近年、仮想空間と現実世界を融合させた「メタバース」が注目を集めています。

メタバースでは、現実世界ではできないような体験や、新たな価値を生み出すことが期待されています。

そんなメタバースが、医療分野でも活用され始めています。

メタバースを利用することで、遠隔地にいても医師と直接会話しながら診察を受けることができたり、患者の症状をより正確に把握したりすることが可能になります。

本記事では、メタバースでの診察の導入事例や、メタバースと医療分野との相性について詳しく解説します。

|メタバースとは

メタバースとは、仮想空間や仮想世界を指す言葉です。

これは、現実世界とは異なる独自のデジタル空間で、人々がインタラクティブな体験をする場所です。

コンピューターやスマートフォンを使って仮想空間にアクセスし、アバターを操作して様々な活動を行うことができます。

この仮想空間は、現実世界の物理的な制約を超え、想像力に基づいた様々な体験を可能にしてくれます。

ユーザーは自分のアバターを通じて、仮想の土地や建物、エンターテイメント施設、教育環境などを探索し、他の人々と交流したり、コンテンツを体験したりすることができます。

また、ゲームだけでなく、社会的、経済的、教育的な活動にも利用されます。

例えば、仮想空間内での仕事やビジネス、イベントの開催、学習環境の提供など、様々な領域で活用されています。

将来的には、メタバースが日常生活や様々な業界に深く統合され、人々の新たなコミュニケーションや活動の場として一層重要な役割を果たすことが期待されています。

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|メタバースと医療は相性がいい?

メタバースを利用することで、遠隔地にいても医師と直接会話しながら診察を受けることができるなど、全体的な医療の質が上がると考えられます。以下に相性が良い理由を解説します。

メタバース×医療については、こちらの記事にも詳しく書いてありますので、ぜひご参照ください。

医療DXとは?推進メリットや課題、取り組み事例を紹介
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地域格差の解消

医療分野におけるメタバースの利用において、特に注目されているのが「地域格差の解消」です。

日本では、医師の偏在や医療機関の不足などにより、地域によっては医療を受けにくい環境にあるケースがあります。

メタバースを活用すれば、こうした地域格差を解消し、すべての人に質の高い医療を届けることが可能になると期待されています。

具体的には、医療技術のトレーニングや手術のシミュレーション、心のケアやリハビリにおける空間認識を利用するなど、多様な側面から医療の進歩を促進することができます。

メタバースを介した医療が広まることで、遠隔地での診療や手術が実現し、医療の質における地域差を解消する道が開けることが期待されています。

医療DXの推進

医療DXとは、デジタル技術を活用して医療の質や効率を向上させる取り組みです。

近年、少子高齢化や医療費の高騰などの課題を背景に、医療DXの推進が急務となっています。

医療DXにおいてメタバースは、遠隔医療や医療従事者の訓練、患者教育に活用される可能性が期待されています。

例えば、VRを使った遠隔診療では、患者が自宅から医師との対面診療を受けたり、医療従事者の訓練では、リアルなシミュレーションを仮想空間で体験できたりします。

患者教育では、患者が自分の病気について学ぶことができるようになります。

今後も、メタバース技術のさらなる発展により、医療DXの推進に向けた取り組みがさらに加速していくことが予想されます。

深刻な人材不足への対策

近年、少子高齢化や医療費の高騰などの課題を背景に、医療分野の人材不足が深刻化しており、医療の質や安全性に大きな影響を与えています。

そこで、メタバースの活用による人手不足への対策が注目されています。

例えば、医療従事者のトレーニングやシミュレーションをメタバースで行うことで、現場経験を積まずに技術を習得し、人材育成を助けられます。

また、メタバースを使ったバーチャル治療やケアは、患者のアクセスを容易にし、医療従事者の負担を軽減します。

さらに、メタバースは医療業務の効率化に寄与し、医療ミスのリスクを低減することが期待されています。

これらのメタバース活用は、医療現場の人手不足を解消し、医療の品質向上に向けた重要な一歩となるでしょう。

|メタバースで診察を受けるメリット

ここではメタバースで診察を受ける具体的なメリットを2つご紹介し、それぞれ解説します。

身体的・精神的事情を伴わず利用できる

メタバースを利用した診察では、患者は病院に行かなくても、自宅にいながら医師の診察を受けることが可能です。

これにより、以下のようなメリットが期待できます。

・身体的負担の軽減:病院に行くためには、移動や待ち時間などの身体的負担があります。メタバースを利用すれば、これらの負担を軽減することができます。

例えば、高齢者や障がい者など、移動が困難な患者は、メタバースを利用することで、自宅で気軽に診察を受けることができます。

・精神的負担の軽減:病院に行くことをためらう患者も少なくありません。その理由として、病院の雰囲気や人混みへの不安などが挙げられます。

メタバースを利用すれば、患者は自分の好きな場所で、好きなように診察を受けることができます。これにより、精神的負担を軽減することができます。

アバターを通して匿名で利用できる場合もある

メタバースを利用した診察では、患者は自分の分身であるアバターを作成して、そのアバターを通して医師とコミュニケーションを取ることができます。

これにより、以下のようなメリットが期待できます。

・プライバシーの保護:アバターを通して診察を受けることで、患者は自分の個人情報を隠して、匿名で診察を受けることができます。

例えば、性同一性障害や難病などの患者や、自分の容姿や病状を知られたくない人なども、メタバースを利用すれば、アバターを通して匿名で診察を受けることができ、安心して医療を受けることができます。

・偏見や差別の防止:アバターを通して診察を受けることで、患者は自分の年齢や性別、国籍などの属性を隠して、偏見や差別のない環境で診察を受けることができます。

|メタバースで診察を受けられる「メタバース しろひげ在宅診療所」

出典:https://shirohige.clinic/blog/%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B9%E7%A9%BA%E9%96%93%E3%81%AB%E3%80%8C%E3%81%97%E3%82%8D%E3%81%B2%E3%81%92%E5%9C%A8%E5%AE%85%E8%A8%BA%E7%99%82%E6%89%80%E3%80%8D%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D/

「メタバース しろひげ在宅診療所」は、自宅でPCやスマートフォンを使って、匿名で医師や相談員に相談できるメタバース空間です。

特徴

しろひげ在宅診療所には、以下のような4つの特徴があります。

・パソコンやスマートフォンをお持ちの方なら、だれでも利用可能。

・自宅から匿名で、医師や精神保健福祉士などに相談可能(事前予約が必要です)。

・アバターを使った相談方法を選択でき、音声通話やチャットでの相談が可能。

・しろひげ在宅診療所の公式ウェブサイトや公式SNSと連携し、最新情報を提供。

また、メタバース空間内で患者やご家族向けの相談会やYouTube鑑賞会などのイベントも計画されており、コミュニティスペースを再現した場所で、革新的な医療サービスを提供しています。

診察を受ける方法

「メタバース しろひげ在宅診療所」での診察は、パソコンやスマートフォンを使って、NTTのDOORプラットフォームにアクセスすることから始まります。

利用者は予約が必要で、匿名で医師や相談員に相談でき、アバターを使って音声通話かチャットでの相談を選ぶことができます。

相談時間は30分間で、相談内容は訪問診療、健康、心の悩み、生活や学校に関すること、食事や栄養など、多岐にわたります。

利用者は公式ホームページや公式SNSから最新情報を入手することができます。

|まとめ

以上、いかがでしたでしょうか。

メタバースにおける医療の進化は驚くべきものです。

今日の技術がもたらすこの新たな医療領域は、診療の新しい形を提示し、医療へのアクセスを革新しました。

遠隔地に住む患者や、モバイルユーザーなど、どこにいても医療サービスを受けられる柔軟性が、このシステムの大きな魅力です。

将来的にも、医療×メタバース分野は更なる進歩を遂げ、医療サービスの質と利便性を向上させることが期待されます。

メタバースは医療の新たなフロンティアとして、私たちの生活に革新をもたらすことでしょう。