近年は自宅にいながら、全国各地で開催されているセミナーへの参加が可能になっています。
インターネットを通じた配信が普及したことによって、物理的な距離を超えた交流、情報取得が実現しているのです。
コロナ禍以降、そういったセミナー開催時に利用されるツールとしてZoomは広く普及しました。
しかし、メタバースという新技術の台頭も無視できません。
本記事では、セミナー開催時に利用するツールとして、メタバースとZoomどちらが適しているかを両者の特長から比較、解説します。
一読いただければ、今後のセミナー開催がより効果的なものになるはず。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
|そもそもメタバースとZoomはどう違う?
コロナ禍による在宅勤務促進に伴い、Zoomの知名度は急上昇しました。
多くの企業がZoomを利用した会議を行い、業務を遠隔でスムーズに進めることに成功したといえるでしょう。
しかし、Zoomについて詳しく説明できるかと聞かれると、「テレビ電話」といった機能しか理解していない人も少なくないかもしれません。
一方、メタバースに関してはまだまだ発展途上の分野であるため、Zoomと比較してその理解度はより一層乏しくなるかもしれません。
まずはメタバースとZoomそれぞれの基本機能を確認した上で、両者の違いを把握することからスタートしていきましょう。
メタバース
メタバースとは、「高次元」などを意味する「メタ(meta)」と「宇宙」を意味する「ユニバース(universe)」を組み合わせた造語です。
つまり、現実世界とは異なる「宇宙=世界」を仮想空間に構築することで、まるで別世界で暮らしているような感覚が擬似的に味わえるのです。
メタバース世界へのアクセスはスマホやPC経由でも可能ですが、最もその世界観を深く味わえる方法として「VR(Virtual Reality)ゴーグル」の導入があります。
VRゴーグルを経由してメタバース空間へアクセスすると、眼の前全てに仮想空間が広がる、没入感の高い体験が実現します。
メタバース上で交流する際は、「アバター」と呼ばれる姿を通じて行います。
まるで現実世界にて、対面で話を進めているようなリアルな感覚をメタバースでは気軽に体験できるのです。
Zoom
ZoomはWeb会議システムの名称です。
Web会議が行えるアプリケーションは「Google Meet」や「Skype」など数多く存在していますが、ZoomはZoomビデオコミュニケーションズが提供しているサービスです。
スマホやPCのカメラ、マイクを通じて画面越しで会話できる機能は、遠隔の相手であってもまるで目の前にいるかのような交流が実現します。
それぞれのWeb会議システムは複数人でもビデオ通話、画面共有など類似した機能を持っていますが、中でもZoomはそのシェアを半数以上占める人気を博しています。
一般的に新しいサービスの多くは、いち早く提供を開始した企業の商品に人気が集中します。
しかし、ZoomはSkypeと比較しても後発でした。
そういった状況にも関わらず現在のように人気を集めた理由として「誰でも簡単にできる操作性能」と「迅速なデータ転送」があげられます。
コロナ禍による影響も後押しし、2023年現在は多くの企業がテレビ会議で利用するスタンダードアプリの地位を確立したのです。
|セミナー実施におけるメリット
仮想空間でアバター姿を通じて交流ができるメタバースと、PCやスマホを通じたビデオ会議が行えるZoom。
オンライン上でのセミナーを開催する際、それぞれの利用にどのようなメリットが存在するのでしょうか。
こちらではセミナー実施に利用することを想定して、両者のメリットを解説していきます。
メタバース
まず、メタバースを利用してセミナーを開催する場合、参加者はスマホやPC、もしくはVRゴーグルといった機器を通じてメタバース空間へアクセスする必要があります。
アバター姿で自由に動き回り交流できるため、現実世界で行われるイベントに限りなく近い感覚で参加できるでしょう。
メタバースではセミナー主催者からの一方通行の音声発信だけではなく、参加者からの音声チャット、テキストやアバターリアクションといった様々な表現方法が可能。
こういった理由から、一方的に話を聞き続けるセミナーよりも、全員参加型の内容であればメタバースの機能を最大限活かした会が実現できるはずです。
具体的な事例としては以下のような内容があげられます。
- 参加者同士でグループディスカッションを実施
- セミナー内容のアンケートに対してリアクションしてもらう
また、メタバースでの交流は複数人が同時に会話しても、それぞれの内容をリアルタイムに確認できます。
まるで現実世界のように自然なコミュニケーションが実現するため、交流を前提としたセミナーに向いているといえるでしょう。
実際、すでに人材採用イベントといった内容でメタバースを利用したイベントは開催されています。
出展企業には大手自動車メーカーや飲食店舗もあり、その注目度の高さが伺えます。
メタバースという新技術を介したセミナー開催ということで、集まる人材も積極的に新しい知識を吸収しようと考える層、もしくは若年層が多いことも想定されます。
自然な交流の実現、知識欲が高いもしくは若年層の参加を想定する場合、メタバースを利用したセミナー開催は大きな成果をあげることが期待できるでしょう。
Zoom
Zoomを始めとしたWeb会議システムの特長として、「基本的に1人ずつ会話する」という点があげられます。
同じ画面上に映る人が複数人一気に話してしまうと、誰が話している内容か区別しにくい上に、音声が聞き取りづらい状態になってしまいます。
そういった面から、基本的に1人の話者が不特定多数に情報発信するというセミナーにおいて、Zoomは効果的となるでしょう。
セミナーの参加者は会話に割って入ることはできませんが、途中で抱いた疑問や質問についてはテキストメッセージでいつでも送付できます。
質問に後ほど回答する時間を設ければ、大勢の人数を相手に効率的なセミナー開催が実現するでしょう。
また、Zoomにはアーカイブ機能がありますので、リアルタイムでの参加ができなかった方に対しても、後日配信という形で実施した内容を提供できます。
加えて、メタバースとは異なりスマホやPCといった一般的に普及している端末があれば、誰でも簡単に参加できる簡便性もメリットの一つです。
幅広い年齢層を想定している場合や、リアルタイムでの参加者以外も多い場合などはZoomを利用したセミナー開催が大きな効果を期待できるでしょう。
|セミナー実施におけるデメリット
それでは、メタバースとZoomをセミナーで利用する際、考えられるデメリットはあるのでしょうか。
それぞれ解説していきます。
メタバース
メタバースをセミナーで利用するデメリットとしては、やはりメタバース特有の操作やVRゴーグルといった専用機器の使い方の習得が必要な点があげられます。
2023年現在、広く普及しつつあるメタバースですが、まだまだ一般的に使用しているという方は少数派ということが現実です。
そのため、メタバースに不慣れな人の場合はセミナーへの参加を諦めてしまうことも想定できるでしょう。
また、メタバースでのセミナー実施はリアルタイムでの参加が前提となります。
そのため何度も同じ内容を説明する必要があるなど、効率的な運用という点もデメリットとなるかもしれません。
参加者全員のスケジュール確認はもちろん、実施日程の周知などがより重要になるため、セミナー開始前の労力が増す可能性も考えられるでしょう。
Zoom
Zoomでのセミナー開催のデメリットは、参加者全員の表情やリアクションが分かりにくい点があげられます。
少人数での開催であれば問題ないかもしれませんが、数十人単位になると画面に映らない人物も現れるため、どういった反応をしているのかが読み取れません。
リアクション機能などで反応を伺う必要があるため、セミナー内容の理解度を正確に把握することが少し困難になるでしょう。
また、複数人での会話ができないことから、自由闊達な議論が起こり得ません。
それぞれ1人ずつが話を一方的に聞き、それぞれの感想を抱いたまま終了してしまうことも考えられるため、内容に疑問を残す参加者が一定数現れるかもしれません。
|セミナー内容に合わせた選択を
メタバースとZoomという2つの交流サービスですが、実際はそれぞれのメリット・デメリットがあることがご理解いただけたかと思います。
そのため、どちらか一方に決めるのではなく、セミナー内容に応じた選択をすることをおすすめします。
例えば、若年層がメインターゲットであり、週末など多くの人が時間が取りやすいタイミングで実施するセミナーであれば、メタバースを通じた開催が効果的でしょう。
最新技術にも対応していることが想定できる上、同年代の仲間と自由に交流できるメタバースは主催者側も想定していなかった相乗効果が生まれるかもしれません。
一方、幅広い年代を対象としたセミナーや、情報発信をメインにしたセミナーの場合は、Zoomでの開催が適しています。
参加者の意見に対しては、随時テキストチャットで募集を受け付けながら、まとまった時間で返答することも可能です。
そしてアーカイブ配信によって、リアルタイムでの参加者以外にもセミナー情報を発信できます。
このように、どちらか一つに絞るのではなく、柔軟に対応する姿勢が今後のセミナー主催側には求められるかもしれません。
|まとめ
セミナー開催時に利用するツールについて、メタバースとZoomそれぞれの概要からメリット・デメリットを解説しました。
両者それぞれの特長を活かし、実施されるセミナーがより効果的になる選択をしなければいけません。
本記事の内容が今後のセミナー開催の参考になりますと幸いです。