にライブコマース機能を利用できるSaaS型サービス
「HandsUP」は17LIVEが提供するライブコマースプラットフォームで、ライブ配信機能と販売管理、注文顧客管理機能を兼ね備えています。
このプラットフォームは、ライブ配信を見ながら同じサイト内で商品を購入できる「WEBシステム型」で、ユーザーの離脱を防ぐことが可能です。
また、比較的低コストで導入が可能であり、自社ECサイトがない個人事業主や小規模な店舗でもライブコマースを実施できる柔軟性を持っています。
17LIVEの豊富なライブ配信のノウハウに基づき、企業がライブコマースの運用を最適化するためのコンサルティングも提供しています。
②広告無しでも売れる!|LiveCommerce force
<LiveCommerce forceの特徴3つ>
- ライブ中のコメントやユーザー情報をログとして残し、マーケティングや製品開発に活用
- 指定したワードに反応して視聴者に自動でDMを送り、クーポンやECサイトのURLを届ける
- InstagramとX(別のプラットフォーム)を横断して、ライブを自動告知し、より多くの視聴者へのアプローチが可能
LiveCommerce forceは、ライブコマースの新たな可能性を開くツールです。
このソリューションは、ライブストリーミングのデータを活用して、より効果的な商品のプロモーションや顧客エンゲージメントを実現します。
Instagram Liveの課題を解決し、ライブコマースの成功に必要な機能を提供することで、ビジネスの成長をサポートします。
③ライブコマース戦略の実現をサポート「LIVE-X」|電通ダイレクト
<LIVE-Xの特徴3つ>
- 集客施策から広告、効果分析、改善策まで、ライブ配信に必要なすべての要素に対応
- ダイレクトマーケティングのプロが担当するライブ配信構成、幅広い提案が可能
- 34項目からの定性・定量的分析により、ライブコマースの最大活用をサポート
LIVE-Xは、ライブコマースの成功を目指す企業にとって最適なソリューションを提供します。
集客から広告、効果分析に至るまで、ライブ配信に必要な全てのプロセスをサポートし、ターゲットに合わせたSNS活用や効果的なプラットフォーム選定を提案。
さらに、購買ファネルの各段階での目的とKPIに基づいた施策を展開し、ライブコマースを最大限に活用するための全体設計を行います。
|メタバースを活用したマーケティングで重要なこと
前項でご紹介したライブコマースソリューションを利用すれば、ライブコマースを自社の集客に利用することは可能ですが、それだけでは十分とはいえません。
メタバースを活用したライブコマースなどのマーケティングでは、意識するべき重要な点がいくつかあります。
ここでは、メタバースを活用したマーケティングで重要なことについて解説します。
①ターゲット(ペルソナ)の設定には特に注意する
メタバースを活用したマーケティングでは、ターゲット(ペルソナ)の設定に特に注意することが重要です。
これは、メタバースのユーザー層が多様で、異なる興味や行動パターンを持っているためです。
具体的なペルソナを設定することで、効果的なマーケティング戦略を策定し、ターゲットに適したコンテンツや体験を提供できます。
ペルソナの詳細な設定には、年齢、性別、興味、デジタルリテラシーなどの要素を考慮に入れることが求められます。
これにより、よりパーソナライズされた、没入感の高いメタバース体験をユーザーに提供することが可能です。
②「没入型」のコンテンツであることを意識する
メタバースマーケティングにおいて「没入型」のコンテンツ制作は、ユーザー体験を深化させ、強い印象を残すために不可欠です。
メタバースは、その没入感とインタラクティブな特性を生かして、ユーザーに独自の体験を提供できる環境です。
このため、ユーザーが仮想環境内で積極的に参加し、関わり合うことができるコンテンツの制作が重要となります。
これにより、ブランドや製品に対する深い理解や感情的なつながりを促進し、結果として高いエンゲージメントやブランドロイヤリティを生み出すことが可能になります。
③データ分析のやり方はマスターしておく
メタバースマーケティングでのデータ分析は、戦略の効果を測定し、改善点を見つけるために不可欠です。
データ分析では、具体的にユーザー行動の追跡、参加型イベントの反応、ユーザーの滞在時間や頻度などを測定します。
これらのデータは、ユーザーの好みや興味を理解し、カスタマイズされたマーケティング活動に活かされます。
また、ユーザーのインタラクションデータを分析することで、よりエンゲージメントの高いコンテンツやプロモーションを設計可能です。
データ分析は、メタバース内でのユーザー体験を最適化し、ROIを最大化するための鍵となります。
|まとめ:効率的な集客にはメタバースを活用したライブコマース戦略が有効!
この記事では、新型コロナウイルスの影響を受けて変化する集客方法として、メタバースを活用したライブコマースの可能性を探りました。
メタバースの没入型体験はターゲット設定、ブランド戦略、データ分析に新たなアプローチを提供し、マーケティングの未来を形作る可能性があります。
この記事を、メタバースとライブコマースを組み合わせたマーケティング戦略を検討する際の参考資料としていただければ幸いです。
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